俺、ツインテールになります。lover   作:金細工師

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今回が1巻のエピローグです。

ちなみに、文章量はかなり少なくなってます。
仕方ないよね、エピローグだもんね。

では、どうぞ。


10話~部活名は、ツインテール部だ~

昨日までと何ら変わりのない登校風景。

俺達の横を小学校低学年ぐらいの女の子二人が鼻歌交じりにすれ違っていった。

…トゥアールの視線が怪しい、非常に怪しい。

愛香が何か警戒するような眼をトゥアールに向けてから、口を開いた。

「ねえ、未春おばさんの属性力(エレメーラ)ってなんだろう?」

「おいやめてくれ愛香」

「いや、結構真面目に。あたしさ、ツインテイルズになってから、道行く人を見たりしてつい考えちゃったりするんだ。この人はどんな属性力(エレメーラ)を持ってるんだろう、まともな物なのかな、それとも人に言えないような変わった物なのかな、って」

そう言われれば…確かに俺もそうかもしれない。

属性力(エレメーラ)……か」

情熱を失った、トゥアールの世界。

どんな髪型が好きだとか、どんな服装が好きだとか、なんだそれはって言われるような嗜好(しこう)こそが、心の支えだという人もいる。

声高に叫べなくてもいい、ただ――――――

「…やっぱり、好きな物を好きでいられる世界が一番だよな」

「…うん」

この世界の意識がおふざけでもいい、お祭り騒ぎでもいい。

侵略という恐怖に怯えないまま、守りきる事ができれば、最高じゃないか。

 

ツインテイルズ史上最大の戦いに目撃者はなかった。

そして、今日もまた、テレビではテイルレッドのほのぼの映像とテイルブルーの萌える映像が流されていた。

録画映像の巻き戻しを見ているような代わり映えのなさに、昨日の死闘は無かったんじゃないかと思ってしまう。

余談だが、居間で母さんがボンテージじみた謎のコスチュームを作成しているのを見て、仮面ツインテールのマスクの出所を知った。

多分、あのコスプレをして秘密基地で司令官ごっことかするつもりなんだろう。

俺は考えただけで血涙(けつるい)が止まらない。

 

「総二様、愛香さん、ありがとうございます、私の(かたき)を討っていただいて…」

トゥアールの世界はドラグギルディに滅ぼされた。

だから、たとえテイルギアが二つになったとしても、来たるべき決戦に勝てるかどうかは五分五分だったという。

俺達はまだひと月も経たないうちに、最強の敵を倒せたわけだ。

まだ残存勢力は残っているだろうが、司令塔を失った以上、後はそれほど警戒しなくても大丈夫だろう、という結論に至った。

「…そういえば、トゥアールはアルティメギルが壊滅したら、元の世界に帰るの?」

「まだ、分かりませんね。この世界で理想の殿方に出会えれば、帰る事は無いと思います」

「そうなんだ…でも、幼女趣味は治しなさいよ」

「えーっ!?嫌ですよぅ、可愛い女の子なしじゃ私生きていけません!!」

全力で嫌がるトゥアール。

でも、それは治さないとかなりまずいと思う。

犯罪者の道まっしぐらって展開も……。

「学校で変人扱いになっても、あたしは知らないわよ」

「変人…!?私がですか!?頭脳明晰、容姿端麗のこの私がですか!?」

そういう事を自分で言う時点でかなりの変人だろ、トゥアール。

確かに頭は良くて、美少女ではあるけども。

「あんたは幼女趣味さえ治せば、理想の殿方なんて、すぐ見つけられるはずなのにねぇ…」

「そ、そうですか?」

「うん。トゥアールはもっとおしとやかにしてりゃ、モテると思うんだけどな」

「えっ…!?」

え、何、その今まで気付かなかったみたいな顔は。

幼女趣味さえなければ、お前の理想である美少女優等生キャラを確立できるはずなのに。

もったいない……。

「仕方ありませんね…理想の殿方の為にも、私…変われるように頑張ります!!」

「その意気よ、頑張って」

「はい、ですから…総二様と愛香さんも末永く幸せでいられるように頑張ってくださいね?私との約束です」

「「!!」」

思わず顔が赤くなる。

愛香の方を見ると、同じように顔を赤くしていた。

「あ、あのさ…そーじ、式はどこで挙げる?」

「は、はぁっ!?早すぎるって!まだ新婚旅行何処に行くかも決めてないんだぞ!?」

「…お二方、会話が噛み合ってませんよ」

トゥアールの冷静なツッコミで我に帰る。

……トゥアールにツッコまれるなんて…予想外だ。

「……そういえば、そーじ…誓いのキス」

「え?誓いの……あ」

愛香の言葉を聞いて、思い出した。

アルティメギルが世界に宣戦布告をした日。

その日、俺は帰り道で愛香にプロポーズをした。

婚約を交わした俺達は夫婦の誓いとしてキスをしようとしたのだが、くっつきそうな所で宣戦布告に邪魔をされてしまったのだ。

今は周りにトゥアールしかいない。

ならば……

「あ、愛香!」

「!!そーじ……きて」

「ああ」

「総二様大胆ですねぇ…」

愛香の肩を掴み、足を止める。

全身の熱が上がっていくのを感じながら、俺は愛香に顔を近づけ始めた。

目の前の愛香は目を閉じ、頬を赤く染め、今か今かと唇の到着を待っている。

その顔を見て、押し倒したいという欲望まで湧いてきたが、必死に抑えた。

 

後、もう少しでくっつく―――――――――!

 

 

 

 

 

『うわ――――――はははは!ツインテイルズよ!勢いづいているようだが、そうはいかんぞ!ドラグギルディ様が昇天されたこの世界は我らにとっても死地!何が何でも全ての属性力(エレメーラ)を頂くぞ!!そこで、我らに頼もしき援軍が到着した!!』

「うわっ!?」

「きゃあっ!?」

突然の大声に俺達は体を離してしまう。

そして、空を見上げると、あの日と同じように大きなスクリーンが浮かんでいた。

「毎日毎日出てきて…しかもまた、誓いのキスを邪魔するなんて…許さない!!」

「……ああ!」

愛香が滅茶苦茶怒ってる。

…俺の可愛い嫁を怒らせた不届き者は絶対に許さない。

『スク水!母なるこの星に身を(ゆだ)ねる水の(ころも)こそ、星の意志を継ぐ属性力(エレメーラ)と言えよう!ドラグギルディの盟友、このタイガギルディが、スク水の属性力(エレメーラ)を頂く!』

鼻息荒く、宣戦布告をするエレメリアン。

その姿を見て、更に怒りが湧く。

「……予鈴まで、あと二〇分か。でも、一〇分あれば片付けられる!」

万が一、遅刻の同時入室になって、からかわれるのも悪くない。

今はあいつをボコるのが先だ。

「なあ、愛香。部活、決めたか?」

「え?まだ決めてないわよ、ゴタゴタしてたし」

「分かった。トゥアールも希望とかあるか?」

「いえ、まだ無いですが」

「そうか…じゃあ――――――!」

邪魔をしてきた不届き者が映るスクリーンに向けて、俺は腕を突き出す。

「俺達三人で、部活を作ろう!」

「はぁ!?」

「……そうだな、部活名は……ツインテール部だ!」

「…捻りも何もないネーミングね。で、活動内容は?」

愛香は微笑むトゥアールに意志を確認するように頷きかけると、俺に不敵な笑みを返した。

 

「そりゃあ、もちろん――――――!」

 

かざした右腕で、赤いブレスが強く光り輝いた。




1巻が終了、次回番外編を挟んで、2巻へ。
ここまで本当に長く感じました。

番外編を書きながら、1章をよりよい物に改善する予定です。
……アニメと同じやり方とかツッコんじゃダメよ。

さて、今回はサブタイで悩みました。
一度、~これからも、ツインテイルズ~というサブタイにしようと思ったんですが、いかにも最終回みたいなタイトルなのでボツ、これになりました。
どっかで聞いた事があるようなサブタイ、そう僕は鍵っ子。

「総二×愛香のイチャイチャに全力」をモットーに、これからも頑張ります。

では、また番外編で。

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