Century of the raising arms 作:濁酒三十六
(内容は本編と一切関係ありません)
日本の東京湾沖にて大型ガストレア…ステージⅣ数十体が接近、上陸地を目指し進軍する。しかしその前方に二隻の戦艦と一隻の重巡洋艦がガストレア軍の行く手を阻んだ。
その戦艦は第二次世界大戦で活躍した旧日本海軍の高雄、榛名、そして金剛の三隻で船体には不思議な紋章が幾つも浮かび上がっていた。戦艦金剛には真紅の瞳にピッグテールにした金髪…黒く異常に丈の長いスカートのドレスを着た背の高い美女が船体に乗っており、高雄には青く長いポニーテールに真っ白なミニのワンピース、そして黒いストッキングに包まれた美脚の少女…。榛名には金髪のツインテールに口元まで隠してしまう大きな襟のダブダブしたロングコートを纏った少女が乗っていた。
榛名に乗ったダブダブなロングコートを着たツインテールの少女が無数のガストレアを視認しながら物怖じせずに一言を呟く。
「敵軍ガストレアを確認、間もなく攻撃射程圏に入る。」
続けてポニーテールの少女が強気に微笑み仁王立ちとなり口を開く。
「わたし達の準備は出来てるわよ、“群像”!」
更に金剛の艦上に立つ美女がガストレアの群れを一睨みし、戦意を露わにして言った。
「サッサと命令を下すがいい、千早群像…我等の艦長よ!」
三隻の戦艦は旗艦に乗る艦長…千早群像の指示を待つ。そして命令は直ぐに下った。
『よし、全艦敵ガストレア軍に対し、“攻撃開始”!!』
三隻の戦艦は号令と同時に射程圏内に入った大型ガストレアに向けて主砲を発射、それは通常の砲弾ではなく粒子加速により撃ち出された荷電粒子だ。主砲は目標に着弾し、一気に四体近くが衝撃波で薙ぎ払われて息絶えた。金剛、高雄、榛名は副砲、ミサイル、魚雷も敵陣へと撃ち込みガストレアとの大抗戦が始まった。ガストレアの群れに遠距離攻撃が出来るタイプは少なく、砲撃戦は大戦艦三隻の圧倒的な火力がガストレアをねじ伏せた。しかしどれ程仲間が殺られようと奴等の進軍スピードは止まらず、ガストレアの群勢は確実に陸地へと近付いていた。
三大戦艦の下…海底100m程にて旗艦である蒼い艦艇の潜水艦イ401が敵の動向を探りながら魚雷をガストレア群へと発射、接近して来たステージⅣを二体撃沈する。
「杏平、三番四番侵食魚雷装填、金剛前方急接近のステージⅣに向け発射っ!」
「ほい来たっ!」
群像の指示にブリッジ中央に陣取り火器官制を担当する橿原杏平が目の前の専用モニターを専用ペンで即座になぞり操作、イ401の三番四番の魚雷発射口より二発の魚雷が発射されて金剛に迫るガストレアに二発とも命中、円形の崩壊空間を造り出しガストレアの肉体と共に消失し敵を撃沈した。
開戦直後は火力に任せた繊滅戦で大打撃を与えたが、バラバラになった陣系のガストレアに対してコチラは手数を増やさなくてはならない。しかし敵ガストレアの中には通常弾頭では殺し切れない物もおり、一撃必殺に等しい侵食魚雷の数が全艦分合わせても足りるかどうか怪しかった。
「現在、敵ガストレアの数は約46体。
今だからこそ優勢に見えますが敵の全てがステージⅣのガストレアで一体に一弾頭の侵食魚雷を確実に当てるのはメンタルモデル達でも不可能かと思われます。
それに侵食魚雷が命中したとしても一発で撃破出来ない可能性もあり、このまま進撃されればコンゴウ、タカオ、ハルナに取り付かれるのも時間の問題かと…。
戦艦である以上、近接戦は不利です。」
千早群像は思考し、彼女達に乗っている“あの娘達”に頼る事を決定した。
「“大赦の娘達”に出撃要請だ。
コンゴウ、タカオ、ハルナは逆三角形陣系を取り海上半径2kmをクラインフィールドで足場を生成。キリシマは彼女達への索的援護。
イオナ、戦闘状況を見ながらコンゴウとタカオの合間に浮上だ!」
「りょーかい。」
群像の指示に隣の少女…イオナが返事をし、彼女を空間ディスプレイが円形になって囲んだ。
金剛、高雄、榛名の艦上にはメンタルモデルである彼女達以外の五人の少女があった。榛名に一人、高雄と金剛には各二人と既に配置付けしていたかの様に立ち迫るガストレアの群れを見据えた。
五人には既にインカムを付けており、其処から千早群像の指示が流れる。
『“大赦”の協力に感謝する。君達は前方より接近して来るガストレアの繊滅をお願いしたい。』
この無茶苦茶な頼みを高雄に乗っている犬吠崎風が不敵に笑い二言返事で返した。
「オーケーオーケーッ、ステージⅣのガストレアの群隊なんて腕がなるじゃない!
…ねえ、樹?」
姉の風に話をふられた妹の樹はやはり困り顔で姉に一言ツッコミを入れた。
「好戦的だね、お姉ちゃん…。」
そして金剛に乗った三好夏凛が二人のやり取りに呆れ叱咤する。
「二人共緊張感ないわよ、そんな事じゃドコかでヘマするわよ!」
しかし夏凛の叱咤を聴いた風は我空気を読まずとばかりに高笑いをして見せた。そんな少女達の緩い様子にタカオは不安を口にした。
「ちょっと大丈夫なのこの娘達、本当に緊張感ないわよ。」
タカオの言葉にハルナも同意して頷き、クマのぬいぐるみ…キリシマはハルナの隣にいる東郷美森に直接言った。
「解っているのか、ガストレアのステージⅣは本来ならば一体でさえ手を焼く怪物だぞ?」
「大丈夫ですよ、風先輩達はああやりながらもシッカリと集中力を高めているんです。…ねっ、友奈ちゃん?」
美森は夏凛と一緒に金剛に乗る結城友奈にふり、彼女は自信を持って“ウン”と頷いた。
「心配なんてないよ、例え相手がガストレアだろうと“バーテックス”だろうと、わたし達は絶対に勝つ!」
強い闘志に満ちた少女…結城友奈の背を見つめるコンゴウは
今までの人間に対する認識を改めざるを得ないと思考し、結城友奈と云う人物に強い興味を持った。
(千早群像にも驚いたが…、結城友奈と云う少女は彼とは違う強さを感じる。
それはドコか…“イ401”に似ているかも知れない。)
以前の…霧の艦隊に所属していた彼女ならばそんな事は無駄な思考と切り捨てていただろうが…、今はイオナ達と和解をし、仲間を思い、人間と云う存在にハルナやキリシマ以上に興味を示す様になり千早群像が率いる組織“蒼き鋼”に所属した。しかし海の上では観察出来る人間は限られ、今回の様に陸の人間…しかも融合を果たした別世界の人間を艦に乗せるのはメンタルモデルである彼女達にとっては正に無謀な冒険そのものであった。
しかしコンゴウは彼女達を乗せた事で自分達の思考範囲が更に広がるのだと曖昧ながらも感じていた。
「タカオ、ハルナ、千早群像の指示通りに海面上半径2kmにクラインフィールドを展開しろ。
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結城友奈、“勇者”とやらの力…見せてみろ?」
コンゴウは自分でも驚く程に彼女達に期待をかけて激励を口にし、友奈はコンゴウに笑いかけ“ハイッ”と力強く返事を返した。
「行くよみんな!
結城友奈、出撃します!!」
友奈達は携帯端末を翳し、“勇者システム”を発動させて変身。艦上からクラインフィールドの足場へと飛び出して同じく上陸して来たガストレアに向けて駆け抜けて行った。
友奈「次回、結城友奈は“遊女”である!お楽しみに♪」
三森「家の財産注ぎ込んで友奈ちゃんを私の物にするわ!!」
樹「とっ、東郷さんお気を確かにっ!?」