ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第102話 騎馬戦

俺は今、他の人達がいるところから離れた場所に皆で集まって弁当を食べている。ちなみに弁当はルフェイとレイナーレが作ったもので、かなり美味しい。

だが、俺は困っている。その原因に対して俺は文句を言う。

 

「おい、イルにネル。さすがに二人で膝の上に乗るのはやめてくれ。俺が食べられない」

 

準備が終わって座った瞬間にイルとネルが俺の膝の上に座ってきた。抵抗する暇もなかった。いや、抵抗なんてしないけど。

 

「えー、いいじゃん」

 

「私達、たまにしかお兄さんに会えないんだし」

 

二人がおにぎりを食べながら不満げに言う。

 

「いや、昨日も会っただろ」

 

昨日は花蓮と百合百合なことをしていたので撮影をした後で俺も参加した。

何故か百合だからと言って、女装させられたが。最近、女装の回数が増えてないか?

 

「そうだけどね」

 

「でも、私達がお兄さんと会う機会が他の人達と比べて少ないのも事実でしょ?」

 

それはそうだけど。でも、結構な頻度で俺の家に来てるぞ。

 

「だったら、どっちかは花蓮の方に移動してくれ。そして後で交替すればいいだろ」

 

花蓮が二人を手招きしている。それを見てイルとネルがジャンケンを開始した。

だが、双子のコンビネーションが発揮して決着がつかない。

 

「大丈夫です、ご主人様。ここはご主人様の性奴隷であるところの私がアーンしてあげますから」

 

レイナーレが胸で俺の右腕を挟みつつ、箸で掴んだタコさんウインナーを口元に差し出してくる。

ここは無視が得策だな。

 

「そう言えばライザーはどうしてるんだ?」

 

「ご主人様、無視ですか!?」

 

無視だ。この流れに乗ったら間違いなく面倒臭いことになる。

家でならともかく外では恥ずかしいから嫌だ。

 

「ライザーなら確かグリゴリの方に行ったよ」

 

「あれは間違いなく女だね。最近、ユーベルナの機嫌が悪いし」

 

主を呼び捨てか。まぁ、今更だな。

にしても、ライザーがグリゴリに女ねぇ。そんな噂は聞いてないが多分、夏休みの実験の時に作ったんだろう。

さすが女ったらし。やるな。

 

「霧識も同じようなものにゃ」

 

「何回言ったか分からないが俺の心を読むな、黒歌」

 

気にしても無駄なのは分かっているが、とりあえず言っておく。

 

「ああ、もう!我慢できない!」

 

そう言うと花蓮が勢いよくこっちに飛び込んできた。

頼むから飯の時だけでも静かにしてくれ。

 

 

 

 

 

 

運動会も終盤になり競技は騎馬戦。

さっきした玉入れが原因で各勢力のテンションがおかしくなっている。軽く戦争状態だったからな。

そんな状態での騎馬戦。間違いなく一波乱あるな。

ちなみに俺の騎馬はレイナーレよりも前に調教の実験台になってもらった堕天使の女三人だ。調教は上手くいっているのでコンビネーションに問題はない。

 

「ここで直接対決か。盛り上がってきたぜ」

 

俺の隣にいるコカビエルの目が血走っている。久し振りの戦闘でテンションが変になっているようだ。

ここは巻き込まれたくないし関わらない方が良い。

 

『それでは騎馬戦スタートです!』

 

スタートと同時に各勢力の騎馬が勢いよく飛び出していく。

って、コカビエルがすでに光の槍を構えている!

マジで死者が出ないか心配だ。と言うより、今まで死者が出ていないことの方が不思議だ。

 

「戦争の始まりだ!」

 

コカビエルが極大の光の槍をぶん投げる。

それに呼応するかのように悪魔や天使達も攻撃を開始する。

 

「お前らまとめて滅びやがれ!悪魔こそが最強じゃ!」

 

「最後の審判だ!」

 

これは駄目だ。もう戦争はとめられない。コカビエルの望んだ通りになったわけか。

こんなものに巻き込まれたら間違いなく俺は死ぬ。逃げるしかない。

俺は指を差しながら騎馬に指示する。

 

「お前ら、あっちに移動しろ。あっちはまだテンションが普通だ」

 

「分かりました、七瀬様」

 

とりあえず逃げながら、倒せるところは倒すことにしよう。

ん?移動方向から堕天使や天使の騎馬を複数吹き飛ばしながら何かが近付いてくる。

げっ!あれはサイラオーグ!

こっちも駄目か。どこに逃げればいい?

そんなことを考えている内にサイラオーグが目の前まで来ていて、俺に拳を繰り出してきた。

俺はそれを体を捻ってギリギリ避けることに成功する。

 

「うおっ!」

 

マジか。風圧で態勢が崩れそうになったぞ。

どんだけ凄いパンチなんだよ。

 

「ほぉ……俺のパンチを避けるとはやるな」

 

サイラオーグが獲物を見付けた獣の目をしている。こいつも戦闘狂か。

これは非常にマズイ展開だ。恐らくサイラオーグは俺と相性が悪い。マトモに戦って勝てるとは思えない。

俺が指示を出す前に騎馬がバックステップでサイラオーグから距離を取る。

 

「だが、男が女の上に乗るというのは感心できんな」

 

真面目な性格のサイラオーグは変なところが気になるようだ。ここは話し合いで隙を作って逃げるか。

 

「大丈夫だ。こいつらは好きでやっているんだから」

 

「そうなのか?」

 

「はい!私は七瀬様に乗られて光栄です!何なら踏まれたり殴られたりしても大丈夫です!というより歓迎です!」

 

サイラオーグの質問に先頭の騎手が恍惚とした表情で答える。

英雄派はホモが多いけど、堕天使はマゾが多いみたいだ。

 

「……そ、そうなのか」

 

サイラオーグが引きずった顔をする。修行一筋の人生を送ってきたサイラオーグには縁のない話だったみたいだな。

だが、これで隙は出来た。

俺は騎手に指示を出す。競馬みたいに鞭で叩ければ一番なんだが無理なので代わりに肩を叩く。

 

「今度はあっちに逃げろ」

 

「分かりました!」

 

騎手が嬉しそうにしながら走り出す。

会話中に周りを見渡したのだが、何故かリアス・グレモリーとガブリエルがいる地域だけ普通の騎馬戦がおこなわれている。

 

「待て!逃がすか!」

 

サイラオーグが追い掛けてきた。

俺のことは無視して他の奴等を倒せよ。男になんかモテても嬉しくないぞ。

俺は振り返りながら魔術の球をサイラオーグに向かって放つ。

 

「ふん」

 

「嘘だろ!」

 

サイラオーグが俺の魔術を裏拳気味に軽く弾いた。

効かないのは分かっていたけど、魔術を素手で軽々しく弾くとは。本物の化け物じゃねぇか。

本当にリアス・グレモリーと同じ若手か?レベルが違うぞ。

あ、流れ弾で天使の騎馬が倒れた。

 

『皆さーん、ここであの戦争の続きを始めないでくださいーい!再現されてますよ!』

 

アナウンスが絶叫しながら全員に注意する。

 

「ほら、アナウンスもこう言っていることだし戦闘はやめて平和にいこう」

 

「俺がやっているのは戦闘じゃなくて騎馬戦だ」

 

本当か?獲物を見付けた獣の顔をしているぞ。

 

「フハハハッ!楽しいぞ!和平を結んだ後のことは知らないが、お前らも不満はあるだろ!?それをここでぶつけろ!」

 

テンションがマックスになっているコカビエルが騎馬から離れて、羽を広げて空中から皆を煽る。

コカビエルは和平のためにも解放しない方が良かったんじゃないか?メリットよりもデメリットの方が多そうだぞ。

 

『特にコカビエル!戦争を煽動すんじゃねぇ!いいぞ!もっとやれ!ヒャッハー!』

 

おい、このアナウンス、ノリノリだぞ。全く止める気がないじゃねぇか。

いや、そんなことはどうでもいい。まずはサイラオーグだ。

……ここはアレを使うか。

俺は祓魔弾の早打ちでサイラオーグのハチマキを狙う。

 

「この程度で俺は倒せんぞ」

 

……マジで?

発射音のない祓魔弾での不意討ちを避けやがった。しかもサイラオーグは俺が祓魔弾を持っていることを知らなかったはずなのに。

倒せる気がしない。

 

「きゃああああっ!」

 

「いやぁぁぁぁっ!」 

 

急に叫び声が聞こえたので見てみると、少し離れたところで堕天使と天使の選手が裸になっていた。堕天使の中には何故かポーズをとっている奴もいる。

これはイッセーのドレス・ブレイクか。

悪魔や堕天使の男連中は鼻血を噴き出し、天使の男連中は自分の欲望と戦っていた。羽が点滅している奴もかなりいる。

この程度で堕天のピンチに陥るなんて天使は大変だな。花蓮が天使化を断ったのも頷ける。

 

「天使共は堕とせ堕とせ!女の裸を見ただけで堕天しかけるなんて普段から溜まってる証拠だぜ!」

 

アザゼルが高笑いしていた。イッセーを煽ったのはお前か。

だが、俺にとっては都合が良い。

鼻血は出していないがサイラオーグも動揺している。

今のうちに人混みに紛れればサイラオーグも追って来れないだろう。

 

「ん?あれはライザーか」

 

進行方向に鼻血を出しながら無言で裸の女を凝視しているライザーがいた。

アルマロスの実験で生まれ変わったが、根本的なところは変わっていないらしい。

俺は後ろから静かに近付いてライザーを押す。すると、ライザーは顔面から地面に倒れ込む。

鼻血は最初から出してるし気にしなくていいだろ。

 

「良いところだったのに邪魔するんじゃねぇ!」

 

ライザーが俺を睨みながら文句を言う。

騎馬戦よりも女かよ。

俺はライザーを無視して同じように裸の女を凝視している悪魔共を倒す。

 

『おーと、ここでレーティグゲーム王者のディハウザー・べリアルがコカビエルと激突だぁぁぁぁっ!』

 

何か面白そうなことになっているみたいだ。俺も様子を見に行こう。

 

「王者様の登場か。俺と戦うなら騎馬から降りな」

 

「そんなことをしたら失格になってしまう。それに君程度を相手にするのに降りる必要があるとも思えない」

 

ディハウザー・べリアルは王者らしく威風堂々とコカビエルと対峙する。

 

「面白れぇ。そこまで言うなら王者の実力を見せてもらおうか!」

 

「言われるまでもない」

 

コカビエルとディハウザー・べリアルの戦闘が開始した。いくら王者でも騎馬に乗ったままじゃコカビエルに勝てるとは思えないが。

 

「中々、面白いことになってきたじゃねぇか。ここいらで俺達も決着を着けないか、ミカエル」

 

「それもいいですね」

 

「だったら私も混ぜてもらおうか」

 

少し離れたところではアザゼル、ミカエル、サーゼクスのトップ三人による戦闘が開始しようとしていた。

 

「これは俺も参加するしかないな!」

 

観客席で観戦していたはずのヴァーリが禁手になって参加してきた。

 

「面白そうな祭りだよ、お兄ちゃん。私達も参加しようよ」

 

「そうだな、可愛い妹よ」

 

俺の両親まで参加してきた。

お前ら、競技には参加してなかったはずだよな!?何でここにいるんだ!?

 

『おい、てめぇら!観客が飛び入り参加してんじゃねぇ!収拾がつかなくなるだろうが!』

 

いや、どっちにしても収拾はつかないと思うが。

これは俺の手に余る事態だ。逃げよう。

 

「フハハハッ!面白くなってきた!これが俺の望んだ展開だ!」

 

俺は高笑いするコカビエルを尻目に撤退して観客席から様子を観察することにした。

その後、戦闘の余波でフィールドは崩壊して運動会は中止。奇跡的に死者はいなかったらしい。

もちろん重傷者は大量に出たが。




今回、主人公は特に何もしていませんが、復活したコカビエルのせいで原作よりも大変なことになりました。
コカビエルの次の出番は未定ですが、隙があれば出していこうと思います。

では感想待ってます。

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