読み飛ばしても問題は無いと思いますが、取り敢えず上げときますね。
飛行の方もそれほど問題があった訳じゃない。ついつい夢中になり過ぎて、最強のツインテール属性と言えど、俺の無限の男の娘属性の方が上だったらしく、ギルディギアに込められた属性力もそれほど無かった事もあって、ツインテール属性が無くなった瞬間、またも手足がテトラポット化。
変態達に心配をかけまくって墜落したが、流石に防御と回避に、今は防御一辺倒だが、に特化したギアだけあって怪我一つなく無事に墜落というと変だが、正しくそうとしか言えないのだからしょうがない。
流石にこれ以上は危険だと判断され、今日の所は此処までとなった。
「では指令が突如変わったと?」
「ああ。それに何を言われているのかはっきりと判るようになった。」
「まさかっ!?」
俺はトボトボと無くなった全能感に肩を落として、スパイダーギルディに手を引かれながら、ドラグギルディとスパイダーギルディの会話に耳を傾ける。
唯でさえ小さい俺と、デカい二人。更に伏せている為か、更に小さく見える様で、後ろで静かに騒がしいと言う離れ業をやっている変態達が居るが、取り敢えずは無視だ。
そんな二人の会話にツッコみを入れたいが、かつてスパイダーギルディに聞いたことがあるのだ。アルティメギルの首領は、重度の中二病なのか、発言が痛く、更に難解で、幹部たちでも真面に解読できないと言う事を。
だからこそ、それを知っているエレメリアンは首領に何かあったと察し、玉座へと赴いたのだが、そこで気絶させられ、気絶から目を覚ました時は、大事な物が物質にされていたと言う。
「我が五大究極試練で手に入れた、ツインテールが良く似合う美少女フィギュアのツインテールが、改造され取り除かれていたのだっ!!」
「なっ、何だってっ!!…そんな、それは余りに酷過ぎる。それじゃ、唯のショートカットじゃないか…」
「はいはい…」
総二も地面に手をついて落ち込んでいるけど、いや、あのさ。それ、別にツインテールとか、そんなのどうでもいい人間には、本当にどうでもいい話だよね。
「だが、それは始まりにすぎん。」
「なっ、まだあるのかっ!?」
いやさ、もう馬鹿らしい話を大真面目に聞くの止めようかなと思うんだけど。だけど属性力がそのまま力になるエレメリアンにとっては、大事な事なんだよね?
「はぁ。」
「…疲れましたか?」
「うん、だけどおんぶは良いからね?」
「そんなっ!?」
思わずツッコみを入れたいけど、大事な事なので我慢している。だけど溜息は出てしまい、それを目敏く見つけたスパイダーギルディが、しゃがんだ状態で背中を見せてくる。
小さい頃はよくやって貰っていたが、流石に高校生にもなってそれは無いと思う。手を繋がれるのも屈辱だが、駄々を捏ねて、もう一回飛ぼうとした俺が悪いんだし、それは我慢しよう。
「それよりもさ。」
「はい。」
「同じ話を何回も聞く必要ってあるの?」
「ええ、一回聞くだけでは、話す方も聞く方も、何かを見落としている可能性がありますので。」
「総二が毎回同じところで落ち込むのは?」
「それはツインテールが最強だからです。」
取り敢えず、下手をすれば俺がおぶさるまで、このままな状態を維持しそうなスパイダーギルディを立たせる為に話題を振る。
うん、ドラグギルディのこの話はトゥアールも今ここに居ない愛香ちゃんも聞かされている。それぐらい何回も聞いているのだ。
そして毎回同じところで総二が落ち込む。
後ろを振り返れば、いつの間にか二人に合流したカミキリの怪人ロングホーンドギルディと共にワイワイとやっていた。
トゥアールは俺のギルディギアの調整に、そして総二は明日が振り替え休日で学校が休みなのを良い事に、家に泊まっていく。
ドラグギルディ達と互いに叶えたい夢を実現するのだとかなんとか。元が旅館で、予備の布団も沢山あるし、使ってない部屋もあるから良いんだけど。
毎回変態達と共に騒ぐから迷惑でもあるんだよな。
夕焼けをバックにしている為、無駄に禍々しい影が無数に出来ている。だけど俺はこの光景が続けばいいのにとこの時考えていたのだった。
「ライガーギルディ様っ!!」
「あん?先遣隊の連中はもうこんだけなのかよ?」
「すみません。何分ツインテイルズが思いのほか強力な戦士でして…」
「んなこたぁ、分かってただろ?最強の属性力なんだからよ。」
先遣隊が基地代わりに使っている異次元空間に鎮座する空間跳躍艦に、虎とライオンのハーフの様な怪人が着艦した。
嘗てはタイガギルディと名乗っていたものの、此処に来るまでに何があったのか、姿を変え、かつての面影など無い。口調もまた荒々しい物へと変貌していた。
ドラグギルディの側近を務めていたスパロウギルディは隊長であるドラグギルディが討たれ、苦悩していた時にこの援軍である。ホッと胸を撫で下ろした瞬間に、この変わり果てたライガーギルディを見て、心労が溜まるのを感じた。
これから自分達はどうなるのだろうと不安は募るばかり。
「おい、映像を見せろ。俺が出るに相応しい相手なら、瞬殺してきてやるよ。あーっははははは……」
「は、はい。それは頼もしい限りで。本当に大丈夫かなぁ……」
高笑いするライガーギルディを、作戦室へと案内する為、先頭に立って歩き出す。ドラグギルディが今だ生きているとは知らずに。