ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第126話 裏切り

「裏切り?まぁ、キーくんの頼みなら――具体的に言うと男の娘シリーズの写真をくれるなら私が曹操を倒して九尾の狐を助けても良いけど」

 

裏切りを提案した俺が言うのも何だが、お前は仲間を何だと思っているんだよ。

裏切りに抵抗がなさすぎるだろ。

て言うか、そこまでは望んでねぇよ。いや、それはそれで面白いかも。ちょっとプランを修正するか。

 

ジャンヌの発言を聞いてイリナは『そんな適当で良いの?』と驚いて、九重は『……また変な奴が現れた』みたいな感じで呆れた表情をしている。

九重も段々俺のペースに慣れてきたみたいだな。

 

「今回はそうじゃない。もっと良いものだ」

 

ジャンヌの方に向かって歩きながら俺はそう言った。

別にギャスパーやミリキャスの写真でも良いんだけど、今はネタ切れ状態なんだよな。

ギャスパーは嫌がって抵抗するしミリキャスとはたまにしか会えない。早く写真を補充したいところだ。

 

「もっと良いもの?」

 

ジャンヌは目をキラキラさせて期待するような表情をしながら首を傾げる。

 

『なるほど。相手に希望を与えた後に絶望に叩き落とすのね。さすが我が主。何とも性格が悪い』

 

急に頭に楽しそうな声が響いてきた。

 

『……俺がそんな酷いことをする人間に見えるか?』

 

『むしろ、そんな人間にしか見えないよ』

 

酷いな。俺が苛める女は綺麗系だけだぞ。

……あれ?じゃあ、ジャンヌは苛めても問題ないな。

前からジャンヌは欲求不満で俺のことを誘ってきているし今度、隙を見付けて調教しようかな。さすがにレイナーレみたいにする気はないが。

俺はムラマサの話を適当に聞き流してジャンヌのところに辿り着くと一枚の写真を見せる。

 

「今回の報酬はこれだ」

 

「……これ?確かに可愛いけど女の子だよね?私、ロリの趣味はないんだけど」

 

「え?」

 

ジャンヌの言葉に思わず俺はショックを受ける。

いや、本来ならショックを受けるようなことじゃないんだがジャンヌにも分かってもらえないというのは何か傷付く。

 

「そんな露骨に落ち込んだような表情をしてどうしたの?」

 

「……この写真、俺なんだが」

 

「……え?」

 

ジャンヌは一瞬固まった後、驚いた顔をしながら俺と写真を見比べる。

 

「これ、キーくんなの?どう見ても女の子にしか見えないよ」

 

「俺の幼いころの写真でな……。昔から可愛いものが大好きでその頃は女の子みたいな格好をしていたんだよ」

 

可愛い服を着ているだけで本格的に女装しているわけじゃないのに何で誰も気付かないんだ。

ルフェイも最初に写真を見た時に『これ、最初に説明されてなかったら霧識さんと気付きませんよ。だって他の女の子と比べても段違いに可愛すぎて男の子だとは思えません』と言っていたし。

ルフェイに誉められるのは嬉しいが何か微妙な気持ちになった。

て言うか、誉められているのか?

 

「へぇ……、これがキーくんの幼少時代。……OK!後、何枚かくれたら私が英雄派を全員倒してキーくんに差し出していいよ」

 

「俺が言うべき台詞じゃないけど、お前は本当に仲間を何だと思っているんだ?」

 

さすがに我慢できず聞いてしまった。

ここまで裏切りに積極的だと逆に心配になってしまう。

いや、ジャンヌがこういう性格だということは知っている。だから裏切りの話をしたわけだし。

でも一瞬ぐらいは迷ってもいいだろ。

 

「別に何とも。強いて言うなら変態集団?」

 

「…………」

 

思わず俺はジャンヌをジト目で見る。

俺はジト目で見られることは多くてもジト目になるのは非常に珍しい。

 

「そんな目で見られるとショックなんだけど。確かに英雄派にいてそこそこ楽しいのは認めるよ。でも、それ以上に不満もあるの。だって可愛い男の子はレオナルド以外にいないし、男共はほとんどがホモの変態。女子は腐っている連中ばかりだよ。こんな連中よりもキーくんの可愛い写真の方が価値があるに決まっているでしょ」

 

確かに言っていることは理解できる。

でも、だったら何でジャンヌは英雄派に所属しているんだよ。謎だ。

 

「OK。話は分かった。残りの写真は後で渡す」

 

本当は一枚しか渡す予定じゃなかったんだけどな。まぁ、いいか。

 

「それで良いよ。で、私は何をすればいいの?」

 

「そうだな。まずは状況を教えてくれ。他の連中も別れて戦っているんだろ?」

 

「え~と、あっちでジーくんが聖魔剣とデュランダルの子と戦っているよ。ヘラクレスは向こうで酔っ払いヴァルキリーと。で、曹操はあそこで赤龍帝と戦闘中」

 

ジャンヌが戦っている方向を指差しながら説明してくれる。

ふむふむ、そういう状況か。恐らくゲオルクは実験の準備で動けず、レオナルドは外の連中の相手をしているのだろう。

大体、予想通りだな。

 

「……よし。じゃあ、ジャンヌはヘラクレスと合流して酔っ払いヴァルキリーを倒してくれ」

 

「うん、分かった。……って、え?私が倒すのそっちなの?」

 

ジャンヌが驚いた顔をする。何をそんなに驚いているんだ?

 

「ああ。この修学旅行中、あの酔っ払いの行き遅れ残念ヴァルキリーのせいでどれだけ苦労したことか。ここら辺で罰を与えておかないとな」

 

「……ついさっき私に『仲間を何だと思っているんだ?』って言った人の台詞だとは思えないよ」

 

「何を勘違いしているのか知らないが俺の所属はグリゴリでありヴァーリチームだ。グレモリー眷属は仲間じゃない」

 

どっちかと言うと英雄派の方が仲が良いぐらいだ。

まぁ、小猫とギャスパーは別だけど。

 

「……そう言えばキーくんってそういう人間だったよね」

 

本当にさっきからジャンヌは何を言っているんだ?意味が分からない。

気にしても仕方ないので、とりあえず残りの指示を伝える。

 

「私もちゃんと仕事するからキーくんも約束を守ってね」

 

「約束は守る。俺は取り引きでは嘘をつかないからな」

 

「それもそうだね。じゃあ、行って……あ、一つ忘れてた」

 

「……へ?」

 

ジャンヌがヘラクレスがいる方向に移動しようとした瞬間、予想外の出来事が起きて変な声を出してしまった。

ジャンヌが急に振り返って俺の頭を手で固定してそのままキスしてきたのだ。

この角度じゃルフェイ達が見えないけど妙な圧力を感じる。絶対、ルフェイ怒っているな。

 

「ジャンヌ、いきなり何をんっ!」

 

俺は反射的にジャンヌをどけたが、すぐに力ずくでまたキスされた。

しかも体の位置を移動させてルフェイ達に見せ付けるようにしながら舌まで入れてきたやがった。

結構キスが上手いな。こんな状況じゃなかったら、そのまま押し倒していたところだ。

だが今は無理だ。

 

「ぶはっ」

 

二十秒ほどしたところでジャンヌは唇を離してイヤらしい笑みを浮かべる。

 

「えへへ。キーくんとキスしちゃった……」

 

しちゃった、じゃねぇよ!この状況でそんなこと言っても可愛くないぞ。

 

「……お前、何が目的――」

 

「じゃあね!」

 

俺が文句を言う前にジャンヌはルフェイ達に向かって挑発するかのようにウインクするとヘラクレス達が戦っているところに移動した。

あの野郎、面倒事を残していきやがって。

今度、泣き叫ぶまで凌辱した後に快楽に溺れさせて普通の生活を出来ないようにしてやろうか。

って、今はそれどころじゃない!逃げる訳にもいかないし、とりあえずルフェイ達のところに戻るか。

 

「……今のはどういうことなんですか?」

 

俺が戻るとルフェイは体が恐怖で震え上がるような低い声で詰問してきた。

顔は笑っているが目は全く笑っていない。九重がいなかったら間違いなく土下座していた。さすがに幼女に格好悪いところは見せられないからな。ホテルに戻ったら土下座するだろうが。

 

当の九重は軽蔑するような目で俺を見ている。若干、幼女に見下されるのが気持ち良くなってきた。

いや、待て俺!それはさすがにマズイ!俺にそんな趣味はない!これはただの錯覚だ!

 

「俺に聞かれても困る。あれはジャンヌが勝手にしたことなんだから」

 

「……でも、抵抗しませんでしたよね?」

 

「いや、ちゃんとしただろ。一回どけたのにまたジャンヌがしてきたんだよ」

 

「残りはベッドの上で聞きます」

 

どうやらルフェイは俺の言い訳を聞くつもりはないようだ。他にも言い訳は思い付いているけど、何を言っても無駄だろう。

まぁ、約束があるのにあんなことになったんだから全面的に俺が悪いんだけど。

 

ただ禁手の後遺症とムラマサに精神を吸われて心が弱っているからだろうか。癒しが欲しくて我慢できない。

今のルフェイと九重から癒されるのは厳しいだろう。いや、出来ないことはないけど準備に時間がかかってしまう。それではゲームが終わるから無理だ。

 

となると残りは一つしかない。俺はさっきのキスが刺激が強かったのか顔に真っ赤にしながら照れているイリナを見る。

視線を感じるとイリナはすぐに横を向いたが、恥ずかしそうにしながらも上目遣いで俺の方をちょくちょく見てくる。

可愛いすぎる!これだ!今の俺が求めていたのはこれなんだ!

気付いたら俺はイリナを強く抱き締めていた。

 

「え?あのいきなり何を!?そりゃ好きな人に抱き締められるのは嬉しいけど!でも何て言うか恥ずかしいって言うか……」

 

完全にテンパっているのか、かなり早口だったので何を言っているのかイマイチ聞き取れなかった。

俺が右手でお尻を揉みながら左手で頭を撫でると、イリナは更に恥ずかしそうにして俯きながら背中の羽を点滅させる。

あー、イリナの初々しい反応に癒される……。もっと弄りたくなる。

 

「あぅ……」

 

イリナが耐えきれなくなって座り込んだところで俺も手を離す。

今のでかなり回復したな。

 

「……今回は絞り尽くすだけじゃ済ませませんよ」

 

次の問題はこっちだな。俺が回復した分、ルフェイは怒りが増したようだ。当たり前だけど。

ふと九重を見ると軽蔑を通り越してゴミを見るかのような目で俺を見ている。

これ以上のことをすると取り返しがつかないのでやめておこう。現段階でも取り返しがつくかは微妙だが。




九重の中での主人公に対する好感度が酷いことになっています。
何故、こうなった。
ここからどうやって普通の方法で挽回すればいいんだ。

では感想待ってます。

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