といってもR-15ついてますが…w
基本原作沿いに進みますが、このプロローグはオリジナル要素多いです。
では、どうぞ。
プロローグ~俺と愛香~
「俺と付き合ってくれないかな」
中等部の卒業式。
二人きりになった教室で、俺、観束総二は幼馴染の津辺愛香に告白をした。
目に涙を浮かべた愛香の答えは「はい」。
俺が抱いてきた想いが報われた瞬間だった。
俺と愛香は家が隣同士。
また、双方の親同士の仲も良かったので、自然に会う機会が増えた。
愛香はとにかく男勝りの女の子で、祖父譲りの武術の才能は天下一品。
俺が愛香に負けたくない一心で祖父さんがやってた道場に入門するぐらい、愛香は凄かった。
そんな計り知れない愛香の武術の才能を浮き彫りにさせたのが、愛香の祖父さんに連れられて、山へ行った時のエピソード。
途中で突然野生の熊が俺達の目の前に現れたのだが、愛香は怯える素振りも見せず、熊を倒してしまった。
後になって、祖父さんは「あそこまでの事をするとは思ってなかった」と後悔していたのをよく覚えている。
それ故に、俺は「女より弱い」なんて言われていた。
そんな幼少期、いつだったかは詳しく覚えていないが、俺の人生を大きく変える物と出会う。
二つ結びの髪型、ツーテール。
世間では俗にツインテールと呼ばれる髪型だ。
風に靡く二対の髪が美しいツインテール。
その髪型に心を奪われ、俺はいつしかツインテールの事ばかり考えるようになる。
恐らく、それと同じ頃に愛香もツインテールにし始め、自然に愛香のツインテールが好きになった。
陽月学園に入学しても愛香との関係は勿論続く。
「
だが、俺と一緒にいる時は普通の可愛い女の子。
愛香は社交性が高いので、女友達もたくさん作ったはずなのだが、登校の時も、自由時間の時も、放課後も、俺の隣にはいつも愛香がいた。
このあたりから、俺の心境にも変化があったのかもしれない。
中等部になると、心境の変化はより激しい物になった。
初等部で輝きを増した愛香のツインテールは、より強い輝きを放つ、素晴らしい物へと進化していた。
そんな頃、俺はツインテールだけでなく、愛香自身に興味を抱き始める。
ツインテールは勿論魅力的だが、他はどうだと。
確かに胸は殆ど無いが、逆に言えばすらっとしたモデル体型で、非常にしなやかな体つきをしている。
思春期の男子にとって、女性の胸は大きい方が良いという意見が多そうだが、一緒にいた時間が多かった分、俺は愛香の体型が非常に好みだった。
そんな事をずっと考えている内に、愛香を考えない日が無くなる。
日に日に考える事もエスカレートしていき、愛香と恋人になったらとか、結婚したらとか、エッチな事をしたら……と、危ない妄想へと変わり、終いには欲望を抑えきれなくなり、自らの身体を慰める事にまで発展した。
そして、俺はようやくその事に気付く。
愛香が好きだという事に。
その考えに着いた日から、愛香に会うだけで胸がドキドキした。
「!!お、おはよう!あ、愛香!」
話すだけで赤くなってしまい、もうどうすればいいか分からない。
「そーじ、大丈夫?最近、顔ずっと赤いけど、調子悪いなら無理はしないでね」
愛香も心配をしてくれたが、どうしてもそれが止まらず、葛藤する。
それがきっかけで愛香に嫌われたらどうしよう、と心配になり眠れなくなる事もあった。
中等部での日々が終わりを迎える卒業式。
その日に、俺は決意を固めた。
「あ、愛香。ちょっと話したい事があるんだけど、残ってもらっていいか?」
「え、いいけど?」
そう無理を言って、最後まで残ってもらった。
二人きりの教室、誰もいなくなったのを確認して、俺は話し始める。
「愛香、とりあえずお互い卒業できてよかったな」
「うん。高等部になっても、よろしくね」
「ああ。で、さ…話したい事なんだけど…」
「あ、うん。えっと、何、かな?」
頬を仄かに染める愛香。
込み上げる愛しさに身を任せ、俺は言った。
「俺、愛香の事が好きだ」
「えっ!?……そーじ、本当…?」
目に涙を浮かべ、愛香が聞いてきた。
その姿に更に愛おしさを感じながら、言葉を続ける。
「本当だよ。だから、愛香さえ良いなら、俺と付き合ってくれないかな」
「…そーじ」
感動しているのか、震えている愛香。
その姿を見るだけで、可愛いと思える自分。
この長い年月を愛香と一緒に過ごして、俺自身も変わったのだと、そう思った。
そして、愛香が口を開く。
「あたしも…そーじの事、ずっと好きです。あたしからもお願いします」
「愛香…っ」
顔を真っ赤にしながら涙を浮かべた愛香の返事を聞いた瞬間、俺は目の前の愛香を抱きしめた。
もう、離さない。離したくないとばかりに、力強く抱きしめる。
「そーじ…嬉しいよ、あたし。ずっと大好きだったそーじと恋人になれて、すごく嬉しい」
「俺もだよ。愛香と恋人になれて嬉しい」
「あのさ、そーじ…キス…して?」
「え。あ、ああ」
彼女となった愛香からの最初のお願いはキスをしてほしいという事だった。
少し驚いたが、一度落ち着いてから、俺は顔を近づける。
そして、愛香の唇を奪った。
「ん……」
「んっ……」
唇の感触、聞こえる息遣い、赤く染めた顔、そしてツインテール。
それぞれが共鳴して、俺を高みへ誘ってくる。
「はぁ……愛香、これから…よろしくな」
「はぁっ……うん。ずっと一緒にいようね」
「おう、勿論だ!」
想いを結んだ俺達は高等部の入学式までの間、更に想いを深めていった。
一緒に過ごす時間が自然と増えて、デートにも何回か行き、終いには……一線を越え、色々な意味で満たされた春休みだったかもしれない。
愛香とツインテールのお陰で、高等部でも素晴らしい日々が過ごせそうだ。
俺はそう思っていた。
あの日、危機を知らせに彼女が来るまでは。
総二×愛香を応援する理由は至極簡単。
愛香の扱いが不遇だから。
あんだけ扱い酷いと、もう可哀想で仕方がないというかなんというか…
総二もはよ気付いてやれよ、という思いで総二×愛香を執筆してます。
頑張れ、愛香。負けるな、幼馴染。