ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第47話 トップ会談

今日はトップ会談の当日。俺はオカルト研究部のメンバーとは行動せず、アザゼルとヴァーリと一緒に会場である駒王学園新校舎にある職員会議室に向かっている。

 

「……おい、本当に実行する気か?」

 

ヴァーリがアザゼルに聞こえないように小声で聞いてきた。

 

「当然。何らかのイレギュラーがない限り予定通りに行く」

 

まぁ、よっぽどのイレギュラーじゃなきゃ利用して更に楽しむだけだが。

 

「そっちじゃなくて、その前だ」

 

「ああ、そっちか。他のトップ達が乗り気だから今さら止めれない」

 

本当にかなり乗り気だ。俺が企画した以上のアイデアを出してくるくらいだからな。

 

「何をコソコソ内緒話してんだ?もうついたぞ」

 

アザゼルはそう言うと扉を開けて職員会議室に入った。中にいたのはミカエルとイリナだけだ。

 

「久し振りですね、アザゼル」

 

「そうだな、クソ天使」

 

会うなり険悪な雰囲気のアザゼルとミカエル。まぁ、喧嘩するほど仲が良いというヤツだろうから無視しておくか。

俺はイリナと話すことにした。

 

「よぉ、久し振りだな、イリナ」

 

「そうね、霧識くん。ミカエル様から霧識くんがグリゴリのメンバーだと聞いた時は驚いたわ」

 

思ったよりも普通に話してくるな。俺にそのつもりはないとはいえ、イリナからしたら騙されたも同然なのに。

 

「にしても霧識くんも災難だったわね。堕天使の総督に拉致られた上に無理矢理グリゴリに入れられるなんて」

 

何だろう。別に間違ってないけど俺にとって都合の良いように話が伝わっている気がする。もしかしてミカエルが話を適当に捏造してイリナに伝えたのだろうか?

 

「でも、これからは大丈夫。私と同じエクスカリバー使いになったんだし教会に来なよ。そうすればブラック企業グリゴリから解放されるよ」

 

ブラック企業グリゴリって。コカビエルの発言からそういう話になっているのか?

後、俺の勧誘をまだ諦めてなかったのか。て言うか、どっちにしろ教会には協力することになるだろう。それを条件にエクスカリバーを貰ったんだから。

 

「断る」

 

「えぇぇぇ!?何で!?両親と一緒に働けるかもしれないんだよ!」

 

「それが嫌なんだよ」

 

ミカエルは俺に押し付ける満々のようだが、俺は絶対に嫌だ。

 

「まぁ、いい。紹介しておくか。ヴァーリ、こいつは俺の幼馴染みで聖剣使いの紫藤イリナだ」

 

「ああ、確か馬鹿の」

 

「私、どんな紹介のされ方されてるの!?」

 

真実をそのまま言っただけだが。

 

「で、こっちが俺の仲間で白龍皇のヴァーリだ」

 

「確かロリコンなんだっけ?」

 

「どんな伝わり方をしているんだ!?」

 

もうヴァーリのロリコンは共通認識になっているのか。ずっと隠してきたのに残念だな。バラしたの俺だけど。

 

「そういや、イリナ。ここにいるってことは神の不在を知っているのか?」

 

確か会談の前提条件の一つに『神の不在』の認知があったはずだ。

 

「もちろんよ。私はすでに主の消滅を認識しているわ」

 

「へぇ、意外だな。信仰の厚いイリナだから神の不在を知ったら、もっとショックを受けていると思っていたが」

 

俺の言葉を聞くとイリナの両目から大量の涙が流れ出た。やっぱりショックだったのか。

ちなみにゼノヴィアとアーシアはその後の俺の演出が衝撃的すぎたからか、すぐにショックから立ち直った。

 

「心の支え!世界の中心!あらゆるものの父が死んでいたのよ!ミカエル様から真実を知らされた時は、あまりの衝撃で七日七晩寝込んでしまったわぁぁぁぁ!ああああ、主よ!」

 

本格的に大号泣し始めた。まぁ、熱心な信者からしたら人生が引っくり返るような衝撃か。無宗教の俺には分からない感覚だ。

 

「何だが騒がしいね」

 

声がした方を見てみるとサーゼクスが部屋に入ってきていた。後ろにはレヴィアたんとグレイフィア・ルキフグス、そして会長がいた。

 

「あれ?リアス・グレモリーとその眷属はまだなのか?」

 

「もう少ししたら来るはずだよ」

 

「トップが全員揃ってるのに、まだ来てないとは。大した重役出勤だな」

 

普通、下っ端は上司よりも先に来るものだろう。常識で考えたら有り得ない行為だな。

 

「普段、グリゴリのトップである俺を弄り倒しているお前が言う台詞じゃないな」

 

さっきまでミカエルと何か言い争いをしていたアザゼルがツッコんできた。俺はお前を上司だと認めないから良いんだよ。

 

「久し振りだね、アザゼル。今日を楽しみにしていたよ」

 

「何、言ってんだ、サーゼクス。こんな堅苦しいだけの会談の何が楽しみなんだ?」

 

俺が裏で何をしていたのか知らないアザゼルがそう思うのも無理はない。

 

「そろそろ時間ですのでお座りください」

 

グレイフィア・ルキフグスに言われて全員が席に移動を開始する。

 

「……ねぇ、霧識ちゃん。例の映像はどうなってる?」

 

レヴィアたんが席に移動する途中で俺に聞いてきた。例の映像とは授業参観の時のことだ。

 

「すでにダビングは終わってるから会談後にでも渡す」

 

「分かったわ」

 

そしてレヴィアたんも席に座る。グレイフィア・ルキフグスはお茶の準備をしている。

そして、それから少ししてリアス・グレモリーとその眷属がやって来た。どうやら会場の予想以上に緩い雰囲気に驚いているようだ。

後、ギャスパーは予想通り来ていないみたいだな。

 

会談はリアス・グレモリーのコカビエル事件の報告から始まり、予定調和の面白くない話が続いていく。一応、こういう話を形だけでもしないといけないのは分かるが退屈だな。

俺は自分の行動を認識できないようにした上でスマホを取り出してルフェイに電話する。

 

「よぉ、ルフェイ。準備はどうだ?」

 

『はい、順調です。ところで、どうしたんですか?今は会談の途中でしたよね?』

 

「暇だから電話したんだよ」

 

そしてルフェイとその場にいたレイナーレと会話しながら時間を潰した。向こうも暇だったようだ。

 

「じゃあ、そろそろ話し合いが終わりそうだから切るわ」

 

『分かりました』

 

『じゃあ、楽しみましょう、ご主人様』

 

そして俺は電話を切る。

 

「話も終わったところで、そろそろ和平を結ぼうか」

 

「はぁ?何言ってんだ?」

 

サーゼクスのいきなりの和平宣言にアザゼルが驚く。ここまで簡単にサーゼクスが和平を言い出すのが意外だったのだろう。それに元々アザゼルは自分から和平を言い出す予定だったし。

 

「何を驚いているのですか、アザゼル。貴方も最初からそのつもりだったのでしょう?」

 

「い、いや……そうだけどよ」

 

「と言うわけで、霧識ちゃん発案の『凄いぞ、アザゼルくん』の話し合いに移らない?」

 

これまで細かいことは話していたけど、やっと本格的な話し合いが出来るのか。ちなみにタイトルを考えたのは俺じゃなくてミカエルだ。

俺の隣ではヴァーリが頭に手を当てて呆れたような表情をしている。

 

「はぁぁぁ!?何だ、その人を馬鹿にしたようなタイトルは!?て言うか、霧識が犯人だったのかよ!?」

 

「はい、これ」

 

俺はアザゼルのツッコミを無視して資料を渡す。そして、その資料を他のメンバーにも回していく。

 

「えーと、何々。俺が書いた厨二病のダサい小説を元に作る特撮番組。……って、何じゃ、これは!?何でスタッフの名前のところに俺の部下の名前があるんだよ!?しかもセラフのメンバーの名前まであるじゃねぇか!俺に対して失礼極まりない上に、何だ、この豪華なメンバーは!?」

 

予想以上の驚きでツッコミ……というよりも頭が追い付いていないようだな。

事情を知らないイッセー達はポカーンとしている。

 

「そうだ。霧識ちゃんが言ってた子役の女の子、参加してくれるって」

 

「そうなのか!」

 

『マジカル☆レヴィアたん』に出演してた子役でかなり可愛いんだよな。参加が決まって嬉しい。

ヴァーリもファンなので若干、顔が嬉しそうだ。

 

「おい、俺を無視するな!これはどういうことか説明しろ!」

 

「そこに全部書いてあるだろ?」

 

「いや、そうじゃなくて何でこんな企画があるんだよ!て言うか、何でまだ和平も結んでないのに三大勢力が協力して俺を貶めてんだよ!」

 

予想通りの展開なのに何か面倒くさくなってきた。最近、忙しくて睡眠不足なのが原因かもしれない。

 

「コカビエルを倒した後に頼まれたんだよ。あの憎きアザゼルに仕返しをしてくれと」

 

「嘘をつくな!お前はコカビエルをベーコンにした後、すぐに帰って、それ以降会ってないはずだ!」

 

まぁ、そうだけど。でも、多分そう思ってるはずだ。

 

「良いじゃないですか。上手に書けていて笑えましたよ」

 

ミカエルが意地悪げに言う。

 

「明らかに嫌みじゃねぇか!大体、アレはギャグじゃないのに笑えた時点でおかしいだろ!」

 

「そうかな?ところどころ良い感じに笑いも入っていたよ。ねぇ、グレイフィア?」

 

サーゼクスが悪乗りしてグレイフィア・ルキフグスに話を振る。

 

「そ、そうですね。プフッ」

 

グレイフィア・ルキフグスが思い出し笑いをする。そんなにツボにハマったのだろうか?

 

「ふざけんな、てめぇら!……和平を結ぶつもりだったが気が変わった。戦争じゃ、こら!」

 

アザゼルが恥ずかしすぎて壊れたようだ。撮影して後でグリゴリの連中にも見せよう。

 

「良いけど、その場合は一人で三大勢力を相手にすることになるぞ」

 

「いや――」

 

「ちなみに会談の警備に来ている堕天使もこっちの味方だ。シェムハザさんが頑張ってくれた」

 

俺はアザゼルの台詞を遮って絶望的な情報を教える。ちなみにシェムハザさんはミカエルの次にノリノリだ。コカビエルがいなくなって負担が増えたのが原因だろう。

 

そしてアザゼルを無視してトップ会談……もとい企画会議が進んでいく。




テロが起きるのが次回なのに、まだ内容がまとまってない。一応、流れみたいなのは考えているので後は書きながら考えるか。

では感想待ってます。

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