ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第113話 二日目

修学旅行二日目の朝、俺はホテルの豪華なベッドの上で起きた。隣では裸のルフェイが俺の右手に抱き付きながら気持ち良さそうに寝ている。

 

「ふぁー、眠い」

 

俺は左手を口にあてながら欠伸する。マジで限界まで搾り取られた上に、ほとんど寝れていないからしんどい。

趣味や仕事で徹夜することも多いが、何回やっても慣れない。

 

「えへへ、霧識さん、大好きですよ……」

 

いきなりルフェイが俺のことを甘ったるい声で呼んだ。

一瞬、起きたのかと思ったが寝言のようだ。

ああ、もう、本当に可愛いな。俺は寝ているルフェイの頭を軽く撫でてから、ルフェイが起きないように気を使いつつベッドから出る。

時計を見ると、まだ朝食まで時間があるみたいだ。

とりあえず、することもないし眠気覚ましに飲み物でも買いに行くか。

俺はルフェイにキスをしてから服を着て部屋を出る。

 

「ん?」

 

廊下にある自販機に辿り着くとアーシアを発見した。どうやら飲み物を買っているみたいだ。いや、自販機の前にいるんだから当たり前だけど。

挨拶しておくか。聞きたいこともあるし。

 

「よぉ、アーシア。おはよう」

 

「あ、霧識さん。おはようございます」

 

アーシアは俺に気付くと頭を下げて挨拶した。別に頭は下げなくていいんだが。

手には数本のペットボトルがある。

 

「何で最上階にいるんだ?」

 

「実は今、イッセーさんと木場さんとゼノヴィアさんが屋上でトレーニングしているんです。だから飲み物を差し入れしようと思いまして」

 

ふーん、朝から元気だな。

眠気覚ましに軽く運動してもいいけど、その間にルフェイが起きたら困るな。俺はやめておくか。

 

「ところで夜這いはどうなったんだ?昨日は酒を飲んでいたせいで聞きそびれたが」

 

「え~と、その……」

 

言いづらそうな表情をするアーシア。もしかして、またイッセーが直前に鼻血で気絶したのだろうか?

アーシアは少し悩んでいたようだが、意を決して真実を喋り出した。

 

「……実はロスヴァイセさんがお風呂を覗きに来ないイッセーさんを不審に思って部屋に様子を見に来たんです。そうしたら、ちょうど裸で抱き合っていたところを見られまして……。それで説教?をされている内にアザゼル先生に呼ばれて料亭に行くことになったんです」

 

しまった。ロスヴァイセか。完全に忘れていた。

て言うか、覗きに来ないことを不思議に思われるっておかしいだろ。覗かないのが普通だぞ。まぁ、イッセーのことだからアーシアがいなかったら覗きに行っていただろうけど。

後、説教が疑問系だったのは内容が説教という名の愚痴だったからだろう。生徒に嫉妬する暇があったら面倒臭い性格を治せ。

 

「じゃあ、料亭から帰った後は?」

 

「イッセーさんの部屋に行こうと思ったんですけど、ホテルに戻ると同時にロスヴァイセさんに部屋まで連れていかれました」

 

そこまでするか。そんなんだから男に逃げられるんだよ。

 

「こうなったら観光中に皆を撒いて二人っきりになったところで、イッセーを人気のないところに連れ込むしか」

 

「え?そ、外でですか!?さ、さすがにそれは!」

 

顔を真っ赤にするアーシア。

純情なアーシアには野外プレイはハードルが高いか。さすがの俺も数回しかヤったことないな。スリルと解放感はあって良いが、人にバレたらと思うと怖い。俺的には部屋で平和に激しくヤる方が好みだ。

あれ?よく考えたら何で純情な奴が男を襲う計画をしているんだろうか?まぁ、細かいことは気にしなくていいか。

 

「大丈夫大丈夫。今のはただの冗談だから」

 

「そうですか……。良かったです」

 

アーシアが安心したように息を吐いた。こんな適当な思い付きを真に受けられても困るんだが。

そして俺はアーシアと分かれると自販機で飲み物を買って、その場で飲むと空き缶をゴミ箱に捨てた。

さて、そろそろ部屋に戻るか。

 

 

 

 

 

 

部屋に戻るとルフェイはまだ気持ち良さそうに寝ていた。俺はベッドに座るとルフェイの頭を撫でながら、その可愛らしい寝顔を観察する。

何度、見てもルフェイの寝顔は天使のように……いや、天使以上に可愛い。ルフェイの寝顔を見るだけで、どんなに疲れていても一日頑張れるほどだ。

 

おっと、ルフェイの寝顔を観察していたら、もう十分ほど経っていた。気持ち良さそうに寝ているルフェイの邪魔をするのは心苦しいが、そろそろ起こさないと朝食に間に合わない。

俺はルフェイの肩を揺すって起こそうとする。

 

「そろそろ起きろ。起きないと全身を舐め回すぞ」

 

「んー」

 

ルフェイが目をこすりこながら起きた。するとルフェイに被さっていた掛け布団が落ちて、ルフェイの成長中の可愛らしい裸が丸見えになる。

何度見ても綺麗な体だな。昨夜も舐め回したけど、もう一回舐め回そうかな。

と、考えていたら急にルフェイが抱き付いてきた。

 

「霧識さん~」

 

ルフェイが幼児のように愛らしい声で俺の名前を呼んで、そのまま頬擦りしながら甘えてきた。完全に寝惚けている。本当にルフェイは朝に弱いな。

毎度の事とはいえ慣れずに興奮してしまう。休みの日ならこのまま抱いても良いけど、今は断腸の思いで我慢だな。

 

「起きろ。早くしないと朝食に遅刻するぞ」

 

俺はルフェイのお尻を揉みながら起こそうとする。これはルフェイを起こすための行為であり、やましい気持ちはない。戯言だけど。

 

「あっ……。ん」

 

感じたのか一瞬色っぽい声を出すと、次に唇を突き出してきた。

おはようのキスか。

俺は突き出された唇に軽くキスする。

 

「これでいいか?」

 

「やー、もっと激しいの~」

 

ルフェイが眠たそうな表情で何気に物凄いことをねだってくる。どうしたものか。このままじゃあ朝食に遅刻する。

まぁ、朝食ぐらい抜いても大丈夫か。観光の途中で何か食べてもいいし。

その後、時間には少し遅れたが何とか朝食を食べることに成功した。

 

 

 

 

 

 

 

朝食を食べた後、俺とルフェイは京都駅からバスに乗って二条城にやって来た。

前にも来たが、二条城は大政奉還があったりと歴史を感じられる良い場所だ。ただ英雄派の連中を調べるために堕天使・悪魔連中が周りを警戒しているのが気になる。やっぱり、こういうところはもっと平和な時に来るべきだったな。

ちなみに今日はイッセー達とは別行動でルフェイと二人っきりだ。と言うか、昨日もたまたま会ったから一緒に行動しただけで本来は別行動の予定だった。

 

「んー」

 

ルフェイが何か訝しむような表情をしている。バスを降りたあたりからこの調子だ。

 

「どうした?何か気になることでもあるのか?」

 

「え~と、色々なところから二条城に力が集まっているようでして」

 

二条城に力が?

曹操が気の流れを乱して各所のパワースポットの力を二条城に集中させているのか?確かこの都市を生んだ古き陰陽師達が都そのものを巨大な一つの力にしようとしたって話を前に聞いた気がする。具体的なことまでは知らないが。

それに九尾の狐か。

 

「もしかして曹操はグレートレッドでも呼び出すつもりなのか?」

 

「おー、さすがキーくん。正解だよ」

 

後ろから感心するような声が聞こえた。この声はジャンヌか。

俺は後ろに振り返る。

 

「ジャ……誰?」

 

そこにいたのは見たことのない金髪の女性だった。

 

「お兄ちゃん、おはよう。奇遇だね。いや、運命かな?」

 

何故か金髪の女性の隣にいた俺の可愛い妹の花蓮が眩しい笑顔で挨拶してきた。花蓮と一緒にいると言うことは、金髪の女性は英雄派のメンバーか?

 

「ただの偶然だ。それよりも、この女は誰?」

 

「酷いな、キーくん。お姉さんのことを忘れちゃったのかな?」

 

金髪の女性は俺の額を小突きながら頬を膨らませる。

う~ん、誰だ?考えろ、俺。

 

「あ、分かった!ジャンヌの妹か!」

 

「……本人なんだけど。後、私に妹はいないよ」

 

本人?性格は一緒だけど、俺の知っている顔と別人なんだが。

 

「秘密道具が大量に置いてある部屋に顔を変えるマスクがあったでしょ?それを使っているの」

 

花蓮が俺の疑問に答えてくれた。

顔を変えるマスクってレイナーレが使っている変身マスクのことか。あの部屋は危険物が多いからセキュリティも頑丈にしていたんだがな。よく盗めたものだ。

 

「何で顔を変えているんだ、泥棒」

 

「泥棒とは酷いね、キーくん。盗んだのはアンちゃんと花蓮ちゃんなのに」

 

アンも絡んでいたのか。と言うことは最初から花蓮が持ってきていたんじゃなくて、後でアンの神器で俺の家に飛んで盗ってきたのか。

ん?アンって俺の家に来たことないよな?いつマーキングしたんだ?……ああ、レイナーレを目印に飛んだのか。

て言うか、『借りた』じゃなくて『盗んだ』って言葉を使うってことは返すつもりがないのか。図々しい奴だな。

 

「まぁ、それはいい。それより俺の質問に答えろ」

 

「花蓮ちゃんがテロリストと一緒にいるところが見付かったらキーくんも困るでしょ?」

 

へぇ、意外だな。ジャンヌの性格から考えて俺を英雄派に引き込むためにわざと見付かる可能性も可能性もあったのに。

一応、その時のための準備もしていたんだが。必要はなかったみたいだな。

 

「と言うのは、建前で悪魔や堕天使が邪魔で録に花蓮ちゃんとデートできないからね。だから、これで顔を変えさせてもらったの」

 

「デートがしたいんだったら京都以外でやれよ」

 

少しでも見直した俺が馬鹿だったよ。

て言うか、それも建前だろ。本当の目的はバレずに二条城の様子を見ることだろう。

 

「あはは、面白いこと言うね。私がお兄ちゃん以外とデートするわけないじゃん、オバサン」

 

「……そっちこそ面白いことを言うね。私はオバサンじゃなくてお姉さんよ」

 

花蓮がさらっと毒を吐いて、ジャンヌが顔を引きつらせる。思ったよりも仲は良くないみたいだ。

 

「そういや、ジャンヌ。最初に正解とか言ってたよな。どういう意味だ?」

 

「ん?グレートレッドを呼び寄せるのが目的ってことだよ。もしかして気付いてなかったの?」

 

「ああ、適当に言っただけだからな」

 

俺の言葉にジャンヌがしまった、という顔をする。だがジャンヌはすぐに開き直った。

 

「まぁ、いっか。どうせバレることだし」

 

軽いな。それで良いのか?まぁ、いつものことか。

にしても曹操も恐ろしいことを考える。俺的には準備が終わってないから、まだグレートレッドには会いたくないな。

 

「でもグレートレッドを呼び寄せるなら龍王を複数捕まえた方が確実じゃないか?」

 

「それが難しいから都市と九尾の力で代用するのよ」

 

ふーん。まぁ、確かに龍王を捕まえるのは難しいよな。

俺が会ったことがあるのはアジュカと友達のティアマットとアザゼルと契約しているファーブニルだけだが、両方かなり厄介だ。

 

「そんな下らないことよりお兄ちゃん。せっかく会ったんだから私と……デートしてよ!」

 

花蓮はルフェイに睨まれて一瞬、言葉が詰まったがすぐに持ち直した。

そんなこと俺に言われても困るんだが。

て言うか、グレートレッドを下らないこと呼ばわりって恐ろしい妹だな。

 

「……じゃあ、一日だけなら良いですよ」

 

少し考えた後にルフェイがそう言った。

これからしつこく絡まれることを考えると、ここら辺で妥協した方が楽だという判断だろうか?

まぁ、俺はルフェイがそれでいいなら良いけど。

 

「……う~ん、一日だけなら明日で良いかな?」

 

花蓮が腕を組んで考えた後にそう言った。

 

「明日に何かあるのか?」

 

「別にそういうわけじゃないけどね。今日はアンちゃんと会う予定があるってだけ」

 

だったら俺をデートに誘うな、って言いたいところだが花蓮が俺をデートに誘うのは条件反射的なものなのだろう。

考えても仕方のないのことだ。

 

その後、花蓮とジャンヌと分かれて二人で色々な場所を聖地巡礼した。

途中で九重に呼ばれて妖怪達が住む裏街、裏京都と呼ばれる場所にも行ったが、二日目は特に問題も起きず平和にルフェイとのデートを楽しんだ。




二日目も終わって、そろそろバトル展開です。
色々と展開を考えているけど、考え過ぎて話が中々まとまらない。どうしたものか。

では感想待ってます。

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