影の軌跡 〜鉄血の子供たち〜   作:もっさん。

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は、はい。もっさん。です。

いい感じに物語の区切り方が分かってきました。
Ⅱへの切り替え方も考えついたので、これでまた話を考えやすくなったもんです。


十九話 帝都観光?

十九話

 

 

 

「んー……どーすっかな」

 

お仕事(仮)を押し付けた俺は絶賛自由行動中。

クレア姉は仕事があると言ってたし、ミリアムは任務中。

レクター兄に至っては今どこにいるのか分からない状況だ。

 

「はぁ……本当に警らするか…」

 

とりあえず、帝都をぶらぶらすることにしよう。

チーズケーキを食べに行くのもいいな。

そんなことを考えながら、足を動かす。

すると、後ろから歩いてきた人にぶつかってしまった。

ていうか、気を抜きすぎだろ俺。

 

「きゃっ」

「うお!?」

 

慌てて振り向くと、大きい紙袋が倒れ、りんごなどが散乱していて尻もちをついてる女性がいた。

 

「大丈夫ですか?」

「あ、すみません……前が見えなく、て……」

「あ」

「トーリ君、トーリ君じゃない!」

「フィオナ…?」

 

目の前にいる女性は、知り合いだった。

フィオナ・グレイグ。

あのグレイグ中将の娘さんで、何度か顔合わせをしたことがある。

 

「と、とりあえず落ちてるやつ拾おうぜ」

「そ、そうね!」

 

なんでそんなテンション高いんだか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、エリオットが」

「そうなの。エリオットが帰ってきたの」

 

俺はフィオナの荷物を家に運んだ後、お茶をご馳走してくれた。

ん……相変わらず旨いな。チーズケーキまで用意してくれるとは。断る理由がない。

 

「しっかし……あの少年がエリオットだとは」

 

前のケルディック事件を思い出す。

あのとき、公園にいたのはエリオットだったのか。

まさか、士官学院に行ってるとは…。

 

「俺はてっきり、音楽院に行ってるもんだと」

「父がね…猛反対したの。帝国男子がそんなもので生計をたてるのはありえないってね」

「あはは……あの人の言いそうなことだ」

「もうっ、笑い事じゃないのよ」

 

グレイグ中将の反対、か。

なにか、思うところでもあるのだろうか。

 

「いや、でも俺が見た限りは上手くやれてると思うぜ?仲間とも打ち解けてたみたいだしな」

「えぇ…今日見た時思ったわ。周りのお仲間さん達も凄く良い子ばかりだったし」

「なら、そんなに心配はしなくても良いんじゃ」

「でもでも、やっぱり危険なのは変わりないでしょう?今回も顔が見れただけで凄く安心しちゃって……」

 

んー……、心配したい気持ちは分からなくは無いが……心配しすぎだろ。

エリオットが使ってるのは魔導杖、だっけな。

まぁ、肉体的に戦うのは合わないだろうし、いい線までいくとは思うが。

 

「そういえば、トーリ君は何していたの?」

「ん、あぁ。警らでもしようかなって思ってたところさ。事務仕事は苦手でね」

「ふふっ、そんな気がするわね。トーリ君はどちらかというと、前に出て動いてたほうがイキイキしてそうだもの」

「そ、そんなことないだろ」

 

思わず図星突かれて声が裏返ってしまった。

……俺ってそんな風に見られてたのか。

苦手なの歯事実だから仕方ないんだが。

 

「もうすぐ夏至祭も近いから、これから大変なんだ」

「そう……頑張ってね。私も応援してる」

「応援されるようなことはしないんだけどな」 

「それもそうよね」

 

笑い声が部屋に響く。

そうか、今回の特別実習は帝都ってことだよな。

……まーた面倒事起こさなきゃいいが。

 

「それじゃ、そろそろお暇させて貰うとするかな」

「あら…もう少しゆっくりしていってもいいのに」

「そんなに長い事居るわけにもいけないしな。ディナーの準備もあるんだろ?」

「そうだわ、トーリ君も一緒に…」

「悪いがパスだ。今士官学院生と接触するのはいろいろ良くない。仕事上な」

「そう……、残念ね」

「また別の機会にお誘いを頼むよ」

「えぇ、楽しみにしてます」

 

 

 

 

 

 

フィオナの家から出たあと、また宛もなくぶらぶらと帝都を歩く。

ふむ……あの通りは人通りも多いから封鎖するのはあまり良くないか……?

いや、逆に封鎖したほうが怪しい人間の行動範囲を狭めることが出来る、か。

そんなことを考えながら周囲を見渡してみる。

 

その瞬間、俺の脳裏に電流が走る。

告げている。面倒くさい奴がここにいると。

慌てて走り出そうとするが。

 

「あら……懐かしい顔ね」

「……今度はアンタか」

「寂しいことを言わないで?まさか私を追いかけて…」

「無いから安心しろ」

 

いつの間に俺の前に現れやがったこの女。

ヴィータ・クロチルダ。

注目を集めるオペラ歌手であり、絶世の美女。

だが、俺の知るコイツは………。

 

「それ以上は、ダメ、よ?」

「……思考を読むな」

 

恐ろしい顔を持つ、魔女だ。

 

 

 




フィオナやヴィータの話し方は合っているでしょうか。

フィオナはともかく、ヴィータの話し方がとても難しくて。まだ魔女っ子モードでは無いので、難しいです。



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