ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第25話 ドッジボール

昼飯を食べ終わって部活対抗戦のドッジボールをしている。初戦の相手は野球部だ。

 

「狙え!兵藤を狙うんだ!」

 

「いや、殺せ!あいつだけ良い思いをしやがって!」

 

野球部のメンバーが目を血走らせてイッセーを殺す勢いで狙っている。ギャラリーからのイッセーに対するブーイングも凄い。

 

「うおおおおおっ!てめぇら、ふざけんなぁぁぁ!」

 

イッセーは涙ながらに叫びながら野球部の豪速球を避けている。

イッセーが狙われている理由は簡単。リアス・グレモリーと姫島朱乃は駒王学園の二大お姉さま、アーシアは癒し系美少女として人気、小猫は学園のマスコット的な存在。そして木場に当てたら女子に恨まれる。つまり、イッセーしか狙う相手がいない。

ちなみに俺は外野にいるので関係ない。

 

「あいつ、毎晩、グレモリー先輩とアーシアさんと裸で一緒に寝ているらしいぞ!」

 

「何で知ってんだ!?」

 

俺が男子生徒全員に情報を流したからだな。証拠つきで。

 

「ちなみに姫島先輩の裸も見たことあるらしいぞ」

 

俺は更に火に油を注ぐ。あれ?姫島朱乃の裸は見たことあるんだっけ?まぁ、どっちでもいいか。

 

「うおおおおおっ!絶対に殺す!」

 

こいつら単純で面白いな。スポーツに青春をかけたせいで女子との触れ合いがなくて飢えているのだろうか?

 

「グホッ!」

 

あ、イッセーの大事なところにボールが当たった。コレは痛いな。

そして小猫がイッセーを引きずって人気のないところに連れていき、アーシアにイッセーの大事なところの治療をさせる。

 

「ククッ」

 

ちなみに俺はこの間、笑いを堪えるのが大変だった。

その後、普通に野球部に勝利した。

 

 

 

 

 

そしてイッセー達も復活して決勝戦、相手は生徒会メンバーだ。

 

「って七瀬が何で外野にいるんだよ!?これじゃあ、リベンジできねぇじゃねぇか!」

 

試合が開始すると、いきなり匙が俺に突っ掛かってきた。匙も復活していたのか。何か立ち方が変だが。尻叩き千回のダメージが残っているんだな。

 

「おい、小猫。匙の尻にボールを当てたら後でケーキを奢ってやる」

 

俺は匙を無視してボールを持っている小猫に指示を出す。

 

「分かりました」

 

そして小猫が匙の尻を目掛けて全力でボールを投げた。小猫を動かす時はお菓子を与えればいいから簡単だ。

 

「甘い」

 

小猫の投げたボールを会長の『戦車』であり、さっきのテニスの試合で審判をしていた由良が受け止めた。

 

「霧識くんがまず匙のお尻を狙うことはあらかじめ予想していました」

 

さすが会長。俺の動きを読まれていたか。こうなったら、次の手を使うしかない。

由良がボールを投げるが小猫にキャッチされる。

 

「おい、小猫。こっちによこせ」

 

「了解です」

 

小猫が山なりにボールを投げてきたので、それを俺はキャッチした。

 

「会長、俺の次の手が読めますか?」

 

「私を動揺させようという作戦ですか?」

 

「それはどうですかね」

 

俺は全力でボールを投げた。イッセーのあそこを狙って。

 

「グホッ!何でまた……」

 

苦しそうに崩れ落ちるイッセー。これが原因でイッセーが不能になっても俺は責任をとらない。

 

「な、何を考えているんですか……?」

 

「何をするんですか!?せっかくイッセーさんが回復したところでしたのに!」

 

生徒会メンバー含めオカルト研究部のメンバーも俺の今の訳の分からない行動に動揺している。

 

「よし、今だ。小――」

 

「これでケーキ、ゲットです」

 

俺が指示を出す前に小猫が匙の尻を目掛けてボールを投げた。どんだけ食い意地が張ってんだよ。

 

「うおっ!めちゃめちゃ痛い。死にそうだ……」

 

イッセーに続いて匙も崩れ落ちた。

 

「元ちゃん、大丈夫!?」

 

「先輩、大丈夫ですか!?」

 

「イッセー、しっかりしなさい!」

 

「イッセーさん、また私が治してあげます!」

 

匙の元には花戒と仁村、イッセーの元にはリアス・グレモリーとアーシアが向かった。

俺は匙の尻から跳ねて外野に来たボールを手に取る。

 

「隙あり!」

 

俺は花戒に向かってスピンボールを投げる。そして回転の掛かったボールはそのまま仁村にも当たる。

 

「よし、二人抜き」

 

「……もしかして私達を動揺させるためだけに味方を犠牲にしたんですか?」

 

「何かを得るためには何かを犠牲にしないといけないんですよ」

 

その後、オカルト研究部が有利に試合を進め生徒会に勝利した。

 

 

 

 

パン!

 

球技大会が終わったところで木場がリアス・グレモリーに叩かれた。

 

「ん?どうかしたのか?」

 

「今日の祐斗先輩はやる気がなくて、おかしかったですからね」

 

「お菓子買った?まぁ、確かに調子の悪い時は糖分を取るのが一番だからな。でも、その程度で怒る必要ないだろ」

 

でも、糖分の取りすぎも体に悪いからな。木場の健康を気遣って怒ったのだろうか?まぁ、戯言だけど。

 

「……ふざけているんですか?」

 

小猫が呆れたように言ってきた。

 

「当然」

 

「ハァー、もういいです。霧識先輩がふざけるのはいつものことですからね」

 

失礼だな。俺はいつも真面目にふざけているのに。

 

「まぁ、話を戻すとして木場の調子が悪かったのか?」

 

「先輩は観察力が凄いのに気付かなかったんですか?」

 

「野郎なんて見ても面白くないからな」

 

俺は面白い物と可愛い物以外は知らないと言っても過言じゃない。

ここで木場の憎しみに満ちた声が聞こえてきた。

 

「僕は復讐のために生きている。聖剣エクスカリバー。それを破壊するのが僕の戦う意味だ」

 

エクスカリバー?お義兄さんが持っていた剣だな。そういや、前にイッセーの家で聖剣の写真を見た時も反応していたな。アレに何らかの恨みがあるのか?

 

 

 

 

球技大会が終わった日の夜、今日は誰も来なくて暇なのでレイナーレと二人でテレビを見ている。

 

ピーンポーン

 

「誰か来ましたね。私が出ましょうか」

 

「いや、いい。俺が出る」

 

レイナーレは死んだことになっているから基本的に外と関わりを持たせないようにしている。

インターホンのテレビモニターを見てみると、そこには装飾の凝った黒いローブを身に包んだ男が立っていた。

 

「コカビエル!?」

 

俺の家の前に堕天使幹部のコカビエルがいた。翼は出していないが、こんな怪しい外見の奴がいたら近所の人が警察に通報してもおかしくないぞ。

 

「レイナーレ、コカビエルが来たからお前は自分の部屋に移動しろ」

 

「コカビエル様がですか?何の用事で来たんですか?」

 

「さぁ?俺もコカビエルが来るなんて話は聞いてないから知らん」

 

「そうですか。じゃあ、私は移動してテレビの続きを見てきます」

 

そう言うとレイナーレは二階に上がっていた。二階?レイナーレの部屋は一階のはずだが。もしかして俺の部屋に行くつもりか?まぁ、いいか。

とりあえず俺は玄関に移動して扉を開ける。

 

「よぉ、久し振りだな」

 

「久し振りだな、じゃねぇよ。いきなり何の用だ?」

 

「ちょっと、この町で仕事があってな」

 

仕事?そんな話は聞いてないが。

 

「まぁ、いい。とりあえず上がれ」

 

俺はコカビエルをリビングに上げてお茶を出した。

 

「何だ、酒はないのか?」

 

「俺は未成年だぞ。酒なんて持ってるわけないだろ」

 

まぁ、別に飲まないわけじゃないが。アザゼルや他の幹部達と一緒に飲むこともある。

 

「て言うか、何で律儀に玄関から入ってきたんだ?普通に魔方陣で直接来たら良いだろ?」

 

「人間界では玄関から入るのが礼儀だろ」

 

さすがグリゴリで二番目の常識人。真面目すぎる。他の連中にも見習ってほしいな。ちなみに一番は勿論シェムハザさんだ。バラキエルは普段は真面目だけどドMの変態だからな。

 

「で、何の用だ?」

 

「ああ、お前に俺の仕事を協力してほしくてな」

 

「協力?俺がコカビエルの仕事を?何をするんだ?」

 

コカビエルは俺がグリゴリに入ってきたから面倒事が増えたと言って、俺のことを嫌っていたはずだが。

 

「ちょっと戦争を起こそうと思ってな」

 

「それ、絶対に仕事じゃないだろ。平和主義のアザゼルがそんなことを許すはずないからな」

 

どう考えても戦争狂のコカビエルの独断行動だろ。て言うか、戦争狂が二番目の常識人ってどんな組織だよ、グリゴリ。

 

「知るか。俺は今の退屈な世界にウンザリしてるんだよ」

 

「まぁ、いい。とりあえず話を聞いてから決める」

 

面白そうな話なら乗ればいいし、面白くなければアザゼルに突き出すだけだ。

 

「ミカエルのところからエクスカリバーを盗み出してな」

 

「エクスカリバー?」

 

何ともピンポイントな話題だな。木場と関係ある話か?

 

「どうかしたか?それともエクスカリバーの説明が必要か?」

 

「いや、必要ない。ちょっと気になることがあっただけだ。コカビエルには関係ない」

 

「そうか。じゃあ、話を続けるぞ。エクスカリバーを奪えばミカエルの奴が戦争を仕掛けてくると思ったんだが、録な動きを見せない。一応、もう少し様子を見てみるが」

 

ああ、なるほど。大体の話の流れは分かった。

て言うか、エクスカリバーが重要な物だということは分かっているが壊れた聖剣だぞ。そんな物のために戦争なんて起こすとは思えないが。

 

「で、次は魔王の妹に手を出そう、ってわけか?」

 

この町に来る理由なんて他にないからな。

 

「そうだ。魔王の妹二人と関係のあるお前が協力してくれれば楽に出来る」

 

「いやいや、その二人と仲の良い俺が協力するわけないだろ」

 

「お前は情で動くような甘い男じゃないだろ。いつでも自分が楽しむためだけに動いている」

 

確かに俺は甘くはないが情で動く男だ。可愛い女の子限定だが。

 

「て言うか、仮に俺が協力したとしてコカビエルに得があるとは思えない。普通に力ずくで出来るだろ。むしろ、俺がいたら状況を掻き回して余計にめんどくさくなるぞ」

 

「それは敵にしても同じだ。と言うより、お前に俺の知らないところで動かれる方が厄介だ」

 

なるほど。そういう考え方もあるのか。

 

「まぁ、協力するつもりはない」

 

「意外だな」

 

「何がだ?」

 

「お前は究極の快楽主義者だ。戦争なんて面白そうな出来事なら喜んで協力してくれると思っていたが」

 

確かに戦争には興味があるが次、したら三大勢力は滅びるらしいからな。堕天使以外には俺の知らない秘密とかも色々とありそうだ。遊び尽くす前に滅びられたら困る。

 

「協力はしないが安心しろ。今回の件は傍観するつもりだ」

 

「もし断られた場合、どうやってお前を傍観させるか考えていたが、その手間が省けたな。だが、何故だ?」

 

「そう、不審がるな。別にやりたいことがあるだけだ」

 

木場とエクスカリバーの関係も気になる。多分アザゼルも動くだろ。それに天界側も録な動きを見せない、って言っても全く動きを見せないわけじゃない。場合によっては掻き回すよりも傍観していた方が楽しめそうだ。

 

「そうか。まぁ、これで最低限の目的は果たした。俺は帰る」

 

そう言うとコカビエルは立ち上がった。

 

「じゃあ、俺は外側から見物させてもらうわ」

 

今さらだけど何で俺が真面目な話をしてんだ?恥ずかしいんだが。




球技大会も終わって、やっと本格的にエクスカリバー編が開始します。
にしてもエクスカリバー編は難しいです。敵であるコカビエルとも主人公は仲間ですから。立場が複雑なんですよね。

では感想待ってます。

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