俺、ツインテールになります。lover   作:金細工師

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ドラさんの描写、難しいのん。
17話でございます。


17話~龍と竜と、恋~

「な、何を言ってるんですかね…?」

「誤魔化せるもんか。俺にはもう、お前がテイルレッドの姿には見えない。観束総二の姿に見えるぞ」

 落ちた先にいた親友が、目の前で自分の名前をはっきりと言った。

 幸い、一般人やマスメディアはおらず、龍以外誰にも見られていない。

「そうか。じゃあ、仕方ない―――トゥアール、いいか」

「…はい」

 短く、何か悔しがるようにトゥアールが返事をしてきた。

 了承を得ると、俺は変身を解く。

「バレちまった、か」

「とりあえず、もう少しバレないように工夫しろよ。名前呼んだりしたら、明らかに怪しまれるぞ?総二」

「ははは…」

 龍の言葉に、思わず苦笑いをする俺。

 だけど、前にもそんな事やってなかったか…?気のせいだよな…?

「しかし、総二がテイルレッドだったとは…な」

「ん?どうした龍?急に静かになって」

「いや、な。お前の正体を知った以上、俺もちょっと話さないといけない事があって」

 さっきまで明るく振舞っていた龍が急に大人しくなったので、心配になりながら声をかけると、龍が真剣な面持ちで口を開いた。

 そして、俺の耳に衝撃的な言葉が届く。

「総二、ドラグギルディって知ってるか?」

「!?ドラグギルディ!?な、何でお前が知って!?」

 俺がその名を忘れるはずがない。

 ドラグギルディといえば、純粋なツインテール属性を持ったエレメリアンだ。

 これまでアルティメギルの連中と戦ってきた中で、間違いなく一番強かった。

 しかし、その戦いは世間に知られていない。

 そんな死闘を何故龍は知っているんだ…!?

「実はな―――俺、いや、具体的には俺の中に…ドラグギルディの魂が住んでるんだ」

「魂!?そんな事言われても信じられるはずが…」

「まあ、そうだよな。じゃあ…ちょっと試してみるか―――んん…ハッ!!」

 龍が力を溜めるように、大きく息を吸い込み、一気に吐き出した。

 すると―――。

「龍の奴、ここぞという時に成功してくれたか。―――さて、テイルレッド。いや、観束総二と言ったか。久しぶりだな」

「お前…死んだんじゃなかったのか?」

「ああ、我は一度死んだ。だが、未練(ゆえ)、魂になり、さ迷っていたのだ」

「魂に?…一体何があったんだよ」

「ならば、説明するまで」

 そう言うと、龍―――の体をしたドラグギルディは語り始めた。

 俺達ツインテイルズとの死闘で力尽きたドラグギルディは自らのツインテール属性を失った。

 そこで初めて、これまで自分が生きていく為に奪った属性力(エレメーラ)の存在、失う悲しみを知ったという。

「それを知ったからには、あの麗しき戦美姫(いくさびき)に誠心誠意謝罪せねばならぬ。そう思い、我は戦美姫を探すべく、魂の姿でさ迷っていたわけよ」

「でも、どうして龍の体を…」

「それはだな。―――あれはカナダ辺りをさ迷っていた時だったか―――」

 また、ドラグギルディが語り始める。

 カナダ周辺にある、大きな滝をさ迷っていたドラグギルディは、偶然そこで日本人の少年を見つけたという。

 しかも、その少年が『リュウ』と呼ばれているのを聞いて、何か感じたらしく、こいつについていこうと決めたとか。

 ―――なんと適当な理由なんだ。

「というわけよ。ここまで一人で話してすまなかったな」

「うん。とりあえず、お前が反省してるのは分かった」

「分かってくれてなにより。我もこれからはお前達の力になりたいと思っている。ゆくゆくは我の手で属性力(エレメーラ)を失った世界にもう一度、属性力(エレメーラ)を芽吹かせるつもりだ」

「そうか。だそうだぞ、トゥアール」

 ドラグギルディの言葉を聞いて、ブレス越しにトゥアールへ振る。

 因縁あるし、ちゃんと話さないとね、やっぱり。

「そうですか…反省している…と。それでも、私は貴方を心から許す事はできないです」

「…やはりか」

 ドラグギルディは分かっていたとはいえ、辛いという複雑な気持ちで呟いた。

「―――でも、貴方が属性力を奪われる辛さを分かってくれて、私は少し嬉しいですよ」

「!!」

「貴方が奪い去った物をちゃんと全て取り返すまで、一緒に頑張りましょう。ドラグギルディ、いえ、ドラさん」

「うむ、お主に返さねばならぬ物は多いからな。これからよろしく頼む」

 これは、一応…和解…したのか?

 しかし、トゥアールもやっぱり複雑な思いなんだろうな。これだけ謝られてしまってはいくら因縁があっても、無駄にする事は出来ないだろうし。

 何はともあれ、最強の敵がまさか味方になるとは思ってなかったよ…まったく。

「…そろそろ心中に戻らないといけないようだ」

「そうか。また、出てこれるか?」

「また、いつかだな。だが、お主達は我と話すよりも、龍と話してやってくれ。その方が楽しいだろう?」

「…はは、そうだな。ま、お互い頑張ろうぜ、ドラグギルディ」

「左様。では、また会おう、テイルレッド―――観束総二よ…!」

 そう声を張り上げると、ドラグギルディはログアウトした。

「ドラさんと話してくれて、ありがとな。総二」

 直後、体がガクンとなってから、龍の人格に戻る。

「ああ」

 顔を見合せ、自然と握手をする。

 俺達は、本当の親友だとばかりに。

「なあ、龍」

「何だ、総二」

「―――ツインテール部に入ってくれないか?」

「そんなもん―――入るに決まってるだろ」

 もう一度顔を見合せ、二人で笑う。

「ありがとな、龍。これからもよろしく」

「こちらこそ、よろしくな」

 竜と話せる少年、双崎龍。

 ここに、第四のツインテール部員が誕生したのだった。

 ―――龍がツインテール部に入ってくれるのは嬉しいんだけど、俺は何かを忘れているような。

 何かこう、もっと大切な物を。

「…あっ」

「どうした総二」

「愛香の存在…忘れてた」

「愛さん?何かカレカノの約束事でもしてたのか?」

 もうテイルレッドの正体もバレてしまったし、言ってもいいか。

 そう思って、俺は口を開く。

「いや、俺を落として、多分まだ探してるんだよ」

「落として?…!!まさか、愛さん…」

「そう。テイルブルーは愛香だ」

「そうだったのか―――。しかし、それだと愛さん可哀想だな―――」

「―――じ、どこー!」

「―――って、言ったら、どっかにいるみたいだな、これ」

 空から微かに聞こえる愛香の声。

 龍の言う通り、空に放置しておくのも可哀想なので、大声で呼びかける。

「愛香ー!!ここだー!!」

「!!そーじ―――!?」

 愛香は驚きを隠せない顔でこちらを見ている。

 隣にいる人物もそうだし、その状況で名前を呼んだのもあるか。

「ちょ、ちょっと待って。な、なんで龍がここにいんのよ!?」

「もう、とっくにバレてるぞ。愛さん」

「…そーじ、バラした?」

「え?―――ナンノハナシカナー」

「あやしい…」

 愛香から疑いの目を向けられ、思わず棒になってしまった俺。愛香の疑いの目が更に強くなってるよ、大変だー!

「えーっと、とりあえず、俺は見つかったからいいだろ?それに、愛香。あれ、試さなくていいのか?」

「そ、そうだった!早く巨乳属性(ラージバスト)を試さないと!!―――属性玉変換機構(エレメリーション)!」

「!?な、何だ!?」

「ここで試すのか…愛香」

 光り輝く愛香の姿を見て、龍が驚きの声を上げる。

 しかし、言ったら言ったですぐ実行とはな…愛香。

属性玉(エレメーラオーブ)―――巨乳属性(ラージバスト)!!」

 いつもより声に気合いが入っている。

 これなら―――!

「…あれ?」

「?あたし、ちゃんとやったわよね?」

「よく分からないけど、ちゃんと石みたいなのは収納されてたぞ」

 巨乳属性(ラージバスト)属性玉(エレメーラオーブ)はちゃんと装填(そうてん)されたはずなのだが、これといった変化は見られない。

 ―――まさか。

「あ、愛香。一旦落ち着いて、もう一度やってみようか」

「そ、そうね。すー、はー…属性玉変換機構(エレメリーション)!!属性玉(エレメーラオーブ)―――巨乳属性(ラージバスト)!!!!」

「うっ…!」

 ブルーの体が強烈な光を放つ。この光は間違いなく変化の兆し―――だと思っていた。

「…あ、れ?」

「何も起こらない…?」

「―――っ…ううっ…」

「愛香!?」

 愛香が地に蹲り、泣き始める。

「愛香…!」

 その姿を見るのが、俺は悲しくて仕方がなかった。

 愛香を慰める為に寄り添う。

「愛香、泣くな、な?」

「そーじの為に、おっきくする努力したのに、努力が実らなくて、っ、でも、これで巨乳になれるって思ってた、の、にっ…」

「なんか…俺まで悲しくなってきたよ…」

 愛香の悲しみは完全に蚊帳の外になっていた龍にまで伝染した。

 龍、ごめんな、俺が情けなくて。

「愛香。そのな、俺…ありのままの愛香が一番好きだ」

「え…?」

「愛香が何か努力して、胸が大きくなるのは俺だって構わない。だけど、人工…というか、属性力(エレメーラ)を使って、巨乳になった愛香を見ても、俺はあんまり…好きじゃないかな」

「そーじ…」

「だから、俺は今の愛香でい続けて欲しい。例え胸が小さくても大きくても、俺は世界で一番、愛香が好きだよ」

「そーじっ―――!」

 テイルブルーの変身を無意識に解きながら、愛香が抱きついてきた。

 それをしっかりと受け止める。反動で地面に押し倒されてるけど、まあいいや。

「愛香―――これからも、俺の愛香でい続けてくれ」

「―――うん。そーじも、ずっとあたしの大好きなそーじでい続けてね」

「愛香…」

「そーじ…」

 優しく、ゆっくりと、俺達は唇を重ねた。

「―――恋愛って、いいな。俺も…」

 外野で見守る龍がぼそっと何か呟いているが、キスに集中していた所為か、最後だけ聞こえなかった。

 しかし、今の発言だと、龍は恋愛に興味が無かったのか…?

「はぁ…」

「愛香、好きだ」

「あたしもだよ、そーじ。大好き」

 二人で揃って、素直な愛の言葉を口に出す。

 ―――そろそろ現実に戻ろう、また放置者を出しているから。

「さてと…ごめんな、龍、さっきから放置しちゃってて」

「いやいや、俺もお前らのラブをモロに受けたみたいでさ、今、恋愛への興味がすげー湧いてきたよ」

「恋したことないの?」

恋愛(ラブ)したい!!って羽を広げるほど思った事は無いかな。アメリカでもあんまり出会いは無かったし」

 恋愛―――か。意外と恋愛属性ってあるかもしれないな。

 あくまで仮定の話だけどさ。

『あ、あの、お話中すいません。総二様』

「ん?どうした、トゥアール」

「え、あーちゃん?」

 三人で恋愛談議に入ろうとした所でトゥアールから通信が入った。

 何だろう?まさか、また別の場所でエレメリアンが現れたのか?

「あの、この機会に龍さんに話したい事があるので…」

「え?俺に?」

 トゥアールが龍に話したい事―――って、早すぎるよな。

 あれはさすがに早すぎるよな、きっとツインテイルズ関係の事だよね。

「龍さん。あ、朝はありがとうございました。私が慌てていた所為でぶつかってしまい、自業自得で脚を挫いて歩けなくなったというのに、わざわざ保健室まで運んでいただいて…今日は助けられてばかりですみませんでした」

「大丈夫だよ、あーちゃんみたいな子、放っておけなかったしさ」

「そう、ですか。ありがとうございます、龍さん。実は…その…」

「?」

「わ、私―――りゅ、龍さんに…その―――こ、心を、い、一撃で、い、射抜かれちゃった…と言いますか…」

 トゥアールが噛みながら、とんでもない事を口にした。

 これって、いろいろ噛んではいるけど―――ガチな奴じゃないか…!

「え、ちょ、ちょっと待―――」

「ひ、一目惚れしました…!龍さん、す、好きでしゅ!」

「え、え!?あ、あーちゃんが、俺に、ひ、一目、惚れ、ちょっ、と、待って、くれ、るかな、心の、整理がつかな、いわ」

「は、はい…!」

 なんだなんだ、初々しさが半端ない。お互い恋愛初心者なのか、これは。

 というよりも、出会った初日でいきなりカミングアウトって、早すぎるだろ。

「え、えーっと、そ、その、きゅ、急、にい、言われた、から、び、びっくりして、る、から、そ、その、また、じ、じっくり、考えて、から、で、いいか、な?」

「は、はい、ま、待って、ます、りゅ、龍、くん(・・)

「!?」

 テンパったはずみでトゥアールが龍くん呼びに…!それを聞いた龍も真っ赤になって色々とヤバい事になっている。

 何だろう、無性に応援したくなるな。

「えーっと、トゥアール。俺達帰るの遅くなりそうだから、ごめんな」

「は、はい!お気をつけて…!」

「あ、あわわわわ…」

「龍、落ち着いて」

 龍が慌てる姿に、愛香が呆れながら対応している。

 割と、龍は残念なイケメンなのかもしれない。

 ―――ドラグギルディと話した事を忘れてしまいそうだな、こりゃ。




ドラさんの描写むずかしいのん(2回目)
次ドラさん出てくるのいつになるんだろう。
作者にも分かりません!

そして、早い!トゥアール、転入初日にって早い!
まだ会って一日も経ってないのに告白って。

発情してるんですかね、たぶん。

さて、総二と愛香の方は正常運転ですが…帰ってからがまた大変なのです。
トゥアールは例の物を作ろうと、というか未春将軍がそう言おうとしていますので。

次回もオリジナル多めになりそうですが、頑張ります。
では、また次回!

~追記~
「…」
「どうしたのよ、そーじ。不機嫌そうな顔して」
「愛香のウェイトレス姿を他の奴らに見られてるから…」
「そ、それはしょうがないでしょ」
「しょうがなくても、腹が立つ物は腹が立つんだよ!」
「!?そーじ!?」
「ウェイトレス姿の愛香は俺の物だ!!見ていいのは俺だけだー!!」
「急にどうした観束ー!?」
「独占欲全開になってるぞー!!」
「おやー、そのままお持ち帰りかなー?観束君!!」
「「「観束くーん!愛香はいつでもお持ち帰りオッケーだよ!」」」
「そ、そーじ…は、恥ずかしいよぅ」
「俺の物だー!!」

9巻読んで、ふと考えたもの。

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