ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第45話 ミカエル

「お、やっと来たか」

 

ギャスパーに会った次の日の夜、俺は小猫とギャスパーを召喚した。

ちなみに今日はヴァーリチームとオーフィスは来ていない。後、レイナーレは部屋でエロゲーをさせながら待機させている。レイナーレがギャスパーを見たら、どうなるか分からないからな。

 

「えぇぇぇぇ!何で七瀬先輩がいるんですかぁぁぁぁ!」

 

「ここが俺の家だからだ」

 

ギャスパーの悲鳴が外に聞こえたら通報されそうだな。まぁ、俺の神器で外に音が漏れないようにしているから大丈夫だけど。

 

「小猫ちゃん、どういうこと!?僕は人に馴れるために小猫ちゃんの仕事について行け、って部長に言われたんだけど!」

 

そこら辺はサーゼクスを通して根回し済みだ。リアス・グレモリーは渋ったようだが、魔王の命令なら逆らえないということだろう。

 

「先輩は私の常連ですから」

 

「えぇぇぇぇ!そうなの!?大丈夫!?変なことされてない!?」

 

「おい、ギャスパー。言っておくが俺はお前が思ってるような鬼畜野郎じゃないぞ」

 

いくらギャスパーの俺の対する第一印象が変態だったからって、ここまで恐れられるとは思わなかった。ああ、そういやゼノヴィアの変態性にもついても俺のせいみたいに思ってる、みたいな話も後から聞いたな。どう誤解を解けばいいんだ?

 

「大丈夫、ギャーくん。霧識先輩は可愛い相手にだけは優しいから。まぁ、綺麗系の人と嫌いな相手には言葉に出来ないような鬼畜プレイをするらしいけど」

 

「小猫のせいか!」

 

同じ一年同士で仲が良いと聞いていたが、ギャスパーに変なことを吹き込んでいたのは小猫だったのか。

 

「私は怜奈さんに聞いたことをギャーくんに教えただけです」

 

いつの間に小猫とレイナーレが仲良くなったんだ!?俺が小猫を召喚した時にそんな会話はしてなかったはずだ。

 

「ちなみにルフェイとも仲良くなりました。彼女、魔法使いだったんですね」

 

「嘘だろ……」

 

もう何が何だが分からない。俺の知らない間に何があったんだ?

衝撃の連続だ。俺はいつも驚かす側で驚かせられるのは初めてだ。

 

「……もしかして他にも何かあるのか?」

 

「この前、ルフェイとレイヴェルと一緒に遊びに行きました」

 

「俺も呼べよ!」

 

何だ、その天国みたいな状況は!?俺はそんな状況を見過ごしたのか!一生の不覚だ!

 

「まぁ、嘘ですけど」

 

「嘘かよ!」

 

ああ、もう何か疲れた。黒歌やレイナーレの相手をしている時でも、こんなに疲れることは滅多にないぞ。

 

「……少しスッキリしました」

 

小猫が普通の人間なら聞き逃しそうな小さな声で呟いた。何がスッキリしたんだ?

 

「ね、ギャーくん。面白い人でしょ?」

 

「確かに最初とはイメージが変わったけど……」

 

もしかしてギャスパーの俺に対するイメージを払拭するために、俺をいじっていたのか?いや、よく考えたらギャスパーに俺の悪いイメージを植え付けたのも小猫か。何がしたいのか分からない。

 

「まぁ、いい。ギャスパー、契約を始めるか」

 

「な、何をすればいいんですか?」

 

「そんなに怯えなくて大丈夫だ。これを着て写真を撮るだけだ」

 

俺はアニメのキャラのコスプレグッズを取り出した。コスプレイヤーは役に成りきると言う。ギャスパーも服装を変えることで気持ちを変えることが出来るんじゃないか、といった作戦だ。まぁ、そんなのは建前で本音はただギャスパーのコスプレ写真を撮りたいだけだ。

 

「可愛い衣装ですね!」

 

目をキラキラと輝かすギャスパー。ギャスパーも俺と同じで可愛いもの好き。絶対、のってくると思ってたぜ。

 

「ほい、小猫はこっち」

 

今日、新しく完成した衣装を小猫に渡す。

 

「……これを着て写真に撮られるだけですか?」

 

ギャスパーがまだ俺を警戒するような仕草をしながら聞いてきた。

 

「そうだ。後は俺が作った美味しいお菓子を食べながらゲームをするだけだ」

 

こうして俺はギャスパーと仲良くなることに成功した。ちなみにギャスパーの引きこもり脱却は失敗した。

 

 

 

 

次の休日、俺とイッセーは姫島朱乃に呼び出されて町の外れにある神社に向かっていた。

 

「そういや、ギャスパーの調子はどうだ?」

 

俺は初日以外はギャスパーの特訓に付き合っていない。最近は禍の団の作戦会議や各勢力の警備状況の調査など忙しい。トップ会談の後の準備は後回しになっている状態だ。コカビエルの時は思い付きだったけど、本格的にやろうと思うとしんどいな。かなりのハードスケジュールだ。

正直、楽しくなかったらやってれない。

 

「まだ完全とは言えないが調子は良いぜ」

 

「そうか」

 

ギャスパーに関する話を聞いているうちに目的地に到着した。

 

「いらっしゃい、イッセーくんに七瀬くん」

 

石段に下に巫女衣装の姫島朱乃がいた。そして石段を上がっていく。

 

「で、何の用?」

 

「七瀬くんについては私も知りません。この先で待っている方に直接聞いてください」

 

この先で待っている方?誰のことだ?まぁ、会えば分かるか。

神社の本殿が見えてきたな。ここは裏で特別な約定が執り行われていて悪魔でも入ることが出来るそうだ。俺には関係ない話だが。

 

「彼が赤龍帝と七瀬霧識くんですか?」

 

声がした方を見ると、豪華な白ローブに身を包み、頭部の上に金色の輪っかを漂わせる天使がいた。

 

「初めまして、私はミカエル。天使の長をしております」

 

ミカエルの方から会いに来てくれるとは嬉しいな。これで三大勢力のトップをコンプリートだ。

 

そして姫島朱乃先導のもと、俺達は神社の本殿へ移動した。

 

「実は赤龍帝にはコレを授けようと思いましてね。七瀬霧識くんはこっちですね」

 

ミカエルが指差す方向を見てみると、そこには二本の聖剣が宙に浮いていた。

 

「これはゲオルギウス……聖ジョージが使っていた龍殺しの聖剣『アスカロン』。そして、こっちは七瀬霧識くんが盗んでいったエクスカリバーを四本に分解したうちの一つ『夢幻の聖剣』です」

 

俺は後で一つくれることを条件にエクスカリバーを返した。その代わり、俺が聖剣の研究を手伝う約束をした。俺がすでに高い聖剣適正を証明しているからこそ出来た取り引きだ。

にしても夢幻か。出来れば擬態が良かったんだが。まぁ、擬態はイリナが所持しているだろうから仕方ない。

 

「でも、良いのか?予定では和平後のはすだろ?」

 

「はい。どうせ結果は決まっています。だから赤龍帝にアスカロンを渡すついでに七瀬霧識くんにも渡したんです」

 

何か適当だな。それで本当に良いのか、天使長。

 

「え~と、結果は決まっている、ってどういうことですか?」

 

事情を知らないイッセーが不思議そうに聞いてくる。

 

「今度の会談は形だけってことだ。どの勢力も最初から和平を結ぶつもりだからな」

 

俺が色々と根回した結果だな。まぁ、しなくても結果は同じだが。

 

「そ、そうなんですか?」

 

「そうです。まぁ、色々と不満は出るでしょうが、それを抑えるのが私達の仕事ですね」

 

教会の戦士にとっては悪魔との和平なんて仕事を奪われたも同然だからな。そりゃ、不満も出るだろう。そういや、俺の両親も教会の戦士らしいけど、どうするんだろうな。

 

「ところで何で俺に聖剣をくれるんですか?」

 

「それは私達からの悪魔サイドへのプレゼントです。それに貴方はこれからも色々な相手に狙われるでしょう。そんな時『歴代の中で最も宿主が弱い』と噂される貴方にとっての補助武器になると思いましてね」

 

更に言うと折角、赤龍帝が仲間になったのに殺されるのは困るという話もあるのだろう。

 

「それは各勢力の術式を施していますので、悪魔でもドラゴンの力を宿していれば触れます。それを貴方の持つブーステッド・ギアに同化させるのです」

 

そしてイッセーは俺達には聞こえないがドライグと話した後、籠手を出した。そして恐る恐るアスカロンに触れ、取り込んだ。すると甲の先端からアスカロンを生やした籠手になった。

 

「では、そろそろ時間なので私は帰ります」

 

え?もう帰るの?渡さないといけないものがあるのに。

 

「あ、あの俺、貴方に言いたいことがあるんです」

 

俺よりも先にイッセーがミカエルに話かけた。

 

「会談の席か、会談後に聞きましょう。必ず聞きます。ご安心を」

 

そしてミカエルが帰ろうとする。だが俺はその前に資料の束をミカエルに渡した。

 

「これは何ですか?」

 

「堕天使総督の最重要機密です」

 

「ふむ」

 

ミカエルは俺が渡した資料に目を通す。

 

「これは!フハハハハ!これって続きはありますか!?」

 

急に態度を変えてミカエルが俺に詰めよってきた。

 

「え~と、家にありますが……」

 

「だったら取って来てください!」

 

ミカエルの変貌ぶりが少し怖い。グリゴリの連中からもこんなミカエルは聞いてないんだが。

 

「良いのか?時間なんじゃ?」

 

「そうですね。今から他の人に仕事の代理を頼むので霧識くんはその間に続きを取って来てください!」

 

この天使長、堕天使の総督と同じことをしているんだが。そして目にも止まらない早さで部下に連絡するため、どこかに行った。

仕方ない。俺も急いで家に帰って資料の続きを取ってくるか。




ミカエルは変人化しています。さすがに天使が変態はマズイですからね。堕ちてしまいます。

では感想待ってます。

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