その評価にこたえられるよう、いい作品にしていけるように頑張りたいと思います!
よろしくお願いします。
一つお知らせです。
打つシーンにおいてハーメルン様が牌の変換ツールをご用意してくださっておりますが、私の知識では至らないところが多すぎると思いますので
多少、戦ってるシーンなどは入れますが、極力短く、手牌は公開いたしません。
そういうシーンを期待してくださっていた方には申し訳ありません、できるだけそれ以外で面白くなるよう努力してまいります。
時雨は学校というものを勘違いしていた。
というより忘れていた、というのが正しいかもしれない。
青春の場である学校。
そんな理想を描いていたのは、ただ単なる時雨のマンガの読みすぎのせいであろう。
マンガでは、放課後部活に打ち込んだり、休み時間であったりと、都合のいい時間しか映し出されていないのだ。
しかし、それは学校で起こるほんの少しの出来事に過ぎない。
学校の本分、それは初めに裕香にも忠告されたように勉強なのだ。
特別賢くない、むしろバカな時雨にとってこの長い長い授業時間は理想とは程遠い地獄だった。
「あぁー、疲れたー」
ようやく本日最後の授業である国語が終わったところで、時雨は机に突っ伏した。
(あくびのしすぎで顎が外れるかと思ったぜ)
「おつかれー」
隣の席から元気のいい声がかかる。
顔もとてもニコニコ顔だ。
「お前、なんでそんなに元気なんだ?」
淡は元気のいいタイプだが、それほど賢いタイプには見えない。
勉強なんかは時雨と同じで苦手そうに見えるのだが
「ふふん、真面目に授業受けるなんて、しぐれんは真面目だねー。私には授業のともがいるのさ」
そう言って淡はポケットから見せつけるようにケータイを取り出した。
電源をつけてロックを解除するとすぐに立ち上がったのは麻雀のアプリ。
そして立ち上がった直後にでてきたのは赤く燃え上がったyou winという文字。
勝ったところでチャイムが鳴ったか、先生にばれそうになったかで無理やり電源を切ったのだろう。
「それよりさ、しぐれんはこれからなに……」
「時雨!」
淡の声をかき消すように響き渡る声。
声の主は、なんだか妙に不機嫌そうな顔をした裕香だった。
ずんずんと時雨たちの下によって来る。
「これから、私と部活見学に一緒に行くんでしょ!さっさとする!」
時雨の引き出しから配られたプリントをガッと抜き取って裕香は時雨を引っ張っていく。
「あ、え、ちょっと、裕香?……わるいな、じゃーな、淡。」
「うん、じゃーねー。」
淡は何を考えているのかわからない笑顔で二人を送り出した。
☆
「何、怒ってるんだよ?」
教室を出ると、すぐに引っ張る手を放してズンズンと一人先に競歩のようなスピードで歩いていく裕香に時雨は困惑していた。
「べっつにぃ~」
しかし、答えはこうだ。
別にと言いつつ怒っているのは丸見えだ。
裕香はただ悲しかったのだ。
時雨が自分のことを当てにしてくれないのが。
それ以前に、ただ雀荘で出会っただけの私に学校まで行かしてくれたということは学校が不安だったからなんだと思っていた。
だから、もっと自分に頼ってくると思ってた。
なのに、休み時間には席で突っ伏したり、大星と会話したりとまったく自分の下に寄ってこない。
確かに、クラスメイトに囲まれていたというのはあるが。
それでも、時雨がこっちに来そうなそぶりを見せたらすぐに抜け出せる用意はあった。
こんなのは、八つ当たりだ。
だけど、なんだか腹が立った。
もちろん、時雨にそんな裕香の思いがわかるわけでもなく、どうやったら機嫌を直してくれるかで、頭を悩ませつつただひたすら歩いていく裕香についていく。
(ここはひとつ胸でももんで適当に空気を茶化すか。一回もんでみたかったし。いや、でもそれをするとむしろ悪化するか?)
時雨はどこまでも残念な思考回路のバカだった。
そんなことをあれやこれやと時雨が考えていると不意に裕香が口を開いた。
「お、大星さんと、どんな話してたの?」
(ようやく口を開いてくれた、これはしっかりと答えねば。ん?どんな話してたっけ?)
「覚えてないな、しいて言うなら麻雀の話かな」
さっき、話していたこと以外、頭に残っていなかったのでとりあえずそう答えておいた。
そこで、裕香の眉はぴくっと動いた。
裕香の見る限り、時雨と大星はとても仲よさそうにしゃべっていた。
その内容は麻雀。
朝も、時雨は麻雀部に対して関心を示していた。
(麻雀は好きじゃないけど、時雨のためなら……!それに、時雨のあの実力ならこの学校の人たちの実力にガッカリして止めるかもしれないし)
「じゃあ、今日の見学は麻雀部にしましょ」
「ええ!?お前、麻雀部だけはいやっつってたじゃねーか。別に俺に合わせて無理する必要はねーぞ?」
「うるさいわね、気が変わったのよ。」
(まぁ、時雨とあえたっていう面では、麻雀も悪くないしね)
そんなことを、裕香はふと頭の片隅で考えていた。
☆
白糸台高校麻雀部部室。
そこで、宮永照は淡から予想もつかない答えを聞かされていた。
「すごいんだよー、もう、殺されちゃうかと思った」
どこの世界の話だ。
威嚇だけで、殺されるとまで予感させるなんて……
淡は軽いテンションで話すものの思ったことをありのままに話す。
そのまま淡のテンション通りで聞いていれば殺されるかと思った、なんて言われたところで冗談にしか聞こえないが、照はそうは思わない。
淡がこういう以上、本当に死ぬとその一瞬思ったのだろう。
「てるーの最高の実力しらないから何とも言えないけど、もしかしたら、あっちの方が強いんじゃない?」
あくどく、にやっと淡が笑った。
楽しみな証拠だ。
「バカなことをいうなよ、淡。照より強い奴なんて高校にいるわけないだろ。」
この白糸台高校麻雀部の部長でありシャープシューターの二つ名を持つ弘世 菫(すみれ)があまりの淡のバカげた発言に文句を言う。
「ええー、私はただ、おもったことを述べただけですよー」
他人の意見などどうでもよさそうにもとの能天気な淡に戻って、ドーンとソファーに座り込む。
麻雀自体が普及してきたこともあってか、白糸台の麻雀部の部室はかなり広いし豪華だ。
雀卓は8台。
それをすべておけるスペースがあることもさながら、さらに待っている間のんびりしゃべれるような談話室のようなスペースが用意されていたりする。
基本的に実力差で卓の位置が決まっており、しゃべる相手も次第に固定されてくる。
淡は一年生ながら初めの実力テストのような打ち合いで実力を見せつけ、挙句の果てにレギュラー陣を出向かせて打ち破った超人一年生だ。
誰一人として、淡が三年の部長やレギュラー陣とため口でしゃべっていることに異議を唱える者はいなかった。
「じゃあ、人数もそろったし、私たちも打ちましょうか。」
照 淡 誠子 菫の四人が談話スペースをでて卓に向かう。
皆が打っていて卓は空いていなかったが、レギュラー陣がきたことで一つ、すぐにあけてもらえた。
全員が卓についた時、麻雀部の扉がガラガラと音を立てて開いた。
「麻雀部は、ここでいいんだな」
照はそこに立つ少年を見た瞬間、すこし笑った。
淡はもっと純粋に喜びを表現するように立ち上がって
「おっ、しぐれん!それに裕香も、やっほー。」
大きく時雨に手を振った。
「おお!大星じゃねーか、お前、やっぱり麻雀部だったのな」
淡が時雨たちの下へとよっていく。
「あれが、さっき淡が言ってた?」
「うん、そうみたいだね」
菫と照は時雨を値踏みするように遠目から三人の様子をうかがっていた。
「どしたの?」
相変わらずのスマイルで問いかける。
「裕香が言ってただろ、部活めぐりだよ。」
「それで、麻雀部に来てくれたんだ!じゃあ、せっかく来たんだし打と打と。しぐれんに見合った最高のおもてなしをしてあげるよ。裕香はどうする?こっちは普通の人間じゃ入ってこられないよ?」
裕香は感じ取った。
淡からでたその明確な圧迫感を。
それとまったく同じものを時雨からも一度感じたことがある。
雀荘で打っていた時だ。
あの時ほどじゃないにせよ、麻雀の経験者じゃない自分が入れる域じゃないことはわかった。
正直、のけ者にされるのは癪に障ったが、これほどまでに差があるのでは仕方が無いと諦めた。
「私は時雨たちが打っているのを見学しとくことにするわ」
その対応はいたって普通だった。
だが、それはその差がわかるものだけの話だ。
淡が裕香にプレッシャーをかけたことくらい、時雨がわからないはずはない。
そして、裕香が淡のプレッシャーに反応したことも。
それは、時雨にとっては意外だった。
ココにいる人間の何人が今のプレッシャーをわかるだろうか。
さすがに、時雨のように他人から他人のプレッシャーがわからないのは仕方ないにせよ、自分に向けられたプレッシャーに気付くことも普通はできない。
だって、淡はそのプレッシャー以外においてはいつも通りのスマイルなのだから。
半ば無理やりだが、強い人間ばかり(しぐれにとっては半端な奴らばかりだが)と打っていたおかげで少し裕香にもわかるのかもしれない。
だとしたら、すごい、すごすぎる成長だ。
裕香があの中途半端組で打っていたのはたった5日。
最後には俺が一度プレッシャーを卓にいる全員にかけたが、それだけだ。
(余ってる部屋の一つを麻雀部屋にしてもいいな)
もし、裕香が麻雀をやる気になったら、全力でサポートしよう。
絶対、彼女は化ける。
時雨がそう確信した瞬間だった。
「納得いきません!」
照たちとは違う卓で打っていた男子生徒の一人が声を上げた。
「急に来た新入生が大星さんやレギュラー陣と打つなんて、納得できません!」
それに便乗して不満の声が次々と上がる。
「あちゃー、先走りすぎちゃった……」
淡は面倒なので理解していないが、ココの麻雀部は完全に実力で割り振られている。
ランクこそA、Bなどとつけられていないものの、それぞれに班があり、レギュラーは別格にして班ごとに与えられている卓の数も違うほどに強さで差別されている。
その光景を見ていた照は一瞬止めに入ろうかとも考えた。
自分も早く彼と打ってみたい。
自分が感じただけでも、おそらくはあそこにいるランクの人間には負けるようなレベルじゃないのだから。
だけど、止めるその手を再び自分の下へ戻した。
彼のこの言葉で
「じゃあ、お前らに10連勝できたら、レギュラー様と打たせてもらう。これで、文句はねーか?」
「ふんっ、そんなものできてから言ってもらおうか!ここがどれだけの実力者のそろった学校か噂だけではわからないらしい」
「男子はそんなに強くないんだろ?」
にべもない言葉である。
「グッ……だが、ランク分けは男女混合で行われている。男女の実力の違いは最早関係ない!」
どうやら、この生徒は淡と仲良くしている時雨のことが気に入らないらしい。
それとも、裕香のような美少女を平気でつれていることが、だろうか。
まぁ、どっちにしろ時雨には関係のない話である。
「あーわかったわかった。こっちは10回も打たなきゃならねーんだ、さっさと……」
――始めるぞ
このとき、時雨は淡に見せた程度のプレッシャーをレギュラー陣のいる卓にかけた。
まるで、あとで打つ挨拶代りと言わんばかりに
このとき照は、淡の言っていた殺されそうな感じをまさに体験していた。
結局、前書きでわざわざ注意書きしときながらそういう描写が毛ほどにもありませんでしたね、すいません。
まぁ、でも読んでいただけていたらわかるかと思いますが、次回は絶対書く感じの終わり方にしてるので、そのときに前書きの注意を再び思い出してください。
面倒かけて、申し訳ないです。
あと、これは普通に話を書いてての私の感想なのですが、だんだん麻雀の域を超えた描写が増えてきたなーと思っています
調子に乗りすぎはいかんな、自重せねばと思っておりますが、みなさんはどう思っているのか少し気になっている次第です。
もしよろしければお聞かせください。
普通に感想もお待ちしておりますのでよろしくお願いします。