ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第134話 最終回

俺が復活した日の翌日の朝、イッセーの方の家でオーフィスを膝の上に乗せて頭を撫でて癒されつつ食後のティータイムをしていた。

オーフィスは気持ち良さそうな顔をしながら俺の作ったクッキーを美味しそうに食べている。あー、やっぱりオーフィスは可愛すぎる。

 

レイナーレはすでに完全復活しており家事をしている。

黒歌、ジャンヌ、花蓮の問題児達は朝食も食べずに未だ爆睡中。

ヴァーリとお義兄さんは俺が復活するのと入れ替わりに帰ってきて今も寝ている。何でも京都でのテロが終わった後も疲れては休憩してを続けてずっと戦っていたそうだ。ハッキリ言って馬鹿だな。

それでも決着は着かなかったそうだが。

ジークもいたし俺の厄介すぎる両親を倒してくれると期待していたんだが無理だったか。て言うか、ジークがあの戦闘狂共にずっと付き合っていたことにビックリだ。よっぽど憎いんだろうな。

 

……暇だ。ここ最近、忙しかったからのんびりしたいと思っていたが、ここまで急激に平和になると退屈で面白くない。

イリナのことを暴露すれば即修羅場になるんだろうが、本人が直前になって緊張しているからな。もうちょっと様子を見るつもりだ。

まだオーフィスとのデートまでは時間あるな。部屋に戻ってゲームでもしようかな。

……いや、面白いことを思い付いた。

俺はカップをテーブルに置くとわざとらしく大声でイッセーに質問する。

 

「なぁ、イッセー。その後はどうなっているんだ?」

 

「はぁ?いきなり何のことだ?」

 

「誤魔化すなよ。アーシアとのその後に決まっているだろ。俺のサポートのおかげでやっと一線を越えたんだ。俺が倒れている間にも上手くいっているのか気になっても普通だろ?」

 

リアス・グレモリーが俺の爆弾発言を聞いて動揺したのか体をプルプルと震わせているせいでカップから紅茶がこぼれている。

分かりやすいリアクションだな。

同様に姫島朱乃も動揺しておりニコニコ顔が引きつっている。いや、同様に動揺って今のはダジャレじゃないぞ。心の中で誰に言い訳しているのか分からないが。

ゼノヴィアは何故か嬉しそうな顔をしている。いや、お前は知っていただろ。

ロスヴァイセは禁断症状でも起きているかのように何かブツブツ呟いている。マジでそろそろ何とかしないとヤバいな。

ユーグリットの奴が死んだことになってなかったら即紹介するんだが。

 

「おい、いきなり何てことを――」

 

「……イッセー」

 

「……はい、何でしょう、部長」

 

俺に文句を言おうとした直後にリアス・グレモリーに名前を呼ばれて固まるイッセー。

本当、こいつらは単純で分かりやすい。世の中がこんな奴等ばかりだったら世界征服も簡単なんだが。

まぁ、それはそれで面白くないか。

 

「……今の話は本当なのかしら?」

 

「……いや、その……え~と、これはですね」

 

イッセーが目線を泳がせながらどう答えたらいいか迷っている。

これは駄目だな。ハーレム王を目指すならここでハッキリ言えないと。

 

「でも、これで歳上の三人が経験なしということになるのか」

 

俺が言おうと思っていた台詞を先にゼノヴィアに言われた。

この台詞は俺よりもゼノヴィアが言った方が効果的だから好都合だ。たまには空気を読むんだな。

だからと言って何か褒美をやるわけじゃないが。

 

「……ゼノヴィア、その台詞だと貴女は違うみたいに聞こえるわよ?」

 

リアス・グレモリーが引き攣った笑顔でゼノヴィアに圧力をかける。

イッセーが自分の知らないうちに童貞を卒業したという情報を聞いた直後に別の後輩も卒業しているみたいな発言を聞いてさすがに焦っているのだろう。

そんなリアス・グレモリーの様子を見てイッセーは怯えているが、こんなものは大したことない。グレイフィアさんはもっと怖いからな。

 

「ん?知らなかったのか?私はとっくに卒業しているぞ」

 

「知らないわよ!いつ!?いつなの!?」

 

あっさりと連続で明かされた衝撃事実に狼狽するリアス・グレモリー。自分が卒業の目処がないのに後輩がどんどん卒業していったらさすがに驚くよな。

ただこれに関しては他の皆も知らなかったのかレイナーレ以外は驚いた顔をしている。

あれ?小猫やイリナも知らなかったのか。意外だな。

 

「いつと聞かれると確か……花蓮が来た直後ぐらいだったかな。とはいえ、アレは練習で避妊していたから本格的な子作りはまだだが」

 

何だ、避妊していたのか。そこまでは俺も知らなかった。

 

「くっ……」

 

これ以上、何と言っていいのか分からないのか悔しそうな顔をするリアス・グレモリー。

これも全部のんびりとやってきたお前が悪い。一緒に寝ていたんだから早く押し倒せば良かったんだ。

そんなことを考えているとリアス・グレモリーが急に俺を睨んできた。何故?

 

「……もしかして、また貴方?」

 

「だから何度も言っているだろ。何か起きたら俺を疑うのはやめろ」

 

大体、俺は仕事にデートにその他諸々と忙しいんだ。そんなにいつも何か出来るほど暇じゃない。

リアス・グレモリーの周りで起きている問題で俺が関わっているのはせいぜい八割と言ったところだ。

 

「ちなみに霧識に紹介してもらった男とヤったんだがな」

 

「やっぱり貴方じゃない!?」

 

「何のことやら」

 

適当に誤魔化しながら机に置いてあるクッキーを取って食べる。

うん、前より美味しくなっているな。これもファルビーのメイドに美味しくお菓子を作る方を教えてもらったおかげだ。

さすが魔王眷属、市販の本に載っている作り方も美味しく作る方法を色々と知っていた。

 

「……いや、待って。さっきゼノヴィアは三人って言わなかった?もしかしてイリナさんも卒業しているの?」

 

「イリナは天使だから計算に入れるなよ。ヤったら堕ちるだろ」

 

イリナに関しては卒業の目処があるからリアス・グレモリーよりもマシだが。

天使がエロいことをしても堕天しない方法をミカエルが探しているって話だが、いつになるんだろうな。楽しみだ。

 

「……私にも紹介してください」

 

気付いたらロスヴァイセが俺の側まで来ていて今にも泣きそうな顔をしていた。

もう情緒が不安定すぎて怖いな。朝から酒でも飲んだか?

アルコールの臭いはしないが。

 

「いや、前に紹介したけど失敗したのはロスヴァイセだろ」

 

「だから新しい男を紹介してください!お願いします!」

 

ロスヴァイセが丁寧に九十度のお辞儀をしながら頼んできた。もう少しで土下座しそうな勢いだ。

それ、年下に接する態度じゃないからな。

後、俺は男を紹介する出会い系サイトみたいな仕事はしてないぞ。

 

「そう言われてもな、前に紹介した男が一番確率が高い奴だったんだが」

 

「そこを何とか!」

 

あいつが無理なのに他の奴で成功するとは思えないんだが。こうなったら適当な奴に催眠でもかけてロスヴァイセの相手をさせるか。

いや、さすがにそれはやめておこう。

 

「大丈夫です!部長の処女は俺がもらいますから!」

 

イッセーが急にそんな馬鹿なことを叫んだのが聞こえた。人前でそんなことを叫んで恥ずかしくないのだろうか?俺には無理だ。

リアス・グレモリーはそんなイッセーを見て微妙な表情をする。

 

「……イッセーのその気持ちは嬉しいのだけど、今は……」

 

まぁ、そうだろうな。イッセーからしたら優しさで言っているんだろうが、リアス・グレモリーには同情みたいに感じるのだろう。

そんなのはプライドの高いリアス・グレモリーからしたら屈辱とまでは言わなくて簡単に受け入れるものではない。

 

「あらあら、だったら私がヤってもらいますわ。私は元々、愛人を狙っているのだから何の不満もありませんし」

 

姫島朱乃が笑顔でイッセーに抱き付きながら胸を押し付ける。そこにゼノヴィアも悪乗りで参戦。

ここからはいつもの展開になりそうだな。一応、結果だけは後でレイナーレから聞こう。

 

「よし、オーフィス。デートまでは時間があるしゲームでもして時間を潰すか」

 

「分かった」

 

オーフィスから了承を得たところで立ち上がって肩車してから机に置いてあるクッキーの入った入れ物を取る。

後は飲み物も持っていくか。

 

「おい、いつも掻き回すだけ掻き回してから放置するな!」

 

いつも通りイッセーの叫びを無視して準備が完了すると自分の部屋に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

オーフィスとのデートが終わって夕食前、久し振りにヴァーリチームのメンバーで集まっていた。ちなみに今、撫でているのは黒歌だ。ルフェイを撫でるとお義兄さんに殺されそうだからな。

 

会話の内容はヴァーリとお義兄さんが俺の両親と戦った時のことだ。

何でも禁手で俺の両親がフュージョンしたりアロンダイトが聖魔剣になったり、ヴァーリは最終的に覇龍化したりと色々カオスな戦いだったらしい。

そんな戦いを見損ねたのは非常に悔やまれる。英雄派のメンバーが撮影していたが戦闘の余波で気絶してカメラも壊れたとか言っていたし。

 

「ところでアロンダイトが聖魔剣になったというのはどういうことなんだ?」

 

「アロンダイトの特性だそうですよ。持ち主で聖剣になったり魔剣になったりするそうです」

 

俺の疑問にお義兄さんが答えてくれた。

なるほど。アロンダイトにはランスロットが逃亡する際に戦友であるガウェインの弟たちを切り殺したことから魔剣に堕ちたという逸話があったな。

恐らくそれが元となった能力だろう。これであの時、ムラマサがアロンダイトを見て不審そうにしていたのも納得がいく。

となると母親が使えば聖剣だが、父親が使えば魔剣になるのか。アロンダイトが聖魔剣になったのは二人がフュージョンして性質が混じったからだろう。

何とも無茶苦茶な話だ。

 

「後、もう一つ聞いていいか?ある意味、こっちの方が重要なんだが」

 

「私に答えられることなら何でも答えますよ」

 

「だったら聞くが何でジークがここにいるんだ?」

 

お義兄さんの隣に全身包帯だらけジークがいる。

今ってヴァーリチームだけの集まりのはずだよな?だったら何でジークがいるんだ?

まさかジークがヴァーリチームに入ったとか言わないよな?

 

「彼が戦闘で負傷したので、ここで治療していたんです」

 

ふむ、なるほど。

ジークがヴァーリチームに入ったわけではないのか。

だが、それでも変な話だ。この町は警備が厳しいからジークを匿い続けるのは難しいし、ジークがここにいることがバレたら面倒事になる。

治療するならもっとバレにくい場所でやれよ。

そんな俺の心を読んだのか黒歌がフォローしてきた。

 

「ジークがいることがバレる心配はないにゃ。移動の時はアンが何とかしてくれるにゃ」

 

「はい、私がいる限り安心してください」

 

気付いたらアンが俺を後ろから抱き締めていた。相変わらず神出鬼没な奴だな。

幻のシックスマンでもここまでじゃないぞ。

 

「……何で英雄派が普通にいるんだよ」

 

よく考えたら曹操も何回か俺の家に来ているんだよな。何かそのうち他の連中もよく出入りするようになる気がしてきた。

 

「呼ばれたような気がしたから来たよ!」

 

ジャンヌが勢いよく扉を開けて部屋に入ってきた。

その手にはジュースとお菓子がある。こいつ、最初から乱入してくる満々だったな。

ジャンヌの登場を見てヴァーリが不機嫌そうな顔になる。

 

「……帰れ。俺は今からそこの男に聞くことがあるんだ」

 

ヴァーリが俺を睨んできた。

俺?……まさかあのことか?

 

「じゃあ、さっきにそっちの用事から済ませていよ」

 

「そうか。じゃあ、聞くぞ。あの時、お前と一緒にいた金髪幼女は誰だ?」

 

やっぱりその話か。その後に激しい戦闘があったんだからそのまま忘れておけよ。

 

「九尾の娘だ」

 

「ちなみにキーくんはその九尾の娘とキスをしたという情報が――」

 

「ねぇよ!したのは……つうか、してきたのはお前だけだ!」

 

思わずルフェイの名前も出しそうになったがギリギリ助かった。もし真実がバレたらヴァーリどころかお義兄さんも敵になる。

……俺、身内に厄介な敵が多すぎるな。何で日常の方が戦場よりも危険なんだよ。おかしいだろ。

 

「……そうか」

 

ヴァーリはそう呟くとゆっくりと立ち上がった。

何か殺気を感じるんだが。

 

「貴様は俺の敵だ!今日こそ殺す!」

 

クソ!こんなことになるならジャンヌが部屋に入ってきた瞬間に撃っておくんだった。

本当、俺の日常は厄介すぎる。

 




遂に本編が最終回です。ここまで長かった。最初は100話を越えるとは予想してなかったです。
まぁ、まだ短編で続くんですけどね。さすがに200話は無理だけど150話ぐらいはいけたら良いな。

短編については思い付いたままに書いていくつもりなので時系列とかバラバラになる可能性があります。
時系列は前書きか前話の後書きで書くつもりですが、何も書いてなかった場合は本編終了直後ぐらいだと思って間違いないです。というか、大半はそうなると思います。

そして記念すべき短編の1話目は主人公とイリナの幼少期です。日付は12月25日。主人公の誕生日兼クリスマスです。

では感想待ってます。
短編のアイデアもまだまだ募集中なので何か思い付いたら書いてくれると助かります。

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