ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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今回の話はバカテスを読んでいて思い付いた話です。
元ネタは9.5巻の「僕と子供と召喚獣」で、それをアザゼルの発明品で再現します。バカテスを読んでいなくても問題ありません。


子供シミュレーター1

「よぉ、子供に興味ないか?」

 

とある休日の朝、学校もなく仕事まで時間もあるから家のリビングで皆と一緒にゲーム(四人対戦で今のメンバーは俺にオーフィス、レイヴェル、イリナだ)をして暇を潰していたら、いきなりアザゼルが現れてよく分からない質問をしてきた。

楽しそうな表情だな。こういう時のアザゼルは絶対に厄介事を持ち込んでくる。

ヴァーリがいたらそんなことは気にせず一瞬で食い付きそうな話題だが、運が良いことに今日は……というより今日もいない。

 

「俺に会いたいって言う可愛い女の子でもいたのか?」

 

何やら一部から「まさか子供にまで手を出すのか?」と言った疑いの視線を感じるが気のせいだろう。アザゼルはいつものことで慣れているからか特に気にした様子もなく否定する。

 

「違う。仮にいたとしても俺がお前に紹介する理由はない」

「だったら興味はない。帰れ」

 

「そう言うな。お前もお前の女達にとっても良い話だと思うぞ」

 

「……どういう意味だ?」

 

俺はアザゼルの言葉をゲームに負けそうなので画面を見ながら手を止めずに聞き返す。何かいつもと雰囲気が違うな。

顔を見ていないからよく分からないが、悪ふざけと言った感じがしない。それでも何か企んでいるような雰囲気はあるけど。

とりあえず話を聞いてから、どう対応するか決めるか。

 

「面白いものを開発したから、お前らにも実験――被験体になってもらおうと思ってな」

 

実験台って言いかけなかったか?まぁ、言い直したところで特に意味はないが。

だが一つだけ気になるところがある。

 

「……も?」

 

「ああ。さっきイッセー達にも頼んで協力してもらうことになっている」

 

イッセー達も呼ぶのか。

そうなると結構な人数だな。まぁ、実験台は多い方がデータが集まりやすいから当たり前か。

それに面倒なことになった時のために押し付けられる相手がいるのは俺にとっても好都合だ。

 

「あっ!」

 

しまった。余計なことを考えていたせいでレイヴェルに出し抜かれてしまった。

レイヴェルの方を見ると嬉しさで表情が崩れないように我慢しながらも、挑発的に勝者の余裕とでも言うべき視線を俺に向けてきていた。

何、これ?軽く理性が飛びそうになるほど可愛いんだが。レイヴェルが勝ったということは、明日はレイヴェルとのデートか。

というか、いつの間にこんなに強くなったんだ?今までも別に弱いと言う訳ではないが、ここまで強くはなかった。それだけ努力したんだな。明日のデートは目一杯に誉めてやろう。

俺がレイヴェルに更に惚れている間にも、アザゼルは自信げに説明を続けていく。

 

「俺が今回、開発したのは子供シミュレーター。細かい理屈は説明すると長くなるので省略するが、簡単に言うと二人分の遺伝子を採取してコンピューターに照合することで、そいつらの子供が予想できるって代物だ!」

 

それは確かに面白いな。占いみたいなものだが需要もあるだろう。俺も興味がある。

だが、だからこそ怪しい!アザゼルの趣味には合わないし、何より厨二病要素がない上に周りに迷惑をかけない発明をする訳がない!

最近は忙しくてアザゼルの動向なんか気にしてなかったが何があったんだ?

 

「それって将来、私と霧識さんの間にどんな子供が生まれるか分かるってことですか?」

 

「ああ。と言っても、あくまでも予想だから絶対じゃないけどな」

 

ルフェイの質問にアザゼルがまるで予想していたような態度で答える。

 

「霧識さんとの子供ですか……。未来のことが分かるのは面白くないですけど、確定じゃないと言うなら見てみたいですね」

 

「……ダ、ダーリンとの子供……」

 

ルフェイが興味深そうに頷き、イリナは赤らめた頬を手で隠している。レイヴェルもイリナと同じような反応で、小猫は無表情ながらも興味を示しているのが分かる。

 

「ご主人様との愛の結晶……。出来れば男の子が良いですね。で、ご主人様似の子供に無茶苦茶に犯されると考えると、何やら禁忌に反している感じが興奮します。更にご主人様も参加して三人で……」

 

レイナーレが物騒なことを呟いている。

お前との子供まで作る予定はないんだが。しかも生む前から近親相姦を視野に入れているのかよ……。さすがの俺でも引くんだが。

いや、近親相姦に関しては俺にツッコむ権利はないか。

 

「我にも子供できる?」

 

膝の上に座っているオーフィスが首を動かして俺の顔を見ながら質問してきた。

う~ん……、どうだろうか?オーフィスは龍神だからな。アザゼルの作ったシステムの完成度が分からないことには何とも言えない。

視線だけでアザゼルに質問するが首を横に振られた。どうやらアザゼルも分からないらしい。役に立たない奴だな。

オーフィスにどう答えたものか、と迷っていると小猫に後ろから抱き付いている黒歌が興味なさそうに言葉を挟んできた。

 

「そのシステムって何の意味があるのにゃ?子供が見たいなら作れば良いだけにゃ」

 

「確かにその通りなんだが、それが出来ない奴もいるんだよ。世間体的にマズかったりしてな」

 

世間体的にマズい子作り?もしかしてサーゼクスにでも頼まれたか?

もしサーゼクスがリアス・グレモリーと子作りをしたら世間体以前にグレイフィアさんに殺されるぞ。まぁ、さすがのサーゼクスも妹とエロいことをヤりたい訳ではないと思うが。

……って、何でサーゼクスだと決め付けているんだ?何の証拠もないのに。でも何故かそんな気がしてならない。

 

「後、このシステムには実際に子作りをする訳じゃないから同性でも子供が出来るという利点がある」

 

「つまりどういうことにゃ?」

 

さっきまでと打って変わってキラキラと期待する目で続きを促す黒歌。小猫はそんな姉を鬱陶しそうに見ている。

小猫には悪いが、今回だけは黒歌の味方をしたくなる。女の子同士での子供とか興奮するからな。

男同士は絶対に嫌だが。

 

「つまり――」

 

「黒歌と小猫でも子供のシミュレーションが出来るってことだな」

 

アザゼルが楽しそうに説明しようとしたのを遮って俺が続きを言う。何かアザゼルが睨んでいるが無視だ。そんなことを気にしている暇はない。

何故なら小猫がどこか恨みがしそうに目だけで「余計なことを言わないでください」と言ってきているからだ。後でフォローしておかないと。具体的には頭とかその他にも色々と撫でてやろう。

 

「ねぇ、白音。お姉ちゃんと――グハッ!」

 

「お断りします」

 

黒歌が下手に出ながら何か言おうとしたが、その前に小猫の肘打ちで撃退される。それでも諦めず粘る黒歌。

頑張れ、今日だけは応援してるぞ。もちろん俺も小猫と子供は作るが。

 

「で、どうする?」

 

アザゼルが一通りメンバーを見渡してから俺に聞いてきた。分かりきったことを聞くなよ。俺の返事は決まっている。

 

「当然、行く。ただし他のメンバーに何かあったらシステムを即座に破壊するからな」

 

「いや、破壊はやめてくれ。俺がどれだけ苦労して作ったと思っているんだ?」

 

アザゼルが懇願してくるが、そんなことは俺には関係ない。

……ん?何か忘れているような。

……あ、そうだ。思い出した。

 

「今日、グリゴリで実験があるんじゃなかったのか?」

 

「あ、ああ……それか。それならトラブルで中止だ」

 

またトラブルか。多すぎるだろ。本当に大丈夫なのか?色々と心配なんだが。

 

 

 

 

 

 

服を着替えたりして準備が終わると、すぐに魔方陣でとある山の奥に建てられたアザゼルの研究所にやって来た。本当、グリゴリに施設ってほとんどが場所もデザインも怪しいな。別に駄目だと言う訳ではないが、もうちょっとマトモなデザインの建物があってもいいだろ。カモフラージュは大事だぞ。

 

「私達以外はいないんですか?」

 

ルフェイが周りを見渡しながらアザゼルに質問する。ルフェイの言う通りこの研究所には人気が感じられない。

何も知らないルフェイからしたら不思議なんだろうが、これは当たり前の話だ。一瞬、困った表情をしたアザゼルの代わりに俺が答える。

 

「ここはアザゼルが趣味のため他の幹部達――特にシェムハザさんに秘密に作った研究所だ。だからスタッフとかもいない」

 

たまにアザゼルに心酔していて口の固い部下を集めて手伝わせたりはしているがな。今のところシェムハザさんにバレている様子はない。

 

「何で霧識がここのことを知っているんだ!?」

 

「俺は面白いことなら何でも知っている。具体的に言うと前に怪しい動きをしている奴がいたから神器を使って尾行してみた」

 

「……もっと警戒するべきだったか。いや、霧識の神器の前にはどんな警戒も無意味だな」

 

アザゼルが諦めたらしく肩を落とす。

そうそう。気にするな。どうせ今回、紹介してしまっているんだから、どっちにしろ一緒だ。

 

「あれ、霧識達も来たのか」

 

研究所を進んでいると途中でイッセーに会った。何故かイッセーがボロボロなんだが。何があった?まぁ、イッセーなんかどうでもいいか。

他にもリアス・グレモリーを始めとしたグレモリー眷属が揃っている。

俺達より先に来ていたのか。

 

「お前達、こんなところで何しているんだ?先に行っておくように言っただろ」

 

「トラップのせいで中々先に進めないんですよ!」

 

「あ、解除するの忘れてた。悪い」

 

全く反省する様子もなく適当に謝るアザゼル。

ここには悪の研究所らしく大量の厨二病心を擽るトラップが仕掛けられている。他のメンバーに怪我がないところを見るとイッセーが全部食らったのか。相変わらず運がない奴だな。

そしてグレモリー眷属も一緒になって進むことになった。

 

「ここだ」

 

アザゼルに案内されて研究所の奥の方にある扉の前に辿り着いた。ここに子供シミュレーターとやらがあるのか。

 

 

 




今回は子供は出なかったですが、次回はちゃんと出ます。

もし感想がもらえたら更新が早くなるかもしれません。

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