ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第64話 打合せ

黒歌と小猫を仲直りさせた翌日、俺はテレビ局に来てアザゼルが書いた中二病小説を元にした特撮番組の打合せをしている。

メンバーは三大勢力のトップを始めとした豪華なメンツだ。

ちなみに今日はルフェイは来ていない。フェニックス家でレイヴェル達と一緒に遊んでいる。

 

「特撮といえば鉄球だな!」

 

最初にアルマロスが訳の分からない提案をする。何故、こんなに鉄球に拘るのだろうか?謎だ。

ライザーの様子を聞いたら絶好調だと答えた。何が絶好調なのだろうか?

 

「ふむ、アリですね」

 

監督がアルマロスの提案を受け入れる。

待て。本当にそれでいいのか?原作には鉄球なんて出てこないぞ。

 

「やっぱり特撮には魔法少女が必要よね?」

 

次はレヴィアたんが提案する。

 

「ふむ、アリですね」

 

それを受け入れたらレヴィアたんの独壇場になるような気がするんだが。て言うか、魔法少女はレヴィアたんの番組だけで充分だろ。

本当にこの監督に任せて大丈夫か?

 

「原作がつまらないから一から考えた方が良いんじゃないか?」

 

今度はアザゼルが提案する。

企画を潰すのが無理だから中身を変えようという作戦か。

 

「死ね」

 

酷いな、監督。仮にもアザゼルは堕天使の総督だぞ。それに死ねって。

 

「可愛い幼女を沢山起用するのはどうだろうか?」

 

次にヴァーリが提案する。

ん?ヴァーリ?何でここに普通にいるんだ!?ヴァーリはテロリストだぞ!セキュリティは何をしてるんだ!?

 

「残念ながらナシです」

 

そういう問題じゃないだろ!?何で誰も気にしないんだ!?

て言うか、沢山の幼女の起用はないのか。残念だ。

 

「俺っちはラーメンの大食い大会が良いと思うぜぃ」

 

今度は美候!?もう意味が分からない!

他にもいるんじゃねぇだろうな?とりあえず俺は周りを見渡す。

……良かった。他にはいないみたいだな。レイナーレとかが来たらシャレにならない。

 

「ふむ、アリですね」

 

アリじゃねぇよ!ラーメンの大食いなんて特撮でやることじゃないだろ!別の番組でやれ!

いや、ツッコミどころはそこじゃないけど。俺がおかしいのか?

 

「やっぱり、ここは|閃光と暗黒の龍絶剣《ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード》は外せませんね」

 

次にミカエルが提案する。やっとマトモな意見が出たな。私情にまみれているが気にしなくていいだろう。

これに関しては原作に似たようなものがあったから、それの代わりに使えば良い。

 

「でも、実物を見ないことには何とも言えませんね」

 

「それなら監督、ここに実物の|閃光と暗黒の龍絶剣《ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード》があるけど」

 

俺は一本の剣を取り出して皆に見せる。ちなみにこの剣は名前は微妙だけど能力は高い。

 

「何!?|閃光と暗黒の龍絶剣《ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード》は完成していたのか!?」

 

「むぅ!あれが|閃光と暗黒の龍絶剣《ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード》!」

 

事情を知っている人達が俺が取り出して剣を驚愕の表情をした。

 

「おい、てめぇ!何で、それを持ってるんだ!?それの存在はシェムハザにも言ってないのに!」

 

アザゼルが机をバアンッと叩いて俺に文句を言ってきた。俺は最大限に悪役の顔をして返事する。

 

「俺に隠し事が出来ると思ってんのか?アザゼルの跡をつけたら普通に見付かったぞ」

 

「くっ……。霧識にはまずプライバシーの概念を教える必要がありそうだな……」

 

部下のプライバシーを無視して好き勝手やってるアザゼルに言われたくないな。

 

「そうだ、マオウガーも採用しよう」

 

今度は俺が提案する。

折角のアザゼルの中二病小説を元にした特撮だ。出来るだけアザゼルの作品は使おう。

 

「無視するな!後、マオウガーはもうないぞ」

 

「え?ないの?」

 

「ああ。コカビエルがグリゴリに連行した後に大暴れしてな。マオウガーを破壊して行きやがった。妙な執念を感じたな」

 

そんなことがあったのか。知らなかった。よっぽどマオウガーが憎かったんだな。

そんな感じで打合せは進んでいった。マトモな会議にならなかったな。

 

 

 

 

 

「よぉ、サーゼクス、アザゼル、ミカエル。話があるから下の喫茶店にでも行かないか?」

 

俺は打合せが終わると帰ろうとしていた三人を呼び止めた。

 

「あぁ?また何か企んでのか?」

 

アザゼルが怪訝そうな顔で言う。

何で俺が話があると言ったら全員、俺が何か企んでいると思うのだろうか?俺は常に何かを企んでいるわけじゃないんだが。

 

「ちょっと禍の団の話をするだけだ」

 

「この後、私は用事がないので構いませんが。それはトップを三人も集めるほど重要な話なのですか?」

 

「世界に大きな影響を与える話だ」

 

いや、むしろ世界に何の影響を与えないという話か。お偉いさん達は大騒ぎするかもしれないが他のところには被害はないからな。

 

「ふむ、では話を聞こうか」

 

 

 

 

 

「「「ハァァァァァッ!」」」

 

喫茶店に移動してコーヒーを飲みながらヴァーリチーム及びオーフィスが禍の団を抜けると話すと、トップ三人が大声を出して驚いた。

少ない客の視線が一斉に集まる。

 

「ちょっと待て!何でそんな話になってるんだ!?」

 

「昨日、黒歌が抜けるって言うから他のメンバーも誘ったら全員OKしてくれた」

 

連絡したらヴァーリと美候はラーメン巡り、オーフィスは家でレイナーレとゲーム、お義兄さんは紅茶を飲んでいた。

何か毎日同じことをしているような気がするが、他にすることはないのだろうか?

さっきヴァーリと美候は会議に参加していたけど。まぁ、気にしない方が良いのだろう。

 

「そんな簡単でいいのかよ?」

 

「いいだろ、別に」

 

「ところで、何で黒歌はいきなり禍の団を抜けるなんて言い出したんだい?」

 

「サーゼクスと同じだよ。理由は妹に言われたから。黒歌はシスコンだからな」

 

ちなみに黒歌は今、小猫の修行に付き合っている。小猫には黒歌が暴走したら、すぐに俺に連絡するように言っておいた。

 

「なるほど、それなら納得だね」

 

納得できるのかよ。

黒歌はSS級のはぐれ悪魔だぞ。俺が言うのも何だが、もうちょっと気にしろよ。

 

「というわけで、他のお偉いさん達にヴァーリチーム及びオーフィスに手を出さないように言っておいてくれ」

 

「……簡単に言うなよ。そんな話、頭の固い連中が納得できるわけないだろ」

 

アザゼルが頭に手を当てて困ったように言う。まぁ、確かにテロリストの親玉を普通に受け入れるのは無理があるか。

それにヴァーリは旧ルシファーの血を引いている。悪魔達は特に混乱するだろうな。

 

「納得しない面倒くさい奴が現れたら、こう言えばいい。オーフィスをけしかけるぞ、と」

 

オーフィスとマトモに戦って勝てる奴なんてグレートレッドくらいしかいない。各勢力もオーフィスとは敵対したくないはず。この提案を受け入れるしかない。

サマエルの存在が気になるがハーデスの野郎が三大勢力に協力するとも思えない。まぁ、念のためハーデスの野郎には後で接触しておくか。

 

「……脅迫かよ。和平を結ぼうという時にそれはしたくないな」

 

「ふむ、確かにアザゼルの言う通りだな」

 

言われてみれば、そうだな。オーフィスの力を使って無理矢理に和平を結ばせようとしている、なんて話になったら相手も警戒するだろうし。

 

「じゃあ、納得しない奴には俺が後で話しに行くわ」

 

「だから脅迫はやめろよ」

 

「失礼だな。脅迫なんてしない。ただ友達になるだけだ」

 

友達は多い方が出来ることが増えるからな。特にトップの連中とは仲良くなっておきたい。どうやって友達になるかは相手の出方次第だが。

 

「……お前に友達が増えるのは困るな。俺達でどうにかするしかないか」

 

「そうですね。では私はこの後、仕事があるのでアザゼルに任せます」

 

ミカエルが立ち上がって帰ろうとする。

 

「ちょっと待ちやがれ、ミカエル!お前、さっき何も用事がないって言ってたじゃねぇか!?」

 

「今、思い出しました。急を要する事態なので、これで失礼します」

 

そう言うとミカエルはそのまま帰っていった。

あ、コーヒー代を払ってない。後で請求するか。

 

「ミカエルの野郎、逃げやがったな。こうなったら二人でどうにかするしかないぞ。頭の固い連中の説得は難しいかもしれないが、これは重要なことだ」

 

「そうだね。私は霧識くんとリーアたんの小さいころの写真を見る約束があるから後はアザゼルに任せるよ」

 

ああ、授業参観の時にそんな約束をしたな。完全に忘れていた。

にしてもサーゼクスもミカエルも逃げようとするとはな。もしかして会いたくない奴でもいるのか?

 

「てめぇ、それは今すぐする必要のあることなのか!?」

 

「何を言ってるんだ、アザゼル。この世に妹以上に大事なものはないよ」

 

一切迷いのない言葉。さすがシスコン。

この流れだとシスコン三連戦は避けれそうだな。仲良く小さいころのリアス・グレモリーを愛でれそうだ。

 

「じゃあ、私はこれで」

 

「後は任せた、アザゼル」

 

そう言うと俺はコーヒー代を置いて、サーゼクスと立ち去る。後ろでアザゼルが何か騒いでいるような気するが気にしない。




ヴァーリと美候のことはギャグか何かだと思って気にしないでください。

では感想待ってます。

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