影の軌跡 〜鉄血の子供たち〜   作:もっさん。

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どうも、もっさん。です。


不定期過ぎてほんとなんかめちゃくちゃすみません。
主は受験でして、もう大変で。


書きはするので、暖かい目でお願い致します。


二十四話 薔薇園にて

二十四話

 

 

 

 

 

 

 

 

聖アストライア女学院。

帝都にあるこの学院は、俗に言うお嬢様学校だ。

通っているのは貴族の娘ばかりで、男子禁制の場、気品漂う花園なのだ。

そんな男子には無縁であるこの場所に、俺ことトーリ・X・アイゼンブルグは向かっていた。

 

「なんでこんなところに……」

 

見えるは正門。

大きな存在感のある門は、この先の違う空気を醸し出している。

だが、一つ違和感なのは、その正門の前に見知った顔があることだ。

 

「あ、アイゼンブルグ大尉!?」

「特科クラスか……なにをしてる。こんなところで」

「そ、それはこちらの台詞です!もしかして、大尉も呼ばれて…?」

 

大尉も、ということは、リィン達も呼ばれて来たのか。

なんとも、皮肉な巡り合わせである。

 

「そういえば、ラウラはここに入らなかったの?」

「父から進められはしたが、武術の授業が無いらしくてな」

「うーん、ラウラが女学院に入ったら大変なことになりそうだね」

 

アイツらはアイツらで盛り上がってるようだ。

 

すると、空気に響く心地の良い音。

夕刻の5時を告げる、鐘の音だ。

 

「ま、とにかく、まずは迎えが来るのを待ってから――――」

「お待たせ致しました。来客のお方々の案内を……」

 

俺が口を開くと同時に声がする。

振り返ってみると、そこには、どこかで見たことのある少女が立っていた。

 

「兄様……?」

「エリゼ……どうして……って、ここに通っているんだ、別におかしくはないか」

「え、えぇ。……って、トーリ・アイゼンブルグ大尉!?」

「ん…?俺の事は聞いてないのか」

「は、はい。お客人がいらっしゃるとだけで……」

 

どうやら行き届いていないらしい。

しっかりしてくれオリヴァルト。

 

「Ⅶ組の皆さんもお揃いみたいですけど……」

「1週間ぶりかしら」

「ちょっと、用事があるんだけど……」

 

アリサとエリオットが答える。

どうやら前にⅦ組の奴らは会っているようだ。

 

「あの…」

 

 

 

「……もしかして、五時過ぎにいらっしゃるお客様というのは、兄様方とアイゼンブルグ大尉、なのでしょうか」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「……こほん、失礼しました。トールズ士官学院・Ⅶ組の皆様、帝国軍対暴徒鎮圧部隊特別大尉、トーリ・X・アイゼンブルグ様。ようこそ、聖アストライア女学院へ。それでは、案内させていただきます」

 

 

深呼吸をし、言葉を紡いでいくエリゼ嬢。

門を通り、中に通され、歩く。

この光景を見ている女学生がこちらを見て何かを言っているようだ。

 

男の方…!

 

あの制服…どこかの高等学校かしら?

……!トールズ士官学院ですわ!

 

そのお隣の方は…

あ、あれは、帝国軍の勲章…

あのお方、帝国軍のアイゼンブルグ大尉!?

 

ラウラ様…ラウラ様だわ!

なんて凛々しい……まさかこちらに転入を!?

 

あの金髪の方……

公爵家のユーシス様!?

 

はぁ、あの背の高い男性は異国の方なのかしら………

 

「これはなかなか、キツイな」

「フン、あの程度の囀り、流しておけ」

「あはは……皆、興味深々みたいだね」

 

マキアスがやれやれと溜息をつく、

どうやら、ジロジロ見られる感じに慣れてないようだ。

ふむ……大尉になった時のことを思い出すな。

あの時は周りの人間に舐め回されるかのように見られたのを覚えている。

慣れたものだ。

 

「……お許しください、普段から外部の者と接する機会があまりないものですから……」

 

先頭の黒髪の方は平民の方なのかしら…

わ、分かりませんけど、凛々しくて素敵ですわね……

 

エリゼさんが案内してますけど、どういう関係なのかしら…

 

「……………」

 

む?なんか微妙な顔をしているなエリゼ嬢。

女はよくわからん。

 

あ、あれはアイゼンブルグ大尉…!

前の着任式でお見かけしましたけど、すらっとしていて凛々しいお姿…!

 

どうして大尉がここに…?

 

は、話しかける事できますかしら…!

 

 

「……はて」

「確かにこれはちょっと居心地が悪いな…皆エリゼと同じ年齢なのか?」

「……知りません!」

 

なぜ怒ってるんだ?みたいな顔をするなリィン。

そしてこっちを見るな。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

しばらく歩き、周りの声に溜息をついていると、一つの建物の前についた。

ドアも大きい。屋内庭園、のようだ。

 

「屋内庭園、みたいですね」

 

エマ嬢が言うと、エリゼ嬢が頷く。

 

「本学園の薔薇園になります。こちら、本日皆さんをお招きした方々がいらっしゃいます」

 

「え、もしかして…」

 

……だいたい、今ので誰が招いたか分かったようだ。

やれやれ、エレオノーラも悪ノリしたな…?

そして、心構えもろくにしないうちに。

 

「ーーー姫様。お客様をお連れしました」

 

 

 

 

「ありがとう。入っていただいて」

 

 

 

中に進むと、金髪で可憐な少女が立っていた。

見ただけで分かる。この娘は、《ただの娘》ではないと。

 

「ふふっ……ようこそ、トールズ士官学院Ⅶ組の皆さん、わたくしはアルフィン。アルフィン・ライゼ・アルノールと申します。どうか、よろしくお願いしますね?」

 

笑顔で、自己紹介を告げる、目の前の皇女。

そして。

 

「お待ちしておりました、トーリ様。わたくし、この日を待ち望んでいたんですよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の脳裏には、サムズアップをする変態皇子が笑顔で映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんかトーリだけ噂され過ぎでしょ


少しづつですが、続けていきますので、お願いします。

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