影の軌跡 〜鉄血の子供たち〜   作:もっさん。

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皆様お久しぶりです。もっさん。です。

長らく更新できませんでしたが、少し余裕が出来たので書きました。

時間を開けたため、変な文になっているかもなので、指摘等よろしくお願い致します。


二十二話 神刀

二十二話

 

 

 

 

 

 

酒場を出た俺はふと空を見上げてみる。

雲ひとつない青空。

そして、心に残っているブルブランの言葉。

 

「鬼の力に興味があるのだよ」

 

なんでアイツがそのことを……?

いや、気にするのはよそう。

執行者みたいな奴を勘ぐっても何も分からないことは経験済みだ。

 

とりあえずは様子見。行動を起こしたらそれに便乗するとしよう。

 

そのまま歩き、人気のない路地に辿り着く。

 

「さっきから見てる奴。出てきたらどうだ?」

 

俺が声を上げると、隅の方から一人、フードを被った人物が現れた。

オスト地区に入った時から感じていた視線。

しかも、僅かに殺気が込められている。

どう考えても、ただのストーカーではないことは間違いないだろう。

 

「………トーリ・アイゼンブルグ。Xの継承者」

「……何者だよ、アンタ」

「そして、二本の神刀の継承者」

「……っ、答える気は無いってか」

 

腰にある二本の刀に手をやる。

引き込まれそうな気配を醸し出しているコイツは、どうやら只者ではない。

 

「なんのようだよ、アンタ」

「神刀を」

 

そこまで口を開いた途端、姿が消える。

刹那、後ろから刈り取られるような殺気。

 

「んく……!」

「……チッ」

 

抜きかけの二本の刀で受け止め、弾き返す。

静かな路地に甲高い金属音が響く。

そして、奴の手には蒼く輝く一本の刀。

 

「ソイツは……!」

「鳴け。アメノハバキリ」

 

頭に響くような高い音が鳴り、また姿が消える。

そして今度は上から殺気。

 

「天ヶ瀬弐閃流、天槌!」

 

巻き込むように二本を振り下ろす。

タイミング良く当たり、敵の攻撃を弾き返す、が、またあの音が鳴り、姿が消える。

次は何処だ………?

瞬間、右から気配を感じるが、殺気ではない。

 

「……左だ!」

 

気配とは逆の左に螺華。

手応えあり。峰が敵を捉え、壁に叩きつける。

 

「がっ……!」

「……刀の振りが甘いな。刀に振られてるぜ」

「チッ……!!!」

 

またあの音。

だが、次は決める。

 

「天ヶ瀬弐閃流!羣雲!」

「……なっ」

 

近付いてきた敵を更に引き寄せ、そのまま斬る。

右肩を斬られた奴は吹き飛ばされるが着地。

だが、その腕ではもう刀は振れないだろう。

 

「さぁ、答えてもらうぜ。アンタは何者だ。そして、その刀を何処で手に入れた」

「………」

 

だが、口を開こうとしない。

先程からコイツの行動を見ているが、何かに操られている節が見える。

 

「次は、仕留める」

「ちょ、おい!」

 

またまたあの音が鳴り、姿が消える。

だが、周囲に気配は無い。

どうやら逃げたようだ。

 

「……チッ、天羽々斬か……」

 

恐らく、あの瞬速はあの刀の力によるものだろう。

神刀・アメノハバキリ。

ゼムリア大陸に伝わる神刀の一つ。

俺が持つフツノミタマやコガラスと同じ、特殊な力を持つ刀だ。

 

だが、コイツ等を手に入れるには試練を乗り越えなければならない。

 

「………どうやって」

 

しかもアメノハバキリは上位三属性の一つ、時の力を司る。

並大抵の力では手に入れるどころか、目にすることさえも出来ないはず。

 

「とにかく、急がないとな……」

 

これ以上、神刀を放っておくことは出来ない、か。

すると、ARCUSの通信が入る。

フェイからだった。

 

「もしもし」

『突然の通信申し訳ありません。たった今、宝石店に強盗が入ったという情報がありまして。それは怪盗Bの仕業です』

「怪盗B……分かった。直ぐに捜索に入る」

『現場付近に暴徒鎮圧舞台を派遣しました。憲兵隊と合同で捜索することになります』

「了解。ご苦労さん」

 

ARCUSを切り、辺りを見渡す。

先程の奴は付近に居ないだろう。

捜査に行くとするか。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

どうやら、怪盗Bが強盗したのは帝国屈指の宝石店。

ご丁寧に犯罪予告までされている。俺が協力しなかったらどうするつもりだったんだろう。

 

「アイゼンブルグ大尉!」

 

現場検証をしてると、聞き覚えのある声がする。

リィン率いる、特化クラスの皆様だ。

 

「シュバルツァー。いい所に来たな」

「一応、帝都知事閣下から話は聞いてます」

「なーるほど、ね。聞いてるなら話は早い。この宝石店に巷を騒がす怪盗Bが入り込んでな。とんでもないお宝を盗んでいきやがった」

「怪盗B……よく聞く名です」

「そして、奴の犯罪予告にはこう書いてあった。『Ⅶ組の諸君が最後まで辿り着いたら盗んだものは責任をもってお返ししよう』ってな」

 

嘘は言っていない。

俺が協力したらモノは返すという約束だからな。

 

「……つまり、怪盗Bの手がかりをつかめばいいんですね」

「そーゆーこった。悪いが、早速頼めるか」

「はい、わかりました!」

 

元気良いのか、もう外に出ていった。

……さーて、ブルブラン。

せいぜい楽しんどけ。




難しいです。

ゼムリア大陸に伝わる神剣。というワードを出しました。

ここから少しづつ、トーリの軌跡を描いていきたいと思います。


次の話では、ご要望のあったオリジナルキャラの登場です。
誰かは、お楽しみということで。

ご意見、ご感想お待ちしております。

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