俺ツイ自体、戦隊物ですよね。
赤青黄黒銀の戦隊は未だに無いような、というか白か桃がいないと…w
本編関係ないや、ではどうぞ。
「そーじっ♪」
「あ、愛香…歩きにくいんだけど…」
「でも、嬉しいでしょ?」
「…まあな」
部室で愛に走った後の帰り道。
俺は愛香に腕をがっちりと組まれ、おまけに体を寄せられている。
転送装置を使えば、一瞬で家に行けなくも無かったのだが、愛香が二人きりを堪能したいとねだってきたので、この状況だ。
正直、たまらん。
「そーじ、帰ってから…時間ある?」
「おう。何も無かったら、ずっと暇だよ」
「じゃあ…その…」
上目遣いで愛香が俺を見る。
また何かねだってくるのか、全然OKだけども。
「夜も一緒にいよ?」
「了解。また寝不足になるかもなぁ…」
「そーじ、ありがとうっ」
「うわっ、また急に、愛香…」
今日もまた、
「ただいま、母さん」
「お帰りなさい、総ちゃん~」
控えめにカウベルを鳴らし、自宅である喫茶店の扉を開けると、母さんがせわしなくカウンターと店内を往復していた。
「客が増えてる…?」
目の前にはカウンター席以外のテーブルがお客さんで埋まっているという信じがたい光景。
今まで混雑する事が珍しかっただけに、最近の客足の増加には俺も驚いている。
…営業中で邪魔になるから、裏口に回った方が良かったかもな。
「ごめん、少し手伝ってくれない?やる事が終わったからって、トゥアールちゃんが頑張ってくれてるのよ…」
「わ、分かった」
「うん。あたしも手伝います」
慌てた様子で母さんが手伝いを頼んできた。
トゥアールのやる事…とはテイルブレスのメンテナンスの事だろうけど、その後アドレシェンツァの手伝いまでするとは…トゥアール、すげー。
しかし、トゥアールと母さん二人でこの状態の店を回すのはいくらなんでもキツいだろう。
少しでも人手がいた方が楽なわけだし。
「あら、お帰りなさいませ、お二方。部室でお楽しみになりましたか?」
そう考えていると、接客をしているトゥアールが爆弾発言を片手に声をかけてきた。
トゥアールは何故かいつも通りの白衣で接客している…と思ったが、白衣の下は黒い服にしゃれたネクタイ。
司令官というより、店長という表現が似合うと思ったのは何故だろう。
「トゥ、トゥアール、ここで言っちゃダメっ。未春おばさんに聞かれたらどうなるか…」
「ふむふむ、総ちゃんと愛香ちゃん、大胆ねぇ」
「母さん、何を言ってるんだ!?」
愛香が慌てながらトゥアールを食い止めようとする。
だが、案の定、母さんが聞いていたので、まずい展開になりそうだったが、店の混雑でそれは免れた。
あー危ない危ない。
「あ、総ちゃん。これ着て接客してくれない?」
「?おう、分かった…!?」
母さんが渡してきたのは赤いジャンパーと白いスカーフ。
何これ、何故これを着せようとしているのあなたは。
買ったのか?それとも、作ったのか?
母さんの事だから、作った可能性の方が高いけど。
「と、とりあえず、着替えてくるわ」
「できるだけ急いでね?」
「了解」
「さてと、じゃあ愛香ちゃんは…こっちに来てくれる?」
「え、あ、はい」
愛香が母さんに連れて行かれる光景がちらっと見えた。
…母さん、混雑してるのに店開けていいのか…?
あなたいなくなったら、接客してるのトゥアールしかいないぞ、今。
とりあえず…俺も急がねば。
「お待たせしました、こちらになります」
たまに俺も店の手伝いはするのだが、こういった服で接客するのは初めてかもしれない。
何というか…うん、気にいった。
この調子なら案外、俺はコスプレもいけるかもしれない。
…ただ…そんな事よりも、何か嫌な予感がする。
店の様子がおかしい、というか以前と雰囲気が違うような。
ここは間違いなく、喫茶店アドレシェンツァなのだが。
そもそも、トゥアールのあの衣装も変だ。
「もう…前のアドレシェンツァとは違う…のか?」
そんな疑問を募らせていると、店の奥から何やら声がした。
「ほら、恥ずかしがらないの!いつもこんな格好してるでしょ?総ちゃんも喜ぶって」
「で、でもこの格好で接客なんて…っ!」
「えーい」
「きゃっ!?」
アドレシェンツァの店内に、天使が現れた。
いつも着ている物とはまた違う、青を基調としたさわやかな色の制服、それにいつもより短めなスカートを履き、頬を赤く染めながら、恥ずかしがる愛香が俺の目の前にいた。
「え、あ、あ。愛香…?」
「そーじ、じろじろ見ないでよぅ…恥ずかしいじゃん」
「あ、ああ。ごめん」
どうも無意識に愛香をじっと見つめていたらしい。
仕方ないか、愛香もコスプレが似合ってるもの。
今度色々着てもらおうかな、愛香に似合いそうなコスチュームなんて山ほどあるだろうし。
「ほ、ほらそーじ、接客しなきゃ…!」
「あ、ってそうだった!!」
愛香に目を奪われた所為で肝心な事を忘れていた。
そう思い、接客に戻ろうとした、その時。
「すまない、マスター…水と新聞を…!今日の新聞を見せてくれないか…!!」
一人の男性がものすごい勢いでアドレシェンツァのドアを開けては、カウンターに詰め寄り、出されたお冷やを一気飲みする。
ネクタイが折れ、スーツもよれよれなサラリーマン風の男性客だ。
見た感じ、かなり疲れている様子だけど…?
「…どうぞ」
何故か神妙な面持ちで新聞を差し出す母さん。
それを震える手で受け取る男性。
「……四月の……二十五日……。よかった……無事に
おかしい。
この人、何かおかしいぞ。
慌てながら俺は周りを見渡すと、この珍妙なやり取りに注目するお客さんは一人もいない。
ただ、俺と横にいる愛香だけが、目を丸くしていた。
先程までの動揺が消え、穏やかな表情を見せる男性客の前に、母さんがコーヒーを置く。
すると、男性はコーヒーを無言で飲み干し、上を見上げながら、フッと笑った。
…上には天井しか無いのだが。
「マスター、俺は……」
母さんは男性の声を
何故か空のティーカップを磨きながら。
「
「ありがとう。分かったよ、マスター。……行ってくる、俺が
諭吉を一人置き、男性はまた勢いよくドアを開けて、店を出ていった。
早い、入店してまだ1分も経っていないような。
いくらなんでも早すぎるぞ。
「なぁ、母さん。今の人…知り合い?」
「ううん、全然知らない人よ」
「そうか、知らない人かー……って、誰だよおおおおおおおおおおお!!!!」
全力のツッコミをかます俺。
何か物凄く強引なルビを多用した会話をしてたし、そもそも初対面なのに慣れ過ぎだろ!
「普通に事情を知ってるみたいな会話だったぞ、今のは…!」
「いや、ね。なんとなく分かるのよ、どういう答えを望んでるのか、どう答えれば満足してもらえるかなって。父さんと毎日あんな会話をしてたから」
「っ…!」
考えたくなかったけれど、もしかしたら…!
俺はなるべく不自然にならないように店内のお客さんの雰囲気を窺った。
「ふはは…これさえあれば…!久保田に…!人類に…!」
メッシュの入ったやたらチャらいおじさん?いや、おじいさんが、一人不気味な声を上げていた。
久保田って誰だよ、というか人類って。
…机に置かれた、たった一杯のコーヒーで何をするつもりなんだ。
「ここのカレー、全宇宙で食ってきたカレーの中でも相当な美味じゃねーか。気にいったぜ」
向こうのテーブル席で派手な赤い服を着たお兄さんが名物のカレーを絶賛している。
全宇宙って…?
あなた一体何処からやってきた人なんだ、気になるぞ。
一事が万事、周りのお客さんもそんな感じで
もう、物凄く頭が痛い。
認めないといけない事実がそこにあった。
――――――中二喫茶になってるじゃねーか…これ…!
俺が頭を抱えていると、トゥアールが声をかけてきた。
「間違いなく、お
「やめてくれトゥアール…まず間違いないとは思うけど、必死に気付かないふりをしてた母さんの
この事を絶対に母さんに知られてはいけない。
母さんが、中二という強大な
ツインテイルズの登場で、その
確かに分からなくはないよ、夢見たシチュエーションが現実になったのは俺もある意味同じだから。
けど…メイド喫茶で客がメイド服着るようなもんだろ…これは。
何でみんなセルフなんだよ。
「なんだか、凄く嬉しいわ」
「母さん…」
これこそ魔境、という店内を母さんが慈愛の目で見ていた。
「中二病って、どうしても悪い印象を持たれがちなのよね。でも、本当は何よりも優しくて、強い物だと思うの。好きな物に好きなだけ打ち込んで、思い切り青春を謳歌できるなんて、凄く幸せだもの」
好きな物に好きなだけ打ち込む。
それって―――
「誰もが青春を謳歌できるってわけじゃない。大人になって、ふと懐かしい気持ちになったりする事もあるのよ。仕事や、毎日にちょっぴり疲れた時にその気持ちを思い出す手助けができるのなら、母さん、本望だわ」
それって―――その気持ちって、俺がツインテイルズとして何よりも守りたい物じゃないか。
やっぱり、この人は俺を産んでくれた母さんなんだな。
そして、俺は母さんの息子なんだ。
「総ちゃん…今の台詞、覚えた?」
「え、うん。覚えたけど?」
胸が温かくなった所で、母さんがカウンター越しに詰め寄ってきた。
「じゃあ、次の戦いでドラグギルディとの戦いくらい大ピンチになった時に、思い出してね!母さんの言葉が
「いや、どうすればさっきの言葉がそれになるんだよ!というか、声大きいし!それに敵の名前何バッチリ暗記しちゃってんのさ!ツッコミ所多すぎて息もたねーよ!!」
さすがにこの雰囲気なら、俺達の正体がバレる事は無いだろうけど…でも、このお願いはハードルが高すぎる。
「夢だったのよ。死ぬ寸前まで追い詰められた主人公が、ヒロインである母さんの言葉を咄嗟に思い浮かべて、そこから一気に形勢逆転するシチュエーションが…!今は総ちゃんの物語のヒロインではなくて、母という登場人物だけどね」
「分かったから!そのうちどうにかこうにか思い出すから!!」
「死にそうになったらよ?」
「実の息子の死に際を望むんじゃない!」
横でトゥアールが白衣の袖で
「母の愛…凄くうらやましいです。私、家族の温もりを知らないので…総二様とお
「何を言ってるのトゥアールちゃん、あなたはもう立派な私の娘じゃないの。うんと甘えてちょうだい!」
「お義母様…!その言葉でどれだけ救われるか…!!」
「新しい恋のサポートもしてあげるから、青春を謳歌してね!」
「はいっ…!」
ある種、感動的なシーンとでも言えるのか、これ。
…そういえばさっきからやけに愛香が静かだ。
どうしたのだろうと、隣を見ると、店の雰囲気に飲まれ、固まっている愛香がいた。
カチーンとでも音がしそうなくらい、冷凍されている。
やっぱり耐性が無いと、
「愛香?おーい、愛香?」
返事をしても全く声が聞こえない。
せっかくの制服コスプレが台無しだ。
「愛香、起きろ…っ」
愛香の頬へキスをかます。
すると、愛香の顔に熱が戻ってきた。
「はっ!?あ、れ?そーじ、あたしは今まで何を…!?」
「さっきまで凍ってたぞ、店の雰囲気に飲まれて。だから、俺がキスで今溶かしたんだ」
「き、キス!?…恥ずかしい…」
恥ずかしそうに顔を手で覆い、赤くなる愛香。
可愛い、抱きしめてやりたい。
「総ちゃん、客足も落ち着いてきたから、もう大丈夫よ。ありがとね、手伝ってくれて」
「いや、どうって事ないよ。また、大変な時は助太刀するから」
「よろしくね。じゃ、愛香ちゃんとごゆっくり♪」
「そんな意味深な発言残さないでくれよ…」
母さんにも振り回され、一日振り回され続けた俺でした。
11話以来、スーパー戦隊シリーズのネタを突っ込んでみました。
久保田言ってるのはD戦隊のS博士ですね、嫉妬が全てを狂わせた、悲しい方。
カレーはお馴染み、K戦隊のM。
なんだかんだ好きですよ、彼。
そして、総二達が着ていた衣装は……。
非公認でもいいじゃん?w
というか、トゥアールの中の人が出てたし。
さて…ここで趣旨を変えて、本編の重要なお話。
まだ計画段階ですが、オリキャラを出そうかと思ってます。
物語の重要キャラとして、あるお方の転生者を出そうかと。
決まれば、すぐ出します、多分。
では、また次回。
…会長が出てくるぞーw