ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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密かに目標にしていたお気に入り登録千人を遂に達成しました。かなり嬉しいです。これからも色々な人に読んでもらえるように頑張ろうと思います。


第32話 ゲーム

「なるほど。話は分かったよ」

 

木場をファミレスに呼んで事情を説明したところだ。

 

「……て言うか、人と話してるのに何で食べてるのかな?」

 

木場の言う通りゼノヴィアとイリナは食べている。木場を待っている間に腹が減ったらしく追加注文をしていた。ちなみに俺と小猫も食べている。そして、テーブルの上には大食い大会でもしていたのか、というほど皿がある。

 

「気にするな」

 

「いや、気にするよ」

 

そりゃあ、こんな大事な話をファミレスで、しかも食事しながら話すことではないからな。気になるだろう。

 

「話も終わったようだし、僕は帰るよ」

 

そう言うと木場は立ち上がって帰ろうとする。だが、ゼノヴィアが食べながら引き止めた

 

「モグモグ。ちょっと待て」

 

「まだ何か用かな?」

 

木場が怒りに満ちた声で言う。まぁ、憎くてしょうがないエクスカリバーの使い手が、こんなふざけた態度を取ってるんだからムカつくのも当たり前だろう。

 

「共同戦線を張るんだ。君にも一つ情報を教えておこう、と思ってね」

 

「何?」

 

「『聖剣計画』の首謀者は異端の烙印を押されて、今は堕天使側の人間だ」

 

「堕天使側に?その者の名前は?」

 

興味を惹かれたように木場は聞く。

 

「バルパー・ガリレイ。『皆殺しの大司教』と呼ばれた男だ。もしかしたら今回の事件に関係しているかもしれない」

 

今回の事件に関係しているかもしれない、ねぇ。もし見付けたら木場に差し出すか。俺的にはコカビエルさえいれば充分だからな。

 

「だったら僕も一つ情報を提供するよ。先日、エクスカリバーを持った者が神父を殺しているのを見かけた。犯人の名はフリード・セルゼン」

 

フリード・セルゼン。前にレイナーレの部下をやっていた男か。

イリナとゼノヴィアはフリードの名前を聞いて目を細めた。

 

「元ヴァチカン法王直属のエクソシスト。モグモグ。十三歳でエクソシストになった天才ね」

 

え!?あいつ、そんなに凄い奴だったのか!ただの雑魚だと思ってた。

 

「だが、奴はあまりにやり過ぎた。モグモグ。同胞すらも手に掛けたのだからね。フリードには信仰心なんてものは最初からなかった。モグモグ。あったのはバケモノへの敵対意識と殺意。そして、異常なまでの戦闘執着。異端にかけられるのも時間の問題だった。モグモグ」

 

正直、フリードには興味なかったけど、今の説明で興味が出てきたな。次、会ったらちょっと遊んでみるか。

て言うか、今さらだが会話中ぐらいは食べるのをやめた方が良いと思うぞ。どんだけ腹が減ってんだよ。

 

「貴重な情報、感謝する。とりあえず共同戦線だ。私達の連絡先を渡しておく」

 

そう言うとゼノヴィアは一旦、食べるのをやめてメモ用紙を出した。それにペンで連絡先を書いて木場に渡した。

 

「何かあったらそこへ連絡してくれ」

 

「分かったよ。じゃあ、僕は帰るね」

 

そう言うと木場は今度こそ帰っていた。

 

「おい、待てよ!木場!」

 

イッセーが木場を心配するように追いかけて行く。まぁ、今の状態の木場を放置するのは危険だからな。そして匙もつられて着いていった。

て言うかお前ら、自分で頼んだものぐらいは払っていけよ。後で絶対、請求してやる。

 

「ところで小猫は追いかけないで良いのか?」

 

小猫を見てみるとケーキバイキングも食べたからか、もう食べ終わっていた。

 

「はい。デートの続きがありますから」

 

俺は延期にする予定だったんだけど。まぁ、いっか。

 

そして十分後、イリナとゼノヴィアも食べ終わった。

 

「にしても、よく食べたな。手持ちで足りるかな?」

 

俺は現金しか持ち歩かない主義だからカードを持っていない。また今回みたいな事態になった時のために作ろうかな。

 

「本当、ごめんね。昨日から何も食べてなくて」

 

だからって食べ過ぎだろ。

 

「ところで非常に言いづらいことなのだが……」

 

ゼノヴィアがらしくなくモゴモゴしている。何を言うつもりなんだ?

 

「気にしなくていいから言え」

 

「出来ればお金を貸してもらえないだろうか?」

 

ああ、そう言えばイリナのせいで金がないんだったな。て言うか、貸してもいいけど返せるのか?

 

「まぁ、いい。こっちの条件を飲めば金をやる。返さなくていい」

 

「本当!やっぱり持つべきは幼馴染みよね!」

 

幼馴染みの前に金持ちという言葉が隠されているような気がするな。

 

「条件を飲めばな」

 

「……脱ぐのか?」

 

「違う」

 

それは自分が脱ぎたいだけだろ。

 

「私達は神に仕える身だからHなことはさすがに……」

 

「それも違う」

 

こいつらは俺を何だと思っているんだ?イッセーとは違うんだから、そんなことは要求しない。

 

「『聖剣計画』について簡単に教えてくれればいい」

 

リアス・グレモリーとかに聞いてもいいけど、教会関係者の方が詳しいだろうからな。

 

「まぁ、それぐらいならいいか」

 

「『聖剣計画』は人工的にエクスカリバーと適応できる人間を作ろうという計画よ。でも、計画は失敗。誰一人としてエクスカリバーと適応できなかった。そして被験者は全員、処分されたわ」

 

なるほど。木場はそこから逃げ出してリアス・グレモリーに会い、悪魔に転生したのか。イッセーみたいに死んでいるところを転生させた可能性もあるが、そこは重要ではないな。

それが木場がエクスカリバーを憎む理由か。

 

「でも、その計画のおかげで聖剣使いの研究は飛躍的に伸びた。だからこそ、私やイリナみたいに聖剣と呼応できる使い手が誕生した」

 

計画の首謀者は異端の烙印を押して追放したのに、計画だけは利用したのか。何とも都合が良い話だな。

 

「これが『聖剣計画』の簡単な概要だ。他に聞きたいことはあるか?」

 

「いや、いい。とりあえず十万でいいか?」

 

「ああ、充分だ」

 

その後、ファミレスの会計を済ました。かなりギリギリだったが何とか足りた。

そしてATMで金を下ろしてゼノヴィアとイリナに金を渡し、小猫とデートの続きをして家に帰った。

 

 

 

 

 

現在は夕食を食べ終わり、レースゲームをしている。メンバーは俺とヴァーリ、オーフィスにレイナーレだ。ルフェイは俺の膝の上に座っている。黒歌は別室で俺が契約の時に撮った小猫のコスプレ写真を使って何かをしている。お義兄さんは漫画を読んでいる。最近、俺の影響で興味が出てきたらしい。美候はゲームの順番待ちだ。

 

「ヴァーリがゲームがするのは珍しいな」

 

「ただの暇潰しだ、美候」

 

嘘つけ。オーフィスと一緒に遊びたいだけだろ。ちなみに俺はヴァーリとオーフィスの間に割って入って座っている。

そしてゲームの決着が着いた。

 

「我の勝ち。ブイ」

 

まさかオーフィスに負けるとは。確かに前から強かったけど、ここまで強くなっていたとは。

ちなみに最下位はヴァーリ。やっぱり慣れていないからだな。

 

「ルフェイ、勝ったから代わって」

 

「オーフィス様はいつも座っているんですから良いじゃないですか。それに私は負けていません」

 

何故、俺の膝の上はこんなに人気があるんだろう?そんなに座り心地が良いのか?俺的には背中もたまには良いと思うが。

 

「負けたからヴァーリ、交代だぜぃ」

 

「くっ!この恨みはコカビエルの奴で晴らしてやる」

 

全く関係ないことでやられるとはコカビエルも可哀想だな。

 

「そう言えば霧識さんもコカビエルと戦う可能性があるんですよね?」

 

お義兄さんが漫画を読むのを一旦やめて聞いてきた。

 

「戦わない確率の方が高いけどな。それがどうした?」

 

「彼は貴方の神器の弱点を知っていますから、少し心配になりまして」

 

「ああ、そう言えばそうだな」

 

知っているからって簡単に対処できるようなことではないんだが。それでも念を入れておく必要があるな。俺は戦闘力が低いんだから。

 

「我が行く」

 

「オーフィス、それはさすがにやめてくれ」

 

オーフィスが出てきたら、どうなるか分からないが大変なことになるのは確かだ。

 

「そこで私の持っている支配の聖剣を貸そうと思いまして」

 

「支配の聖剣を?俺がエクスカリバーを持っていたらややこしい事になると思うが。さすがの俺でも言い訳できる自信はないぞ」

 

「いえ、念のためにです。もしもの時のために力を持っておくのは大事ですよ」

 

確かに持っておくだけ持っておいても損はないしな。それに何かに使えるかもしれないし。

 

「じゃあ、後で借りるか。今はゲームの途中だし」

 

「分かりました」

 

ゲームの続きをしようと思ったところで黒歌が戻ってきた。

 

「あれ?ゲームをしてるのかにゃ?だったら私も参加するにゃ」

 

「人数は四人までだから待ってろ」

 

人数も増えてきて順番待ちをさせるのも悪いし、もっと大人数で出来るゲームに変えた方が良いかな。

 

「じゃあ、ご主人様は私と大人のゲームをしましょう。そうすれば私達の代わりにルフェイさんと黒歌さんが入って人数はピッタリです」

 

相変わらず録な提案をしないな、レイナーレは。後、ピッタリじゃなくて一人余るぞ。

 

「断るがとりあえず何をするかだけ聞いておくか」

 

「全裸でツイスターゲームです」

 

それが大人のゲームなのかは分からないが、途中で本番をやることになるのは予想がつくな。

 

「面白そうだから私も参加するにゃ」

 

「俺はやるつもりがないから黒歌とレイナーレでやれ。それでも一人余るがマシになるだろ」

 

「酷いにゃ!それだったらやる意味がないにゃ!」

 

「そうですよ!ご主人様は私みたいな美少女とエロいことがやれて何の不満があるんですか!」

 

確かに間違ってないが自分で美少女とか言うな。

 

「て言うか、黒歌はスッキリしてきたんじゃないのか?エロいことはしなくていいだろ」

 

「それとこれとは話が別にゃ」

 

言っている意味が全く分からない。

 

「それに今日の霧識からは白音の匂いがするから、いつもよりも興奮するにゃ」

 

確かに今日は一日中、小猫といたけど。匂いとか怖いな。

 

「じゃあ、支配の聖剣の練習でもするか?」

 

「それで私を支配して欲望のままにムチャクチャにするんですね?」

 

レイナーレが顔を赤くしたクネクネしながら気持ち悪いことを言ってくる。

 

「縄で縛って目隠しした上で倉庫に放置する」

 

「放置プレイですか?まだ体験したことないしアリかもしれないですね」

 

本格的に迷いだすレイナーレ。

俺はそれを無視してレイナーレが使っていたコントローラーをルフェイに渡す。

 

「ちょ、いきなり無視ですか!?」

 

「美候もそろそろ始めるぞ」

 

「分かったぜぃ」

 

そして次のレースを開始した。

 

「でも放置プレイというのもアリですね」

 

何故か恍惚とした表情を浮かべるレイナーレ。

ここまでくると、レイナーレが次はどんな趣味に目覚めるのか楽しみになってきたな。




久し振りにヴァーリチーム登場です。まさかこんなに出ないとは思いませんでした。これからはもっと出番を増やしたいです。

では感想待ってます。

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