不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

99 / 134

作中最強はアルトリウスで決定です。

この作品の中の彼は盾さえ残っていればマヌスにギリギリ勝てました。


実機のマヌスは手負いだったのか………。



不死の英雄伝 99

第九十九話 不屈対不屈

 

 

正気に戻ったアルトリウスとの決闘。

 

 

正直な話、何故あの様な事を言ったのかは分からない。

 

不利になる以上、泥人形のままにしておけば良かったかも知れない。

 

だが、不思議と後悔は無い、寧ろ此れからの死闘に心が踊っている。

 

 

半端な盾は役に立たない、結界の大盾はシフに投げ渡した、俺が今使えるのは聖剣一本。

 

 

竜狩りの槍は使わない。

 

いや、使う暇がない。

 

 

ソウルから取り出そうとした一瞬の隙、今のアルトリウスには十分すぎる。

 

 

あっさり決着が着いてしまうと彼に申し訳無いからこそ、この聖剣だけで立ち向かう。

 

 

俺の精神の昂りに呼応したのか、聖剣の輝きが強くなり、全身に力が湧き上がる。

 

 

神経を研ぎ澄ませ、アルトリウスだけに集中する。

 

先に動いたのは俺。

 

 

挑戦者である俺から攻めなければ、きっと彼には勝てはしない。

 

 

 

肩から全身を巻き込むように、袈裟斬りに斬りかかる。

 

 

彼は半歩身体を引いて、俺の斬撃を回避する。

 

大振りの一撃を回避した彼は、そのまま、隙だらけの俺に大剣の突きを放ってきた。

 

敢えて大振りの一撃を放ってまで誘ったその剣に向かって、振り下ろしたままの大剣の回転斬りを放つ。

 

 

突進からの回転斬り、同じような事を実行したアルトリウスへの意趣返し。

 

 

彼の超人的な反応速度に対してのカウンター。

 

 

彼の突きを弾き返し、今までの俺とは違う事を見せつける。

 

 

ーそう来なくてはなッ‼︎ー

 

 

心底嬉しいのか、彼は俺の追撃を防ぐために膝蹴りを浴びせた後一旦後ろに飛び退き体勢を整える。

 

 

その膝蹴りは彼にとっては、何ともない物かもしれないが、人間にとってはその身体を容易く砕く槍となる。

 

 

たった一発の膝蹴りで、鎧に大きなヒビが入ったものの、お陰で何とか即死は間逃れた。

 

 

今の一撃で流れを引き戻されたな。

 

 

そして、この一撃からアルトリウスの攻勢が始まる。

 

 

騎士としての決闘、彼の誇りが手を抜く事を許さず、苛烈に攻め立てる。

 

 

神速の踏み込み、嘗ての本能で暴れていた時とは全く違う速さ。

 

初動が見えず、踏み込みと同時に視界から消え、彼の姿が見えた頃には身体を貫かれた頃。

 

 

不死の騎士は貫かれた状態にも関わらず、尚も彼に向かって光波を叩き込む。

 

 

その一撃はアルトリウスの持っている大盾が遮り、爆風一つ与えられ無かった。

 

 

彼の尋常ならざる反射神経、それは凡ゆる不意打ちに対して後の先を取ることが可能となる。

 

 

彼が最強たる所以、それの一角がこの守備の硬さ。

 

 

彼は自身の反応速度を利用し、防御に回ることで、戦いの流れを引き戻す事が可能なのだ。

 

 

だが、不死の騎士も負けては居ない。

 

 

彼が光波を放ったのは、アルトリウスの反射神経を利用するため。

 

 

彼が突き出すように光波を防いだ際に、その大盾を踏み台にして跳躍。

 

 

貫かれた体勢から脱出し、空中で光波を三つ放つ。

 

 

その三つの光波は、どれも盾に直撃し、その衝撃で彼をその場に貼り付けにし、追撃に移ろうとする彼を妨害する。

 

不死の騎士の強さは才能では無い。

 

彼の才は一般の人間となんら変わらない。

 

しかし、彼には発想力があった。

 

意地で支えている不屈の心があった。

 

負けない為に、相手を倒す為に、次の手を、次の次の手を。

 

ひたすら逆境を覆すための奇策、それが今までの彼を支えて来たのだ。

 

一度たりとも楽な戦いなど無かった、格下相手の戦いなど微塵もなかった。

 

 

常に追い詰められ、膝をつき、傷だらけになりながらも只管に勝つための策を講じてきた。

 

 

彼の強さの根底は、実力差を補う発想力と精神力。

 

 

艱難辛苦の中で培われたそれは、非才ゆえの強さ。

 

 

聖剣はその強さに惹かれ、その力を限界以上に引き出している。

 

 

着地と同時にアルトリウスへの攻勢。

 

不死の騎士は退かずに攻める、後退や逃げ腰ではかの不屈の男に打ち勝つ事など出来はしないから。

 

 

常に聖剣に魔力を込めながら、一振り一振りを光波と共にアルトリウスへと向け、剣を交差させて行く。

 

 

聖剣の魔力は、深淵の泥で作られた彼の身体を、僅かづつではあるが浄化して行く。

 

 

しかし、アルトリウスも後退しない。

 

 

目の前の男は己の全てを賭け金にして自身に立ち向かって居る、それを受け止めずに退く事は、彼自身の騎士の誇りに傷を付ける。

 

 

何より、勝つ為に死力を尽くす彼に触発され、勝ちたくなったのだ。

 

 

始めは見極めるだけに止めるつもりだった。

 

だが、この男と剣を交えると、勝ちたいと言う意思が伝わり、自身の闘争心に歯止めが効かなくなってしまった。

 

 

 

 

激しい剣戟の音は、未だ鳴り止まず。

 

 

二人の騎士の衝突は熾烈さをまして行った。

 

 

 





月明かりの大剣(闘争心MAX時)

以前の性能に加え全ステータスを+15


一時的に、アルトリと辛うじて戦えるようになりました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。