ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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遂に100話達成です。プロローグも合わせれば101話です。
ここまで続くとは思っていませんでした。本編の方は終わりが見えてきましたが、これからも頑張って書いていきます。



第100話 復活

「ねぇ、霧識ちゃん。運動会しない?」

 

「……は?」

 

学校帰りに図書館に寄っていると魔法少女の格好をした魔王が現れた。

周りの視線が痛い。

 

「だから運動会だよ。今度、テレビの企画でやることになってね。霧識ちゃんもどうかな、って誘いに来たんだよ」

 

「……はぁー」

 

適当な返事をする俺。

さすがの俺もいきなり状況についていけない。

運動会の企画なんて俺は聞いてないぞ。それに何で魔王が直接、俺をオファーしに来てるんだ?

意味が分からない。

 

「どうしたの?何かやる気のない顔して」

 

レヴィアたんが下から俺を覗き込みながら首を傾げる。

ただでさえ可愛いのに、そんな仕草されたら魔王でも押し倒すぞ。

 

「正直、小学生の運動会ならともかく大人の運動会になんか興味ない」

 

「え~、それは残念だな。霧識ちゃんが企画に参加してくれるなら給料代わりに私の新しい魔法少女服の独占撮影をさせてあげようと思っていたのに」

 

レヴィアたんがくるっと回転して後ろを向きながら言った。

そんな手に乗る奴がいるのか?

俺は即答する。

 

「OK。運動会に参加しよう」

 

そんな手に乗る奴がここにいた。

レヴィアたんの独占撮影みたいなおいしい話を断る俺ではない。

レヴィアたんが計画通りみたいな顔をしているが気にしない。

 

「じゃあ、これにサインしてね」

 

可愛らしい笑顔でレヴィアたんが一枚の紙を渡してきた。どうやら登録用紙みたいだ。

 

「勝手にうちの選手を引き抜かないでください!」

 

一旦、持っていた本をレヴィアたんに渡してから用紙にサインをしようとした瞬間にグリゴリ副総督のシェムハザさんが現れた。

何でシェムハザさんがこんなところに居るんだ?

 

「くっ……。まさかこんなに早く刺客がやって来るとは」

 

そう言うとレヴィアたんが本を落として悔しそうな顔をしながら、この場から早く去っていく。

おい、本は大事にしろ。そして図書館では静かにしろ。

 

「もうすぐで七瀬くんが悪魔側の選手にされるところでした」

 

シェムハザさんが疲れたように息を吐く。

俺はレヴィアたんが落としていった本を拾いながら質問する。

 

「これは何の騒ぎですか?」

 

「実は今度、三大勢力で運動会をすることになりましてね。そこでセラフォルー・レヴィアタンが君をスカウトしに来たんです。さすがに魔王直々に現れるのは予想外でした」

 

ふ~ん、スポーツ大会じゃなくて運動会か。何か平和な響きだな。

て言うか、テレビの企画というのは俺を引き抜くための嘘だったのか。

 

「でも、何で俺をスカウトしに来たんですか?正直、俺の身体能力はそんなに高くないですよ」

 

「君みたいなタイプは味方にしている方が安全ですからね。敵にしたら確実にペースを乱されます」

 

確実に、って。俺はバグか何かか?

平和なゲームなら俺も普通にプレイするぞ。

あれ?俺が悪魔側の選手として参加しないということは、もしかしてレヴィアたんの独占撮影もなくなったのか?今からでも悪魔側の選手として参加できないかな。

後で知ったことだが、この裏でアザゼルがイッセーをスカウトしたがサーゼクスに邪魔されて失敗したらしい。

 

 

 

 

 

 

パン!パン!パン!

運動会の花火が鳴る。

運動会の会場はレーティグゲーム用のゲームフィールドで出来ており、かなり広い。

服装は全員ジャージ。堕天使が黒、天使が白、悪魔が赤となっている。もちろん俺は堕天使のチームなのでジャージは黒だ。

ちなみにレヴィアたんの独占撮影は会長の盗撮写真を渡すことで成功した。色んな意味で満足できる結果だった。

 

「久し振りのシャバだ。今日は大暴れしてやるぜ!」

 

俺の後ろにいたコカビエルがテンション高めに叫んだ。

 

「やり過ぎて相手を殺すなよ。……ってコカビエル!?何でここにいるんだ!?貴様は死んだはず!」

 

何か普通にいたので気付くのに遅れてしまったが、何でコカビエルがいるんだ?

中には驚いている奴もいれば普通にしている奴もいる。

 

「お前にベーコンにはされたが死んでねぇよ」

 

コカビエルが不機嫌そうに答える。

そう言えばコキュートスに永久冷凍されただけで死んでなかったんだったな。って、ここにいたら永久じゃないじゃないか。

 

「ああ、そうだったな。葬式をした上にグリゴリにはコカビエルの遺影があるから忘れてた」

 

ちなみに俺は葬式には参加せずルフェイとデートしていた。

 

「はぁ!?そんな話、聞いてないぞ!何で俺の葬式なんてやってんだよ!?」

 

コカビエルがアザゼルに文句を言う。それに対してアザゼルは耳をほじりながら適当に答える。

 

「仕方ねぇだろ。本来ならずっとコキュートスで冷凍されているはずだったんだ。そんなのは死んでいるのと同じだろ?だから仲間としては葬式ぐらいはしてやろう、って話になったんだ」

 

「実際はその後の打ち上げで盛り上がるのが目的だったらしいけどな。葬式は五分ぐらいで終わって、打ち上げは徹夜でやったって話だ」

 

アザゼルが人差し指を口に当ててながら、余計なことを言うなと目線で言っている。もう遅い。

俺はアザゼルに怒るコカビエルを無視してシェムハザさんに質問する。

 

「何でコカビエルを解放したんですか?」

 

「仲間を利用するだけ利用して使い捨てにするのは酷いんじゃないか、って各勢力に怒られましてね。それで今回、特別にコカビエルを解放することにしたんです。和平を結ぶのに悪い印象を持たれては都合が悪いですからね」

 

なるほど、そんな事情があったのか。政治的判断というヤツだな。

全く知らなかった。

まぁ、グリゴリ内でのコカビエルの扱いが知られたなら擁護する奴が出てきてもおかしくないか。俺でも同情するほどだからな。

 

「と言うことは、和平のためにコカビエルをわざと放置していたことがバレたんですか?」

 

「ええ。アザゼルが酒の勢いで暴露してしまったんです。その情報はトップの人達の間の秘密にして一般には公開しないように話はまとめましたが」

 

俺はアザゼルの馬鹿さ加減に思わず頭を抱える。本当にこんな馬鹿が組織のトップで良いのか?

まぁ、情報を公開しないと言うのは分かる。ここまで進んだ和平をやめるのは難しいし、下手したら戦争になるからな。

 

「ただ、私としてはコカビエルを解放する機会を狙っていたので都合が良かったですが」

 

「何故ですか?」

 

「……私が疲れたからです。コカビエルがいなくなってマトモな人員が減ったのに和平関連で仕事は増える。しかもアザゼルは私に仕事を押し付けて遊び倒す。正直、何度アザゼルのクソ野郎を殺そうと思ったことか……」

 

本当に疲れているのか若干、病んだ顔をしている。最近、病んでいる人が多いな。

すみません!これからは出来るだけシェムハザさんに迷惑がかからないように気を付けながら遊びます!

 

「ん?あれはイッセー達とミカエル」

 

俺は少し離れたところにグレモリー眷属とミカエルとイリナ、それと会ったことのない天使が一人いるのを発見した。

 

「お、本当だ。一応、挨拶しとくか」

 

俺の言葉でミカエル達に気付いたアザゼルが皆の方に歩いていく。

その様子を見たコカビエルが更に激昂する。

 

「アザゼル!まだ話は終わってないぞ!」

 

「うるせぇな。バラキエル、コカビエルを頼んだ」

 

アザゼルが鼻をほじりながら適当に対応する。

部下もいるんだから少しは真面目にしろ。そんなんだからグリゴリ内においてシェムハザさんの方が威厳があるんだ。

 

「私も朱乃に挨拶に行きたいんだが」

 

そう言うとバラキエルは娘のところに向かって歩き出す。

そう言えばロキ戦の時に姫島朱乃を庇ったことがきっかけで少しは仲直りしたみたいなことを言っていたな。まぁ、まだイッセーのことは敵視しているようだが。

 

「ちっ。娘馬鹿が。だったらシェム――」

 

「お断りします」

 

シェムハザさんはアザゼルの要求を最後まで聞かずに一刀両断した。

俺はアザゼルに面倒事を押し付けられる前に逃げてミカエル達のところにいく。何か叫び声が聞こえたような気がするが無視だ。

 

「久し振りだな、ミカエル」

 

「久し振りですね。ところでアザゼルはいないのですか?」

 

ミカエルが周りを見渡しながら不思議そうにする。俺はアザゼルがいる場所を指差しながら答える。

 

「あそこでコカビエルと喧嘩してる」

 

「ハハ。楽しそうで何よりです」

 

アザゼルに対して怒鳴っているコカビエルを見てミカエルが笑う。いや、大変そうにしているアザゼルを見てか?

 

「何でコカビエルがいるんだ!?」

 

イッセーを始めとした事情を知らないグレモリー眷属が驚いているが、俺は無視してイリナのところに行く。

 

「イリナは驚いていないようだが知っていたのか?」

 

「さっきミカエル様から聞いたわ」

 

そう言えばイリナってたまに忘れそうになるがミカエルのAだったな。だったら聞いていて普通か。

気付いたら俺はイリナの頭を撫でていた。イリナは気持ち良さそうにしていたが、すぐに顔を真っ赤にして後ろに下がる。

 

「ちょ、何で自然な流れで私の頭を撫でているのよ!?」

 

「ん?思わず頭を撫でたくなるほど可愛いから」

 

可愛い女の子がいたら撫でるのは当たり前だ。人がいない場所なら頭以外も撫でる。

 

「だから何でそんなにストレートに表現できるのよ……。言われるこっちも恥ずかしいんだから」

 

俯いて若干、不機嫌そうな口調で言うが満更でもないようだ。

その証拠に顔がニヤついてる。そして何より背中の羽が点滅している。

 

「前にも言ったような気がするが、俺は思ったことは正直に言うんだよ。特に可愛い女の子が相手の時はな」

 

俺が再度、頭を撫でながら言うとイリナは「あぅ……」と更に顔を真っ赤に恥ずかしそうにする。

 

「ミカエル様のAを誘惑しないでくれますか」

 

後ろから声をかけられたので、振り返るとさっきイッセー達と話していた会ったことのない天使がいた。

にしても、凄い美人だな。それに胸が凄い。

俺はイッセーと違って胸単体に拘ることはないが、それでもこれは素晴らしいと思える。とりあえず透視能力で見てみよう。大きいのに形が崩れることもなく良い形をしている。

 

「え~と……」

 

「あ、自己紹介がまだでしたね。わたくし、四大セラフのガブリエルと申します」

 

俺がどうしたらいいか迷っていたら自己紹介してくれた。

この人が天界一の美女にして、天界最強の女性天使のガブリエルか。確かレヴィアたんがライバルだとか前に言ってたな。

 

「初めまして。グリゴリ所属の神器使い、七瀬霧識です」

 

「噂はミカエル様から聞いています。面白い人間だそうですね」

 

あれ?今までに会った噂を聞いた人は俺のことを変人だと思っていたのに、ガブリエルは何故か好印象みたいだ。

情報の出所がミカエルだからか?

にしても、ガブリエルみたいな穢れを知らなそうな美人を凌辱して快楽に溺れさせて堕とすというのは興奮しそうだな。

 

「それは犯罪です、変態先輩!」

 

「イタッ!」

 

小猫に頭をハリセンで思いっきり叩かれた。

馬鹿な。今のは完全にポーカーフェイスだったはずだ。

心を読まれるはずがない。もしかして猫又じゃなくて(さとり)なのか?

 

「おいおい、変態先輩は俺じゃなくてイッセーだろ?」

 

「いえ、今の霧識先輩は確実に変態でした」

 

くっ……。否定できない。

いや、ガブリエルは美人だし健全な男なら変な考えが浮かんでも仕方無い。実際、堕天使の中にはガブリエルが理由で堕ちた奴も結構いるみたいだし。

 

「……いつも都合の良いことを言ってますけど、やっぱり先輩もスタイルが良い女性の好きなんですか?」

 

小猫が体をモジモジさせながら拗ねたように言う。めちゃくちゃ可愛い。

俺は空いている方の手で小猫の頭を撫でる。

 

「確かにスタイルの良い女性は嫌いじゃない。でも俺は小猫とガブリエルなら間違いなく小猫を選ぶぞ。それぐらい小猫は可愛いんだから」

 

「……本当ですか?」

 

「本当だ。小猫なら俺が嘘を言っているかどうか分かるだろ?」

 

俺がそう言うと小猫は恥ずかしそうに俯く。俺が嘘を言っていないことを理解したのだろう。

にしても、この状況は幸せ過ぎるな。可愛らしく照れている可愛い女の子を両手で撫でている。

 

「七瀬さんって女性を口説くのが得意なんですね。いわゆる天然ジゴロというヤツですね」

 

俺の様子を見てガブリエルが勝手に一人で納得している。俺は天然ジゴロじゃないぞ。俺は可愛い女の子が喜ぶことを計算でやっている。もちろん嘘をついたりはしない。

まぁ、ガブリエルの勘違いを訂正する必要はないだろ。

 

『各勢力の選手の皆さま、中央グラウンドにて開会式を開始致しますので、集合してください。繰り返します。各勢力の――』

 

ん?会場アナウンスか。そろそろ開会式が始まるみたいだな。




この記念すべき100話でコカビエル復活です。
実はかなり前からコカビエルの復活は考えていました。ただ機会がなくて、こんなに遅くなりましたが。

では感想待ってます。
後、活動報告で募集している短編のアイデアも待ってます。

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