ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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ライザーの話を考えていましたが、今回は生徒会です。
DX2を読んでいたら思い付いたので衝動的に書きました。


腐った生徒会

俺は今、生徒会室の前にいる。

午後の仕事が急にキャンセルになって(というか、キャンセルにした)暇になったので生徒会に遊びに来たのだ。別にオカルト研究部でも良かったのだが、小猫やイリナとは家でも会えるからな。

こういう時は生徒会メンバーとも仲を深めよう。

 

「……ん?」

 

俺が扉を開けて部屋の中に入ると変わった光景が広がっていた。

椅子に座ったルフェイが内容は分からないが本を熱心に読んでいて、その後ろから生徒会メンバーもルフェイと同じように本を見ている。

会長、副会長、匙の三人はいないな。

 

「よぉ、ルフェイ。こっちに来てたんだな」

 

「今、良いところなので静かに……霧識さん!?今日はグリゴリの方で悪事を働いていたんじゃなかったんですか!?」

 

ルフェイは俺の存在に気付くと焦りながら凄い勢いで本を背中に隠す。

草下以外の他のメンバーも気まずそうな表情をしている。……一体、何を読んでいたんだ?嫌な予感しかしないんだが。

 

「……悪事なんてしてねぇよ。人聞きが悪いな」

 

いや、テロリストもしているから悪事はよくしているんだけどな。でも、ちゃんと他にも子供の夢を守るような仕事もしているんだぞ。

今日、予定していた仕事はシーグヴァイラの依頼でロボット作りだ。何でもアガレス家で実写ロボットものの番組を作るらしい。

それにしても大公家の次期当主が重度のロボットマニアだというのは驚いたな。

普段はクールなのにロボットの話をする時はまるで少年のようだった。

正直、俺でも話にもついていけないほど濃い。

 

「ただトラブルが起きたようだからな。面倒に巻き込まれないように逃げてきただけだ」

 

「……それはそれでどうかと思いますよ」

 

仁村が呆れたように小声でツッコむ。

いやいや、仁村は知らないかもしれないが本当に大変なんだぞ?下手したら暴発で死ぬ可能性もあるぐらいだ。

 

「それよりもルフェイ。その後ろに隠した本は何なんだ?」

 

「な、な、な、何でもないですよ!」

 

ルフェイが激しく目を泳がせて分かりやすいぐらい動揺している。

俺に見られたら困るようなものなのか?

簡単には答えそうにないので俺は代わりに花戒に目線を向ける。

 

「……え~と、その……」

 

花戒もルフェイと同じように目を泳がせながら言葉に詰まる。

その顔は何故か少し赤い。本当に何なんだ?

次に由良にも目線を向けるが答える様子はない。

 

どうしたものか。……良いこと思い付いた。

俺はポケットからスマホを取り出す。

 

「……何をするつもりなの?」

 

「今から会長に電話する」

 

花戒が怪訝そうに聞いてきたので、俺は端的に答える。

すると生徒会メンバーの顔が青ざめていく。

 

「それだけはやめて!」

 

「もし会長にバレたら怒られるだけじゃ済まないかもしれないのよ!」

 

「この鬼!悪魔!」

 

生徒会メンバーが次々に懇願してくる。よく分からないが、これはいい弱味を握れるかもしれない。

ていうか、最後のは懇願じゃなくて罵倒じゃねぇか。それに悪魔は俺じゃなくてお前達だろ。

 

「だったら、その本を渡してもらおうか」

 

俺の言葉にルフェイと生徒会メンバーは生死を分ける問題に直面しているかのように追い詰められた表情で会議を開始する。

俺に聞こえないようにするために小声で喋っているけど、改造人間の聴力には普通に聞こえているぞ。

 

「……でも、これってある意味、会長よりも七瀬に見られる方がマズくないか?」

 

「気にしない可能性もあると思うよ。七瀬くんってこういうのにも理解あるし」

 

「そうは言いますけどね、草下先輩。今回のはさすがにどうか分かりませんよ」

 

「駄目です!霧識さん、前にこれが原因で泣きかけたんですから!」

 

生徒会メンバーはどうするか迷っているようだが、ルフェイはハッキリと反対している。

俺が泣きかけた、って何?何個か心当りはあるけど。

 

「え?七瀬って泣くの?」

 

由良が驚いた顔をする。

あれ?何か話題がずれてないか?

 

「実際に涙を流すことは滅多にないですけどね。でも霧識さんって意外とメンタルが弱いですから心の中ではよく泣いています」

 

「へぇ、七瀬先輩が……。想像できませんね。何があっても傷付かない鋼の精神力の持ち主だと思っていました」

 

「やりたいことが多すぎて気にしている余裕がないだけです。本当の霧識さんは繊細なんですよ。落ち込んでいる時に抱き締めながら頭を撫でてあげると幸せそうな表情になって、それがまた最高に可愛い……」

 

「やめろ!」

 

一瞬、何が起こっているのか理解できなくて反応が遅れたが何とかルフェイの言葉を中断させることに成功する。……もう充分に手遅れだけど。

そんなこと暴露されたら俺のイメージが崩れるだろ!俺からしたらそれが原因で舐められたりしたら致命的なんだよ!

自分の思い通りに場を操るためのイメージ操作とかどれだけ頑張っているのか分かっているのか!?

 

「それ以上はさすがにマズイから言うな!」

 

「別に恥ずかしがらなくても良いじゃないですか」

 

「確かにそれもあるが、他にも色々とあるんだよ!」

 

さっきまで追い詰められていたのはルフェイ達の方なのに何で立場が逆転してんだよ。

ルフェイは意味が分からないのかキョトンと可愛らしく首を傾げている。そういうところも大好きだけど、これは本当にどうにかしないとマズイ。

生徒会メンバーがニヤニヤ顔で俺のことを見ているし。……とりあえず話を戻すか。

 

「って、それよりもまずは本だ!その本は何なんだ?」

 

「……え?いや、その………」

 

俺に問い詰められて再度、ルフェイが困った表情をする。

そんなルフェイを見て巡と仁村がフォローを入れてくる。

 

「七瀬は見ない方が良いと思うよ!これもルフェイの優しさなんだから!」

 

「そうですよ、七瀬先輩!この世には知らない方が良いこともあるんです!」

 

仁村の意見には同意できる。俺も知らない方がいいような事実をたくさん知っているからな。

でも、そこまで言われると意地でも知りたくなる。

こうなったら本気を出すか、そう考えた瞬間、生徒会室の扉が開けられる音がした。

 

「何を騒いでいるのですか?」

 

入ってきたソーナ会長が怪訝そうに俺達を見回す。

その後ろには副会長と匙もいる。

 

「か、か、か、会長!今日はセラフォルー様に用事を頼まれていたから生徒会には来ないんじゃなかったんですか!?」

 

青ざめる生徒会メンバーを代表して花戒が会長に質問する。

レヴィアたんの用事?そういやレヴィアたんからグリゴリに何か依頼されていたな。

 

「ええ。お姉さまに仕事で忙しいから代わりにグリゴリに頼んでおいた物を取ってきてくれ、と頼まれていたんですけど、向こうでトラブルが起こったようでしてね。だから普段通り生徒会の仕事をしようと思ってやって来たんです」

 

やっぱり、そのことだったか。グリゴリに用だったらレヴィアたんも俺に頼んでくれればいいのに。

それとも俺には頼めない理由でもあったのだろうか?

 

「……それで私がいない間に貴女達は何をしていたのですか?」

 

会長の威圧感のある視線に睨まれて生徒会メンバーとルフェイは恐怖に体を震わせる。直接、睨まれていない俺や匙も顔を引き攣らせるほど怖い。

説明を開始しようとしない皆に代わって、俺が簡単に状況を教える。

 

「俺も詳しいことは知らないですけど皆で本を読んでいました」

 

「本?」

 

「ルフェイが後ろに隠している本です」

 

俺が指を指しながら言うと、会長はルフェイの方に向かって歩き出す。そしてルフェイは特に抵抗することなく会長に本を取られる。

 

「これですか。――っ!」

 

会長がルフェイから取った本を開いて読み始めると驚愕の表情を浮かべる。そのまま手が止まることはなく興味深そうに会長は本を読み続ける。

その姿を固唾を飲んで見守っていると、遂に本を読み終えたようだ。

 

「ふぅ……、この続きはありますか?」

 

「……え~と、どうでしょう?それ、漫研の作品なので漫研の人達に聞かないと分からないです」

 

予想外の言葉に唖然としながら巡が答える。

漫研?どうも嫌な予感しないんだが。あそこの部長はBL大好きの腐女子だからな。

 

「そうですか。聖なる学舎でこんないかがわしいものを書くなんて許しません。私自らちゃんと注意しておかないと」

 

そう言いながら会長は傍目には分からないがテンション高めに生徒会室を出ていった。

その後ろに副会長はついていき、俺達と匙は生徒会室に残された。

 

 

 

 

その日の夜、幼児化(勉強して覚えたので自分でやった)してルフェイに甘えながら聞いたところ真実を話してくれた。

あの本の正体は俺と木場を題材にしたBL本だったらしい。しかも、かなり内容の濃い18禁だとか。

部活の抜き打ち検査の時に見付けて没収したようだ。ていうか、それを会長が意外と興味深そうに読んでいたのがビックリだ。

BLが嫌いな女子はいないということか。嫌な真実だな。

 

まぁ、会長は興奮していたが、俺が見ていたら泣いていたかもな。実際、今ルフェイに抱き締められながら頭を撫でてもらっているし。ああ、癒される……。

 

それにしても部長には後で文句を言っておかないといけないな。俺の本を書くならギャスパー限定だとしつこく言っておいたのに。

……いや、裏で腐った女子中学生が動いているという噂もあるし、早目に行動しておいた方がいいか。あいつのことだから他の組み合わせも書いている可能性がある。

何か面倒臭すぎて、また泣きそうになってきた。

 

「……なぁ、ルフェイ。キスしていいか?」

 

「いいですよ」

 

俺のお願いにルフェイが優しげに微笑んだ。これじゃあ、どっちが年上か分からないな。




次回も未定です。
九重とオーフィスのコンビが書きたいです。

では感想待ってます。

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