俺、ツインテールになります。lover   作:金細工師

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サブタイ通り、今回は会長との対談です。
しかし、R-15ってよく分からん。

どこまでヤっていいんですかね?


12話~会長、対談~

誓いのキスをまたも邪魔され、怒りが湧いた俺。

だが、ドア越しに聞こえた声で怒りは収まってしまう。

俺も、愛香も、トゥアールも、ここにいる誰もが考えていなかった。

麗しき生徒会長、神堂慧理那その人がこのツインテール部の部室にやってくるなど。

「ちょ、ちょっとまってくださーい!!」

猶予を求める声を上げ、俺は急いで周りを見回した。

トゥアルフォンはまだ誤魔化しが利くからいいとして、他に会長に見られてまずい物を出しっぱなしにしていないか、しっかり確認する。

「トゥアール!他に何か隠す必要がある物とかないか!?」

「いえ、もう大丈夫です!」

「こっちもオッケーよ!」

「了解。ど、どうぞ!!」

なんとかセッティングを終え、会長を招き入れる。

「お邪魔しますわ」

扉が開いた瞬間、空気が変わった。

しゃなり、しゃなりと音が聞こえてくるような、たおやかな歩み。

後ろにメイドさんを連れて入室してくる会長はまるでどこかの国の姫君のようだった。

神堂慧理那会長。

俺が入学式で心を奪われた、高貴なツインテールの持ち主だ。

八の字に垂れ背を彩る、カールのかかった金髪のツインテールは花嫁のヴェールを思わせた。

「お…おお…」

何度見ても見慣れない。

恐怖さえ感じるほどに洗練されたツインテールだ。

「あら…そちらの方は―――」

一生徒として溶け込むには存在感がありすぎたようで、会長はすぐにトゥアールへ目を留めた。

言い訳を考える俺より先に会長が言葉を紡ぐ。

「確か…今日編入届を出された生徒がいると聞きましたが、その方ですか?」

「は、はい。俺の親戚で、海外から引っ越してきたんです。すいません、正式に登校する前に一度学校を視察したいとせがまれまして…」

三人で決めた「設定」を咄嗟(とっさ)に口にする。

さすが、全校生徒の名前を暗記するほどの生徒会長だ。

編入生の情報もしっかりとキャッチしていた。

「そうですの。今日は隅々まで見学していただいて、この陽月学園の事を好きになって下さいましね」

会長に笑顔で言われ、トゥアールは無言でこくこくと何度も頷いた。

厳密にはまだ部外者であるトゥアールを校内へ入れた事を(とが)められるかと思ったが、一安心だ。

しかし、会長は手にしていた書類に目を落とすと、笑顔から一転、表情が引き締まる。

今の会長はツインテイルズを純粋に応援してくれるファンではなく、生徒会長という職務を全うする、人の上に立つ者の目をしていた。

「申請のあった部活新設の書類を見て、少々気になる点ありまして。今回、直接確かめて新設許可を出させていただこうと思い、伺いました」

「そ、そうだったんですか。わざわざすみません、会長」

ちょっと詰まったが、必死に声を絞り出す。

生徒会長と話すだけでこんなにも緊張するんだな。

「部活内容は…ツインテールを研究し、見守る事、とありますが」

「はい、間違いありません」

誤魔化すわけにはいかない。

俺は精一杯の真顔で、会長のツインテールを見ながら返答をした。

相手の目を見て話しなさい、とは礼儀の中でも最も簡単で重要な事だ。

だが、俺の場合、相手がツインテールならば、相手のツインテールを見ながら話す事こそが礼儀だと思っている。

ここで礼を失すれば、この珍妙な部活名と活動内容を不審に思われてしまうに違いない。

ある意味、これは俺と会長の真剣勝負だ。

「観束君。あなたはツインテールが好きなのですか?」

「はい。大好きです」

強く、はっきりと即答した。

誠実さが伝わっているか不安だが、これなら恐らく伝わっているはずだ。

すると、会長が質問を重ねてくる。

「では…何故、ツインテールが好きなのですか?それも、部活にするほどなんて」

「ツインテールを好きになるのに、理由なんて必要ですか?」

そう答えた瞬間、会長のツインテールに(わず)かではあるものの、動揺が見えた。

これだけのツインテールの持ち主なのだから、共感してくれると思っていたのだが。

意外にも、会長は難しい顔をして、黙り込んでしまった。

…いや、これは俺を試しているのか?

私のこのツインテールを目の前にして、そんな大言壮語を吐くだけの覚悟が本当にあるのか、と。

やるな、会長。

さすが俺が見とれたツインテールだ。

でも、俺は貴女(あなた)に負けるつもりなんてない。

さあ!俺の目を見てくれ会長!これが嘘をツインテール……ついている男の目か!?

そして…俺の心の中にある、世界最高と称されたツインテールを見てくれ――――――!

ツインテールとツインテールの激しいぶつかり合いは会長が深く頷く事で終焉を迎えた。

「…そうですか。なるほど、分かりましたわ」

何か含みのあるような返事が気になったのか、横にいた愛香が聞き返す。

「あ、あの。何か活動内容に問題でもありましたか?」

「いえ、問題はありませんわ。ツインテールを愛する部活ですから、ツインテイルズの応援にも繋がると思いますし」

正直、この打算が無かったと言ったら嘘になってしまう。

学園を挙げてツインテイルズを応援しているのだから、ツインテールを探求する名目の部活申請が却下される事は無いだろう、と俺は踏んでいたのだ。

「…あら?」

会長が俺の右腕に視線を注いできた。

「観束君。いくら部室の中だからといって、こんな派手なアクセサリーは校則違反ですわよ」

「っ!?」

俺は思わず右腕を(かば)うように胸に抱いた。

「テイルレッドのデザインのものですわね。最近、本当によく見かけますわ」

さらに衝撃的な事を告げられ、現状把握が追いつかない。

ツインテイルズのグッズやアクセサリーは次から次へと販売されているので、同じデザインのブレスレットを着けていても疑われる事は無いだろう。

だが、問題はそこじゃない。

反射的に愛香を見ると、腕を瞬時に背中へ隠していた。

…さすが、愛香だ。

「お嬢様、そろそろお時間です」

メイドさんの言葉に頷く会長。

「ええ。それでは、ツインテール部のこれからの躍進を期待していますわ。皆さん。ごきげんよう」

会長は職務に追われている合間を()って来ていただいたようで、ぽかんと口が開いたまま、俺は小さく手を振って見送った。

すると、メイドさんが振り返り、俺に向かって言う。

「時間を取らせてしまってすまなかったな。君、さっきはなかなか良い目をしていたな。ツインテールに懸ける思いってのがよく伝わってきたぞ」

「そ、そうですか。ありがとうございます」

褒めてくれた事に礼を言うと、メイドさんは会長の後に続いて出て行った。

…確かに褒められたのは嬉しいが、そんな事よりも…!!

「おい、トゥアール!!どういう事だよ!?テイルブレスって変身前は普通の人間に見えなくなってるんじゃなかったのか!?」

「普通ならそのはずなんです!!」

認識攪乱装置(イマジンチャフ)の効果で一般人にブレスそのものが見えなくなるようで、体育の時間で着替える時も疑われる事などは無かった。

「トゥアールも予想していないような弱点があるんじゃないか?俺達の認識攪乱装置(イマジンチャフ)はテイルギアのコア、つまりツインテール属性が力になってる。同じツインテール属性、ましてや、より強い属性力(エレメーラ)を持った人間には攪乱の効果が薄い…とか」

「……ツインテール属性があるだけでテイルブレスが見えるとは思えません。もしそうだとしたら、テイルレッドの影響でツインテールにした、他の生徒さんにもテイルブレスは見えているでしょう?」

「けど、会長はアルティメギルに何度も狙われているんだぞ!?並のツインテール属性は持ってないはずだ!!」

トゥアールはまだ何か言いたげだったが、一応納得してくれた。

「…そうですね、分かりました。認識攪乱装置(イマジンチャフ)は総二様と愛香さんの生活に支障が出ないようにする為の一番大事な物ですしね。今から帰って、お二人のブレスをメンテナンスしてみます」

「ありがとう、トゥアール」

間違いなく、トゥアールには悪い事を言っている。

仕事ぶりを疑うような内容だからだ。

でも、これだけは流す事ができない。

一歩間違えてしまえば、大事になってしまうかもしれないのだから。

「では、メンテナンスに行ってきます!!」

「え、ちょっと待て、俺らも帰る…」

「総二様!!」

一緒に帰ろうとした直後、トゥアールに大声で止められる。

「メンテナンスは私に任せてください。全力で取り組ませていただくので、心配する必要はありません。ですから……」

「ですから…?」

「愛香さんと一緒にいてあげて下さい!!」

「!?」

そう強く言い放って、トゥアールは部室を飛び出していった。

というか…転送装置使えばいいのに。

「……ありがと、トゥアール。――――――そーじ!」

「な、何?愛香?」

「あの、さ。二人きり…だね」

「!!そ、そういえば…」

ツインテール部の部員は三人。

トゥアールがいないので、今ここにいるのは俺と愛香の二人だけ。

まさか、これを狙ってトゥアールは…?

だとすれば……トゥアール、ごめん。

「トゥアールの厚意ってのも、ちゃんと受け取らなきゃ…ね」

「…ああ」

「じゃあ…ちょっと待ってて、そーじ」

「え?愛香?」

愛香が部室の外へ飛び出していく。

一体何があったんだ…?

そう考えようとしたが、すぐに愛香は戻ってきた。

「うん、周りの部屋には誰もいなかったよ」

「誰も…って、まさか…!?」

頭に浮かんできてはいけない物が浮かんできた。

顔が思わず赤くなる。

「そーじ…その…しよ?」

「!?ちょ、ちょっと待て!ここ学校だぞ!?」

公共の場を汚すのもどうかと。

でも、愛香の顔がヤバい。

これは…食いたがってる顔だ。

「せっかく二人きりだし、周りには誰もいないよ?」

「……ちょっとだけだぞ」

「そーじっ!!」

「うわっ!?」

椅子に座っていた俺に向かって、愛香が飛び込んできた。

パイプ椅子ごとぶっ倒され、唇を塞がれる。

…しかし、何も言わずにすれば、邪魔されないのな。

誓いのキスって言うと、邪魔されるのに。

「んっ…ん…んんっ」

「ん…んん…っ…」

舌を絡め、より激しくお互いを求める。

「っ…はぁっ。痛いぞ、愛香」

「ごめんね。でも、もう我慢できなくて…」

「分かってる。じゃあ、するか?」

「うん!」

 

この状況を作ってくれたトゥアールに感謝をしつつ、俺は愛香と更に愛を深めたのだった。




ヤっちゃあかんか、さすがに。
さて…今回は会長との対談だけで何処まで書けるかと心配になりましたが、4000字はあったので良かったです。
まあ、いつもより短めですが。

しかし、学校でのシチュエーションはいいですよね!
放課後の教室(部室)とかもうシンプルだけど最高。

これからも意味深シーンを増やせれば…w
そして詳しい内容は…lover+でやるという。

…さて、次回は…未春ママンがお久しぶりの登場です。

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