俺、男の娘から脱却したいです。   作:yosshy3304

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今、この小説を書くことにハマっている為、意外に連日投稿となっております。気が向いたらの部分外そうかなと考えております。


俺、説明を受け、嵌められました。

姉さんに俺、総二、愛香ちゃん、その前に父さんと母さん。という並びで座り、その前にズラリと正座したスパイダーギルディ達。普段のおちゃらけた雰囲気は無く、全員が真面目な話をするのだと伝わってくる。

 

「わざわざお集まりいただきありがとうございます。」

 

仰々しくスパイダーギルディが頭を下げてくるが、父さんが気にするなと頭を上げさせた。家族内のヒエラルキーは低い父さんだが、何かあった時には一家の大黒柱として先頭に立ち、舵取りを確りとする。今回もそうなるような雰囲気の為、父さんがこちら側の代表となっていた。

 

「こうして集まって貰ったのは、我々の事をもう少し詳しく話そうと思った所存。」

 

確かにあの空に映し出された映像でもスパイダーギルディの仲間の様な事を言っていた。

 

「我々はエレメリアン。アルティメギルに所属する、人の持つ何かを愛する心『属性力』を糧に生きる、所謂怪物です。」

 

家の家族は、スパイダーギルディが家に居候始める時に聞いた話であったが、口を挟まない。総二達が知っているかどうかわからない為の復習である。

 

「そして幾多の世界を渡り歩き、属性力を狩りつくしてきました。」

「…その属性力を奪われた人たちはどうなるのだね?」

「命に別状はありません。生きる意志は本能なので、属性力を奪われたからと言って死ぬ訳でもないです。ただ、趣味に対して熱意を持てなくなり、無味無感想で無感動となるだけです。」

 

ただその後の続けられた言葉は初めて聞かされた事であり少し物騒に聞こえた。だから父さんがその事を聞く。命には別状無いと聞いて、一度は落ち着いたものの、趣味に熱意を持てないと聞いて父さんがほんの僅かに眉を顰めた。

 

父さんの仕事は特撮監督。ただの妄想話で人を感動させ、夢中にさせるのが仕事だ。スパイダーギルディ達も色々と手伝っている事もあり、だからこそ裏切られた気分になったのかもしれない。

 

ただそれも過去の事と割り切って、続きを促す。

 

「そして、今回アルティメギルが目を付けたのはこの世界です。先のあの映像は先遣部隊の所謂宣戦布告なのです。」

「ならば雲斑さんもそれに加わる心算かね。」

「いえ、私達はアルティメギルを裏切る心算です。」

 

スパイダーギルディの言葉にどうしても驚いてしまう。少なくとも武人肌であり、裏切り等しないだろうと思えるスパイダーギルディの口から裏切り等と言う言葉が飛び出したからだ。

 

「だが、その属性力とやらは、所謂食事みたいなものなのだろう。生きていけるのかね?」

「それは心配ございません。姫様、麗路様は無限の属性力をお持ちで、我々の日々の糧として普段から吸収させていただいてますので。」

 

これは皆知っている事。と言うか総二達が知らなかった事だ。驚いた顔でこちらを見ている。

 

「では何が言いたいのだね?」

 

父さんが質問する。確かにここまではこれほどまでに畏まる必要が無いものだ。だがこの雰囲気を作っている以上何かしらあるのだろう。

 

「今のアルティメギルは何処かおかしいのです。昨日、そこに居られる総二様がテイルレッドとして先遣隊のリザドギルディを撃破なさいました。」

「はぁああ、総ちゃんがテイルレッドだったの?」

 

スパイダーギルディの言葉に姉さんが驚きの声を上げる。別に幼女になるぐらいは、属性力の力を使えば出来ると知っている為、どちらかと言うと知り合いがヒロインだった事に驚いているようだ。

 

だが真面目な話の途中であり、父さんに目で戒められる。姉さんも気付いたのかゴメンと小さく謝って座り直す。

 

「そこで我々も独自に調査を行い、こうして集まる前に総二様に確認をしてみた所、やはりおかしいのです。」

「何がおかしいと言うのだね。」

「我々エレメリアンの目的は属性力の奪取。それも態と世界に属性力を拡散させ成長させてから摘み取ると言う方法を取ります。決して命では無いのです。だが、昨日のリザドギルディはそれらを一切無視しておりました。」

 

スパイダーギルディの説明に、所々総二が昨日の戦いを話しながら補足する。

 

リザドギルディは無差別にツインテールの属性力を奪い、人々を恐怖のどん底に落とす。それどころか、その奪取から逃げようとした幼子のツインテールにまで魔の手を伸ばしたのだ。

 

リザドギルディは人形属性。縫い包みを抱いた女の子が大好きという変態の筈が、そう言った事をせず幼子へと襲い掛かったのだと言う。

 

それに怒った総二が、トゥアールという異世界からエレメリアンと戦う為に渡ってきた天才科学者の作ったテイルブレスでテイルレッドに変身。戦闘に突入。

 

一度は慣れない戦闘に四苦八苦しながらも追い詰めるが、血涙を流しながら、『我には負けられない理由があるんだっ!!』と叫んでテイルレッドを圧倒し始める。

 

だが負けられないのはテイルレッド側も同じで、一度は解けてしまったツインテールを、普段から俺にやっているみたいに自分で結い直してしまう。

 

その時発言した、速度特化の形態(フォーラチェイン)と攻撃特化の形態(ライザーチェイン)を駆使して撃退と言う流れになったそうだ。

 

その時総二は無我夢中であり、今こうしてスパイダーギルディ達と会うまで、リザドギルディと名乗った事を忘れていたと言う。

 

「総二よ、我々は何も気にしていない。個人的には仲が良い者は居るが、元々部隊同士で交友は無かったに等しい。リザドギルディと言われても、そういえばそんな奴居たなぁぐらいにしか感じないのだ。」

「すまん。」

 

少し申し訳なさそうな総二を気遣ってか、スパイダーギルディはそう言う。総二も一度だけ謝り、それ以上は前を向いていた。

 

「だが、何かが起こっている事は確かで、姫様が狙われる可能性が高くなったのです。」

「何故、麗路が?」

「原因は、先程も言いました無限の属性力。強烈な属性力はそれだけで誘蛾灯の様にエレメリアンを呼び込んでしまう。我々もそれが無ければ姫様の事を隠し、アルティメギルの脅威が去るまで守り抜く所存でした。」

「だが、事情が変わった…」

「はい。」

 

父さんが、ならばどうすればいいと聞いている。

 

「今の所はまだそれほど切羽詰まっておりません。普段通りの生活で構わないのですが、特に、特に姫様はご自分が狙われている身だとご理解ください。我々も命を賭して守りますが、それでも限界がございますので。」

「うん、分かったよ。」

 

俺の言葉に、これでこの話は終わりと言う雰囲気が流れる。だが、何故かこちらを向いている父さんの目がギラリと獲物を狙う目をしている。

 

「それでは普段通りの生活とさせて貰おう。所で麗路よ、男の約束は何が何でも守らなければならないよな?」

「何言ってんのさ、当たり前だろ?」

「そうかそうか。なら例の話、宜しくな。」

「あっ!?」

 

そこで思い出した。父さんに来た新しい撮影の話。女装して特撮に出なければいけないあの話。テイルレッドが見つかれば出るという感じに無茶振りして逃げたあの話。

 

総二がテイルレッドで、テイルレッドが見つかった以上、強制的に受けさせられる。特に父さんはこういった事にはうるさい。

 

「殿様、今すぐ衣装合わせ。」

「すでに準備は整っております。」

「八は特殊メイクの用意だ。」

「任せてください。」

 

仮装属性の殿様が父さんの言葉を受け、何処から取り出したか分からない、テイルレッドの様な色違いの衣装を取り出す。さらに蜜蜂の怪人、特殊化粧属性であるビーギルディが仰々しく胸を張る。

 

なんでも変身後は巨乳ならぬ、虚乳となってしまうらしく、更に肌が見えすぎていて女の子に見えないのが問題だとか。

 

余りの用意周到さに、何が何でも俺を辱めたいのだと判って逃げ出そうとするも、スズメバチの怪人ホーネットギルディに捕まってしまう。こいつ抱擁属性であり、こういった捕獲は得意中の得意で、逃げられない。

 

「た、たすけてっ!!」

「大人しくしなさいませ。別に痛い事も苦しい事も無いですから。」

「恥ずかしいだろっ!!」

 

何となく父さんの策略に嵌ったようで、只々悲鳴じみた叫び声だけが響いていた。

 

「見ろ、総二。この子のツインテールは最高だろ。」

「うおっ、俺こんな子知らねえぞ。どうしたんだよこれっ!?」

「まだ発売前の、未発表の物を偶然手に入れられたんだよ。」

「うわ、いいなぁ。というかこの子もツインテール好きなんだな。」

「流石総二。このツインテールの声を聴くことが出来るとは、恐ろしい子っ!?でもこのツインテールの先をチョキチョキと整えたいなぁ…」

 

ちなみにその頃の総二は、昔から仲の良かったツインテール属性のロングホーンドギルディとお喋りに興じ、愛香ちゃんはノミの怪人フリイギルディに傅かれて、困惑の余り蹴り飛ばし喜ばせていた。

 

このすぐ後、総二に隣町でエレメリアン反応が出たと連絡が来て、テイルレッドに変身。タートルギルディの撃破に向かい、愛香ちゃんも帰ったらしい。




次話には絵を載せる筈です。

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