ブルー早く出したかったからです。
それが、ある台詞のせいで、全て狂いました。
詳しくは後書きで。
では5話です。
「リザドギルディが人間に倒されただと!?」
「そんな事があり得るはずがない!!」
「油断したでは、片付けられぬ問題だぞ!」
一面が
そこに置かれたテーブルを怪物達が囲む。
ここはアルティメギルの秘密基地。基地であり、空母でもある。
何処にあるのかは勿論人間には分からない。
ただ、一つ分かるのは、地球にいるという事だけだ。
斬り込み隊長として、この星の
エレメリアンと呼ばれる彼らは
その為、同じ
そんな彼らが結集した組織がアルティメギル。
今まで数々の星を襲い、住民の持つ属性力を吸収したあげく、その星自体を破滅へと導いてきた。
「静まれい!!!!」
竜のような出で立ちをした怪物が騒乱を静寂に変えた。
「ドラグギルディ隊長…」
「リザドギルディの強さなら十分この師である私が知っている!それを打ち負かす力を持った戦士がいたというだけだ!!」
明らかに他の怪物とは放つオーラが違っていた。
ドラグギルディと呼ばれた怪物は手元にあるリモコンのボタンを押す。
「「「「「お、おおおお…」」」」
すると、大画面のモニターに映されたツインテールの戦士に怪物達の感嘆の声が漏れた。
「映像を記録していた
「リザドギルディはこの者に―――だが、これなら納得がいくぞ」
「これがこの世界の
「この世界にもやはり神の生み出した逸材がいたか…素晴らしいツインテールだ」
「いや、これまでの逸材とは比べ物おおおおお!?」
ガタン、ガタンと大きな音を立てて怪物達が起立する。
六分割されたモニターに、目を凝らす怪物達。
リザドギルディを悼む為に集まったはずが、ツインテールの鑑賞会に変わっていた。
「さて、この幼子には底知れぬ
「何を仰います…これほどの力を見つけて逃げるなど、できるわけありません」
「ここでなら…死んでも構わん!」
「あの戦士から…何としても
「ふっ―――流石だ皆の衆。私も武人の血が騒いできたぞ…!」
彼らはアルティメギル。
一応、地球を侵略にやってきた怪物達、と認識されている。
「はぁ…」
「どうしたの、そーじ。溜息なんかついちゃって」
現在、ちょうど昼休みの時間帯。
一つ溜息をつくと、弁当を持って俺の席までやってきた愛香に心配された。
「いや、昨日から疲れが半端ないんだよ…」
「それは…あたしでも否定できないわね」
まず、昨日の夜は、謎の機械音で眠れなかった。
トゥアールが基地を作っているのだろうと解釈して、一度は寝ようとしたのだが、その直後―――
『あぶない…星の
―――星の
お陰で寝不足がキツい。愛香に目覚めのキスをされたのは嬉しかったけど。
そして次に、一時間目の授業を中止してまで行われた全校集会。
予想通り、その内容は昨日の事件についてだったが、壇上に立つ会長が放った一言で、体育館内が歓喜に沸く。
それと同時に、俺は呆然とした。
『わたくしはあの少女に心を奪われました!!』
『『『『『『ウオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!』』』』』』
あの少女、というのは勿論テイルレッドの事だ。
たった一回の出撃だったのに、校内での認知度が予想以上に高かった。
『神堂家は、あの方を…赤きヒーローを全力で支援する事に決定しました!皆さんもわたくしと共に、新時代の救世主となる彼女を応援しましょう!』
メイドがいる時点で並の家庭ではないであろう、神堂家の支援を受ける事が決定。
全校生徒の期待までもが俺の背中に重圧としてのしかかる。
―――それだけで、疲労感が物凄かった。
「愛香、キスしてくれてありがとう。あの時だけは疲れが取れたと思ったんだけどな…」
「そーじ…嬉しいな。そーじが喜んでくれるだけで、あたし、幸せだよ」
愛香は仄かに頬を赤く染めた顔で笑っている。
ああ、浄化される…愛香の嬉しそうな顔を見てると、俺も幸せだ。
食べる飯もなんだか美味しくなった気がするぞ。
「おお!!この写真、俺見た事ねえな!!」
ふと、窓際の席にたむろっている男子達に目を移すと、一人が持っているタブレット端末の画面に釘づけになっていた。
「決めた!俺、テイルレッドのお兄ちゃん目指す!!」
「ブフォォッ!!?」
男子生徒の血迷った発言に、思わず口の中のフルーツオレを噴き出してしまった。
「そーじぃ…急に顔にかけないでよぅ―――やだ、べたべたする…」
「ご、ごめん愛香…だけどその表現は…」
ほら、周りの女子たちがニヤニヤした顔してるよ。
絶対意味深に
いや、それよりも先に男子だ。
遠目で見ても分かるテイルレッドの画像がスライドショーでどんどん表示されていく。
「早い…もう画像がネットに拡散されてるのか…」
「トゥアールに相談したら?あの子の科学力なら、どうにかできると思うんだけど」
「ああ、そうか。トゥアールなら―――あ、でもあいつ幼女趣味あるとか言ってなかったっけ…?」
「あ。完全に忘れてた…でも根は悪くないと思うし、やってくれるでしょ」
変態な所を出さなければ、トゥアールはまともだと思うが、テイルレッドは幼女だしな。
どっちに転ぶだろうか。
その間に男子達の言動は更にエスカレートしていく。
「かわいい、本当にかわいい!」
うん、確かに素直に可愛いって言われるのは嬉しいんだけど、ちょっと怖いかな。
「巨乳派だったんだけどな、俺…でも、可愛いなら乳なんて関係ない!」
お前、女は乳でも顔でも判断しちゃダメだ、心で判断しろよ。
「斬撃受けたいなぁ…可愛い女の子に斬られるなんて、幸せだろうなぁ…」
勝手に斬られといてください。
「もう辛抱ならん!!」
タブレットの持ち主が唇を
こ、こいつ本物の変態だ!!!!
「や、やめろおおおおおおおおおお!!!!」
愛香のマグボトルを
思いが届いたのか、画面キス寸前の所で命中し、阻止する事ができた。
「いって!!何すんだよ観束!」
「お前、いくらなんでも変態すぎるぞ!?」
「何、変態でもいいさ。俺はテイルレッドたんの全てを受け入れたからな!!」
頭が痛い―――これじゃアルティメギルの変態共と変わりねーじゃんかよ。
「というか、観束。お前ツインテールも好きだろ?こんなに可愛いんだから、浮気しないのか?」
「しねーよ!!俺は愛香一筋だ!!」
教室中にヒューヒューと口笛の音が鳴り響く。
また、大声で恥ずかしい事を叫んでしまった。
―――後で顔真っ赤にしてる愛香に謝っとこう。
「本当に疲れた…今日は」
「そーじ、お疲れ様」
放課後、愛香と一緒に歩く帰り道。
愛香が
「気遣ってくれてありがとな、愛香」
「うん。夫を支えてあげるのが妻の役目だし…」
「え!?」
「あ、あれ、今あたしなんて事を…!?」
愛香がとんでもない言葉を口にした。
夫を支えるのが妻の役目って…まさか、愛香も俺と同じでもう結婚の事を…!…?
俺の顔は赤く染まり、それと比例するように胸の
「あ、愛香!」
「きゃっ、そーじ!?」
誰も見ていない事を確認して、俺は愛香を道路の端の壁に押し付ける。
「愛香、まだ、遠い日の事だけど…さ」
「は、はい」
もう、自分自身でも我慢ができなかった。
ちゃんとした仕方とかずっと考えてたけど、今更どうでもいい。
このタイミングで、蹴りをつけよう。
目の前にいる愛香は顔を赤くしていた。
「もし…愛香が良いのなら…その時は…」
「はい…」
その言葉を口にする。
「俺と…結婚してください」
「…はい、お願いします」
愛香が嬉し涙を浮かべながらも、笑顔で答えてくれた。
俺は愛香を壁から離し、すぐに抱き締める。
絶対に愛香を他の男に渡すものか。
俺は決意を強く固めた。
「…これから、もっと愛を深めていこうな、愛香」
「うん。そーじ―――じゃなくて、あなた」
「あ、あなた呼ばわりは…恥ずかしいな」
「そっか。じゃあ、そーじのままで」
もう新婚気分だよ、これ。
溜まっていた疲れも消え去り、俺は今が本当に幸せだ。
…え、未成年だから結婚には親の許可が必要だって?
俺達の親同士が仲良すぎるぐらいだし、問題ないどころか大歓迎だろう。
「あのさ、愛香。誓いのキス…してもいいか?」
「え、う、うん」
目を閉じた愛香に顔を近づける。
『この世界の全人類に告ぐ!我々は異世界より参った使徒、アルティメギルである!!』
「「!!!?」」
あと少しでくっつく、という所で急に大きな声がした。
俺達は驚いて、お互いに離れてしまう。
空に超巨大なスクリーンが浮かび上がっていた。
そして、そこには、竜のような姿をした怪物が映っている。
『我々はこの星自体に危害を加えるつもりは全くない。ただ、諸君らの持つ
玉座に足を組んで座りながら、演説する怪物。
見ていて腹が立つ光景だ。
『だが、どうやら我々に弓びく者がいるようだ―――抵抗は無駄である!それでも、というのなら受けて立とう。存分に挑んでくるがよい!』
「これ世界中に配信されてるのか…?」
上空のスクリーンとは別に、住宅地の方からも音が聞こえてくる。
まさかと思い、携帯のワンセグを起動させると、予想通りの映像が表示された。
「あいつら、本当に地球を侵略するつもりなのか…!」
かかってこい、とばかりに余裕の挑発。アルティメギルという組織は一体どれだけの力を誇るのだろうか。
こいつらの侵略は普通の侵略ではなく、人々の
あくまで、昨日の戦いは始まりに過ぎず、これからが本当の戦い。奴らに立ち向かえるのは、今の所、俺一人。
俺だけが、世界を救える希望なんだ。
『ふはは、我が名はタトルギルディ!!ドラグギルディ様の仰る通り、抵抗は無駄だ!!私は青春の輝きとも呼べる、
いつの間にやら、竜と入れ替わった亀の怪物がふんぞり返っている。
…
すると、亀の後ろにいた戦闘員が申し訳なさそうに近づいて、耳打ちをした。
『なっ、何!?この世界では既に絶滅危惧種だと!?おのれ人類め…自ら滅びの道を歩むのかああああああああああ!!!!!!』
やっぱり…女子もハーフパンツの学校増えてるしな。
というか、髪型ならまだしも、絶滅の道を辿っている衣類へのこだわりも力に変わるって…さ。
『総二様、今のご覧になりましたか!?』
トゥアールからブレスに連絡が入る。
隣町の高校が襲撃されている、との情報。
―――ちなみに、そこの高校はまだブルマだとか。
「愛香、すまん。ちょっと行ってくる」
「うん、気をつけてね。あなた」
「だから、あなた呼びは…」
「えへへ。無事に帰ってきてね、そーじ」
昨日、トゥアールと適当に決めた、変身機構起動を…呟く。
「…テイルオン」
さて、潰しにいくか。
スケールの小さすぎる、地球侵略を。
「お帰りなさいませー、総二様」
「総ちゃんお帰り~、やるじゃない!」
「…………」
戦闘から無事帰宅すると、やたらとテンションの高いトゥアールと母さん、そして顔を真っ赤にしている愛香が出迎えてくれた。
―――何で愛香は顔を赤くしてるんだ…?
「参った参った…今日は滅茶苦茶だったよ…携帯のカメラで撮られまくったし」
「それはお疲れ様でした…あの宣戦布告映像も全世界に配信されたみたいで」
やっぱりか…既に地球規模だ。
「あれ、でも日本語で話してなかったか?あいつら」
「奴らの話す言語は私達の頭に直接響くんです。だから日本語に聞こえるんですよ」
奴らはそんなに便利な言葉を使ってるのか。
テレビをつけると、世界中で様々な憶測が飛び交っていると報じられていた。それよりも、何故かNASAが動いているのが不思議で仕方ない。
宇宙人とかそういうレベルじゃないぞ、エレメリアンは。
「ああ…やっぱり大事に…」
「まあ、いつまでも心配している必要はありませんよ。総二様、基地が完成しました!」
基地が完成したのか、早いな。
まさか一晩でできるとは…恐ろしい科学力だ。
「基地には世界中何処にエレメリアンが出現しても、一瞬でそこへ行く事ができる空間転移装置があります。奴らが出たらすぐに倒せば、被害は出ません」
「そうか、なら…!」
トゥアールの説明を聞いて、沈んでいた自信が戻ってきた。
これなら、俺にも世界を救える…!
「それに、総ちゃん。絶対に守らないといけない人ができたものね、今日」
「えっ…ま、まさか、母さん!?」
すると、母さんが話に割り込んできた。しかし、何故だろう、今日という言葉が物凄く引っ掛かる。
それって―――まさか。
「プロポーズしたんだってね、総ちゃん」
「うわああああああああああああバレたあああああああああああ!!!!」
何故母さんはこの事を知っているんだ!?
愛香が尋問されたのか…?
「あなた達が二人でイチャイチャしてる所、買い物の帰り道で偶然見たのよ~。私以外には誰もいなくて、良かったわね」
「見られてたのか―――!」
よりによって母さんにか…くそっ。
でも、他の人でも恥ずかしい事は恥ずかしいか。
「早速、親同士の電話会談をしたけど、5秒で結婚OKって答えに落ち着いたから、心配しないで良いわよ」
「そ、そうか…」
いや、予想通りだった。
決定時間5秒って、会談というより会話じゃないか。
「―――そーじ」
「な、何?愛香…!?」
顔を赤くした愛香に呼ばれ、近くまで行くと、突然腕を
「こ、今夜は寝かさない、から!!」
「えっ!?ちょ、今帰ったばっかなのに、あ、愛香待って、せめて、せめて風呂には!!!!」
必死の抵抗も、愛香には通じていない。
「イってらっしゃいませ、総二様」
「なんかイントネーションおかしくないか、トゥアール」
「愛香ちゃーん、総ちゃんが抜きそうになっても絶対抜かせちゃダメよー」
「何をだよ母さん!?た、助けて、明日学校なのにいいいいいいいいいい!!」
俺の悲鳴もむなしく、愛香に腕を引っ張られ、自室に連れていかれた。
その後の事は―――想像にお任せしたい。
ただ一つ言うとすれば、また寝不足になった、という事か。
「夫を支えてあげるのが妻の役目」
せっかくだから、宣戦布告までの間のシーンでイチャつかせるかと思って考え始めた時に、ふと浮かんだのが↑です。
そしたら、なんか総二も愛香の事好きすぎるし、いっそプロポさせるか、ってなって…
某山の甘口スパゲッティシリーズぐらい甘い出来になりました。
もう結婚しろよ→結婚させてやったよ(まだ婚約)
でも、まだ5話なんですよ、この小説。
めげずに次回は…青き怒濤、登場です。
あの夫(バカ)の隣に行くのよ、テイルオン。
投稿してから思いましたが、属性力(エレメーラ)って単語がすげー多いですね…