「かかってこい、ゼノヴィア」
「いくぞ!」
俺は擬態の聖剣をイリナと同じく形態を日本刀にして、ゼノヴィアの攻撃を受け止めた。
やっぱり一撃が重い。このまま普通に戦ったら負けるな。
「どうした?散々、大口を叩いておいてこの程度か?」
「それはどうかな?」
俺は後ろに下がって、擬態の聖剣を長くしてゼノヴィアに攻撃する。
「初めてでよくエクスカリバーを使えているようだが、所詮この程度。裸エプロンなどとふざけたことを言う奴に、苦しい訓練を受けてきた私が負けるはずがない!」
ゼノヴィアは俺の攻撃を軽々と受け止める。
小猫とイリナの会話が聞こえてきた。
「このままじゃあ、負けますね」
「エクスカリバーを使えたのにはビックリしたけど、やっぱりゼノヴィアには勝てないわね」
小猫が言っているのは、そういう意味じゃない。まぁ、それはこれから分かることだ。
「じゃあ、次はこれだ!」
今度は擬態の聖剣をゼノヴィアの姿にした。しかも裸で。イッセーが気絶していなかったら喜びそうだな。まぁ、イッセーがいたらしなかったが。
「なっ!貴様、何のつもりだ!?」
「て言うか、何で裸なの!?」
教会組の二人が面白いぐらい動揺している。やっぱり、この手のことに耐性がないんだな。グリゴリでは普通にあることだが。
「あぅ」
アーシアも顔を赤くして動揺しているな。
「細かいところは想像でカバーしてみた」
ちなみに俺には透視能力があるので想像ではなく、実際に見て細部まで再現している。
「……とんでもないセクハラをしますね」
小猫が俺を軽蔑するような目で見てきた。これは後でフォーローしないとな。
「聖剣をそんなイヤらしいことに使うなんて罰当たりな!早く元の姿に戻せ!」
「断る。自分でどうにかしろ」
「では、そうさせてもらおう!」
そう言うとゼノヴィアは顔をひきつらせながら破壊の聖剣で斬りかかってきた。
「これはマズイな」
俺は擬態の聖剣を元の姿に戻して、ゼノヴィアの攻撃を避ける。
ゼノヴィアが攻撃した後には、さっきより大きなクレーターが出来ていた。こんなの食らったら怪我じゃ済まないな。
「おい、誰が直すんだよ」
「知るか!」
なんて無責任な発言だ。
「じゃあ、これ以上クレーターを作られても困るし本気でいくぞ」
そう言うと今度は擬態の聖剣の巨大な日本刀にして斬りかかる。
「ふん。さっきの先輩と同じ手か。パワーでは私には勝てないぞ」
「やってみないと分からないだろ?」
「その程度も分からないのか?これが『最強夫婦』の息子とはな……」
ゼノヴィアがガッカリしたような顔で俺を見てくる。ここまで上手くいくとはな。
ゼノヴィアが俺の攻撃を受けようとするが、擬態の聖剣は破壊の聖剣をすり抜けた。
「なっ!」
「チェックメイトだ」
ゼノヴィアが驚いている隙に俺はエクスカリバーを首に突き立てる。
「ま、参りました」
ゼノヴィアが負けを認めると俺はエクスカリバーを下げた。
「では、ここで問題です。何でゼノヴィアは負けたでしょうか?」
「……もしかして神器所有者か?」
「30点。赤点回避だな。確かに俺は神器所有者だが、それが全てではない」
今度から点数を言っていくパターンをしていくのも面白いな。その場のノリで決めるから絶対ではないが。
「まず、俺は試合前に奇抜な発言をして精神的優位に立ち、相手を動揺させた」
しなくても勝てたけどな。まぁ、嫌がらせ的な意味が大半だから問題ない。
「じゃあ、裸エプロンと言うのも」
「それは本当だ。補習が終わった後にしてもらう」
「……そうか」
分かりやすいくらいガッカリしているな。だが、俺はその程度で手を緩めるほど甘くない。
「相手の実力を勝手に決め付けたのも敗因の一つだ。後、擬態が破壊にパワーで勝てるわけないだろ。何か裏があると考えろ」
まぁ、これに関しては直前の木場がいいカモフラージュになったがな。
「くっ!」
やっぱり人の悔しそうな顔って見てると気持ち良いな。
「ところで、霧識くんの神器って何なの?幻術系?」
「似ているが少し違う。俺の神器は『
「つまり、さっきのは擬態の聖剣を大きく誤認させたということか」
「正解だ、ゼノヴィア。報酬として傅かなくていいぞ」
て言うか、裸エプロンで傅く絵ってどうなんだ?しかも外で。微妙な絵面だな。
「でも、よく考えたら自分の姿を認識できなくして近付けば簡単に勝てましたよね?何でそんな回りくどい方法をしたんですか?」
「そんな当たり前のことを聞くなよ、アーシア」
俺の性格を考えたら、すぐに分かるはずだ。
「……一度、勝ちを確信した相手に絶望を見せるためですね」
「正解だ、小猫。よく俺のことが分かってるな」
まぁ、小猫には俺の手の内をある程度教えているからな。分からなかったらショックだ。
「……悪魔よりも悪魔みたいだな」
「お褒めに預かり光栄だ」
「別に褒めていない」
まぁ、確かに悪魔程度と比べている時点で誉め言葉ではないな。
「他に聞くことはあるか?」
「……私の裸も動揺させるための作戦か?」
「いや、違う。俺が負けを装うだけで充分ゼノヴィアを油断させられる。それに戦う前にもやっているのに、あの場面で相手を動揺させる必要はない。アレはただ思い付いたからやっただけだ」
本当は他にも色々思い付いているけどな。あれ以上やると本格的に小猫に嫌われる可能性があるから、やらなかったけど。さすがに洒落にならない。
「じゃあ、補習も終わったところで罰ゲームだな」
「だ、だが、どこにエプロンがあるのだ?」
「そんな簡単なことを聞くなよ。ここにあるだろ?」
そう言うと俺は擬態の聖剣をエプロンにする。にしても、本当に便利だよな。このまま貰いたいぐらいだ。
「おい、だから聖剣をそんなことに使うな!罰当たりだぞ!」
「知るか。負けたゼノヴィアが悪い。と言うわけで、脱げ」
「この場でか!?」
「当たり前だろ」
さすがにやり過ぎたか小猫が俺に殴りかかってきた。
「さすがにそれは駄目です」
「危なねぇな」
俺は小猫のパンチを避ける。ここで着替えさせるのはやめるか。
と、思っていたらゼノヴィアはすでに脱ぎ始めていた。
「ちょっとゼノヴィア!?何やってるの!?」
「気にするな、イリナ。負けた私が悪いのだ」
潔いな。俺の中でのゼノヴィアの評価を変えないといけないな。
「それに最初は嫌だったが、人前で脱ぐのは気持ち良いものだな。癖になりそうだ」
良い顔して何言ってんだ、この変態。
て言うか、俺がやり過ぎたせいで変な性癖に目覚めたわけじゃないよな?元から持っていたゼノヴィアの性質だよな?
「うぅ……」
イッセーが目覚めようとしている。すでにゼノヴィアは全裸だ。この状況を見せるわけにはいかない。て言うか、脱ぐの速いな。
「えい」
俺はイッセーに目潰しをした。ライザーの時とは違って眼球までは潰していない。
「目が!目がぁぁぁぁ!」
イッセーが馬鹿みたいにのたうち回っている。
「イッセーさん!大丈夫ですか!?」
アーシアがイッセーの治療に向かう。
「普通にイッセー先輩の目を見えなくするだけで良かったんじゃないですか?」
「そう言えば、そうだな」
俺も予想外の事態に動揺していたのかもな。まぁ、動揺していなくてもそんな普通の手は使わないが。
「着替え終わったぞ」
ゼノヴィアに言われて振り返って見ると、確かに裸エプロン姿になっていた。
カシャ!
とりあえず写真を撮る。
「ちょっと霧識くん!何で写真を撮ってるの!?」
「いや、最初から嫌がらせのために写真を撮るつもりだったんだ。ただ、あまり嫌がっているようには見えないが」
何故、イッセーにヴァーリ、レイナーレ、黒歌と俺の周りには変態が集まるんだ?俺は変態を集める特異体質なのか?
「ふむ。君のことは嫌いだったが、新しい快楽を教えてくれたことには感謝しないとな」
そんな感謝されたくねぇよ。俺は勝負に敗北して嫌々、裸エプロンになる苦悶の表情が見たかったのに。
「……どっちにしろ変態です」
だから人の心を読むな。
って言うか、気付いたらリアス・グレモリーと姫島朱乃がいなくなっている。この状況に呆れて帰ったのか?
「イッセーさん、見ては駄目です!」
「ちょ、アーシア!どうしたんだ!?後、おっぱいが当たってる!」
イッセーがゼノヴィアの裸エプロン姿を見ないようにアーシアは目を押さえている。治療は終わったのか。
「イリナも脱いでみたらどうだ?気持ち良いぞ」
「ちょっと霧識くん!責任とってよ!私、露出狂と一緒に任務することになるんだよ!」
俺が悪いのか?……多分、俺が悪いな。
「ごめんなさい」
「謝るぐらいならゼノヴィアを元に戻してよ!」
俺にも出来ないことはある。俺は変態の相手が苦手なんだ。
「それよりも先に撮った写真を消してください」
何で小猫の機嫌が悪いんだ?だが、ここは言うことを聞くしかないな。
俺は撮ったゼノヴィアの裸エプロン姿の写真を消す。
「SDカードの方も消してください」
くっ!そこまで読まれていたか。まぁ、消しても損はないから良いか。
「え~と、どういう状況なのかな?」
目覚めた木場が状況を理解できず困惑している。だが、俺にはそれを説明する余裕はない。イリナと小猫の対応で忙しい。露出狂は相手しない。
何故、こうなった?最初はゼノヴィアを露出狂にする予定はなかったのに。書いている内に指が勝手に動いてしまった。
では感想待ってます。