大丈夫だ、問題しかないから。 -Toward sky- <2nd Season>   作:白鷺 葵

24 / 41
16.語り継ぐような“美談《コト》”じゃあないが

「……だろうと思った」

 

 

 飛来したセンチュリオ――MDの群れを睨みつけながら、ネーナは深々とため息をついた。

 

 どういう経緯で漏れたのかは知らないが、アロウズのライセンサーたちは『ソレスタルビーイングがカタロンを逃がすための囮になった』ことを察したらしい。

 今のカタロンには力がない。アロウズに見つかってしまえば、一方的に蹂躙されることは目に見えている。勿論、相手もそれを狙ってるのであろう。

 

 

「使わないでいられたら良かったのだが、致し方ないな」

 

「備えていりゃあ嬉しいな、ってか。心配してた通りだぜ」

 

 

 ヨハンとミハエルは真顔で呟き、宙継に向き直る。基地から離れてから、宙継の悪寒は大分収まったらしい。真っ青だった顔色に血の色が浮かんでいた。

 輸送船の操縦くらいなら、問題なくできそうだ。宙継本人もやる気であり、真っ直ぐネーナたちを見つめて頷き返す。3人は彼に操縦を任せ、格納庫へ駆け出した。

 ヘルメットを被り、コックピットへ乗り込む。間髪入れず、宙継の声が響き渡った。出撃準備が完了したという旨である。輸送船のハッチが開いた。

 

 真っ先に飛び出したのは、ヨハンのガンダムラグエル-フィオリテだ。続いてミハエルのラグエル-フォルス、最後にネーナのラグエル-フルールが戦場へと躍り出る。

 

 眼下から、カタロンの構成員たちの声が上がった。期待と不安に満ちた眼差しを受け止めながら、ラグエルたちはセンチュリオたちと対峙する。カタロンが別の支部に辿り着くまで、自分たちは奴らと戦わなくてはならない。

 おそらく、MDたちはキルモードで投入されているだろう。奴らのキルモードはオートマトンと同じく、対象物が完全に沈黙するまで攻撃を続けるのだ。つまり、人間相手だと、人間の生体反応が無くなるまで攻撃し続ける。

 

 

「MDだけで構成された部隊のようだが、油断するな」

 

「分かってる! 兄貴とネーナも気を付けろよ」

 

「了解! ぱぱっと片付けちゃおう」

 

『トーゼンダ、トーゼンダ!』

 

 

 3人と1機は顔を見合わせ、頷き合う。そうして、眼前の敵へと挑みかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アプロディアの通信を聞いたリボンズは、思わず眉間に皺を寄せた。

 彼女から提示された情報を眺める。心の奥底が、ざわめき始めた。

 

 

「ヴェーダに、何かが起きている……? まさか、ハッキングか?」

 

 

 そこまで呟き、リボンズは顎に手を当てて首を振る。ヴェーダはハッキングに対して非寛容だ。大半が防衛プログラムによって防御されるし、仮に成功できたとしても、書き換えられるのはアクセス権のみである。それも、閲覧制限にはあまり影響が出ない程度でだ。

 

 アロウズが、ヴェーダと同レベルのスーパーコンピュータを有していることは知っていた。その力が未知数だということも分かっていたし、注意だって払っていた。

 まさか、アロウズの所持するスーパーコンピュータが、ヴェーダをハッキングし書き換えるほどの力を手にしたというのか。厄介だ、と、リボンズは歯噛みする。

 誰のアクセスなのかを探ってみる。出てきたのは、『Grandmother “Terra”』というアクセスコードだ。そのコードの出どころを探ろうとし――何かに弾かれた。

 

 防御機構が働いたのか、相手がそれを察知したのか。いずれにせよ、これ以上の追跡はできそうにない。

 リボンズは盛大に舌打ちしたい気持ちを堪えた。頭が痛くなってきそうな状況である。

 

 

「リボンズ、大丈夫?」

 

「ヒリング」

 

 

 心配そうに顔を覗き込んできたのは、ヒリングだった。彼女の手には、彼女お手製の料理が湯気を立てている。作り立てだろうな、と、リボンズはぼんやり考えた。

 それを皮切りに、リヴァイヴが、リジェネが、ブリングが、デヴァインが、ひょっこりと顔を出す。リボンズの憂いやストレスを察知したせいだろう。

 

 

(僕はお兄ちゃん、僕はお兄ちゃん)

 

 

 長男坊がこんなのでどうするんだ、と、自分自身に言い聞かせる。これだと、弟や妹たちに余計な心配をかけてしまいそうだ。

 

 

「大丈夫、なんでもないよ」

 

 

 リボンズは穏やかに微笑んでみせる。それを見た面々は、それでも心配そうに顔を見合わせた。彼らの憂いをどうにかしたいと思うのだが、いかんぜん、うまくいかない。

 家族を守るのが自分の務めだ。後から生まれた|イノベイド『同類』たちや、ヒリングやリヴァイヴらをはじめとした面々を見ていると、強くそう思う。

 いつか訪れるであろう、“来るべき対話”。そのために必要なのは、人類やイノベイド、『ミュウ』やイノベイター、それらが共に生きる世界だ。

 

 互いの命が互いを尊重し合う世界。即ち、ヒトがヒトらしく生きられる世界。リボンズが両親と慕う、イオリアとベルフトゥーロの理想。

 その成就のためにも、アロウズの存在を赦すことはできなかった。――……そうして、アロウズの後ろに潜む黒幕の存在も。

 

 

「『Grandmother “Terra”』……」

 

 

 このアクセスコードを、何としても辿らねば。

 

 その前に、ヒリングが作った夕ご飯を食べて、腹ごしらえをしなければならないだろう。

 リボンズが立ち上がれば、面々がぱっと表情を輝かせた。

 

 ――願わくば、この中の誰一人として、欠けることのないように。

 

 リボンズは、心の中でひっそりと祈った。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前では、両団体の代表者――刹那/ダブルオー、ヒイロ/ウィングガンダムゼロ、アムロ/ガンダム、ブシドー/スサ■オ、ゼクス/トールギス、シャア/ジオングらが握手を交わしていた。

 

 

「会いたかったぞ、ガンダム」

 

 

 ブシドー/■サノオは、どこまでも静かな面持ちで刹那/ダブルオーを見つめていた。彼の眼差し/スサノ■のカメラアイが、愛しい相手を見つめているように輝いているように見えたのは、決して気のせいではないだろう。

 刹那/ダブルオーもまた、同じようにブシドー/ス■ノオを見返す。2人がこんな表情を浮かべて向かい合うだなんて、とても久しぶりの光景だ。何かある度に2人の様子を見てきたクーゴにしては、目を細めたくなるような眩しさがあった。

 ゼクスとヒイロ、シャアとアムロとは一線を画す空気が漂う。勿論、それはひとえに刹那とブシドーの“本当の”関係性にあるのだが、それを暴露するような無粋な真似はしない。クーゴは素知らぬふりをすることにした。

 

 全員、準備ができたようだ。

 それを確認したドモンは厳かに頷く。

 

 

「それでは、ガンダム・ファイト! レディィィ・ゴォォォォォォッ!!」

 

 

 開戦の狼煙が上がった。ドモンの言葉に、両陣営の、各MSたちは動き出した。

 

 各々宿命の相手の元へ、わき目もふらず向かって行く。アムロがシャアと、ヒイロがゼクスと戦い始める。

 その脇で、ブシドーと刹那は対峙していた。こうやって、2人が静かに向かい合うのは久しぶりのように思えた。

 

 

「生きてきた……。私はこのために生きてきた」

 

 

 ブシドーは、ため息をつくようにしてそう呟いた。彼の眼差しは、どこか遠い場所を見つめているように『視える』。連邦の闇で、手を/身も心も汚し/汚され続けた日々を思い出しているのだろうか。

 

 

「たとえこの身を闇に浸そうとも、キミのことを忘れさせられても、黒幕の元から逃げ出すという無様な行動を選んだとしても……この想いだけは、貫きたかった」

 

「ミスター・ブシドー……」

 

 

 どこか噛みしめるようにして呟いたブシドーの言葉に、刹那は苦しそうに目を伏せた。

 その様子を察したのだろう。ブシドーは苦笑した。

 

 

「キミが責任を感じる必要はないよ。キミ自身にその覚えはないのかもしれないが、私はずっとキミに救われてきた。だから、私はここにいる」

 

 

 仮面越しに『視えた』その笑みは、彼が殺した『グラハム・エーカー』その人だ。刹那/ガンダムと再び相見えるため、蒼海の手から逃れ生き延びるために、名誉の戦死を遂げたクーゴの親友。そして――刹那・F・セイエイが愛した人。

 この戦いが終わったとして、蒼海との決着をつけたとして、ミューカスとの戦いが終わったとして、きっと、彼はもう戻らないだろう。『ミスター・ブシドー』という名を背負い、この世界を歩んでいくに違いない。

 多分、これは、『グラハム・エーカー』の未練だ。そして、本当の意味での『ミスター・ブシドー』としての第一歩となる。彼は、刹那との宿縁に区切りを付けたいのだろう。過去を抱え、未来を見て歩んでゆくために。

 

 

「……あれ?」

 

「どうしたの? 沙慈」

 

「なんだろう。うまく言えないけど、ブシドーさんが誰かに似てるような……?」

 

 

 オーライザーに乗り込んでいたクロスロード夫妻の片割れが、何かに気づいたように首を傾げる。

 

 試合を観戦していた面々や2人の周辺で鍔迫り合いを繰り広げる面々は、「2人の間に漂う空気がおかしい」という疑問を抱いたようだ。鍔迫り合いの手が止まり、刹那とブシドーをまじまじと見つめた。

 沙慈は通信越しにいるブシドーの顔を確認し、何度も何度も首をひねり唸った。そうして、何か、合点がいったように手を叩く。ルイスも同じだったようで、「あー!」と、かん高い声を上げた。

 

 

「誰かに似てると思ったけど、そうだよ! グラハムさんだ!」

 

「確か、刹那を愛してやまなかった人! 刹那の恋人さんよね!?」

 

「えええ!?」

 

 

 爆弾が落ちた。戦闘中の面々含んだギャラリーが騒然となる。

 「な、ばか、やめろ」と、刹那が慌てた様子で声を上げた。

 それを皮切りに、ひまりとネーナが大声で問いかける。

 

 

「じゃあ、ブシドーさんと刹那は恋人同士ってこと!?」

 

「2人とも、どこまで進んだの!?」

 

「おいやめろ! 今はそんなこと、どうだっていいだろう!?」

 

 

 ざわめくギャラリーを制そうと刹那が叫ぶが、顔が赤らんでいるところや狼狽えぶりのせいで、説得力は皆無である。

 

 以前からの付き合いで、クーゴは“グラハム(現:ミスター・ブシドー)と刹那が恋人同士である”ことは知っていた。本人たちは口に出していなかったが、2人の間には確かな絆があった。

 しかし、不思議なことがある。普段はあまり感情を表さない刹那が、必死になって話を逸らそうとしていた。まるで、2人の間に「何かあった」とでも言いたげである。とても、言葉にできない“何か”が。

 

 

「私個人の見解としては、自然消滅……と言うべきところなのかもしれん」

 

 

 ブシドーはどこか寂しそうに笑った。もう終わってしまったのだと、その表情は語っている。――けれど、次の瞬間、開き直ったように不敵に笑う。翠緑の瞳に祈るような想いを孕ませながら、彼は盛大に叫んだ。

 

 

「だが、ここは敢えて言わせてもらおう! ――私と彼女は、もう既に一線を超えていると!!」

 

「ええええええええええええええええええええええええええええええ!!?」

 

 

 恐ろしい爆弾発言に、この場一体が悲鳴に飲み込まれた。

 ……別に、そんなこと、知りたくなんてなかったのに。

 

 

 

*

 

 

 

 

「貴ッ様ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

「ははははははは。羞恥に悶えるキミも魅力的だな!」

 

 

 ブシドー/グラハムとの関係を暴露された刹那は、羞恥心からか顔を真っ赤にしていた。彼女の怒りを反映させたかのように、2つのゼロを冠する機体がグラハム/ブシドーの機体に攻撃を仕掛ける。対するブシドーは問題発言をしながら、彼女の機体と鍔迫り合いを演じていた。

 クーゴ含んだ大半のギャラリーは、ただただ驚きに声を上げることしかできない。「お前らいつの間にそんなことになってたんだ」と、言葉にするので精一杯だった。ひまりが目を輝かせ、言葉の意味を理解できなかった征士郎が首を傾げる。スオルは何を思ったのか、妻に連絡を取り始めた。

 審判役を買って出ていたドモンは顔を真っ赤にしてうろたえ、ボビーが「見かけによらず熱いじゃない!」と口笛を吹き、「ブシドーが言った言葉の意味について教えてほしい」という子ども組の質問に大人組が真っ青になり/頭を抱え、テオドアに想いを寄せるネーナが「そこのところ詳しく!」と身を乗り出す。相当なカオスだ。

 

 その中で、にこにこ笑っているイデアは強者と言えよう。

 

 

「は、『犯罪だけには走るな』って言ったのに……。いや、厳密的に、法律的に考えれば問題はないのかもしれないけど……でも……」

 

 

 イデアの隣にいたビリーが崩れ落ちた。余程ショックだったようで、変なオーラを背負い、「ははははは」と力なく笑っている。

 ビリーの瞳は酷く濁っていた。ブシドーと彼の愛機の勇士を見に来ていただけだというのに、とんだとばっちりである。

 

 騒然となったのはギャラリーだけではない。代表者として戦っていたアムロ、シャア、ヒイロ、ゼクスたちも度肝を抜かれた様子だった。

 

 

「な、なんて恥ずかしい奴!! シャア、お前まさか知っていたのか!? 知っていて、刹那さんとブシドーを!? だとしたら卑怯だぞ!!」

 

「知らん! 今初めて知ったぞ!! 知っていたら絶対に、こんな組み合わせなど考えなかった!! 我が同僚ながら、なんてうらやま――けしからん奴だ!!」

 

「本当にうらやま――けしからん奴だな、ミスター・ブシドー!」

 

 

 思春期の少年(アムロ)と、何かを拗らせ気味だった青年(シャア)の心が同じ方向を向いていた。同志になるならないで戦っていた彼らであるが、今このとき、確かに彼らは同類(どうし)であった。

 

 

「エピオンシステムのテスト中に見えたので、まさかとは思っていたのだが……」

 

 

 額に手を当てて、ゼクスが深々と息を吐く。未来の可能性を見せることでパイロットを勝利に導く――ゼロシステムと同等の力を持つ演算システム、それがエピオンシステムだ。 

 ゼクスはそのテスト中に、刹那とグラハムの関係を垣間見ていたらしい。彼が困惑していたのは、この場でそんなことを悪意なく言い放ってしまったブシドーの行動だろう。

 

 しかし、あらかじめ知っていたことが幸運だったのか、彼は立ち直りが早かった。

 

 

「と、とにかく! 今はそんなことをしている場合ではない! 我々は我々で、決着をつけるぞ、ヒイロ!」

 

「……にんむ……りょうかい……」

 

 

 ライバルに促され、ヒイロは半ば呆然とした表情で頷いた。驚きすぎたせいで、何か間の抜けたような響きの声。流石のヒイロにもショックが大きかったらしい。

 茫然とするしかない周囲の状況など何のその、刹那とブシドーは派手な剣裁を繰り広げている。2人の周囲だけが闘技場に見えてきた。クーゴは相当疲れているらしい。

 周囲は相変わらずざわめいたまま。おかしな方向に転がり始めた『コネクト・フォース代表VSジオン軍オルトロス隊代表のガンダムファイト』の決着は、まだつきそうになかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、あのアヘッドのパイロットさんとセイエイさんは恋人同士ってことですかぁ!?」

 

 

 ミレイナの悲鳴によって、クーゴは虚憶(きょおく)の世界から強制的に帰還させられた。誰かがミレイナの叫びと似たようなことを叫んでいたような気がする。

 いいや、それ以前に、何がどうしてそんな会話になってしまったのか。クーゴの意識が断線している間に、プトレマイオスはアロウズとの交戦状態に入っていたらしい。

 デジャヴだ。逃れようのないデジャウを感じる。つい数秒前まで、クーゴが見ていた虚憶(きょおく)に通じる部分があった。ますます嫌な予感がしてならない。

 

 刹那とグラハム/ブシドーの関係性を知らなかったのは、ソレスタルビーイングの中でもミレイナとロックオン(ライル)だけだったらしい。他の面々は「あーそうなの。だから?」や「うん、知ってた」等と流している。

 自分が仲間外れだと思い知ったミレイナが、不満そうに頬を膨らませた様子が『視えた』。恋愛とゴシップが大好きな彼女に、そういう話を振ると面倒なことになるということなのか。賢明な判断だ。

 

 アロウズとの交戦中だというのに、戦場には変な空気が流れている。アヘッドやジンクスのパイロットたちの一部が盛大に困惑し、ガンダムマイスターの面々は乾いた表情を浮かべながら状況に対応していた。

 

 状況を読めず掴めていない敵指揮官機は、別な方向に困惑していた。どの道、敵機は困惑する運命にあるらしい。

 アリオスと対峙するアヘッドの女性パイロットは頭が痛そうに眉をひそめた。恋人、という言葉が引っかかるようだ。

 

 状況が状況だが、それでもミレイナの興味は尽きなかった。ブシドーに届くはずがないのに、それでも大声で問いかけた。

 

 

「ちなみに、おふたりはどこまで進んだのですか!?」

 

「おいやめろ! 今はそんなこと、どうだっていいだろう!?」

 

 

 ざわめくミレイナを制そうと刹那が叫ぶが、顔が赤らんでいるところや狼狽えぶりのせいで、説得力は皆無である。

 

 以前からの付き合いで、クーゴは“グラハム(現:ミスター・ブシドー)と刹那が恋人同士である”ことは知っていた。本人たちは口に出していなかったが、2人の間には確かな絆があった。

 しかし、不思議なことがある。普段はあまり感情を表さない刹那が、必死になって話を逸らそうとしていた。まるで、2人の間に「何かあった」とでも言いたげである。とても、言葉にできない“何か”が。

 

 不意に、アヘッドのコックピット内部の様子が『視えた』。まるでミレイナの声が『聞こえた』のか、ブシドーはどこか寂しそうに笑う。

 

 

「私個人の見解としては、自然消滅……と言うべきところかもしれん」

 

 

 もう終わってしまったのだと、その表情は語っている。――けれど、次の瞬間、開き直ったように不敵に笑った。

 

 

「ちょっと待て!!」

 

 

 クーゴは弾かれたように飛びあがった。クーゴのデジャヴが正しければ、この後、大変なことにならなかったか。

 この場にいる人間たちではどうしようもないことが起こった気がする。ダメだ、ブシドーにこの先を言わせてはいけない。

 慌てて制しようとしたクーゴを振り切るが如く、翠緑の瞳に祈るような想いを孕ませながら、ブシドーは盛大に叫んだ。

 

 

「だが、ここは敢えて言わせてもらおう! ――私と彼女は、もう既に一線を超えていると!!」

 

「ええええええええええええええええええええええええええええええ!!?」

 

 

 恐ろしい爆弾発言に、この場一体が悲鳴に飲み込まれた。

 

 

「貴ッ様ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

「ははははははは。羞恥に悶えるキミも魅力的だな!」

 

 

 ブシドー/グラハムとの関係を暴露された刹那は、羞恥心からか顔を真っ赤にしていた。彼女の怒りを反映させたかのように、ダブルオーがグラハム/ブシドーの機体に攻撃を仕掛ける。対するブシドーは問題発言をしながら、彼女の機体と鍔迫り合いを演じていた。

 

 大半のギャラリーは、ただただ驚きに声を上げることしかできない。「お前らいつの間にそんなことになってたんだ」と、言葉にするので精一杯だった。ミレイナが目を輝かせ、ラッセとスメラギが魂を飛ばしたような表情で呆けている。

 アレルヤとアヘッドの女性パイロットは顔を真っ赤にしてうろたえ、クリスティナとリヒテンダールが絶叫した。ロックオン(ライル)が「見かけによらず熱いなぁ!」と口笛を吹き、ティエリアとフェルトが戦慄いている。相当なカオスだ。

 

 その中で、にこにこ笑っているイデアは強者と言えよう。

 ……ここまでデジャヴに忠実にしなくていいじゃないか。

 クーゴは椅子に座りこみ、天を仰いだ。

 

 

(――あれ?)

 

 

 そうして、ふと、気づく。

 

 本来なら、敵側の通信なんて聞こえてこない。GN粒子のせいで、傍受することすらままならない状態だ。

 だが、先程のブシドーの声は、フルオープンでプトレマイオス中に響き渡っている。

 

 

「そういえばあいつ、人間卒業間近だった……」

 

 

 4年前の時点で、グラハム/ブシドーはクーゴと似たような状態――『ミュウ』としての『目覚め』を迎えかけている途中だった。

 思念波を展開して機体を確認すれば、彼のアヘッドが薄く発光している。どこまでも透き通った、綺麗な群青(あお)だ。

 まさか、彼もクーゴと同じ荒ぶる青(タイプ・ブルー)なのか。そう思ったとき、別の機体――ジンクスたちが発光しているのが『視えた』。

 

 

『……こういうとき、なんて言えばいいんすかね?』

 

『えーと、えーと……おめでとう?』

 

『いや、リア充爆発しろ?』

 

『どれもおかしいってことしかわかんねーよ……』

 

 

 懐かしい声だ。アキラ、ハワード、ダリル、ジョシュア――元第8航空部隊(オーバーフラッグス)の面々も、この場に居合わせてしまったらしい。

 しかも不幸なことに、4人はこの会話を『聞いてしまった』のだろう。その結果、正気度をごっそり持っていかれてしまったようだ。文字通りの混沌である。

 

 いや、それよりも。

 

 

(あの4人も人間卒業間近なのか……!?)

 

 

 4年間の間に、部下も大変なことになっていた事実に気が遠くなった。彼らの機体には、各々赤、緑、黄色の光が瞬いている。

 いつか、彼らにも変な会話が『聞こえる』ようになってしまうのではないかと思っていた。正直言って、現実になってほしくない光景だった。

 気苦労を一身に背負うのは、自分1人で充分だ――そう思っていたのに。なんだろう、どうしてだか泣きたくなった。

 

 戦場は相変わらず硬直状態である。混沌極まりない空気をまき散らしながら、誰もが一進一退の攻防を繰り広げていた。

 特に、刹那/ダブルオーとブシドー/武者のような佇まいのアヘッドと、アレルヤ/アリオスと女性/特殊改造のアヘッドが接戦状態である。

 

 

「……僕だって、僕だって……!」

 

 

 戦況が大きく変化したのは、後者だった。

 

 

「な、何!?」

 

「マリー! 僕はもう、二度とキミを離さない……!」

 

 

 アヘッドの攻撃を真正面から喰らいながらも、アリオスはアヘッドへと手を伸ばす。アレルヤの叫びに応えるように、アリオスはアヘッドを掴んだ。

 何とかして振り払おうとしたアヘッドであるが、アレルヤ/アリオスの意地に「負けた」と言わんばかりにGNドライヴが小規模の爆発を引き起こす。

 

 そのまま弧を描くようにして、2つの機体は眼下の島へと真っ逆さまに落ちていく。木々の生い茂る場所に堕ちたと思ったが、細かい位置を『視る』ことは不可能だった。

 

 丁度そのタイミングで、ダブルオーと武者のような佇まいのアヘッドの勝負も動いた。ダブルオーの機体が輝き、急速に加速し始める。あれは、トランザムだ。

 高速戦闘を行うダブルオーに翻弄されながらも、ブシドーのアヘッドは真っ向勝負を挑む。刃が閃き、間髪入れず片腕が吹き飛んだ。アヘッドがたまらず後退する。勿論、刹那は追撃に移った。

 ブシドーも、ただ逃げるだけではない。ダブルオーのピストル連射をギリギリで回避しながら、アヘッドは頭部のショートビームで応戦した。接近戦に特化させすぎたためか、遠距離武装はそれしかないらしい。

 

 だが、圧倒的な劣勢状態でありながらも尚、ブシドーのアヘッドはダブルオーに食い下がっている。あれは、ブシドーの気迫が成せる業だ。

 

 

(相変わらず恐ろしいな)

 

 

 諦めが悪くてしつこい男――それが、グラハム・エーカーの真骨頂である。ミスター・ブシドーとなった後も、根っこのところにあるものは変わらなかったらしい。

 コックピットにいた彼は、どこか嬉しそうな笑みを浮かべていた。好敵手(ライバル)である刹那との戦いに、高揚と喜びを抱いているのが『伝わって』くる。

 しかし、その感情の奥底にあるのは、悲痛なまでの祈り/叫びだった。ブシドーが泣いているように見えたのは――星に手を伸ばす子どものようだと思ったのは何故だろう。

 

 次の瞬間、ダブルオーの動きが止まった。トランザムが切れたらしい。だが、その程度の問題だけではなかったようだ。ダブルオーの体ががくんと傾く。機体はそのまま、海へと不時着した。GNドライヴから白煙が上がる。

 

 文字通りの形勢逆転だ。ブシドーのアヘッドが、刹那のダブルオーを見下ろしている。刀の形をしたビームサーベルが、ダブルオーの首筋にひたりと付けられた。

 ダブルオーの危機に気づいた他の機体が、慌てて救援へ駆けつける。逆に、アロウズは天使へ追撃しようとするであろうブシドーを援護するために近寄ってくる。

 

 

「違う」

 

 

 不意に、ブシドーはそう言った。どこか怒りと憤りを感じさせるような声だった。

 

 

「キミの力は、そんなものではないだろう。そんなものではなかったはずだ」

 

「……!?」

 

 

 何かを確かめるような調子で、ブシドーは言葉を続ける。彼の表情が泣きだしそうに歪んでいるように『視えた』のは何故だろう。

 刹那が目を見開いたのと同じタイミングで、ブシドーのアヘッドはビームサーベルを鞘に戻した。そのまま、ダブルオーに背を向ける。

 

 

「未完成の機体……ならば、斬る価値もない」

 

「おい、ミスター!?」

 

 

 隊長機の制止に耳を貸さず、アヘッドはダブルオーから離れようとして――止まる。その動きに驚いた隊長機が再び声をかけるが、ブシドーは沈黙していた。

 次の瞬間、ブシドーのアヘッドが突然振り返った。カメラアイがギラリと光る。まるで、自分たちの邪魔をしようとする乱入者の気配を感じ取ったかのように。

 ブシドーのアヘッドの動きに呼応するが如く、ハワードたちが乗っていると思しきジンクスたちもそちらの方向へ向き直った。

 

 無邪気な悪意がこの場に満ちていく。その持ち主を、クーゴはよく『知っていた』。

 

 何度も対峙してきたモノアイの天使たちだ。今回は、MDの群れを引き連れていない。次の瞬間、天使の羽が武装を展開し、実弾とレーザーの雨あられを振らせてきた!

 異変に気づいたジンクスやアヘッドたちが退避行動をとる。ブシドーのアヘッドはどうしてか動こうとしないし、ダブルオーは身動きができない。

 

 

『イデア!』

 

『はい!』

 

 

 クーゴの思念波に応えるように、ダブルオーの一番近くにいたスターゲイザーが飛び出す。トランザムを発動させたのか、スターゲイザー-アルマロスの機体が赤く光り――

 

 

「――無粋な」

 

 

 スターゲイザーが防壁を展開するよりも早く、ブシドーのアヘッドが動いた。

 

 一閃。

 

 サーベルの赤とサイオン波らしき青の光が閃いたと思ったとき、ブシドーのアヘッドが、降り注いだ攻撃を真っ二つに切り裂いた。まるで、誰かの――クーゴの動きを再現したかのような一撃である。片腕でありながらも、見事な一撃だといえよう。

 彼の見せた動きは、いつぞや、天使たちと対峙したクーゴの居合斬りとよく似ていた。アヘッドの一撃が入ったのに遅れて、スターゲイザー-アルマロスが割り込み、防壁を展開した。攻撃の余波がびりびりと響いたが、ダブルオーもアヘッドも無事である。

 それを目にしたモノアイの天使たちは、癇癪を起したようだ。再び武装を展開し、身動きの取れないダブルオーを屠ろうとする。イデアのスターゲイザー-アルマロスが迎撃しようとしたとき、ブシドーのアヘッドが天使たちを睨みつけた。

 

 コックピット越しから、ブシドーも天使および天使のパイロットを睨みつけているのだ。肌を刺すようなプレッシャーが、この場全体を支配する。

 ダブルオーより離れた場所にいるプトレマイオスでさえそうなのだ。アヘッドの傍にいる刹那やイデア、アヘッドと対峙している天使たちは、どれ程の圧力を感じているのだろう。

 

 

「……私は、貴様らのような輩が、大の嫌いときている」

 

 

 大地の底から轟くような声だった。天使のパイロットはたじろいだが、それでも言い募る。

 

 

「何言ってるんだよオッサン!」

 

「今ここでダブルオーを倒せば、こちらが有利になることは分かっているだろう?」

 

 

 次の瞬間、殺気が増大した。それに気圧されるようにして、クーゴの体は吹っ飛ばされたような形で崩れ落ちる。壁に背中をぶつけたため、痛い。

 自分でさえこれなら、彼の近辺にいる人間たちは一体どんな状態になっているんだろう。不安になったが、縫い付けられたように身動きが取れなかった。

 

 天使たちは武装を展開したまま、身動きできない様子だった。彼らの砲門は、明らかにブシドーのアヘッドを狙っている。奴らはダブルオー諸共、ブシドーを葬り去るつもりだったらしい。

 

 

「何人たりとも手出しは無用。あの機体は、私の獲物だ」

 

 

 ブシドーの声は、勤めて静かであろうとしているように聞こえる。

 だが、その言葉には、激しい感情がにじみ出ていた。

 

 アヘッドがダブルオーを見下ろす。

 

 

「今回は敢えて見逃そう。次は、完全な機体での全力勝負を所望する」

 

 

 それだけ言い残し、今度こそ、ブシドーのアヘッドはダブルオーから離れていった。幾何か遅れて、アロウズの指揮官機がブシドーを引き留めようと飛んでいく。しかし、引き留めることはできなかったようだ。

 ダブルオーを取り囲んでいたジンクスたちの動きも鈍い。おそらく、ブシドーの殺気および気迫が尾を引いているのだろう。さらに遅れて、モノアイの天使が刹那/ダブルオー、およびブシドー/武者のような風貌のアヘッドを葬ろうと動き出す。

 だが、奴らはスターゲイザー-アルマロスやセラヴィー、ケルディムらの攻撃によって散開した。3機のガンダムはダブルオーを守るように陣取り、ジンクスやアヘッドたちと対峙する。間髪入れず、船内に魚雷発射を告げるラッセの声が響き渡った。

 

 海中から飛び出した魚雷が爆ぜる。この場一帯に、高濃度のGN粒子が散布されたらしい。ジンクスやアヘッドのパイロットたちが焦る声が四方八方から『聞こえて』きた。

 

 幾何かの間をおいて、彼らの悔しそうな感情が『伝わって』くる。彼らの気配はあっという間になくなった。

 どうやらアロウズ側は撤退することにしたらしい。しかし、問題はまだ終わらなかったようだ。

 

 

「アリオスの反応、補足できません!」

 

「ダブルオーを収容後、他の3機はアリオスの捜索に回って! みんなはそのまま、アリオスの反応を探し続けて頂戴!」

 

 

 フェルトの悲鳴と、スメラギの指示が飛んだ。クリスティナやミレイナが必死になってキーボードを叩く横顔が『視えた』。リヒテンダールとラッセも、心配そうに島の地図を見上げている。

 

 

「クーゴさん、出撃できそうですか?」

 

 

 イデアからの通信に、勿論と言いかけてつっかえる。

 言葉を飲み込んだのは、頭の中に虚憶(きょおく)が浮かんだからだ。

 

 アレルヤが銀髪の女性と抱き合っている姿が『視えた』。長い間会えなかった、遠距離恋愛の恋人を彷彿とさせるような光景である。2人は幸せそうに見つめ合い、ぐっと距離を縮めた。――キス、したのだ。

 次に脳裏に映ったのは、女性の加入によってある種のお祝いムードに沸くZEXISだ。アレルヤと銀髪の女性が照れた様子で互いの紹介を始めている。恋愛に首を突っ込む面々が、アレルヤと女性に根掘り葉掘り問いかけていた。

 トドメとばかりに『視えた』のは、アッシュフォード学園で行われた恋のキューピット祭りで追いかけっこに興じるアレルヤと銀髪の女性である。どこからどう見ても、普通の恋人同士のキャッキャウフフだ。この追いかけっこが超高速でなければ、だが。

 

 

「――お祝いしなきゃ」

 

 

 その光景を『視』終わったクーゴの口から出てきたのは、自分でも意味が理解できない言葉だった。だのに、異様な使命感がクーゴを突き動かす。がばりと立ち上がったクーゴの足は、迷うことなく厨房へ向かっていた。

 

 

「はぁ!?」

 

「な、何言ってるんスか!?」

 

 

 クーゴの返答が聞こえていたのだろう。地図と睨めっこしていたラッセとリヒテンダールが眉間に皺を寄せたのが『視えた』。

 クーゴの反応が厨房へ向かっていることにも気づいたのだろう。「お前は一体どうしたんだ」という思念が『聞こえて』くる。

 クーゴだって捜索に加わりたいのは山々なのだが、何かに乗っ取られたかのように足が勝手に進んでしまうのだ。

 

 

「分からん! 俺だって、どうしてこんなことになっているのか分からないんだ!」

 

 

 弁明している間に、クーゴは厨房に足を踏み入れていた。そのまま、慣れた手つきで材料を取り出し、料理を作り始める。しかも、お祝い用の――かなり手間がかかる料理だ。

 尾頭付きの金目鯛を人数分取り出し、沸騰した鍋へ投入した己の行動に戦慄する。他にも、(材料から判断したものだが)ケーキやローストチキン等を作ろうとしていた。

 

 奇行に走ったクーゴの手を借りることは不可能だと判断したらしい。面々が深々とため息をついて、アリオスの捜索に向かう/捜索を続ける様子が『視えた』。

 

 本当に申し訳ない。クーゴは心から謝罪する。その間にも、クーゴの手は慣れた様子で料理を作り続ける。

 しかも、その手は休まる様子がないのだ。……なんて不気味な光景だろうか。超常現象もかくやと言わんばかりだ。

 1人大パニックに陥るクーゴであるが、どうにかする手立ては見つからない。料理を作り終えるしかなさそうだった。

 

 

 

*

 

 

 

 プトレマイオスが阿鼻叫喚になっている。理由は簡単、アレルヤが女性とキスをしている現場をおさえたためだ。

 

 その悲鳴を聞きながら、クーゴは眼前に並ぶ料理を見つめる。尾頭付きの金目鯛と豆腐の煮つけ、丸々1匹の鶏肉を使ったローストチキン(中にはハーブをふんだんに使ったピラフが入っている)、色鮮やかなエディブルフラワーを使って作ったフラワーハーブゼリーなどが雁首揃えて鎮座していた。

 和洋折衷。祝わなければならないという謎の使命感に駆られた結果がこれである。プトレマイオスから響く絶叫から、クーゴはようやく、この使命感の意味を理解した。おそらく、アリオス/アレルヤが回収されれば、ちょっとした宴が繰り広げられるであろう。

 

 

「盛り上がってるところ悪いんだが、やっと奇行が止まった」

 

「ってことは……」

 

「お祝い仕様のご飯もできた」

 

「やったぁぁぁぁ! 今日はパーティですねっ!!」

 

 

 イデアに報告すれば、彼女はガッツポーズを取った。豪勢な食事であると確信した面々も、ぱっと表情を輝かせる。それを聞いたロックオン(ライル)が、いいムードでいるアレルヤと女性に対して大音量で呼びかけた。

 2人の世界を盛大にぶち壊されたアレルヤたちは狼狽したようだが、「今日はパーティ」「主役はアレルヤ」という言葉に観念したらしい。若い恋人たちは頬を染め、はにかみながらプトレマイオスへと帰還した。

 艦内のあちこちから足音が聞こえる。食堂は大変なことになるだろう。クルーたちの和やかな話し声が聞こえてきた。その中には、今日の主役であるアレルヤの声もある。クーゴは苦笑しながら、作り上げた料理をテーブルへと運んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 クーゴ・ハガネ、只今、明日を探して迷走中。




【参考および参照】
『COOKPAD』より、『生のお頭つき◆金目鯛と豆腐の煮付け(じゅげむ?さま)』、『柔かジューシー★ローストチキンハーブ風味(chez★zooomさま)』、『***フラワーハーブゼリー***(レンバスさま)』

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。