ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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擬人化1

「…………」

 

これは夢か?

疲れたので昼寝して起きてみると、見たことのない裸の中学生ぐらい可愛い女の子が俺に抱き付いて寝ているんだが。

とりあえず頬を引っ張ってみる。痛い。

どうやら夢ではなさそうだ。

 

女子中学生を部屋に連れ込んだ記憶なんかないぞ。俺の家の警備は厳重だから、女子中学生が勝手に侵入してきたとも思えない。

アンなら出来ないこともないけど、あいつがそれをする理由が分からない。男子中学生なら喜んでするだろうが。

う~ん、本当にどういうことだ?状況が全く理解できない。

本人に聞くのが一番手っ取り早いんだが、気持ちよさそうに寝ているところを起こすのも悪いな。

仕方ない。今日、帰ってくる時に買った新刊の漫画でも読んで時間を潰すか。

そう思って女子中学生を起こさないように気を付けながらベッドから出ようとした瞬間、女子中学生が目を覚ました。

 

「……ん、おはよう」

 

女子中学生が体を起こして目をこすりながら挨拶してきたので、反射的に俺も「おはよう」と返事する。

時計を見てみると午後三時だから「こんにちは」が正しいと思うんだが。まぁ、どうでもいいことか。

 

とりあえず女子中学生を観察してみる。胸は平均よりも少し大きいぐらいで非常に整った形をしている。足もスラッとしていて綺麗で、髪は黒色のショート。全体的に元気で可愛らしいイメージだ。

顔も好みだし、俺の趣味を反映したかのような容姿だな。

こんな可愛い女の子なら一回すれ違っただけでも忘れないと思うんだが。でも本当に記憶にない。誰かのドッキリだとも思えないし。

何か少し怖くなってきたな。

俺は恐る恐る謎の女子中学生に質問する。

 

「……え~と、誰?」

 

「誰って酷いね。私は――」

 

「……?」

 

女子中学生が台詞の途中で急に固まった。そして固まった表情のまま自分の両手を見ると開いたり閉じたりして、次に自身の全身を見渡す。

その表情は徐々に驚愕のものとなっていき、最後には大声で絶叫した。

 

「ちょ、えぇぇぇぇぇっ!?何これ!?何で私、人間の体になってるの!?」

 

人間の体?自分が人間じゃないみたいな言い方だな。いや、人間じゃない奴なんて普通にいるけど。

どういう意味だ?

 

「主、これどういうことなの!?」

 

……主?俺のことを主と呼ぶ奴は一人……というか一本しか知らない。

 

「……お前、もしかしてムラマサか?」

 

「そうだよ!」

 

俺の質問を謎の女子中学生……もといムラマサが食い気味に肯定する。

そういや、前に擬人化したいとか言っていたな。

 

「……擬人化できるようになったのか?」

 

「いやいや、知らないよ!今、起きたらこうなっていたんだから!」

 

ムラマサにも状況が理解できていないのか。

早く情報を整理したいところだが、今のムラマサはパニックになっていてマトモに話を聞ける状況じゃないな。

とはいえ、どうやって落ち着かせたものか。俺にもどうしたらいいか分からない。

とりあえず出来ることからするか。

 

「お前の着る服を用意してくるから、その間に冷静になっておけ」

 

俺はそれだけ言うとムラマサを放置して部屋から出る。

着せ替え人形にしたいところだが、今は普通の服でいいか。

 

 

 

 

 

「落ち着いたか?」

 

俺は衣装室から持ってきたシンプルなデザインのワンピースを着せてから聞いた。

ちなみにワンピースの下は裸である。ちゃんと下着も持ってきたのだが、ムラマサが窮屈だと言って断ったのだ。

そのおかげで全裸よりもエロいことになっている。

これなら布団でもくるませていた方がまだマシだったな。

 

「うん、何とかね。でも、何でこんなことになっているんだろう?」

 

「俺に聞かれても分からない。心当たりはないのか?原因があると思うんだが」

 

「心当たりねぇ……」

 

ムラマサが腕を組んで考え始める。

一応、俺も考えてみよう。気付いていないだけで、何かヒントがあるかもしれないし。

……そういや寝たのに疲れが取れてないな。ムラマサの奴、俺が寝ている間に精神を吸いやがったな。

あれだけ勝手に吸うのはやめてくれ、って頼んだのに。

 

「あ、もしかして!」

 

何か思い出したのかムラマサが手をポンッと叩く。

 

「何だ?」

 

「この前、主が神社に行った時にお願いしたの。人間の体になって私も皆みたいに主と遊びたい、って」

 

ムラマサは擬人化できたことが本当に嬉しいのか満面の笑みを浮かべる。

最近は最初の頃に比べて相手していたが、それでも満足できていなかったのか。いや、中途半端に相手したから余計にルフェイ達との差を感じて寂しく思っていた可能性も……。

何かそう考えると凄く罪悪感が。

 

「どうしたの?泣きそうな顔して」

 

ムラマサが心配そうに下から俺の顔をのぞきこんでくる。

下着をつけていないからワンピースの隙間から胸の先が見えているんだが。まぁ、刀にそんな羞恥心はないか。

……絶対、ヴァーリには会わせてはいけない。もう何か色々心配になってくる。

さすがに今の俺の心情を知られるのは恥ずかしいので適当に誤魔化す。

 

「何の問題もない。それより神様が妖刀の願いを聞いてくれるとは思えないんだが」

 

「それ、妖刀差別だよ。それに誰の願いでも聞いてくれるから神様じゃないの?」

 

妖刀差別って何だよ。

ていうか、お前、前に日本の神を斬ったことがあるって言っていたよな?さすがにそんな奴の願いは聞いてくれないだろ。

俺なら斬られようが腹を抉られようが可愛い女の子の願いなら聞くけど。

 

「神なんて録でもない奴が多いぞ。図書館で調べてみろ。それに俺は北欧神話のオーディンに会ったことがあるけど、ただのエロジジイだったし」

 

「ああ……そうかもね。私が前に斬った神様も女好きの大したことない奴だったし。そういえば、どうでもいいけど、その時の所有者が『あのクソ野郎、よくも俺の嫁を寝取りやがって……。あいつを殺せるなら俺は妖刀に命を捧げてもいい』とか言っていたような……」

 

ムラマサは俺から離れると本当に何とも思ってないのか軽い調子でそう言った。

その時に何があったのか具体的に聞きたいな。そこにはドラマがあるような気がする。

ムラマサも今までの人生……刀生?の中で色々な出来事があったんだな。他にも何があったか気になる。

とはいえ、今はムラマサが擬人化した理由を考えるのが先だ。話は後で聞こう。

 

「それよりも他にはないのか?」

 

「う~ん……」

 

ムラマサが再度、腕を組んで考え込む。

俺はムラマサ自体を観察してみる。……外見を見ているだけじゃ何も分かることはないな。

ただ仕草の一つ一つが子供っぽくて非常に可愛い。いくら見ても飽きない。

とりあえず触診でもするか、と考えているとムラマサが急に顔を上げた。

 

「そうだ!」

 

「どうかしたか?」

 

「皆にするみたいに私の頭も撫でてくれないかな?」

 

「……は?」

 

全く予想していなかった言葉に思わず変な声が漏れた。

別にするのは良いけど、何でこの状況でしないといけないんだ?

俺のリアクションを見たムラマサが不機嫌そうに口を尖らせる。

 

「……何、その『こいつ、何言ってんだ?』って目は?」

 

「いや、言っている意味が分からないから」

 

「良いじゃん!皆が気持ちよさそうにしていたからやってほしいの!それに頭を撫でられたら思い出すような気がするの!」

 

ムラマサが子供みたいに駄々をこね始めた。

こいつ、作られてから数百年は経っているはずだよな?何でこんなに精神年齢が幼いんだよ。

 

「撫でなかったらどうなるんだ?」

 

「……え~と、主が魔王とエロいことをしたことをテレビでバラす、とか?」

 

可愛らしい表情で何て恐ろしいことを言うんだ。

しかも今、ムラマサが言ったのは俺の秘密の中でも特にヤバいヤツだ。これをバラされたら俺だけじゃなくてレヴィアたんにも迷惑がかかる。

 

「はぁー、仕方ないな……」

 

俺は溜め息を吐きながらムラマサの頭を撫でる。

まぁ、最初から断るつもりはなかったけど。

 

「ああ、気持ち良い……。皆はこれを毎日されていたのかと思うと嫉妬するよ」

 

まるで温泉に浸かっているかのようにムラマサが蕩けた顔をする。

こうして触ってみると人間と感触が変わらないな。

 

「理屈はまだ分からないが人間の体になれるようになったんだ。これからはムラマサのことも毎日撫でてやる」

 

「ありがとう」

 

ムラマサがこれ以上ないくらい幸せそうに笑う。

何か可愛すぎてドキドキしてきたんだが。とりあえず色々なコスプレをさせて写真を撮りたい。

 

「でも、本当に気持ち良い。もしかしたら人を斬る時以上かも……」

 

いやいや、お前の存在意義は斬ることだろ!?

それよりも気持ち良いってどういうことだよ!?

 

「で、何か思い出したか?」

 

「うん、思い出したよ」

 

本当に思い出したのかよ。

最初から思い出していたのに俺に頭を撫でさせるために嘘をついたとかじゃないよな?

 

「私、所有者にあわせて進化する能力があったの」

 

「進化?」

 

「そう。私は所有者の精神を吸うことで、所有者の望むように進化することができる。まぁ、今までの所有者は私が進化する前に精神を食べられたせいで死んだり、恐れていたせいで私に触れなかったりとかで、能力が発動したことがなかったから忘れていたけどね」

 

ほぉ、そんな能力まであったのか。本当、凄い刀だな。

ということは俺が寝ている間に吸った分で条件を満たしたから擬人化したってことか。

 

「……ん?待てよ。それって俺がムラマサの擬人化を望んでいたってことにならないか?」

 

「そうなるね。私が前に寂しくて人の体になりたい、って言っていたのを気にしてくれていたのかな?主って性格が悪い割りに優しいよね」

 

マジかよ。いや、確かにムラマサのことは気にしていたけど。

でも、もっと他にも面白い能力はあったはずだろ。例えば吸った力を俺に渡して、俺が相手の力を使えるようになるとか。

まぁ、可愛いから問題ない。可愛いは正義だ。

というか、その理屈だとムラマサの容姿も俺の願望ということになるのか。そりゃ、俺の理想を体現したかのような姿をしているわけだ。

 

「じゃあ、擬人化した理由が分かったところで、次は身体検査だな。擬人化したことでどういう影響があるのか調べないと」

 

「……何かいつもの面白いものを見付けた時の目をしていて怖いんだけど」

 

ムラマサが怯えた目をする。

これじゃあ俺が今からいたいけな女子中学生に酷いことをするみたいじゃないか。科学者の如く少し体を調べるだけなのに。

 

ここからは不適切な描写が入るのでしばらくの間、台詞だけでお楽しみください。

 

「んぁ、主、そこは駄目……」

 

「なるほどなるほど」

 

「んっ」

 

「痛かったか?悪いな。次は優しくする」

 

「ひゃ!くすぐったい!」

 

「ふむ。ここの味……もとい、感触まで人間と同じなのか。じゃあ、次は」

 

「ちょ、そこはさすがに恥ずかしい!」

 

「今さら恥ずかしがるがな。ふむ。外見から分かる限りは人間と全く一緒だな。これも俺のイメージが影響しているのか?」

 

ガチャ

 

ムラマサの体を調べ終わったところで急に部屋の扉が開けられる音がした。

この展開、また小猫か?

だが予想とは違い扉をゆっくりと開けて部屋に入ってきたのはレイヴェルだった。

 

「…………」

 

レイヴェルはベッドの上でムラマサ(レイヴェルからしたら謎の美少女)に馬乗りしている俺を見て固まる。

そして無表情のまま扉を閉めた。

 

「ちょっと待て!これは誤解だ!」

 

いや、ある意味では誤解ではないのかもしれないけど、それは些細な問題だ。




地の文で直接的な表現をしなければ、ある程度はRー18展開をしていいんじゃないか、ということに気付きました。
ラノベでもエロい台詞なんか普通にありますし。
具体的に何をしていたかはご想像にお任せします。

では感想待ってます。

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