それいけ?!キタカミさん!   作:ブドウ糖

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書けました(ドヤ顔)。
というわけでオハコンバンチハ、ブドウ糖です。
たった2話でお気に入りが50もあってビビりました。艦これ《北上さま》のネームバリューの凄さを味わって、リビドーが溢れたので頑張らせて頂きました。


魚雷2本目「幽霊の正体見たり枯れ尾花って言うけど、正体はラスボスだった」

「うっわー。いかにもって感じがまたなんとも…」

 

 正面入口から入ってみたわ良いものの。綺麗なエントランスだったろうに、窓ガラスは割れ、物は散乱し床には穴が空いている。想像してたよりは良い方だが、長い事使われていないのは確かなようだ。

 

「ふむぅ、慌てて逃げ出したのかな?気にはなる…けどまずは探索だよね。資料の有りそうな部屋はどっこですかーと」

 

 誰かに見られたら赤面モノだが、そんなことは気にせず鼻歌を口ずさみながら歩く。

 ……そうでもしないとめっちゃ怖いのだ。だが想像してみて欲しい。人気の無い荒れた廃墟、踏みしめるたびギシギシ鳴る床。さっきは気付かなかったが、明らかに破壊された跡の残る壁に、その周囲に飛び散った黒ずんだ赤いシミ……。正直大声で、『ゲーム間違ってないですかっ!?』、と悪態をつきたい気分である。

 確かに艦これはキャラが轟沈という形で死んでしまうゲームだけどもッ!!けっこう厳しいけどもッ!!こういうのは某有名ゾンビゲームでやって下さいと…。

 余裕綽々の態度で、内面ビクつきながらも、私は先に進んでいく……。ん、………『私』?

 

 

 一人称がいつの間にか『私』なっていて女言葉を喋っていることに、これが外見に内面が引っ張られるってヤツかぁ~、と感心と愕然と、若干の違和感を感じながらいくつかの部屋を漁ってみる。しかしどの部屋も廊下より酷い惨劇が広がっているだけで目ぼしい物は見付からない。見付かった物といえば、破壊された棚や花瓶や壺等の調度品、クモの巣ぐらいである。

 階段を登って二階へ、一階よりはマシな廊下を歩いて、部屋を覗いていく。途中資料室と書かれたプレートの貼られた部屋があったが、大半が持ち出されていて無かった。いくつか見つけたものは、読むのは後にして何冊か持ち出しておく。

 

「後はこの部屋だけだね…、お邪魔しまーす……」

 

 小さく声をかけながら部屋に入る。他の部屋より比較的広い中には、崩れてボロボロになった質の良さそうな棚やソファー、テーブルが散乱している。

 

「うわー…、これは誰かが戦ったのかな、折れちゃってるけど」

 

 そしてここには、折れて固まった血が付いているものの、素人目から見ても業物だろうとおもわせる刀が1本だけポツンとあった。折れた刀身の先っぽは、天井に刺さっている。

 

「南無」

 

 誰かは知らないが 、折れた刀身が天井に刺さる程の一撃だ。渾身の一撃であったことだろう。私は暫しの間、名も知らぬ刀の持ち主に黙祷を捧げた。

 

 

 

 

 

 

 それから、私は建物周囲の探索を始めた。だが結果は芳しくない。宿舎は木造だったようで完全に焼け落ちていて、弾薬庫や武器の保管所らしき場所は誘爆でもしたのか、吹き飛んだ破片が辺りに散らばるのみであった。

 

「どーしよ、日が暮れてきちゃったよ……。寝床確保しないと今夜は野宿かなー、幽霊とか出なきゃイイけど…」

 

 ――こっ…にき………さい~

 

「!?……ちょっと、冗談やめてよねー…」

 

 ――おね………ます……ち …てくだ……っ

 

「もー…、なんかほんとに聞こえるし……」

 

 幽霊の話なんてするんじゃ無かったと後悔しながら耳を塞ぐも、声は関係なく響いている。しかも、だんだんハッキリと聞こえてきた。

 

 ――おねがい…す、こっちへきてください~

 

「コッチってどっちさっ!もー…」

 

 私、涙目である。例え中身が男であっても、怖いモノは怖い。武器があるならばまだしも、艦娘とはいえ今はただのか弱い女の子だ。状況も分からないのにどうしろというのだ。だいたい、いきなり知らない場所に放り出されてゲームのキャラになってるってなんなんだ。あれか、テンプレか。テンプレなのか!それならそれでなんか特典を寄越しなさいよ!艦娘になっても非武装でどうしろと!?5連装酸素魚雷寄越せよ!!20.3cm連装砲をデフォルトで装備させとかんかい!!出てこい運営っ!!粛正シテヤルッ!!

 

 ――おねがいします、へんじをしてください~

 

「うるっさいわね!!誰のせいでこうなってると思ってるのよっ!?」

 

 ――っふぇ、ご……ごめんなさい………

 

 混乱したままの勢いで声に向かって怒鳴ると、幽霊カッコカリはとても悲しそうに涙声で謝ってきた。

 

「え、あー。その…ね?ほら、私もちょっとイライラしてたらから怒鳴っちゃったけど、もうそんなに怒ってないから、ね?ほら元気出してっ」

 

 ――ぐすっ…、ほんとですかぁ?…ひっく…

 

「ほんとほんと、私嘘つかない。ねー?だから泣かないでねー」

 

 ――すんっ、はい。わかりました、すんっすんっ

 

「……ホッ」

 

 どうやら泣き止んでくれたようだ。にしても、やたら泣き虫な幽霊カッコカリだなー。でも、お陰で怖いのとかイライラが消えたからいっか。それに悪い子じゃなさそうだし。

 

「んで幽霊ちゃん。アンタは何処に居るのかなー?」

 

 ――ちがいます、ゆうれいじゃないです~

「えっ、違うの?じゃあ誰なの?」

 

 ――おしえますから、とにかくこっちにきてください~

 

 だからこっちと言われても…。そう思っていると、柵の向こう側の林が光っているのが見えた。

 

 ――ひかりにむかってすすんでください、そこにみちがあります~

 

「はいはいっと」

 

 柵の外に出て光る林を見ると、なるほど確かに道がある。

 

「この道を辿ってけばいいのね?」

 

 ――そうです~

 

「りょーかーい」

 

 林の中の狭い道を歩いて森に入る。長袖だが、脚やお腹がでているので飛び出た木の枝に当たって痛い。

 

「うー…チクチクするー。そのうちジャージ手にいれてやるぞ……」

 

 ――おんなのこなんですから、もっとかわいいかっこしましょうよ~

 

「女子歴1日にも満たない私になにを求めてんのさ……」

 

 決意を固めつつ幽霊カッコカリと話しながら森を歩く事5分ほど。先の方に開けた場所が見えてきた。

 

「お?なんか立ってる…鳥居?」

 

 その入口には鳥居が立っており、砂利の敷かれた先には立派なお社。つまり此処は神社。ならさっきから話している幽霊カッコカリの正体は―

 

「もしかして、神様?」

 

「ちがいますよ~」

 

「うひょぅ!?」

 

 いきなり下から声をかけられて変な声が出たが、そんな事より今は目の前に居るヤツだ。

 大きくはない、むしろ小さいくらいだろう。手のひらサイズのヤツ―彼女は、私を見上げて花のような笑顔を浮かべている。私は、彼女を知っている。いや、艦これをプレイしている者なら誰でも知っているだろう。そう、彼女は―

 

「えーと、妖精…さん?」

 

「はいです~」

 

 私が尋ねると、彼女はとても嬉しそうに答える。

いろいろ言いたいことはあるが、まず私は彼女に伝えなくてはいけないだろう。私の為に、多くの艦これファンの為にも…!!

 

「いや、神様でしょう」




「神様でしょう(確信)」
2本目、どうでしたでしょうか?
前のよりキタカミさまの心の中を女の子っぽくしたりしてみましたが…。やっぱり小説を書くのは難しいですね。世界の小説家さん尊敬します。
内容ですが、まさかやっと出た他のキャラが〈オリキャラ〉かつ妖精さんだとは誰も思わなかったでしょう(慢心)。
次も、読者様方の意表をつけるように頑張りますので、ご指導、ご鞭撻、よろしくです。
※1本目で登場した[伊桜島]ですが、長崎に実際にあるのは[伊王島]です。そのままはちょっと味気ないので弄らせてもらいました。
混乱させてしまったら申し訳ありません。

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