ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

134 / 168
第133話 乙女

「んっ……ん?」

 

深い眠りから目が覚めると全裸のレイナーレが俺に抱き付きながら頬擦りしたり臭いを嗅いだりしていた。

周りにはすでにオーフィスの姿はない。起きてどこかに行ったのか。

 

「あ、ご主人様、お目覚めですか?おはようございます」

 

「何だ、夢か……」

 

珍しくもない普段の光景だから夢じゃないのは分かってはいるが、俺はもう一度まぶたを閉じる。

別に理由とかはないのだが条件反射的にしてしまった。

 

「夢じゃないですよ、ご主人様。早く起きて卑しい私にお仕置きしてください」

 

レイナーレが体を揺すって起こそうとするが、俺は起きない。いや、正確には起きているが。

まだ疲れが残っているからか体が起き上がるのを拒否している。

 

「仕方ないですね。こうなったら私が目覚めのキスを」

 

「人の寝込みを襲ってんじゃねぇ」

 

顔を近付けてキスしてきようとしたので仕方なく体を起こしてレイナーレの顔を鷲掴みにしてとめる。今さらすぎるツッコミだな。

こんな状況でレイナーレは恍惚とした表情で挨拶してきた。

 

「おはようございます、ご主人様」

 

「ああ、おはよう。で、お前は何をしているんだ?」

 

今、気付いたのだがレイナーレだけじゃなくて俺まで全裸だ。しかもパンツすら履いていない完全な生まれたままの姿。

どう考えても寝ている間に何かされているよな、これ。

 

「それは久し振りに会った大好きなご主人様の臭いを嗅いでイヤらしい気持ちになっていただけですよ」

 

それは言わなくても分かっている。何か俺の股間部分に温かく濡れている感触があるからな。

だが問題はそこじゃない。

 

「……本当にそれだけか?」

 

「はい、それだけです」

 

「じゃあ、何で俺は全裸なんだ?寝る前に可愛らしいキグルミのパジャマに着替えたはずなんだが」

 

「え、ご主人様、そんな格好で寝ていたんですか?ちょっと見せてもらっていいですか?」

 

この反応、もしかしてレイナーレが俺を脱がした犯人じゃないのか?知らばってくれているようにも見えないし。

でも参考になる情報ぐらいは持っているだろう。

 

「断る。それよりも俺を脱がした犯人を教えろ」

 

「ご主人様が寝ていた時の格好をしてくれたら教えます」

 

面倒臭い奴だな。

ご主人である俺に絶対服従して命令に逆らうな、とまでは言わないがもう少し従順でも良いと思うぞ。

一応、周りを見渡してみるがパジャマは見当たらない。確認できたのはレイナーレのメイド服と下着(今日はつけていたのか)だけだ。

誰かが持ち去ったのか。まぁ、単純に死角にあるだけの可能性もあるが。

 

これでは俺がパジャマを着て情報を聞き出すことは出来ないな。まぁ、最初からするつもりはないけど。

う~ん、どうしたものか。レイナーレから情報を聞き出すのは簡単だが、いつもと同じ方法では面白くない。

それにレイナーレの思い通りになる癪だ。

何か良い方法はないか。

……よし、思い付いた。

俺は鷲掴みにしていた顔を離すと、レイナーレの頭を押さえる。そして、そのままレイナーレの顔を俺の目の前まで持ってきてキスする。

 

「んっ!?」

 

レイナーレは予想外だったのか驚いた顔をしている。

レイナーレのこんな表情は珍しいな。何となく気分が良くなったのでサービスとして舌を侵入させて激しく口内を貪る。

 

「……?」

 

いつもなら反撃してくるはずなんだが、何故か顔を真っ赤にしたまま大人しい。どうしたんだ?

とりあえず一分ほど一方的に攻めてからキスをやめて頭から手を離す。

そしてレイナーレは体を起き上がらせると恥ずかしそうに顔を俯かせる。

え、どういうこと?こんな反応は予想外なんだが。ビックリしすぎて完全に目が覚めてしまった。

レイナーレってこんなに可愛かったっけ?

 

「……どうかしたか?」

 

俺が質問するとレイナーレは人差し指と人差し指を合わせながら少し困った様子で上目遣いになりながら答えた。

 

「……いや、そのですね……、私からおねだりしてやってもらうことはあっても、ご主人様からしてくれるのは珍しいというか初めてだったので、恥ずかしかったり気持ちよかったりして、その……」

 

本当に恥ずかしいのか混乱して口調が安定しないレイナーレ。

ああ、そういやルフェイと付き合う前に強引にヤることは何回かあったけど、こういうのは初めてか。

って、そんなことはどうでもいい!何だ、この可愛い生物は!?

こんなレイナーレは見たことがない。いや、レイナーレが綺麗なのは知っていた。それに俺専用に開発した体もバランスが整っていて美しい。

だが、今の恋する乙女みたいな姿は何だ!?いつもとのギャップが凄すぎて非常に萌える!

何か心臓がドキドキしてきたんだが。

もっと色んな反応が見たくなってきたのでレイナーレに力強く抱き付く。

 

「ちょ、え、ご主人様!いきなり何を!?」

 

「そんなの聞く必要ないだろ?お前がいつも俺に頼んでいることだよ」

 

女性の本能を擽るかのような色っぽくて低い声(酒を飲んでいる時に八坂から学んだ)を耳元で呟く。

すると予想以上に効果があったのかレイナーレの体が抜けて大人しくなる。

レイナーレにはいつもみたいな激しい方法よりも、今回みたいなシンプルな方法の方でやった方が攻略しやすいのかもしれない。

いや、攻略なんてする気はないけど。しなくてもレイナーレの俺に対する好感度はカンストしているからな。

 

俺は更にそこからレイナーレを押し倒して馬乗りになる。

するとレイナーレが緊張したかのように頬を紅潮させながら視線を逸らした。そんな表情されたら余計にやる気になるじゃねぇか。

 

「……え~と、いつもなら嬉しいんですけど、今は……」

 

「いやいや。いつも俺の都合を無視して誘ってくるのに、自分の都合で断るのは卑怯だろ。今日はいつもよりも激しくしてやるから覚悟しろ」

 

そう言って俺はレイナーレの胸に手を伸ばす。

手が胸に触れてレイナーレが小さな喘ぎ声を漏らしたその瞬間、部屋の扉が開かれた。

 

「先輩、そろそろ起き……お邪魔しました」

 

部屋に入ろうとしていた小猫は俺達を見ると一瞬固まって無表情のまま扉を閉めた。

 

 

 

 

 

 

その後、小猫を呼び戻して二人を同時に相手していたのだが途中で俺の腹が鳴って雰囲気が台無しになったので中断。

まぁ、きりの良いところだったので助かった。

時計を見て時間を確認すると午後七時。俺が寝てから二十四時間以上が経っている。

そりゃ、腹も減るか。むしろ今まで鳴らなかったことの方が不思議だ。

 

そして服を着てリビングに降りて夕食を食べることにした。というか元々、小猫は夕食が出来そうになったから俺の様子を見に来たらしい。

だったら先に言え、って感じだがどう考えても悪いのは俺だ。

 

夕食が終わった後は小猫とレイヴェルを部屋に呼んで膝枕した状態で頭を撫でている。あー、癒される……。

ちなみに花蓮と黒歌もしつこかったが何とか断ることに成功した。人数が増えると大変なので二人は後回しだ。

ていうか、花蓮はいつの間に帰ってきていたのだろうか?俺が京都を出発した時はまだいたと思うんだが。

 

ちなみに俺の服を脱がした犯人は花蓮だった。花蓮が帰って来た時に俺が気持ち良さそうに爆睡していたので襲おうとしたのだが、それに気付いた小猫が花蓮を追い払ったらしい。

小猫は服がどうなったかは知らないが騒ぎの時にどこかに行ったのだろう、と言っていた。

 

「ズルいですわ。小猫さんだけ先にヤっているなんて」

 

撫でている途中の会話で事実を知ったレイヴェルがウットリとした表情をしながらも頬を膨らませて不満を口にする。

すると小猫がレイヴェルを挑発するような発言をした。

 

「これは私の方が愛されているという証拠ですね」

 

おい、待て。その理屈だと最初に押し倒そうとしていたレイナーレを一番愛しているということになるんだが。

確かにレイナーレのことは好きだが、小猫はそれでいいのか?

 

「そんな事実はないから安心しろ、レイヴェル。俺は皆のことを世界よりも大事に思っている」

 

「こ、言葉だけなら何とでも言えますわ。それよりも態度で示してください」

 

「それに関しても安心しろ。ちゃんと後で修学旅行の間、会えなかった分もまとめて愛してやるから」

 

一日中ぐっすりと寝たおかげで完全とは言えないがほとんど回復した。

これなら二人を全力で愛しても問題ない。

 

「……ところで、その前に聞きたいことがあるのですが」

 

急に小猫が真剣な顔になって問い詰めるような声で言ってきた。

レイヴェルも同じように難しい顔になる。

いきなり何だ?俺、何かしたっけ?

 

「聞きたいこと?」

 

「はい。新しく一緒に住むことになったジャンヌさんのことなんですが」

 

ジャンヌのことか。あの野郎、俺が寝ている間にもう変なことをしたんじゃねぇだろうな。

 

「ジャンヌのことなら気にするな。ジャンヌは可愛い物好きで趣味があうから仲良くしているだけだ」

 

「本人からキスをしたと聞きましたが?それもかなり激しいヤツを」

 

「……それはあいつがイタズラでやったことだ。俺にその意思はない」

 

やっぱり余計なことを言ってやがったか。

て言うか、よく考えたらジャンヌ以外にもイリナのことも説明しないと駄目なんだよな。色々と大変そうだけどイリナのためにも頑張るか。

 

「……後、京都で金髪幼女と人妻を口説いて親子丼をしようとしていたとか?」

 

「そんな事実は一切存在しない」

 

更に最悪なことに一部、真実を捏造して教えてやがった。これ、聞きたくないけど全部聞いて情報を修正しておいた方が良いな。

大体、俺は九重を口説いていない。将来に対する準備をしようとしていただけだ。……失敗したけどな。

そして八坂は口説くどころか逆に誘惑されている。

親子丼に関しては……まぁ、数年後だな。もうちょっと九重の体が成長してからだ。

 

「まぁ、残りの話は一通りヤることをヤってからにしましょう」

 

「そうですわね。ここ数日ヤってなかったおかげ私も色々と溜まっていますし」

 

そう言うと二人は立ち上がって準備を開始し始める。

俺としてもうちょっと撫でていたかっんだけどいいか。次は頭だけじゃなくて全身を撫で回そう。




八坂を書いた反動ですかね。何故かレイナーレが普通にデレています。
最初はレイナーレを四つん這いにさせて上に座りながらお尻を叩いたりして情報を聞き出す話にする予定だったのに。
レイナーレの乙女モードに関しては隙を見て出していきたいと思っています。

次回は遂に本編最終回です。書いている途中で話が長引いて分割される展開も想像できますが最終回になるはずです。

では感想待ってます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。