インフィニット・ストラトス ~ダークサマー~   作:kageto

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連続投稿4話目。
ちょっと時間がかかった。
ラウラ登場回。そして山田先生回。

この後一度寝て、おきたらまた続きを書く。今日明日で何話書けるだろうか。


第24話

 えー。朝の教室。静まり返った生徒と、仁王立ちする担任と転入生。虚ろな顔の山田先生。…………修羅場じゃねぇかよ。山田先生の。ダメだろあの顔。現実(こっち側)見てないよ。クラス一同ドン引きだよ。

 

 親仁王が言いました。

 

「挨拶しろ。ラウラ」

 

 子仁王が敬礼しながら応えました。

 

「了解しました。教官」

 

 あー。うん。軍(そっち)関係ですよねー。織斑先生(アレ)を教官って呼ぶからにはドイツですよねー。

 

「その呼び方は許可しない。学園では私は教師でおまえは生徒だ。織斑先生と呼べ。わかったらさっさと自己紹介をしろ」

 

「了解しました」

 

 わかったって応えたけどさ、子仁王よ。敬礼しながら返事してる時点で、おまえはきっと何もわかってないと思うぞ。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

 いや、まさかそれだけかよ。

 

「そ、それだけですか?他に何か言うことは……」

 

「ない。以上だ」

 

 山田先生のフォローを切り捨てて断言しやがった。よし、山田先生の味方の俺としては間違いなく敵認定だな。見ろ、あの虚ろになった山田先生の顔を。あの状態になると会話が途切れることもあるくらいやばいんだぞ。マジで。

 

 でもまぁ、クラスのほとんどが理解したな。織斑先生(アレ)の指導を完全に鵜呑みにしていくと出来上がるのが、ラウラ(コイツ)だって。ブリュンヒルデ信奉者だったヤツも、結構ショックだったみたいだ。自分の行く末の一つの答えが目の前に現れたわけだし、当然っちゃ当然か。なんて考えてたら、目の前にラウラ(子仁王)がいた。

 

「貴様がっ!」

 

 なんて言葉と同時に頬を平手打ちされた。しかも全力で。何で全力か判るのかというとだ。俺、教室の床と接吻中。首、いてぇ。理屈は分かる。椅子に座って呆けていた一般人が、真正面に立った、訓練された軍人に全力で平手打ちされたらどうなるか。相手が同年代の女の子だったことがマジで救いだ。同年代の男子とか、3、4歳年上の女性とかだったら病院直行だった。けど、マジいてぇ。首が痛すぎて声がでねぇし。

 

 クラス全員絶句してるじゃねぇか。悲鳴がきこえねぇし。まぁいきなり目の前でクラスメイトが張り倒されたら、絶句するよなぁ。それか理解が出来なくて呆然とするか。あぁ、ちくしょう。いてぇ。

 

「な、なんてことをするんですかっ!」

 

「ふん、脆弱な。私は貴様が教官の弟などと、認めないからな」

 

 なんだよ、それ。そんなくだらないことのために俺はこんな痛い思いしてんのかよ。

 

「ま……」

 

 あ?

 

「また織斑先生ですかっ!いったいどういうことなんですか。これは!」

 

 あー。山田先生の限界が………。

 

「家庭の問題を学校に持ち込むし、政府からの通達を無理やり捻じ曲げるし、普段の仕事もほとんど私に丸投げじゃないですか。そのうえ、そのうえ今度はこれですか!」

 

 あ、やっぱり仕事は丸投げしてんだ。あ、シャルが端末でどっかに連絡してくれたっぽい。こっち見て頷いたから、きっと保健室だろう。床に落ちたときに結構音がしたから、動かさない方がいいと判断したようだ。マジ感謝。にしても痛い。何が痛いって呼吸するときの喉の動きが痛い。

 

「や、山田君…………」

 

「そもそも何で私が寮の部屋割り考えないといけないんですか!私、寮母でも寮長でも寮監でもないじゃないですか。寮長は織斑先生でしょう!なんですか『頼んだ』って。一方的に押し付けて!それに対外折衝も私がしてばっかりじゃないですか。織斑先生がそういった方面で忙しいからって副担任を私がすることになったのに、私がそっちもやってたら意味なんてないじゃないですか!」

 

 あ、あかん。山田先生の死に掛けの理由が予想以上にブラック過ぎる。おそらくだけど、俺関係の交渉も押し付けられてやってるんだろうなぁ。

 

「織斑君関係のこともそうです。『織斑のことは山田君に全て任せる』って、なんなんですか!えぇえぇ。やりますよ頼まれれば。けど勝手に決めた上で事後通知って何なんですか!明らかに押し付けじゃないですか!自分が仲違いして気まずいからって丸投げじゃないですか!いいですよ!喜んでやりますよ!最近は織斑君のグループの気遣いが数少ない心の安らぎですよ!」

 

 なんかもうごめんなさい。そして入り口で入りあぐねている保健の先生。マジヘルプ。山田先生の勢いに負けないで。

 

「というかですね。織斑先生は何なんですか!座学の授業はほとんど私。実技も指示出し以外は私。対外折衝も私。クラス業務も大半は私。寮長の仕事もほとんど私。職員会議も半分は私が出て、織斑先生はいったい何をやってるっていうんですか!大体アレです。夜に書類を届けに行ったときなんて、ほぼ毎回お酒飲んでるじゃないですか。私なんてそんな時間もないのに!最近は胃がストレスで荒れすぎてアルコールなんて摂取出来ないんですよ!」

 

 うん。あれだ。山田先生なんで生きてるの。俺が言うのもなんだけどさ、聞く限りじゃ働きすぎにもほどがある。あ、冷シップ気持ちいい。だいぶ痛みが和らぐ。

 

「決めました。決めましたとも。寮長の仕事と対外折衝に実技の授業は今後一切やりません。そして私がこのクラスの担任をやります。それだけで私の教師生活は充分です。充分すぎます。これ以上やれません!」

 

 山田先生大絶叫。そして倒れた。ここからじゃ倒れた山田先生が見えないんだが、大丈夫だろうか。保健の先生が慌ててそっちに向かったから大丈夫だろう。俺はクラスメイト4人がかりで担架に乗せられて保健室に運ばれていく。担架の上から見た織斑先生は呆然と立ち尽くし、ラウラ(子仁王)は俺の席の前にたちながら、倒れた山田先生を見下ろしていた。表情は見えないが、たぶん見下してる系だろう。見た感じそういう感じのヤツだったし。まぁなんだ。敵で間違いはないということだな。

 

 

 

 

 ちくしょう。首の痛みが本気でやべぇ。覚えてやがれ。

 




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