このあたりは書いてて楽しいです。
僕自身、どうも戦闘描写を書くのが苦手なのですよ。
もうちょっとしっかり書けるようにしなきゃなぁ。
ではどうぞ。
11話~ツインテール部と、トゥアルフォン~
顔の横を無意識になぞる。
「…あ」
何をしているんだ、俺は。
今そこにツインテールは無いというのに。
「何度も女になったから、癖がついてきたのか…気をつけないと」
自分への
ある日、突然やってきた異世界人の女の子から渡されたブレスで、地球のツインテールを守る為に戦うことになった、俺、観束総二。
―――しかも女の姿で。
ツインテールを守る為だけに日々、
途中で心強い味方も増え、『ツインテイルズ』として、更に強さを増し、俺達は進化を続けている。
そんな戦いの中で、俺のツインテールへの愛もまた、着実に進化している。
ツインテールを愛でる事が、世界を守る力になると知った俺。
迷ってばかりだったけど、この力を託してくれた女の子の真意を知って、完全に吹っ切れた。
ツインテールが好きな事を恥ずかしがっていた自分とは決別し、もっとツインテールへの愛を高めていきたい。
そう、思うようになった。
今日はその決意を
小中高大一貫のエスカレーター校である私立陽月学園の中でも、高等部は近隣の学校でも最大級の生徒数を誇り、部活も圧倒的な数を擁している。
そして、今日。
また一つ新たな部活が生まれた。
ツインテール部―――傍から見れば、かなりおかしな名前をした、俺達の部活が。
休み時間を利用し、各種手続きを済ませ、後は部の新設届が受理されるのを待つだけだ。
俺は
昼休みに作り上げたばかりの力作だ。
ゴシック体で
教室からは遠く離れた、部室棟の突き当たりで俺は足を止めた。
そこが俺達の部室。
入口にある無地のネームプレートを作った物に取り換える。
「ツインテール部…か」
ツインテールは日々進化する物。
そう、俺は思っている。
この部活で、新しい発見ができるといいな。
もっとツインテールを好きになって、世界を救う力を手に入れてみせる…!
いろんな思いを交錯させながら、俺はドアを開けた。
「あら、いらっしゃいませ。総二様」
「…?あれ、トゥアールだけか?」
ツインテール部のドアを開けると、そこには異世界からやってきた女の子、トゥアールがいた。
トゥアールは今日からこの陽月学園に編入する…予定だったのだが、都合上、延期になった。
何の都合だろう?
まあ、それはいいとして。
一人足りないような気がする。
「愛香は何処行ったんだ?俺より先に来たはずだけど」
「愛香さんなら『ご、ごめんトゥアール。あたし、ちょっとトイレ行って来るね!』って顔真っ赤にしながら、トイレへ向かいましたよ」
「何故顔を真っ赤に…って、なんだこれ!?」
新品の机に俺の写真が置いてあった。
しかも、上半身裸の…って、これ、着替え中の写真じゃねーかよ!
一体いつ盗撮されたんだ!?
「お義母様が撮影したとの事で、私に渡してきたんですよ。それを愛香さんに見せたら…今の状況です」
「…どうやって撮ったんだ…母さん。しかし、また愛香が暴走しちまったか…」
ツインテール部の部員にして、俺の幼馴染で彼女の津辺愛香。
大声ではっきりと言えるくらい、俺が世界で一番大好きで、守りたい人。
ただ、今のように暴走すると…正気に戻るまで性欲のままに突っ走るド変態になってしまうのだが。
「これはとりあえず、俺が預かっとくわ。また暴走されると危険だし」
「そ、そうですね。愛香さんがド変態って事がバレてしまったら、愛香さんの楽しいスクールライフが音を立てて崩落しますし」
変態認定されたら、友達もいなくなってしまうだろう。
それはいくらなんでも可哀想。
愛香が不幸なら、俺も不幸だ。
「あ。でも今の暴走でバレたら…」
「…仕方ないです」
ごめん、愛香。
聞こえないようにやってくれ、頼む。
「トゥアール、そういえば頼みたい事があってさ」
「何でしょう?総二様」
「この部室、うちの秘密基地みたいに改造する事ってできるか?基地に直行できる転送装置とか必要だと思うんだよ」
「なるほど、ナイスアイデアです。じゃあ、今から早速改造しますか!」
そう言うと、トゥアールは俺を部室の外に出し、部室改造を始めた。
俺は部室の外の壁にもたれかかり、完成を待つ。
「絶対に中に入らないでください、そして何も見ないでください」
鶴の恩返しの如く、念を押してきたトゥアール。
何も見ないでくださいといわれると、逆に見たくなるのが男の
だって…基地を作ってた時みたいに珍妙な音がするんですもの。
ねばぎーば。やばいーば。
じゅーいだー。
おにはーうち。ふくはーそと。
がっでーむ。
やる気満々だぜ!!
「!?なんだ今の男の声…」
珍妙な音に紛れ込んだ男の声に驚く俺。
誰か中にお手伝いの人でもいるのか…?
「ふぅ。あ、そーじ!」
「お、お帰り、愛香…バレなかったか?」
「ふぇっ!?え、そーじ、まさか」
「…知ってるけど」
「も、もぅ…そーじのばか」
致したのか、致していないのか不明だが、愛香がトイレから帰ってきた。
言葉を
顔を赤くし、恥ずかしがる愛香を見ていて、俺はいじめたいという気持ちが湧いてきた。
…何だろうな、この気持ちは。
「そういえば、そーじ。よくこんな良い部屋空いてたわね。あたし、びっくりしちゃった」
愛香がふとそんな事を聞いてきた。
まあ、四月の終わりに部活を新設して、こんなにも良い部屋が空いていただけで奇跡に近い。
たった三人でこの部屋を使っていいなんて、俺もすごく嬉しかった。
だが、そうは問屋が卸さないのが現実。
何故ここを部室にできたかには、ちゃんと理由がある。
「ここな、大昔に女子生徒が自殺したとか、幽霊の目撃情報が絶えないとかでずっと封鎖されてたんだよ。まあ、いわゆる…いわくつき、って奴だ」
「え、ええっ!?なんでそんないわくつきの物件が開放されたのよ!?」
「いや、な。部員に愛香がいるって事を樽井先生に言ったら、『なら大丈夫ですね~』って、あっさり使用許可を貰えたんだよ」
本当に樽井先生はマイペースというか、のんびり屋さんだ。
「なんであたし!?あたしを何だと思ってるのよ!?あの担任も!!」
「愛香、俺達は異世界からやってきたエレメリアンと戦ってるんだぞ?エレメリアンは心の力が実体化した存在、いわば幽霊と似たような物だ。今更怖がる必要なんて無いだろ?」
扱いの酷さに嘆く愛香を諭す。
すると、愛香は顔を赤くし、指を突き合わせながら、口を開いた。
「…じゃあ…本当に幽霊が出たら…そーじが責任持って、あたしの事…守ってね?」
「え、あ…わ、分かった」
心臓の鼓動が速くなる。
今の愛香は…すごく可愛かった。
「総二様、完成しましたよ~。あ、お帰りなさいませ、愛香さん」
改造が終わったらしく、トゥアールが部室の中から手招きをする。
「トゥアール、何やってたの?」
「部室の改造です。万が一、学校にいる時エレメリアンが出現したらまずいでしょう?だから、秘密基地みたいに改造できないかって、総二様の提案で」
「ああ、なるほどね。見た感じどこも変わってなさそうだけど」
「はい!カモフラージュは完璧ですから!」
ホワイトボードにスチール製の本棚、長机にパイプ
最低限の設備しか、ここにはない。
だけど、この部屋の中にトゥアールの科学力が結集されているんだろうな。
「何で改造してるとこ、見せてくれなかったのよ?」
「ああ、それは…企業秘密―――とでも言いますかね」
企業秘密か。
企業じゃないけど。
「そーじはそういうのに興味ないの?」
「いや、確かに興味はあるけどさ…」
知ったら知ったで、なんだか嫌な予感がする。
後戻りできないような、何かを。
「あ、そういえば…」
「「?」」
トゥアールが白衣のポケットから宅配ピザほどの大きさの箱を取り出した。
…ん、白衣のポケット?
あの大きさ、どうやって出したんだ…?
「…さすがにそれはおっぱいから出せないのね」
「えっ!?愛香さんは私がなんでもかんでもおっぱいから出せると思ってたんですか!?」
「いや、あんたってなんでもそのおっぱいの谷間から出してるからさ。はぁ…うらやましい」
「愛香…別に大きくなくても、俺は愛香の胸が一番好きだぞ?」
「でも…少しぐらい大きい方がいいでしょ…そーじもっ、ううっ…」
愛香が涙目になりながら、そう訴えてきた。
小さくても、魅力あるじゃんかよ。
貧乳はステータスっていう言葉もあるぐらいだし。
「愛香…泣くな。今の愛香は俺にとって、十分魅力的だから」
「そーじ…っ、う、うわぁぁぁぁんっ…!!!!胸が欲しかったよぅ…!!」
愛香を慰める為にキザっぽい言葉を口に出したら、余計に悪化した。
号泣する愛香を抱き、俺はトゥアールに話しかける。
「えーっと…トゥアール。その箱には何が入ってるんだ?」
「は、はい。ここにはツインテイルズ用のツールが入ってます。三人分ありますので、お配りしますね」
「おお…!!」
泣いている愛香には悪いが、完全に俺の興味はこの機械へ向いてしまった。
俺も男だから、なんかこう新しい物を見ると、興味を持つというか、わくわくする。
後、ツインテイルズ用のツールを三つ用意したという、何気ないトゥアールの言葉も嬉しい。
やっぱり、トゥアールも含めて、三人でツインテイルズだしな。
俺の言葉をしっかり覚えててくれたみたいだ。
「高性能通信端末、名付けてトゥアルフォンです!」
「ぐずっ…なによ…自分の名前なんてさらっとつけちゃって…恥ずかしいと思わないの?」
「別に思いませんが?」
トゥアールにさらっと返答され、また愛香はぐずり始めた。
泣きやむまで時間かかりそうだな…こりゃ。
「このトゥアルフォンは地下だろうと深海だろうと宇宙だろうと圏外にならないのは当然として、変声機能、成分分析機能、その他様々な機能を搭載し、バージョンアップで機能の追加もできちゃいます」
「そりゃいいな。役に立ちそうだ」
しかし、テイルギアといい、このトゥアルフォンといい、宇宙での使用を想定しているのは何故なんだろう。
そんな事を考えていると、トゥアールが広げたトゥアルフォンのうちの一つを手に取って、見せてくれた。
「今までのようにブレスを介しての通話は、やはり周りから怪しまれかねません。このトゥアルフォンの売りは『通話内容をリアルタイムで暗号化する』点にあります。声に関しては
「おお、それはすごいな!」
「え…?どういうこと?」
割とあっさり泣きやんだ愛香が首を
機械苦手だもんな、愛香。
「まあ、簡単に言えば…総二様が公衆の面前で『エレメリアンが現れたって!?』と叫んだとします。その声はトゥアルフォンで受ける私達にはちゃんと届きますが、周りには『今日の夕飯何?』といった、別の言葉に聞こえるんですよ」
これはとても役に立つテクノロジーだ。
「ありがとう、トゥアール。正体がバレないように気を使うのは大変だったからな。通信関係がクリアされるのは、大きいと思う」
「ありがとうございます。ですが、そんなに私を褒めたら、愛香さんが嫉妬しますよ?」
「し、嫉妬なんてしないもん!!」
そう強がって愛香が言う。
…嫉妬してる愛香か、可愛いだろうな。
「おっと話が飛んじゃいました。じゃあ、試しに使ってみますか?」
「え、いいのか?」
「はい。では、総二様。試しに私へかけてみてください」
「分かった」
スマートフォンと同じように、電話帳を開いて、いつの間にか登録されていたトゥアールの番号に電話をかける。
「ツインテール!ツインテール、ツインテール!?(エレメリアンが現れたって?)」
「え、あ、あの、私、その…貴方の事が…!(急いで出撃して下さい!総二様!)」
うん、ちゃんとトゥアールからの返事も来た。
これはすごいなぁ。
トゥアール側の変換音声がなんだかクライマックスって感じだったけど。
ちなみに、俺の変換音声は全く聞こえていない。
「な、何よ…今のそーじの変換!まるで古代ツインテール語じゃない!!」
「古代ツインテール語!?そんな言語で喋ってたのか俺!?」
「総二様はツインテールがとてつもなく好きな方ですし、これぐらいやっても違和感ないかと…」
古代ツインテール語…大学でぜひ専攻してみたい。
あったらの話だが。
それに、学んだ所で役に立つかどうかも分からないけど。
「そーじ。トゥアルフォン取りたいから、ちょっと離してもらってもいいかな?」
「お、おう。ごめんな、ずっと抱いてて」
ここまでずっと抱いたままだった愛香を離し、愛香もトゥアルフォンを取る。
「じゃあ、そーじ。あたしにもかけて」
「了解。愛香の番号は、っと…」
愛香の番号はアドレス帳でトゥアールより上にあった。
『妻』
……!?
なんだこの登録名は。
「……」
「?どうしたのそーじ?」
「あ、いや、ごめん。じゃあ、かけるわ」
思い切り顔を赤くした俺を愛香が気遣う。
こんな事で恥ずかしがってちゃダメだ、俺。
トゥアールが猛烈な速さでタブレットを操作しているのが若干気になるが、とりあえず愛香にダイヤルする。
「愛香…誓いのキス…してもいいか?(愛香、急いで現場に向かおう!)」
「そーじ…誓いのキス…して?(どう、ちゃんと聞こえてる?変な事してないよね?)」
とんでもない誘惑の言葉が聞こえてきた。
…まさか、あのタブレットの高速操作は…音声を変えて、俺達にキスをさせる為に…!
いや、待て。
今は確かにチャンスだ。
トゥアールしかいないのは、この前の朝と同じ。
やっかいなお母様も今はいない。
アルティメギルに邪魔される心配はあるけど、やってみなきゃ分からないしな。
「あ、あのさ!あ、愛香!」
「そ、そーじ、その…!」
「「!!」」
顔を同じように赤くし、似た言葉を同時に交わす。
そして、二人揃って驚いた。
「あ、愛香…先、いいぞ?」
「え、いや、その…そーじから先に言ってほしいな…」
「そ、そうか…じゃあ、その…」
もう一度、愛香を抱き寄せ、口を開く。
「誓いのキス…してもいいか?」
「うん。誓いのキス…して?」
「愛香…」
今度こそは決めてみせる。
愛香の元へ顔を近づけていくと、愛香の顔がより一層赤く染まっていった。
「そーじ…」
愛香に優しく呼びかけられ、
唇と唇の間がゼロになる――――――――――――
コンコン
――――――――――――瞬間、ドアをノックする音が聞こえた。
「「!!」」
咄嗟に離れる俺と愛香。
…もう少しだったのに!
「あああああああああ!!!!私の計画がああああああああ!!!!」
トゥアールが頭を抱えて
やっぱり、この誓いのキスをさせる為に、タブレットを
すまん、トゥアール。
俺達の幸せを考えて、ここまで頑張ってくれていたのに…!
一体誰だよ、俺達の邪魔をするのは!!
「生徒会長の神堂慧理那ですわ。入ってもよろしくて?」
「「――――――ええっ!?」」
俺達の邪魔をしてきたのは――――――麗しき生徒会長だった。
誓いのキスは…いつになったらできるんでしょう。
後、トゥアールは完全に愛のキューピッドと化してます、良い子ですね。
きっと、クラスでも良い子でいてくれるはず。
そういえば、今回、スーパー戦隊シリーズのネタをぶち込んでみました。
ネタをぶち込みすぎると、僕自身が暴走してしまうので、ここまでネタは控えてたんですが…w
これから増えるかもしれない、というかタグにつくかもしれない。
ではまた次回…!