Century of the raising arms   作:濁酒三十六

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友奈「新番組、結城友奈は“幼女”である!お楽しみに♪」

三森「そんな、だっ、駄目よ、私…、犯罪者になっちゃうわ!
ぐへへへへ…。」

風「お~い、とーごー、帰って来~い。
…しかし、友奈の幼女期愛でたいかも!」

美森「殺ッ、風先輩殺りますよ!!」

※上のネタは本編とは一切関わりはありません。
……多分。


桜の季節と新たな世界…

 バーテックス…、それは宇宙を旅し惑星を喰い尽くす謎の存在。其奴等は何の前触れもなく群れなして地球に飛来し、有りとあらゆるモノを喰い尽くした。どんな武力も通じなく、人類は只無力に嘆きながら奴等に食われ…絶滅を待つのみであったが、日本の八百万の神々は力を合わせて宇宙規模の大結界…神樹となり日本の四国をバーテックスから守り通した。しかし、四国を包んだ神樹の結界の外は全て…群れなすバーテックスにより滅ぼされてしまった。人々は結界の中で神樹を崇め、“大赦”と云う組織を作り結界を抜けたバーテックスに対抗する為に勇者システムを生み出し、幾多の少女達が勇者となってバーテックスと戦う事となったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結城友奈達五人の…勇者としての最後の戦いから月日が過ぎて今は春…。

 校舎の周囲に並ぶ桜が満開に咲き乱れ、友奈は校舎の廊下から桜を見ながら歩いていた。小さなポニーテールを振って隣には長く綺麗な黒髪をした同級生…親友である東郷美森が肩を並べて歩いており、彼女も外から見える満開の桜を見ていた。

 

「綺麗ね、友奈ちゃん…。」

「うん、綺麗だね…。」

 

 二人は立ち止まり、窓に寄って桜を眺める。先輩である犬吠埼風が卒業して間もなく今、友奈を部長として活動している勇者部は春休みを迎えようとしていた。

 友奈と美森が向かっているのは言うまでもないが勇者部部室で今日も奉仕活動に勤しむ為である。

 ガラッと友奈が部室の戸を開けて元気良く挨拶をする。

 

「勇者部二代目部長結城友奈、只今到着しましたあっ!」

「あっ、友奈先輩。」

「はい、今日も学業お疲れ様。」

 

 犬吠埼姉妹の樹と卒業した筈の風が椅子に座って出迎える。

 

「勇者部初代副部長(自称)東郷美森、只今到着致しました。」

 

 美森も友奈に続いて挨拶をすると、机に座っていた小さなツインテールの髪型をした同学年の女生徒…三好夏凜が待ち草臥れたと言わんばかりに机から降りて憎まれ口を叩く。

 

「おっそいわよ二人共、アンタが来ないと話が始まんないじゃないのよ。」

 

 夏凛に怒られ、友奈と美森は苦笑いをしながら部室に入り、本日も勇者部の活動が始まるのであった。今日の課題は春休みの間のボランティア活動の内容についてである。

 友奈が黒板前に立ち、現在依頼が来ている物をチョークを使って書いていく。

 一つは町内会からの朝の町清掃。

 一つは市役所からの花見後の公園清掃。

 一つは幼稚園からの始業式に向けた園内大掃除。

 

「今の所はこんな所かな、東郷さん?」

 

 友奈に聞かれた美森はパソコンを手際良く打ち、依頼の数とその内容を確かめる。

 

「ハイ、現在勇者部のサイトにはコレだけです。」

 

 此に対し夏凛は不満を露わに文句を言う。

 

「何それ、みんな大掃除ばかりじゃない!」

「三好先輩、大掃除も勇者部の活動です。」

「うっ、そっ、そうだけど…。」

 

 意外にも樹に笑顔で窘められて夏凛は口籠もる。風は樹の女子力が確実に上がっているのだと確信し、姉として喜び目尻に涙を見せた。

 

「くっ、樹の成長にお姉ちゃんはとても嬉しく思うぞよ。…よよよ。」

「お姉ちゃん、ウソ泣きでしょ。」

 

 何時もの姉妹のやり取りに友奈・美森・夏凛は笑顔になり、今此処にある幸せを…友達といる幸せを友奈は噛みしめていた。

 しかし突然窓の外から眩い光が部室内を覆い五人をその光が包み込み、学校はおろか町も“大赦”も人類最後の砦とも云える四国全土をも呑み込んでしまった。

 その日、“神樹”の元へ滅びかけた世界が集い…足りない部を補い滅びかけた“命”を繋ぎ合わせ、融合を果たした。それは滅びに瀕した人類にとって新たな新天地であり、安住の地であり、戦場の地となり、神樹もまた…それぞれの世界の“命”と融合し…“神世界樹”ユグドラシルへと成長を遂げたのだった。


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