ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第99話 バイト

「……これは爽快だな」

 

俺は目の前にいるケルベロス、ゴグマゴグ、フェンリル、スコル、ハティ、量産型ミドガルズオルム二匹を見て呟いた。

怪獣映画よりも凄いことになっている。これだけの戦力があれば日本の都市部の破壊ぐらい余裕だろう。

ただフェンリルが小さくなっていることが気になるが。詳しいことは分からないが支配の聖剣に加えてグレイプニルやヴァーリの覇龍化が原因でこうなったらしい。

今は子フェンリルの方が大きいし親フェンリルよりも強いんじゃないか?

 

「でも、これだけいると餌とかどうしましょう?」

 

ルフェイが困ったように言った。ルフェイの困っている姿も可愛い。

 

「確かにそれは問題だな。むやみやたらにペットを拾うべきじゃなかったか?」

 

「犬や猫みたいに言うんじゃないにゃ。大体、拾ったんじゃなくて盗んだ、が正しいにゃ」

 

黒歌に正論を言われた。何か悔しい。

 

「まぁ、細かいことは気にしないようにしよう。今の問題はこいつらの餌だ。飼う以上は捨てたりしたくないからな」

 

「だったら面倒だし、適当にカップ麺とかいいんじゃないか?」

 

美候が手を頭の後ろで組みながら頭の悪い提案をした。

 

「伝説の魔獣にカップ麺を食べさせる気か?」

 

「良いじゃねぇか。カップ麺、美味しいぜぃ」

 

カップ麺が美味しいのは認めるけど。でも、カップ麺で良いのか?て言うか、子フェンリルや量産型ミドガルズオルムの巨体じゃあカップ麺では足りないだろ。

 

「……餌よりも先に私を心配してほしいものです」

 

声がした場所を見てみると地面に座り込んで肩で息をしているお義兄さんがいた。

 

「大丈夫か?」

 

「……大丈夫じゃないですよ。こんなに連続で支配の聖剣を使ったら疲れます。貴方も使えるんだから手伝ってくれても良かったじゃないですか」

 

「だからスコルは俺がしただろ」

 

て言うか、ルフェイに頼まれて自ら張り切ってやったんだろうが。疲れているようだったら俺も手伝うつもりだったのに。

 

「スコルに関しては最初からほとんど調教が完了していたじゃないですか」

 

「獣の調教は得意だからな」

 

多分、スコルに関しては支配の聖剣を使わなくても大丈夫だっただろう。まぁ、念のために使ったけど。

 

「本当、ご主人様の調教技術って凄いですよね。思い出しただけでも興奮してきます。ああ、また調教されたい……。と言うよりグチャグチャにされたい」

 

「何百回言ったか分からないが少しは自重しろ」

 

うっとりとした表情のレイナーレにツッコむ。

このままだと警察にいつ捕まるか分かったものじゃない。でも、何をしても喜ぶだけだし。本当にどうしたものか。

とりあえず家に帰ったら座ろう。

 

「そんなことよりも、こいつらの飯はカップ麺でいいだろ?」

 

「お前にはカップ麺以外の選択肢はないのか?」

 

何で美候はこんなにカップ麺に拘るんだ?意味が分からない。

 

「それよりも今度のイベントの話なんだが」

 

「それはまだ企画段階だ!」

 

何かイラッときたので思わず大声で言ってしまった。て言うか、何でヴァーリがいるんだよ。どうせ幼女の話しかしないだろうから呼んでないのに。

 

「ハァー、考えるのも面倒だしバイトでも雇うか……」

 

「バイトですか?」

 

「そうだ、ルフェイ。日給五万円ぐらいで雇って、後は食材通達から全部、そいつに丸投げしよう」

 

よく考えたらこいつらが喧嘩でもしたら大変だし、この場所の管理人的な人が必要だな。

雇うなら英雄派か魔法使いの連中で金に困っている奴にするか。日給五万円なら多少命懸けでも喜んでやってくれるだろう。もちろん経費などは別で出す。

 

 

 

 

 

 

翌日、俺は自分の部屋のリビングで机を挟んで銀髪の男性とバイトの面接をしていた。

 

「と言うわけで、今日から頼めるか、ユーグリット」

 

「むしろ望むところです。カメラ等の機材を買うのにもお金がいりますからね」

 

これでペットの問題は解決だな。何となく連絡を取ってみたら二つ返事でOKしてくれた。

まぁ、ユーグリットは死んだことになってるからマトモな仕事は出来ないしな。それにユーグリットの実力なら大丈夫だろう。

ちなみにユーグリットの前にフリードも面接したけどバイトの内容を話したら逃げられた。

 

「ところで、そんなに金に困ってるのか?」

 

正直、そんなイメージはないんだが。

 

「ええ。姉を追い掛けるのに忙がしくて仕事をしていませんならね。一応、禍の団には所属していますけどテロとか興味ないですし」

 

相変わらずストーカーを頑張っているようだな。俺でもないのに何でバレないのかが不思議だ。

 

「……まぁ、私から姉を盗った義兄上には死んでほしいと思ってますけどね」

 

ユーグリットが一瞬、ゾッとするほどの殺気を放った。完全に病んでやがる。シスコン恐るべし。

とりあえず話題を逸らそう。そして、これからユーグリットの前ではサーゼクスの話題を出さないようにしないと。

 

「これで説明は終わったが、他に何か質問とかあるか?」

 

「質問……というより要求になるのですが」

 

「よっぽどの内容じゃなきゃ聞くが」

 

グレイフィア・ルキフグスの写真を要求してきたりしたら、どうしよう?グレイフィア・ルキフグスの写真はないぞ。

 

「出来れば簡単でいいので家がほしいのですが」

 

「家?今まではどこに住んでたんだ?」

 

予想していた内容とは違うな。

 

「今までは禍の団に用意してもらったホテルとかに住んでました。でも、私も完全に一人になれる空間がほしいんです。ホテルでは常に誰かに監視されてましたからね」

 

一人になって何をする気だ?

まぁ、それはいいとして家か。

こうなったら英雄派からフリードを借りてプレハブ小屋でも作らせるか。もちろん、タダ働きで。

 

「OK。それぐらいの要求なら大丈夫だ」

 

俺はそう返事した。

 

 

 

 

 

 

オーディンが会談を無事に終えて帰ったある日の放課後、俺はオカルト研究部の部室で修学旅行のしおりを見ていた。

そう言えばバラキエルも今日帰るんだったな。皆に頼まれた日本のお土産物をアザゼルと買いに行くとか言っていたような気がする。

後、今朝、姫島朱乃が何か弁当を作っていたな。あれは誰に作ったんだろうな?少なくともイッセーではないようだが。まぁ、どうでもいいか。

 

「……ところで何してんの、お前ら」

 

俺の膝の上に座って仲良くお菓子を食べている小猫とレイヴェルに聞く。

俺としては二人のお尻の感触を同時に感じられて気持ち良いけど。

少し離れたところではイリナ、アーシア、ゼノヴィアの教会トリオが下着の話をしているのが聞こえる。また桐生に変なことでも吹き込まれたか?

 

「学年の違う私達は一緒に修学旅行に行けませんからね。今のうちに霧識先輩に多く触れておきたいんです」

 

なるほど。そりゃ嬉しい話だな。

でも、夜に魔方陣で来てくれたら普通に相手するぞ。

 

「……やっぱり私もルフェイさんと一緒に二年生に編入するべきでしたわ」

 

レイヴェルが溜め息をつきながら言った。

今さらそんなこと言われても困るな。いや、頑張ればどうにかなるか?

さすがにする気はないけど。でもレイヴェルを悲しませるのも嫌だ。

 

「じゃあ、今度、個別に二人っきりで旅行に行くか」

 

俺はしおりを横に置いて二人の頭を撫でながら言った。

 

「私は旅行よりも先輩が女装してくれる方が嬉しいです」

 

若干、興奮したように言う小猫。

どんだけ俺の女装が気に入ってんだよ。俺は嫌だぞ。普通に旅行にさせろ。

 

「私はヨーロッパの方に行ってみたいですわ」

 

レイヴェルが旅行に行った時のことを想像しているのか少し上を見ながら言った。

マジか。冬休みはまだ先だし、祝日を利用した連休で行くのは疲れるぞ。魔方陣で行くのは風情がなくて嫌だし。

まぁ、学校はサボればいいし、仕事は誰かに押し付ければいいか。

 

「もう終わりだわ!」

 

部室の中央で女性の悲鳴をあげる声が聞こえた。目線を向けてみるとロスヴァイセが号泣していた。

どうやらオーディンのジジイに置いていかれたらしい。オーディンのジジイが帰る時にロスヴァイセがいないことに気付いていたが、何か別の仕事でもあるのだろうと思ってあえてツッコまなかったが、まさか普通に忘れられていたとは。

まぁ、連絡が来ないということはそういうことなのだろう。

 

「これ、リストラよね!私、上司がエロジジイでも頑張って働いていたのに日本に置いていかれるなんて!私が処女だから!誰も好きで処女なわけじゃないのよ!処女で何が悪い!」

 

完全にやけっぱちだ。て言うか、後半は関係ない。

 

「七瀬さん、あのクソエロジジイと仲良かったですよね!?どうにかなりませんか!?」

 

呼び方がパワーアップしてクソがついてしまった。この何気に失礼なところがリストラの理由じゃないだろうか?

 

「無理だ。こっちから、あのクソエロジジイに連絡は取れない。それに取れたところで俺に人事に口出す権利はない」

 

まぁ、今まで権利がなくても色々とやってきたけど。

 

「……先輩までクソをつけますか」

 

小猫がジト目で言ってきた。思わずロスヴァイセの呼び方がうつってしまった。

 

「そうですか……」

 

「そこまで落ち込まなくても良いと思うぞ。戦乙女なんかより割りのいい働き先がある」

 

「え?何ですか!?」

 

ロスヴァイセが勢いよく顔を上げる。本気すぎて少し怖い。

そんなロスヴァイセの肩にリアス・グレモリーが手を置く。

 

「この学園で働けるようにしたから大丈夫よ」

 

そこからリアス・グレモリーが悪魔の囁きでロスヴァイセを買収。ロスヴァイセが駒王学園で教師として働くことが決定した。

そして一通りの説明が終わったところでリアス・グレモリーが紅い駒を取り出した。イーヴィル・ピースか。

 

「――と言うわけで、冥界で一仕事するためにも私の眷属にならない?最後の『戦車』の駒が残っているのよ。貴女にピッタリだと思うわ」

 

ロスヴァイセをグレモリー眷属に誘うか。悪くないアイデアだな。

今のグレモリー眷属は魔術要員が足りてないし、何よりロスヴァイセの実力なら即戦力として期待できる。

 

「……どこか運命を感じます。もしかしたら最初に貴方達に会った時から、こうなるのが決まっていたのかもしれません」

 

そう言うとロスヴァイセは紅いイーヴィル・ピースを受け取った。その瞬間、まばゆい紅い閃光が室内を覆い、ロスヴァイセの背中に悪魔の翼が生えた。

ふーん、『戦車』の駒一つで足りたのか。そう言えば前にシャルバがイーヴィル・ピースには隠された秘密があるとか言ってたような。

まぁ、アジュカは隠し要素とか好きだし何があってもおかしくないか。

 

「皆さん、悪魔に転生しました。元ヴァルキリーのロスヴァイセです。ぶっちゃけ、ヴァルハラよりもお金的な意味で好条件なので悪魔になってみました。どうぞ、これからもよろしくお願い致します」

 

ロスヴァイセが俺達に一礼する。

何か病んでるような表情だな。それにこんな勢いで大事な人生を決めていいのか?まぁ、そこはゼノヴィアも同じだし大丈夫か。何が大丈夫なのか分からないが。

 

「ところで七瀬さんに一つお願いがあるのですがいいですか!?」

 

ロスヴァイセが勢いよく詰め寄ってきた。顔と顔の間は一センチほどしかない。

 

「内容による」

 

「七瀬さんって色んなところに知り合いがいるんですよね!?出来れば私にピッタリの男性とか紹介してほしいんですが!」

 

「俺は結婚相談所じゃないぞ」

 

大体、そんな焦る年齢じゃないだろ。まだ若いし綺麗だから普通に頑張れば相手が見付かると思うぞ。

て言うか、恋愛関係で年下に頼るな。

 

「大丈夫です!七瀬さんが紹介するのは結婚相手じゃなくて恋人ですから!……まぁ、もちろん結婚できるのが一番ですが」

 

うわぁ、面倒くせぇ。これは確実に俺の苦労が増えるな。

まぁ、それはいいとして、これでグレモリー眷属が全員揃ったわけか。……変な奴ばっかだな。

 




これで七巻の内容が終了です。三大勢力の運動会とサタンレンジャーの話を書いたら九巻の内容に入ります。
後、本編は九巻の内容で終了にする予定です。
ただし本編終了後に短編を書きます。短編についての詳しいことは活動報告の方で書くので、そちらをご覧ください。

では感想待ってます。

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