不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

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正直に言いなさい、こんなマヌス戦一度でも良いからやって見たいと言う方、貴方はもう手遅れです。


アクアビット病院、トーラス病院、キサラギ病院、ムラクモ病院の何れかの受診をオススメします。

専属看護師はリリウム、メイ・グリンフィールド、エイ=プール、メノ・ルー、の中から好きに選んで下さい。

専属医師は、ジャック・O、サーダナ、ゲド、主任、の中から好きに選んで下さい。




不死の英雄伝 92

第九十二話 泥の四騎士

 

 

あの後、幾度となく挑戦しているが、中々有効打を与える事が出来ていない。

 

 

制空権を奪い返そうと、カラミットを狙えば鷹の目に射抜かれる。

 

砲台役を潰そうと、鷹の目を狙えば王の刃に音も無く殺される。

 

せめて一人でも道連れにしようと、王の刃に特攻すれば深淵歩きと竜狩りに認識出来ない速さで殺される。

 

 

彼ら二人の足を潰そうとすれば、上空からカラミットの炎が俺を消し炭にする。

 

 

更に、深淵の主は完全に俺を敵とみなしたのか、全力を出し始めた。

 

 

深淵の穴で死んでいた呪術師から、呪術を読み取ったのか深淵によって強化された呪術を操り、俺を焼き尽くす。

 

その上、原型を保った闇術を四騎士の後ろから好き放題放ってくる。

 

 

死亡数が四桁を越えた辺りから数えるのを辞めた。

 

正確な数は分からないが大凡二千回程死んだような気がする。

 

それだけ殺されて、漸く相手の動きが見えるようになって来た。

 

もっとも、反応出来るとは言わないが。

 

 

数の暴力とはよく言ったものだが、連中は質の暴力も携えている。

 

普通、偽物は本物よりも弱いはずなのだが、連中は本物以上の強さを見せている。

 

鷹の目は、あの大弓を使い、回避先も予測した上で俺を射殺す。

 

竜狩りは、雷の速さで俺を粉砕し、認識できない速度で暴れ回る。

 

王の刃は、自分の気配を周囲に溶け込ませ、姿を消す。

 

目の前に居ても気が付かず、黄金の軌跡が見えると同時に血だるまにされる。

 

深淵歩きは、盾を携え、神速の剣線で俺を膾切りにする。

 

嘗て戦った彼は深淵に侵され、満身創痍だった。

 

だが、あの泥人形は全盛期の彼を模倣しているのだろう。

 

純粋に強かった。

 

黒竜カラミット、彼は天を舞い、大地を燃やし、俺を呪う。

 

元は身体の耐久性を下げ、ダメージを倍にする魔眼だった物が、深淵の力で変質。

 

元の力に加え、更に大幅に身体能力を下げる呪いとなった彼の魔眼は、最も猛威を振るった。

 

 

碌な抵抗も出来ずに嬲り殺し。

 

そもそも、崖から飛び降りた瞬間に篝火で再構築されていると言う事が何度もあり、初めの数百回は何が起きているのかサッパリ分からなかった。

 

 

その真相としては、深淵歩きの肩を踏み台にして、崖から飛び降りようとしている俺を、竜狩りが粉砕していたのだが。

 

 

それに反応出来るようになったのが三桁後半、後は色々試して死に続けた。

 

例えば、竜狩りの一撃を回避してカラミットの背中に飛び乗る。

 

こうすれば誰からも攻撃されず、光波による蹂躙が可能かと思っていた。

 

しかし、カラミットは俺が背中に乗ると同時に背面飛行、その背中から俺を振り落として鷹の目に射抜かせる。

 

 

 

次に試したのは同士討ち。

 

 

深淵歩きや竜狩りの突進を誘導して、カラミットの炎で焼き殺そうとしたのだが、燃えながら再生している姿を発見して断念。

 

よく考えれば、彼らは深淵の泥人形。

 

同士討ちさせても死にはしない。

 

ならば、操っている本人を討てば良い、と思ったのだが甘くは無かった。

 

 

彼の周りには五つの深淵の塊が浮遊している上に、足元にもある一定の間隔を起点に噴水のように深淵の泥が噴き出している。

 

泥に足を取られるのが目に見えている上、いくら聖剣の庇護下にあっても、その許容量を越える汚染を浴びてしまえばひとたまりもない。

 

 

まともな攻略法が不死の身体に胡座をかいた神風特攻しか無いと言うのが現状だ。

 

 

他にも攻略手段が欲しいのだが、小細工ごと殴り殺す連中相手に絡め手は通用しない。

 

 

唯一の救いは、彼らに与えた傷が残ったままになっている事だ。

 

 

通常ならば、殺されて篝火まで転送されてしまうと、敵は完全回復してしまう。

 

だが、彼らにはそれが無い、深淵の回復が有るものの、聖剣の傷は治りが遅い。

 

 

突破口はもうそれしか無いだろう。

 

無理押しは無能のする事だが、他に手立てが思いつかない以上仕方ない。

 

 

真っ先に始末する必要があるのは、カラミット。

 

 

アレを地面に引きずり落とし、あの魔眼を抉り取らなければ活路は開け無い。

 

彼の呪いは、全身の力を抜くだけで無く、身体の耐久性も大幅に下げられる。

 

辛うじて耐えられる攻撃が、一撃必殺になってしまうため、是が非でも彼だけは最優先で殺さなければならない。

 

次に狙うのが鷹の目。

 

 

彼の後方支援の威力は凄まじく、初めのうちは、俺の行動を全て潰されていた。

 

立ち止まれば心臓を射抜かれ、走れば頭部を撃ち抜かれる。

 

他の連中に何をされようとも、先ずは彼らの始末を優先する。

 




次回、カラミット撃墜作戦‼︎

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