ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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久し振りの投稿です。
番外編の方も二月中に投稿しようと思っていましたが、もうちょっと時間がかかりそうです。
というか、内容が思い付かない。一旦、後回しにして別の話を書こうかな。


新生禍の団3

「……リゼヴィム、いつまでもそんな下らないことをやっていないで我らが真の魔王に返り咲くための作戦を考えろ」

 

俺が会議を始めようとした瞬間、シャルバがリゼヴィムに話かけた。

おい、余計なことをするな。リゼヴィムは会議に参加してもどうせ録な意見は出さないんだから。このままじゃ話が脱線するのが目に見えている。

後で結果させ報告すればちゃんと仕事してくれるんだから放置しておくのが一番だ。

 

「あれ、シャルバっち?久し振りじゃん!何でここにいるの?」

 

リゼヴィムがシャルバに気付くと一旦、手を止めて不思議そうに首を傾げる。

……今まで気付いてなかったのかよ。結構、騒いでいたぞ。どんだけ集中していたんだ?

リゼヴィムの反応を見てシャルバが不愉快そうに顔を歪める。

 

「……その呼び方はやめろ。気持ち悪い……」

 

「まぁ、理由とかは別に後でいいや。今は時間がないから」

 

「……は?いきなり何を言って――」

 

「いやぁ、シャルバっちが来てくれて助かったよ!霧識くんやユーグリットくんは仕事が忙しいとかでたまにしか手伝ってくれないし。そのくせ霧識くんは新しいペットを連れてくるから困ったものだよ。俺のことも考えろって話だ!せめてアシスタントを増やしてくれれば楽になるのに、それも無理だって言うし!」

 

リゼヴィムの口から次々と俺に対する愚痴が出てきて――どんどんエスカレートしていく。

へぇ……。こいつ、俺のことをそんな風に思っていたのか。全く知らなかった。

可愛い女の子にはどれだけ文句を言われても気にしないどころか場合によっては嬉しいけど、男に言われるとイラッとくるな。

 

「じゃあ、これ、よろしく!×がついているところにベタを塗るだけでいいから!」

 

「だから何を言って……ていうかベタって何だ!?」

 

リゼヴィムにいきなり原稿用紙とベタ用の筆を渡されて動揺するシャルバ。こいつのあたふしている姿って珍しいな。

とりあえず写真を撮っておくか。後で脅迫に使えるし。

 

「おい、これどうすれ……何をしている?」

 

シャルバが助けを求めるように俺に視線を向けると、俺がカメラを構えている姿を見て固まる。

その様子を不審に思ったリゼヴィムもこっちを見ると体を小刻みに震わせながら顔を引き攣らせる。

 

「……え、え~と……霧識くん。いたの?」

 

「ああ。シャルバと一緒に来たからな」

 

俺はカメラをどけると、らしくもなく優しい笑顔を浮かべる。

リゼヴィムが更に恐怖しているように見えるのが不思議だ。ちょっと目が笑っていないだけの完璧な作り笑顔なのに。

 

「……じゃあ、もしかして、さっきのも……?」

 

「いやぁ、悪かったな。原稿用紙や道具、資料を渡すだけでアシスタントも雇ってやれない駄目上司で」

 

「べ、別にそんなことはないから!いつも感謝しているから!」

 

慌てた様子で必死に言い訳をするリゼヴィム。

前魔王の息子にして超越者のリゼヴィムがここまで動揺している様子は見ていて気持ち良いものがあるが、それと同時に不安にもなる。俺、そんなに怖かったか?

ちょっと威圧するだけのつもりだったんだが。

そう考えていると曹操が横から口を挟んできた。

 

「……その笑顔はやめた方がいいぞ。不気味と言うか気持ち悪い。何か洒落にならないことを企んでいるようにしか見えないぞ」

 

そこまで言われるほどなのか?いや、一部(主に悪魔の貴族達)からそういう風に見られていることは知っている。俺がそう思われるように振る舞っているからな。

でも親友の曹操にまで言われると普通にショックなんだが。曹操と戦う時は対等な条件でやるようにしていているから、そんなにえげつないことをしていないのに。

 

「…………」

 

クロウの旦那にも意見を聞こうと視線を向けるとカップラーメンを食べていた。

……いつの間に準備したんだ?自由だな。

 

「まぁ、いいか。それよりリゼヴィム。そこまで言うならアシを用意してやる」

 

「え、マジで!?誰!?」

 

「そいつ」

 

「……は?」

 

俺が指を指すと、指された本人――シャルバが一瞬意味が理解できなかったようだがすぐに怪訝な表情になる。

 

「真の魔王たる私が何故そんなことをしなければならない?別の者にやらせろ」

 

「良いじゃねぇか。優雅な生活を送っているようだが、実際はそんなに余裕がないんだろ?」

 

「ぐっ!」

 

図星だったようで言葉を詰まらせるシャルバ。

そりゃ、そうだよな。旧魔王派のお金を裏からバレないように毟り取ったのは俺だし。

ちなみに目的はただの嫌がらせだ。シャルバのことが好きじゃないからな。女を何人か調教して堕せば簡単だった。

おかげで今の俺の財布は潤っているし一石二鳥だ。

いや、女達も気持ち良さそうだったし一石三鳥か。

 

「ちゃんと仕事すれば給料ぐらいは出すぞ。時給制だが」

 

リゼヴィムに出している給料と旧魔王派が毟り取った金から出せば俺に被害はない。

 

「ふざけるな。誰かの――特に貴様の下で働くなど私のプライドが許さない」

 

「プライドなんて下らないものは犬にでも食わせてろ。ただでさえ戦闘力で負けているのに活動資金もなくて、どうやってアジュカ達を倒すつもりなんだ?」

 

「それは……」

 

どう答えていいのか分からずシャルバが悩み出す。

いくら考えても無駄だ。仮に良い方法を思い付いたとしても俺が潰すからな。

 

「というか、私がする必要はないだろ?他にちゃんと適任者がいるはずだ。私は漫画の書き方なんて分からないぞ」

 

「アシの仕事ぐらいならすぐに覚えられるだろ。何たってシャルバは真の魔王なんだから。むしろ、その程度も出来ないのに真の魔王を名乗るなんておこがましい。アジュカなら出来るぞ」

 

俺が挑発するような口調で言うと、シャルバは不快そうな表情になる。アジュカの名前を出されたらシャルバも断りづらいだろう。実際にどうするか迷っているようだ。

アジュカが本当に出来るのかは知らないが。まぁ、絵とかも上手いし教えればすぐに出来るようになるだろう。

 

「それに残念ながら他に適任者はいない。俺とリゼヴィムが繋がっていることはトップシークレットだから簡単に人を紹介することは出来ないし、知っている奴等はどいつもこいつも忙しくてリゼヴィムのアシスタントなんてしている暇はない」

 

強いて言うならジャンヌがいるけど、どうせマトモに仕事をしないだろうからな。

俺はリゼヴィムにしつこく誘われて困っているシャルバを無視して未だにニヤニヤ顔のユーグリットの前まで移動する。

 

「何か良いことでもあったのか?」

 

「……霧識さんですか。ええ、まぁ、物凄く幸せなことが。聞きます?」

 

「遠慮しとく」

 

宝くじで三億円が当たってもここまでじゃないだろうと思えるほど幸せな表情のユーグリットを見て、ハッキリと断る。これ、絶対に長くなるパターンだろ。

グレイフィアさんの意識がユーグリットに向いていると俺が動きやすくなるから助かるけど惚気まで聞くつもりはない。

 

「それより新しいバイトが決まったから、そいつの世話を頼む。職種は漫画のアシスタントだ」

 

正確にはまだ決まったわけではないけど大丈夫だろう。

リゼヴィムは俺と違うタイプで口が上手いからシャルバを良い感じに乗せている。この調子だったら時間の問題だ。

 

「誰ですか?」

 

「シャルバだ」

 

「……何がどうなったら、そんなことになるんですか?どう考えてもそんなことをする性格だとは思えないんですが」

 

「……俺にだって分からないことはある」

 

本当、何でこんな展開になったんだろうな?全く想定してなかった。

話が脱線して意味の分からないことになるのは、いつものことだけど不思議で仕方ない。

とりあえずユーグリットが了承したところで、いきなり扉がドンッと勢いよく開けられた。何だ?と思って振り返ってみると花蓮が俺に飛び付いてきた。

 

「もう勝ったのか?」

 

花蓮の頭を撫でながら聞く。それに対して花蓮は顔を俺の胸に幸せそうに埋めながら頷く。

……早すぎないか?移動時間を計算に入れると最短で倒したことになる。さすがにヴァルヴルガを一瞬で倒すのは無理だと思うんだが。

俺は少し遅れて戻ってきたジャンヌに質問する。

 

「戦いはどんな感じだったんだ?」

 

「凄かったよ。何故か激昂しているオバサンが攻撃しようとした瞬間に花蓮ちゃんが一撃で倒して」

 

何故か、って……。また天然で煽ったのか。

それで隙だらけになったところを持ち前のスピードで倒したと。怒りで視野が狭くなればいくらヴァルヴルガでも花蓮のスピードに対応するのは不可能ということか。

 

「はい、これ。ちゃんと撮影しておいたから後で見てね。後、男の娘の紹介もよろしく」

 

デジカメを受け取ったところで、ふと疑問が浮かぶ。

 

「なぁ、ジャンヌ。ヴァルヴルガはどうしたんだ?」

 

「オバサン?面倒臭いから放置してきた」

 

……それって大丈夫なのか?ここ、文字通り魔物の巣窟なんだが。

いくら教育しているからって倒れている人間を餌と間違えて食べないとは限らない。

 

「クロウの旦那、念のためヴァルヴルガを回収してきてくれないか?」

 

「……分かった」

 

旦那はちょうどカップラーメンを食べ終わったようで素直に頷いてから立ち上がる。

何だろう?普通に話が進むだけで安心してしまう。……完璧に感覚が麻痺してしまっているな。

旦那は俺の周囲の数少ない常識人だ。

 

「あ、カップラーメン!お腹が減ってきたし貰うね!」

 

「……駄目だ」

 

ジャンヌがカップラーメンを取ろうとしたところで旦那が立ち止まる。

……ん?何か流れがおかしくないか?

 

「え~、ちょっとぐらい良いじゃん?」

 

「それは俺が楽しみにしていた最後の一つだ。もし食べるというのなら俺を倒してからにしろ」

 

視線だけで人を殺せるんじゃないかと思えるほどの威圧感を出しながら構える旦那。……あー、旦那もマトモじゃなかったのか。

本当、何で俺の周りにはマトモな奴が少ないんだろうな?不思議だ。

どこぞの聖槍使いが「俺はマトモだ!」と言っているような気がするが無視する。

 

旦那の予想外のリアクションを見てジャンヌが冷や汗を流しながら怯えているが、問題はそこじゃない。このままじゃ会議どころじゃなくなる。

シャルバを利用してハーデスのクソ野郎を倒す作戦を考えていたのに、実行する前に潰されそうだ。どうしたものか……。

……うん、することもないし俺も悪ノリするか。とりあえず最愛の妹を愛でながらシャルバを苛めよう。




次回は未定。
書きたい話自体はあるんですが中々アイデアがまとまりません。

では感想待ってます。

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