あの日…
世界は彼女達の手で守られた。
「どうして?!どうして変身できないの?」
彼女結城友奈は泣くしかなかった。
親友である東郷が世界を破壊しようとするその光景をただ眺めるしかないこの状況に。
勇者部のみんなは精一杯戦っていた。
あるものは自らの体の代償を省みず《満開》という力を何度も行使した。
ある姉妹は必死に東郷を止めようとした。
でも、彼女は止まらない。
仲間を想う彼女の意思はそれだけ強いのだ。
「もうここまでなの?みんなとの楽しい日常はもう…」
「諦めるのか?」
ここには一人しかいないと思っていた友奈を驚いて顔をあげると、白銀の鎧に白いマントをした金髪の青年が立っていた。
「あなたは…?」
「俺か?まぁ、神様みたいな者だな。」
「神様?」
「神様って言っても大したもんじゃない。俺は葛葉鉱汰だ。好きに呼んでくれ。」
「…私は結城友奈です。」
友奈は簡単な自己紹介をして黙ってしまった。
このままでは世界が終わるのだ。
神様と名乗る彼がこうして結界の中にいるのだから、特殊の人なのだろう。
しかし、呑気に事を構える余裕はない。
もう一度スマートフォンのアプリを起動し変身使用とするが、やはりエラーが起きる。
「どうして…このままじゃ私、誰も守れない。せっかく勇者になれたのに…。」
「力が欲しいか?」
「え?」
金髪の青年は友奈に質問した。その質問の答えはもちろん、
「欲しい!」
「たとえ君が人でなくなっても?」
「それでも…!」
彼女は手を強く握りしめる。
彼女は決めたのだ。
もう誰も傷つけさせない。
「私はみんなを守りたい!だって私は…」
――――――――――――
「もうやめるのよ!東郷!」
「止めないでください!
東郷は風に向かって銃撃を放つ。
だが風は東郷の銃撃を全て大剣で弾く。
「こんなことしてどうなるかわからないの?!」
「わかってますよ。だからこそ、こんな未来がない世界を破壊して楽になった方が幸せなんです!」
東郷は何発も撃ち込むが決定打に欠け、戦況が動かない。
そんなとき、
「ーっ!」
「しまった!」
背後からくる
「ナイス!樹!これであとは
バーテックスに攻撃をしかけようとした瞬間、東郷を叩きつけた場所から光が集まり東郷が再び姿を現す。
しかし、今度は先程とは違って武装の規模が段違いだ。
《満開》
それは勇者の奥の手だ。
「あんた…そこまでして…」
「ごめんなさい。」
東郷は武装から一発ビームを放つ。
満開の銃撃を風と樹はそれを受けきる力はない。
風達はそのまま地面に倒れる。
「このままじゃ…」
「私に任せてください。」
そこには赤い髪の女の子が立っていた。
友奈である。
「そこをどいて友奈ちゃん。」
「どかないよ東郷さん。」
友奈はしっかりと、何かを覚悟をしたように東郷を見つめる。
「私はみんなを…友奈ちゃんを傷つけたくないの。」
「大丈夫だよ。私がさせないから。」
そう言うと、友奈は黒いバックルを取り出す。
黒いバックルには何かをはめこむ穴と刀のような装飾があった。
それをお腹のところに付けると、自動で腰にベルトが巻き付く。
そして、ポケットから取り出したピンクの錠前を解錠する。
【ユウナ!】
軽快な音声が響く。
それを穴にはめこみ、錠前を再びロックする。
【ロックオン】
すると、上空の空間に穴からピンクの鎧が落ちてくる。
そして刀のような装飾を倒す。
【ソイヤ!ユウナアームズ!為せば大抵なんとかなる!】
妙な音声と共に鎧がユウナの頭に落ち、同時にアーマースーツのようなものが体を被う。
そして鎧が胸や腕に展開された。
その姿はユウナが普段勇者となった姿に酷似していたが顔が兜によって見えなくなっていた。
「仮面ライダーユウナ!私は勇者になる!」