影の軌跡 〜鉄血の子供たち〜   作:もっさん。

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お久しぶりです、もっさん。です。

この度、PCを友人から購入しまして。
やっと小説をゆっくりじっくり書く設備が整いましたので、再開していきたいと思います。

お待たせして申し訳ありませぬ。


二十五話 動き始めた歯車

 

 

 

 

 

 

 

「もう、エリゼ…。悪かったから機嫌を直して。ちょっとしたお茶目じゃない」

「…知りません」

 

広々とした庭園の中に通された俺たちは、中央にある椅子に腰掛け、芳醇な香りの紅茶を頂いていた。

 

「兄たちに話がおありなら、ご勝手にどうぞ。それに、アイゼンブルグ特別大尉までお呼びになられて…」

 

全員ヤレヤレといった感じの空気が流れる。

俺は気にするな、と、目で伝える。

 

「ふぅ…まぁ、それはともかく…ユーシスさん、ラウラさん、お久しぶりですね。お元気そうでなによりです」

「殿下こそ…ご無沙汰しておりました」

「ふふ…お美しくなられましたね」

「ふふ、ありがとう…リィン・シュバルツァーさん。お噂はかねがね、妹さんからお聞きしていますわ」

「ひ、姫様」

「はは…恐縮です。自分のほうも、妹から大切な友人に恵まれたと伺っております。…兄として、お礼を言わせてください」

「に、兄様…」

「ああ、聞いていたとおり…ううん、それ以上ですわね。……そして、トーリさん」

 

急に話を振られるが、いつもどおりの表情で答える

 

「皇女殿下、お久しぶりです」

「あら、いつも通りに話していただけないの?」

「一応、職務中ですので」

「もう、つれないのですね。…いつになったらトーリ兄様と呼んでもいいのかしら」

「……あいつと兄弟になるのは、ご勘弁を」

 

…やれやれ、いつも通りの自由な人だ。

 

アルフィン・ライゼアルノール。

彼女とはオリヴァルト経由で知り合い、何度か話す機会もあり、良くしてもらっている。

最近は会う度に兄と呼ばせろと言ってくるので、若干苦手になりつつある。

 

「今日、皆さんをお呼びしたのは、他でもありません。ある方と皆さん会見の場を設けたかったからなのです」

「ある方…?ですか?」

「そ、それは一体…?」

 

アリサとレーグニッツがそう問いかけると

どこからか、弦楽器の音色が

……頭の中にアラートが鳴り響く。

めんどくさい、かなりめんどくさいことが起きる、と。

 

「ギター…?リュートの音…」

「ふふ、いらしたみたいですわ」

「フッ…待たせたようだね」

 

 

 

 

 

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登場したのは、やはりオリヴァルトだった。

そして場所を移動し、トールズ士官学院の話、サラ・バレスタインの過去などの話をしていた。

…流石にダンスの相手に誘われたのは驚いたが。

リィンに流して事なきを得た。

 

そして、正門前

 

エリゼに見送られ、リィンがからかわれている傍で、俺とオリヴァルトは会話をしている。

 

「・・・で?何で今日俺を呼んだよ」

「決まってるじゃないか。アルフィンに頼まれたんだよ。どうせ妹からの誘いなら、来なかった

 

ろうしね」

「…だからって、エレオノーラまで使うのはずるいんじゃないか」

「言ったろう?普通の誘い方なら、君は来ないから。ね」

「はぁ…エレオノーラも悪乗りしたな…ったく」

「…トーリくん、君、謎の人物とは遭遇しなかったかい」

「…謎の人物?」

 

急に真面目な顔になる、オリヴァルト。

その言葉に、俺は昼間の襲撃者を思い浮かべる。

 

「…神刀絡みか?」

「…今朝、宮殿に保管されていた神刀・トツカノツルギが何者かに盗まれた」

「なっ…!」

 

神刀・トツカノツルギ

ゼムリア大陸に伝わる神刀の一つで火の属性を司る神刀。

手にした者は炎による加護を受け、全てを燃やし尽くす業火となる。

 

「…封印されていたはずじゃ?」

「破られていたよ。しかも、セオリー通り、綺麗に、ね」

「そんな馬鹿な…」

「トーリ君、私は、夏至祭から通商会議までの間に、何かが起こると言ったね」

「…ああ」

「暗躍しているのは、一つじゃない。神刀も関わっている。これが何を意味するか、分かるね?

 

「…神刀の神刀による反乱が起きる…ってか」

「その可能性は、十分にありえるよ」

 

神刀は一本で軍単位級の戦力になる。

それが帝国で振るわれでもしたら、帝都なぞ簡単に消し飛んでしまう

 

「君も神刀保持者として、気をつけたほうがいい。トツカノツルギに続いて、フツノミタマ、コ

 

ガラスをもし奪われでもしたとき、間違いなく、帝国を脅かす脅威となる」

 

昼間の襲撃者、盗まれた神刀。

もし、同じ組織の手に渡っているのだとしたら、もう二本所持していることになる。

 

「…早急に裏を取る」

「ああ、頼むよ。」

 

 

 

少しずつ、帝国という歯車が狂い始めている。

そんな気がした。

 

 

 

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オリヴァルトと話し込んでいると、こちらに歩いてくる気配を感じた。

サラ・バレスタインと…クレア姉?

 

「トーリ、来ていたんですね」

「ああ。エレオノーラと馬鹿に悪乗りされてね。…クレア姉は何でここに?」

「その件については、ヘイムダル中央駅の司令所でお話しましょう。トーリ、帝国軍対暴徒鎮圧部隊の特別大尉として、会議に参加していただきます」

「了解。…でも、車はいい。自分で向かうよ」

「…分かりました、では、先に」

 

そういい、クレア姉とサラ、Ⅶ組のみんなは車に乗り走っていく。

 

「オリヴァルト、そういうわけだ。悪いがお暇させて頂くよ」

「そのようだね、私も、帰らせていただくよ」

 

 

 

さて、ヘイムダル中央駅に向かいますか

 


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