ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第110話 九重

色々とミスったな。さて、どうやって言い訳するか。

人がいなければどうにかなるんだが、人前では変なことは出来ないし。

 

「か……」

 

ルフェイがそう呟いた。……か?

とりあえず俺は後ろを向かず狐の幼女から離れる。そんな俺の様子を狐の幼女は不思議そうに見ている。

 

「可愛いです!」

 

勢いよくルフェイが俺の横を抜けたかと思うと狐の幼女に抱き付いた。そのまま頬擦りしたり耳を撫でたりしている。

え~と、どういうことだ?全く予想していなかった展開に俺は唖然とする。

 

「ま、またか!?何なんじゃ、お前らは!?」

 

「あー、もう本当に可愛いですね!」

 

ルフェイが頬擦りを続けながら幸せそうにしている。

あー、なるほど。理解した。

ルフェイは元々可愛いもの好きだが、俺の影響で更に好きになっている。となると、この狐の幼女に興味を持つのも分かる。

とりあえずルフェイが怒っていないことは分かった。じゃあ、することは一つだ。写真を撮ろう。

にしても、癒される光景だな。

 

「そろそろやめろ!」

 

「イタッ」

 

いきなり頭に痛みが。何が起きた?

後ろを振り返って見るとゼノヴィアがハリセンで俺の頭を叩いていた。予想外の出来事に気付くのが一瞬遅れた。

二連続で予想外の展開か。何故だろう?まだ予想外の展開がある気がする。

 

「……何でゼノヴィアがハリセンを持ってるんだ?」

 

それは小猫の仕事のはすだ。

 

「修学旅行に来る前に小猫に頼まれてな。霧識が暴走したら叩いてやってくれ、と」

 

準備のいい奴だな。最初からこういう状況を予想していたのか。

でもゼノヴィアはやめてくれ。こいつ、手加減しないから頭が痛い。

小猫はプロだから適度な強さで叩いてくるから大きな音が鳴るけど、そこまで痛くない。

て言うか、今暴走しているのは俺じゃなくてルフェイなんだが。

 

「別に写真を撮るぐらい良いだろ?これが終わったらホテルに帰るだけだし」

 

「いや、 待て!俺が襲われていた問題が残っているだろ!?」

 

イッセーが俺にそうツッコんだ。

イッセーが襲われていた問題?……ああ、そんなものもあったな。狐の幼女が可愛すぎて忘れていた。

 

「どうせイッセーが社にイヤらしい願いでもして怒られたんだろ?自業自得だ」

 

「違うわ!……いや、違うこともないけど」

 

やっぱりイヤらしい願いをしていたのかよ。

俺はイッセーに代わって狐の幼女に一言謝罪する。

 

「悪いな、幼女。変態が変態的な願いをして」

 

「話をする前にこの娘をどけるのじゃ!」

 

まぁ、確かに話をする状況じゃないか。周りの天狗達もどうしていいか迷っている様子だ。

名残惜しいが一旦ルフェイを狐の幼女から離れさせるか。

 

「ルフェイ、今は話をするから残りは後にしてくれ」

 

「後って何じゃ!?まださせる気なのか!?」

 

そりゃ、するだろ。ルフェイが嬉しそうだし、何より非常に興奮する光景だからな。可愛い女の子同士の絡みは最高だ。油断したら鼻血が出そうだ。

もちろん俺も後で撫でる。

 

「……仕方ないですね」

 

ルフェイが残念そうにしながら離れる。

ルフェイのこういう表情は好きじゃないな。今夜、たっぷり気持ちよくさせてやろう。

 

「お前達、母上を返せ!」

 

狐の幼女はルフェイが離れるといきなり訳の分からないことを言ってきた。

 

「……は?イッセーが変態的な願いをしたことに怒っているんじゃないのか?」

 

「そんなことは知らん!」

 

何だ、違うのか。

 

「じゃあ、母上って何のことだ?俺達はお前の母親なんて知らないぞ」

 

「とぼけるな!そこにはいるのは不浄なる魔の存在じゃ!お前らが母上を攫ったのであろう!?」

 

狐の幼女がイッセー達を指差しながらそう叫んだ。

攫った?全く話が見えてこないな。

まぁ、イッセーは不浄な存在だが。

 

「言っておくが、こいつらはグレモリー眷属で正式に上から許可をもらって京都に入っているんだが」

 

「な、何……。そうなのか?」

 

狐の幼女の言葉にイッセーがフリーパス券を取り出して見せる。

それを見て狐の幼女は頭を下げて謝罪した。

 

「確かに。じゃあ、私は勘違いで襲ってしまったのか……。それはすまないことをした。どうか許してほしい」

 

「気にするな。こっちに被害はないからな」

 

イッセーが何か睨んでいるような気がするが無視だ。誰も怪我していないから被害が出ていないのは本当だし。

むしろ、写真を撮らせてもらって利益の方が圧倒的に多いぐらいだ。

 

「それよりも自己紹介しないか。俺は七瀬霧識、こっちの可愛い女の子はルフェイ、向こうの天使がイリナ、清純そうな悪魔がアーシアで下着をつけていない変態がゼノヴィア。後、イヤらしい願いをした変態がおっぱいドラゴンだ」

 

俺は指を指しながら狐の幼女にメンバーを一通り紹介した。

て言うか、アーシアはいつの間に追い付いたのだろうか?今、いることに気付いた。

 

「何で俺の紹介だけ本名じゃないんだよ!?俺の名前は兵藤一誠だ!」

 

だっておっぱいドラゴンの方が子供にウケるし。

それに冥界の子供達は兵藤一誠という名前を知らないと思う。もうおっぱいドラゴンが本名でいいと思うぞ。

 

「こやつは何でうるさいんじゃ?」

 

「気にするな。ただの馬鹿だから」

 

「確かに馬鹿面じゃの」

 

「何で子供にまでそんなことを言われないといけないんだよ!?」

 

子供から見てもイッセーは馬鹿だってことだ。

まだイッセーが何か文句を言いたそうな顔をしているが、狐の幼女は無視して自己紹介する。

 

「私は八坂の娘で九重と申す」

 

「八坂?確か京都の妖怪のトップで九尾の狐だったか」

 

この狐の幼女……じゃなくて九重は妖怪のトップの娘だったのか。仲良くなっていて損はないな。まぁ、関係なく仲良くなるけどな。……ルフェイとの約束がなかったら。

 

「そうじゃ。よく知っておるの」

 

「俺は情報通だからな。色々な情報を持っているんだよ」

 

先日、ジャンヌと電話している時に京都に修学旅行に行くという話をしたら、この話をしてくれた。

何か胸が大きいだとか、どうでもいい情報も言っていたな。俺はイッセーと違って、そこまで胸に興味ないから必要ない情報なんだが。

修学旅行中に八坂に挨拶したいところだ。

 

「ところで、さっきの『返せ』だの『攫った』って言うのはどういう意味だ?」

 

「……実は数日前に母上が何者かに攫われたのじゃ」

 

九重が急に悲しそうな目になって俯いた。

可愛い幼女のこんな顔は見たくないな。出来れば慰めたいんだが、ルフェイとの約束があるしな。どうしたものか。

 

「……助けたいですか?」

 

ルフェイが俺の表情を伺いながら聞いてきた。

 

「別に。俺は可愛い女の子には笑顔でいてほしいだけだからな」

 

「霧識さんらしい答えですね」

 

「ん?良いのか?」

 

「はい。ここで可愛い女の子を見捨てる霧識さんは霧識さんじゃないですから」

 

ルフェイが笑顔でそう言った。

本当、良い女だな。だから俺も好きになったのだろう。

 

「おい、九重。お前の母親を助けてやろうか?」

 

「本当か!?母上を助けてくれるのか!?」

 

九重が勢いよく顔を上げて嬉しそうな顔をする。やっぱり可愛い女の子はそういう顔じゃないとな。

 

「ああ、約束する。ちょっと情報を集めてくるから待ってろ」

 

「情報?」

 

「俺は情報通だって言ったろ?色んなところにコネがあるんだよ」

 

俺はそれだけ言うと人気のない場所に移動する。

九尾の狐を拉致る奴なんて禍の団ぐらいしか思い付かない。となると、犯人はほぼ間違いなく曹操だ。あの野郎、可愛い幼女を悲しませるなんて許せない。前に負けた件もあるし、全力で潰してやる。

気付いたらルフェイがまた俺の腕に抱き付いていた。

 

「ん?ルフェイも付いてくるのか?」

 

「付いていかない理由がないですから」

 

まぁ、ルフェイはいても困らないし、抱き付かれるのは嬉しいから良いか。

 

「あ、そう言えば霧識さんが九重さんに抱き付いていたのは忘れていませんよ。しかも、どさくさに紛れてお尻とかも触ってましたよね?」

 

「……何のことやら」

 

俺は目線を逸らして誤魔化す。そこまで気付かれていたのか。

 

「今夜は罰ゲームとして限界まで搾り取ります」

 

ルフェイがそう宣言した。

マジでか。昨夜のヤツでまだ疲れているんだが。

話しているうちに完全に人気のない場所についたのでポケットからスマホを取り出して曹操に電話をかける。

……中々出ないな。何かしているのか?

仕方ない。次はジャンヌにかけるか。

すると、すぐにジャンヌが電話に出た。

 

『キーくん、いきなり何の用?今、トランプで遊んでいて忙しいんだけど』

 

「つまり暇なのか。ちょっと聞きたいことがあってな」

 

『お兄ちゃんからなの!?私に代わって!』

 

ん?今、聞き覚えのある声が電話の向こうで聞こえたんだが。まさか花蓮が英雄派と一緒にいるのか?

 

『ちょっと花蓮ちゃん。今は私がキーくんと電話してるから後にして』

 

どうやら予想が当たったみたいだ。花蓮が言っていた友達ってジャンヌ達のことだったのかよ。お前がテロリストと一緒にいるところが見付かったら俺にも迷惑がかかるんだが。

ジャンヌが花蓮をあしらうのを待ってから本題に入る。電話の向こうから花蓮の不満そうな声が聞こえる。

 

『で、用って何?もしかして京都デートの誘い?』

 

「違う。九尾の狐を攫ったのはお前らか?」

 

『ああ、その話。うん、そうだよ。九尾の狐が帝釈天の使者と会談するために屋敷を出たところを皆で襲って拉致った』

 

こんなに軽い犯罪の告白があっていいのだろうか?

 

「て言うか、それだったら帝釈天の使者との会談も台無しになっただろ。後で怒られないか?」

 

『大丈夫じゃない?あのオッサン、かなり適当なところがあるし』

 

確かにそうだけど。でも、あのオッサン、かなり強いから怒らせると面倒だぞ。

まぁ、俺には関係のない話だ。

 

「で、目的は何だ?九尾の狐は無事だろうな?て言うか、九尾の狐を返せ」

 

『……キーくんが直接的に物事を解決しようとするなんて珍しいね。どうしたの?いつもなら簡単な物事でも面白おかしく複雑に掻き回してから解決するのに』

 

ジャンヌが本当に不思議そうに聞いてきた。

て言うか、その言い方だと俺がかなり迷惑な奴みたいに聞こえるんだが。まぁ、間違ってないけど。

 

「九尾の狐の娘が九重って言うんだがな。物凄く可愛いんだよ。で、その子が母親を拉致られて悲しんでいる」

 

『なるほど。キーくん、ロリコンだから可愛い幼女に弱いもんね。キーくんの気持ちは分かるよ。私も可愛いショタが悲しんでいたら助けたくなるからね』

 

何か勝手に納得されてしまった。大まかには間違ってないけど、一つだけ間違っている。

俺はロリコンじゃない。ロリでもいけるだけだ。

 

『でも、残念ながら目的はまだ言えないの。キーくんが連絡してきても言ったら駄目、って曹操に口止めされているから』

 

目的なんて今回はどうでもいい。花蓮に電話して居場所が分かったら、一気に乗り込んで事件は解決だからな。

花蓮なら口止めされていても教えてくれるはずだ。

 

「じゃあ、現在、九尾の狐はどうなっている?変なことはしてないよな?」

 

『九尾の狐なら今、隣の部屋で曹操と合体してるよ。もちろん性的な意味でね』

 

「……は?」

 

一瞬、ジャンヌが言った言葉の意味が理解できなかった。

え~と、今のマジか?聞き間違いだよな?

 

「もう一度、言ってくれ」

 

『だから隣の部屋で曹操が九尾の狐と合体しているの。声がうるさかったから、今はゲオルクに頼んで結界を張っているから声は聞こえないけどね、さっきまで喘ぎ声とか凄かったんだから』

 

マジか。どうリアクションをしていいか分からないんだが。

何か予想通りにまた予想外の出来事が起きてしまった。予想通りなのに予想外ってのも変な話だが。

 

「……何でそんなことになっているんだ?曹操が捕虜にそんな非人道的な扱いをするとは思えないんだが」

 

『九尾の狐の大きなおっぱいに誘惑されて簡単に堕ちちゃったのよ。英雄派はホモばかりで相手がいなくて色々と溜まっていたんじゃない?それにキーくんも知っている通り、曹操って獣耳が好きだし』

 

いや、知らねぇよ。初耳だ。

曹操って獣耳属性だったのか。小猫と黒歌が近付けないようにしないと。……いや、黒歌はどっちでもいいか。

にしても八坂は何の目的で曹操を誘惑したのだろうか?取り入って逃がしてもらう作戦か?

 

『多分、今キーくんが考えているようなことはないと思うよ。理由はただの欲求不満みたいだから。何か若いイケメンの男が好きみたい。キーくんも気を付けた方が良いと思うよ』

 

「そうか。情報感謝する。それと花蓮が誰かに英雄派と一緒にいるところが見付かったら、お前らが拉致ったことにしたおいてくれ。花蓮が英雄派と繋がっていることがバレたら俺に迷惑がかかるからな」

 

『いいよ。その代わり今度、私の性欲処理を手伝ってね』

 

俺は返事をせず、電話の向こうで騒いでいる花蓮を無視して電話を切った。一応、電源も切っておくか。

さて、どうやって九重に状況を説明しようか。さすがに『九重の母親は知らない男とイヤらしいことをしている』と説明するわけにはいかないし。マジでどうしよう。




番外編で九重と八坂の親子丼とか、九重とオーフィスのロリコンビを書きたいと思っている自分がいます。
でも、オーフィスと違ってリアル幼女の九重はさすがに色々とマズイよな、と現在葛藤中です。
マジでどうしようか。
仮に書くとしたら本編終了後になると思います。

では感想待ってます。

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