ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第28話 裸エプロン

場所を移動して旧校舎近くの球技大会練習場。そこで木場とゼノヴィア、そして何故かイッセーとイリナが対峙している。ゼノヴィアとイリナは白いローブを脱いで、黒いボンテージみたいな戦闘服姿になっている。

イッセーは話し合いに参加していなかったはずなんだが。まぁ、イリナの実力も見れるし、ちょうどいいか。

木場はすでに魔剣を数本出現させて戦闘体勢に入っている。

 

「悪魔やドラゴンの側にいれば力が集まるとは聞いていたけど、こんなに早く巡り合えるとはね」

 

「『魔剣創造(ソード・バース)』か。任意の魔剣を作ることが特異な神器。『聖剣計画』の被験者で処分を免れた者がいるかもしれないと聞いていたが、君か?」

 

木場は返事をせず、ただ殺気を向けている。

て言うか、聖剣計画?それについては聞いていないな。後でリアス・グレモリーあたりにでも聞くか。

 

「再会したら「愛しの」男の子が……って霧識くん!?勝手に台詞を捏造しないでよ!」

 

捏造じゃなくて真実だろ。俺が昔、どんだけイリナの惚気話を聞かされたと思っているんだ。まぁ、適当に聞き流していたから、あんまり覚えてないけど。

 

「まぁ、いいわ。気を取り直して」

 

そう言うとイリナは一呼吸おいて話を再開した。

 

「久し振りに帰ってきた故郷の地。懐かしの友達は悪魔になっていたり、性格が悪くなっていたりと過酷な運命」

 

おい、俺のことはいいだろ。

 

「でも、それを乗り越えることで真の信仰に近付けるはずよ!というわけで、イッセーくん!私がこのエクスカリバーで罪を裁いてあげるわ!アーメン!」

 

そう言うとイリナはエクスカリバーの切っ先をイッセーに向ける。にしても楽しそうだな。信仰に酔っているタイプの奴は苦手なんだが、これは見ていて面白い。

 

「何だか分からないけどブーステッド・ギア発動!」

 

Boost(ブースト)!』

 

イッセーはイリナのテンションについていけないが、イッセーはとりあえず神器を発動する。

 

「……『神滅具(ロンギヌス)

 

「『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』か?まさか、こんな極東の地で見ることになるとはな」

 

二人はイッセーの神器を見て驚いているようだ。まぁ、こんなに弱そうな奴が神滅具を持っているんだ。驚くのも無理はない。

 

「イッセーくんに気を取られていると、怪我では済まなくなるよ!」

 

木場がゼノヴィアに斬りかかるが受け止められる。

 

「じゃあ、こっちもいくよ」

 

イリナがイッセーに斬りかかる。イッセーは何とか避けながら倍加を続ける。

 

「……いやらしい顔つきだわ。何を考えているのかしら?」

 

間違いなくアレだな。

 

「イリナ、イッセーは触れただけで女の服を消し飛ばす技を持っているぞ」

 

「だから何で毎回、敵に情報を与えるんだよ!?」

 

その理由を毎回、説明するのもめんどくさいな。

 

「まさか悪魔になっていただけじゃなくて、心まで邪悪になっていたのね!ああ、主よ。この罪深く変態をお許しにならないでください!」

 

それには俺も激しく同感だ。だが、イッセーに反省の色はないようだ。

 

「うるせぇ!こうなったら何がなんでも脱がしてやる!いや、脱がさないと気が済まねぇ!」

 

何がお前をそんな変態にしたんだ?

 

「なるほど、性欲の塊か。悪魔らしいな」

 

そう言うゼノヴィアの目は軽蔑のものだ。

 

「ごめん」

 

「木場も毎回、謝るな!俺だけ悪いみたいじゃねぇか!」

 

自覚がないのか?お前だけが悪い。

 

「気を取り直していくよ!」

 

そう言うと木場は炎と氷の二つの魔剣を出してゼノヴィアに斬りかかる。

だが、ゼノヴィアはエクスカリバーの一振りで木場の魔剣を粉々にした。

 

「我が剣は破壊の権化。砕けぬのものはない」

 

ゼノヴィアはエクスカリバーを天にかざし、地面へ振り落とした。

すると地面にはクレーターが出来ていた。これが破壊の聖剣の力か。

 

「真のエクスカリバーではなくてもこの破壊力。七本全部消滅させるのは修羅の道か」

 

まぁ、七本全部を破壊するのは不可能だろうな。七本の内の一本はお義兄さんが持っているんだから。

て言うか、このクレーター、誰が直すんだ?俺じゃないのは確かだが。

 

「じゃあ、私もそろそろ行くわよ」

 

そう言うとイリナはイッセーに斬りかかる。だが、イリナの服を脱がすことに執念をかけたイッセーの動きはいつもより鋭い。イリナも中々当てられずに苦労している。

 

「思ったよりもやるわね」

 

「これでも毎日、ご主人様に鍛えられているからな」

 

Explosion(エクスプロージョン)!』

 

ここでイッセーは倍加が終了し、反撃に出る。

 

「剥ぎ取りごめん!」

 

「卑猥な!」

 

変質者から逃げるような動きをするイリナ。だが、それを変質者みたいな動きで追いかけるイッセーの動きは段々鋭くなっていく。

 

「な!私の動きに追い付いたの!」

 

イッセーがついにイリナを追い詰めた。そして、イヤらしい手付きでイリナに飛び掛かる。イリナはそれを咄嗟に屈んで避ける。勢いの止まらないイッセーは、後ろにいた小猫とアーシアに突っ込む。

 

「何、やろうとしてんだ、変態!」

 

だが、俺がギリギリのところでイッセーを蹴り飛ばすことに成功した。

 

「いてぇ!何しやがるんだ!」

 

「黙れ!小猫に変なことをしたら死ぬよりもツラい目に合わせるぞ!」

 

「……過保護」

 

これは過保護じゃない。可愛い女の子に酷いことをする奴は万死に値する。

 

「え~と、私は?」

 

「アーシアはイッセーに脱がされても嫌じゃないだろ?と言うか、嬉しいだろ?」

 

そう言われたアーシアは顔を赤くした。相変わらず純情のようだ。

 

「……霧識先輩は自然にセクハラしますね」

 

この程度でセクハラになるのか?

そうこうしている内に木場とゼノヴィアの対決も決着が着きそうだ。

 

「その聖剣と僕の魔剣、どちらの破壊力が上か勝負だ!」

 

そう言う木場の手には巨大な魔剣が握られていた。まさかパワー勝負するつもりか?無理だろ。

 

「残念だ。選択を間違えたな」

 

ガギィィィィン!

 

二つの剣がぶつかり、木場の魔剣が折れた。木場の特性はスピードと多彩な魔剣。パワー勝負を選んだ時点で負けは決定した。

そしてゼノヴィアは木場の腹部に柄頭を深く抉り込ませ気絶した。

 

「次は貴様だ」

 

ゼノヴィアはすでに木場に興味を無くしたらしく、俺にエクスカリバーを向けてくる。

 

「じゃあ、私達も終わりにしよっか?このまま戦っても結果は見えているし」

 

「い、嫌だ!俺はまだお前を裸にしていない!」

 

こいつ、俺以上にシリアスな雰囲気を壊してくるな。

 

「おい、イリナ。俺も協力するから先にイッセーを滅殺するぞ」

 

「幼馴染み同士、久し振りの共同作業って感じで良いわね」

 

こいつ、本当にイッセーが好きなのか?迷いなく殺しそうな感じだが。

 

「ちょ、ちょっと待――」

 

「えい」

 

イッセーが言い切る前に小猫が後ろから攻撃して気絶させた。

 

「ナイスだ!」

 

「駅前に新しくできたケーキ屋のバイキングを希望します」

 

「了解」

 

最近、小猫の財布になっているような気がするな。まぁ、金には困ってないから良いか。

 

「話し合いは済んだか?では私と勝負だ」

 

「う~ん、そうだな……。断る」

 

「……は?」

 

ゼノヴィアが豆鉄砲を食らったようかマヌケな顔をしている。

 

「どういうつもりだ!?」

 

「そんなこと言われてもな。俺、勝負するって言った記憶ないし。それに俺が勝っても何の利益もないから、やる気も出ない」

 

「……何が言いたい?」

 

よし、俺の予定通りだな。

 

「そうだな」

 

俺はわざと溜めてから言う。

 

「『俺が勝ったら』『裸エプロンで傅け』」

 

俺が尊敬してやまない過負荷の真似をして括弧をつけて喋る。

 

「先輩、それは負けフラグです」

 

「『ば、馬鹿な!』『この俺が!』」

 

「それはもう負けてます」

 

まぁ、これ以上括弧をつけると本当に負けるような気がするからやめるか。

 

「は、裸エプロンとか本気で言っているのか?」

 

ゼノヴィアが恥ずかしそうにしながら言ってきた。

 

「当たり前だ。それともゼノヴィアは裸エプロンになる覚悟もなくて、エクスカリバーを奪還できると思っているのか?イリナにはあるぞ」

 

「いや、私もないよ。て言うか、エクスカリバーを奪還するのに裸エプロンになる覚悟はいらないでしょ」

 

イリナが呆れたような顔で正論を言ってくるが無視だ。

 

「……イリナの幼馴染みにはイヤらしい男しかいないのか?」

 

「俺をイッセーと同じにするな。イッセーの目的はエロスだが、俺の目的は嫌がらせだ。それにゼノヴィアが勝てば何の問題もないだろ?」

 

「確かに、そうだな。私が勝てば問題ない」

 

こいつ、チョロいな。上手くやれば、それ以上のことも出来そうだ。

 

「霧識先輩、それは駄目です」

 

相変わらず小猫は人の心を読むのが上手いな。

 

「まぁ、いい。これで交渉成立」

 

そう言うと俺はイリナからあらかじめ盗っておいた『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』を槍にしたり斧にしたりしながら振り回す。使いやすいし、俺の神器と相性が良さそうだ。

 

「ちょ、え!?いつの間に!」

 

イリナが気付かれない内にエクスカリバーを盗られていたことに驚いているようだ。

 

「さぁ、いつでしょう?」

 

答えは小猫がイッセーを気絶させた時に神器を発動して盗った。

 

「貴様、聖剣が使えるのか?」

 

ゼノヴィアが俺が聖剣を使えることに驚いている。

 

「使えてるんだから使えるんだろ。さっき言っていた『最強夫婦』とやらの息子だからかもな」

 

だったら、コレに関してだけは感謝しないとな。

 

「さぁ、補習授業の始まりだ」




予定の主人公がやらかすところまでいけなかった。まぁ、すでに充分やらかしてますけど。

では感想待ってます。

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