「『
落ち着いたところでリアス・グレモリーからギャスパーの事情を聞いている。
確か停止世界の邪眼は目で見たものの時間を止めることが出来る神器だったな。
「ええ。そしてギャスパーはそれを扱えず無意識に神器を発動してしまうの。だから今まで封じられていたのよ」
「ふむ、なるほど」
ギャスパーは神器を上手く扱えないのか。もしかしたら今度のトップ会談で使えるかもな。
「でも、よくそんな凄い奴が駒一つで済んだな。もしかして『
変異の駒。それは明らかに駒を複数使うであろう転生体が、一つで済んでしまったりする特異な駒。『
「ええ、そうよ。貴方は何でも知ってるわね」
「何でもは知らない。知っているのは面白いことと可愛いものだけだ」
俺にとっては、これだけ知っていれば充分だ。シャーロック・ホームズも必要のない知識だと言って太陽が自転していることも知らないらしいからな。
「でも、どうするんだ?封印を解いたところで本人に出る意志がなさそうだが」
俺がやり過ぎたせいか段ボールに入ってガタガタと震えている。
「だからイッセー達にギャスパーの教育を頼もうと思ったのよ」
「なるほど。それなら俺の出番だな」
普段から変人変態の相手をしている俺なら何とか出来るはずだ。
「ヒィィィッ!何か貞操の危機を感じますぅぅぅぅ!」
「ギャーくん、嫌がってると霧識先輩は余計にやる気になるよ」
「…………」
さすがにショックだ。俺が可愛い奴を相手に酷いことをするはずないのに。何か色々と実験はするかもしれないけど。吸血鬼の組織は排他的だから、あまり情報がないし。
「というわけで霧識くんは今回の件から退いてもらえるかしら?貴方に襲われてギャスパーが更に人間嫌いになったら困るわ」
「……いや、いくら可愛いと言っても男を押し倒したりしないぞ」
向こうから誘われた場合は分からないけど。ちなみに、いくら俺が色々なことを経験しているからって男性経験はない。
「大丈夫だよ。別に男が好きでも恥ずべきことはないよ。色々な好きの形があるんだから」
木場が俺の肩に手を置いて諭すように言ってきた。
「俺をそっちの道に引き入れようとするな、変態」
「お前も変態だろ」
イッセーが何か言っているが無視だ。都合の悪いことは聞かない。
「よし、真面目な話をしよう。俺ならギャスパーをどうにか出来るかもしれない」
「本当なの!?」
「ああ、神器マニアのアザゼルの影響で俺も神器についてはそこそこ詳しい」
アザゼルの神器の研究のレポートは大量でまだ全部を読んだわけではないが。まぁ、そのアザゼルも神器のことを全部知っているわけではない。
だがギャスパーの持つ停止世界の邪眼の情報なら少しは持っている。
「で、どんな方法があるの?」
「まずは神器の補助具で不足している部分を補うとか」
一応、俺の家にもあるけど、あれは試作品だからな。ミスった場合、どうなるか分からないから使いたくない。
「後は赤龍帝の血を飲むとか」
「血、嫌いですぅぅぅ!生臭いのダメェェェェ!レバーも嫌いですぅぅぅぅ!」
どんだけ問題を抱えているんだよ。ちょっと面倒くさくなってきたぞ。
「血は吸わなくて大丈夫なのか?」
「ハーフだから、そこまで血に餓えているわけではないわ。十日に一度、輸血用の血液を補給すれば問題ないの」
そうなのか。でも、血が苦手な吸血鬼なんていたんだな。赤龍帝の血を飲むのが一番確実なんだが。さて、どうするか。
「先輩の神器でどうにかならないんですか?」
「一時的ならどうにかなるが、根本的な解決は無理だ」
でも俺の神器の使い方によってはどうにかなるか。例えばギャスパーは外が怖いようだから、それ以上の恐怖を与えるとか。いや、余計に引きこもりになるだけだな。
「とりあえず私が戻ってくるまでの間、貴方達にギャスパーの教育を頼むわ。私と朱乃はトップ会談の会場打ち合わせをしてくるから。それと祐斗、お兄様が貴方の禁手について詳しく知りたいらしいから、ついてきてちょうだい」
聖魔剣か。俺も興味あるな。後で詳しい情報を聞くか。
「ところでギャスパーを本気で調教していいのか?」
「調教じゃなくて教育よ。後、本気って何をするつもりなの?」
そりゃ、口では言えないような下手したら十八禁になるようなことだな。多分、ギャスパーがレイナーレの時と同じで別人のようになると思うけど。
「きっとギャーくんには太陽の光が届かない暗い部屋の中に閉じ込められて一生、愛玩動物として生きていく人生が待ってるよ」
「ヒィィィッ!怖いですぅぅぅ!……あれ?愛玩動物であることを除けば今の生活と変わらないような……」
え?もしかして良いの?だったら今から準備するけど。
「じゃあ、そろそろ時間だから私達は行くわ」
そしてリアス・グレモリーと姫島朱乃と木場が出ていった。
「まずは私からやろう。女を知れば、その軟弱な性格も直るはすだ」
そう言うとゼノヴィアはいきなり脱ぎ出した。確かにギャスパーも遺伝子面で考えると優秀だが節操がなさすぎる。それじゃあ、ただのビッチだ。
「いきなり何で脱いでんだ、ゼノヴィア!?」
「何だ、イッセー。君も参加したいのか?初めてが三人というのはキツそうだが仕方ない」
「そういうことを言ってんじゃねぇ!」
この流れを止められるのは誰だ?アーシアは顔を赤くしてダウンしている。役に立たない。
他にいるのは小猫だけだ。う~ん、ここは俺も流れに乗るべきだな。
ん?俺も覚悟を決めて乱交パーティーを開始しようと思った瞬間にギャスパーが消えた。
「ギャスパーはどこに行ったんだ?」
「時間を止めて逃げたんだろ」
引きこもり体質のギャスパーが部屋から出ている。それだけゼノヴィアが怖かったのか。
「くっ!何故、逃げるんだ!?こうなったら吸血鬼狩りしかないな!」
何故、そうなるんだ?ギャスパーを殺すつもりか。
ゼノヴィアは物凄い速さで服を着てデュランダルを振るいながらギャスパーを探しに行った。とりあえず俺も行くか。
「ヒィィィッ!殺されるぅぅぅぅ!」
「まずはその軟弱な性格を矯正してやる!」
旧校舎近くで吸血鬼狩りをしているゼノヴィアを発見した。
「そういや、太陽の光は大丈夫なのか?」
今は夕方、まだ太陽は沈んでいない。吸血鬼なら活動できないはずなんだが。
「ギャーくんはデイウォーカーですから」
「なるほど」
まぁ、それでも太陽の光は苦手そうだが。
にしても、とことんレアな存在だな。他にも何か秘密があってもおかしくない。色々と実験して調べたいな。
「ところで、どうします?止めますか?」
「放っておいていいだろ。今のギャスパーには根性が必要だ」
さすがに死にそうになったら助けるが。
「じゃあ、私も参加してきます」
そう言うと小猫はニンニクを持ってゼノヴィアと一緒にギャスパーを追いかけ始めた。
「……ギャーくん、ニンニクを食べれば健康になれる」
「いやぁぁぁ!小猫ちゃんが苛めるぅぅぅぅ!ニンニク怖いぃぃぃぃ!」
うんうん、小猫が楽しそうで何よりだ。それにギャスパーは可愛いけど面倒くさい性格をしているからな。離れたところから愛でているのが一番だ。
「おーおー、やってるやってる」
ジャージ姿の匙が現れた。確か会長の命令で花壇の手入れを一週間前からしていたな。
そういや、匙の神器がギャスパーの特訓に使えそうだな。
「解禁された引きこもり眷属がいるって聞いたから、ちょっと見に来たぜ」
「ああ、それならゼノヴィアに襲われている男の娘がそうだ」
「男の娘だと……。あんな可愛い奴が男だと。世界は何て残酷なんだ」
イッセーと同じように落ち込む匙。何で、そんなリアクションをとるのか俺には理解できないな。
「お、何か楽しそうなことやってるな」
次は浴衣を着た中年オヤジが現れた。
「何しに来た、アザゼル」
俺がアザゼルの名前を出しても誰も反応しない。ギャスパーに関してはデュランダルで追いかけられているから、リアクションをとる余裕がないだけだと思うが。
「おいおい、いきなり堕天使の総督が現れたのに何でノーリアクションなんだよ?」
「俺がアザゼルは研究と女と酒にしか興味のない中年オヤジだから警戒しなくていい、と言っているからな」
「おいおい、せっかく驚かせようと思ったのに台無しじゃねぇか」
アザゼルがいきなりイッセー達に会いに来るのは予想できていたからな。ドッキリを仕掛けておいた。
「あの追いかけられている吸血鬼。停止世界の邪眼の持ち主だろ?……と説明したいところだが、どうせお前が説明しているんだろ?」
「当然」
「はぁー、これだから頭の良い奴はつまらないんだ」
そんなこと言われても俺には関係ない。
「で、何の用だ?」
「散歩がてらに聖魔剣を見に来たんだよ」
まぁ、最初から何となく予想はついていたが。にしても木場、大人気だな。
「木場ならサーゼクスのところだ」
「ちっ!サーゼクスの野郎に先を越されたか」
「だから帰れ」
「せっかく来たのに、それはないだろ?」
その後、アザゼルを脅して追い返した。そして匙の神器でギャスパーの力を適度に吸いつつトレーニングを続けた。
今回は特に書くことが思い付きませんでした。
では感想待ってます。