残るボスも片手で数えられるようになって来ましたね。
きっと完結はもう直ぐだよ(震え声)
それと、おまけコーナーは前回で終了となります。
元々アノールまでを予定していたのと、此処からは王のソウルを持つ相手になりますので、展開のネタバレの可能性がある為です。
第七十四話 王家の森庭
水溜りの中に隠れていた宝箱を開けると、中に一枚の楔石の板が入っていた。
確か原盤と呼ばれる物だったか。
武器の強化に必要な楔石の欠片は、この原盤から欠けた物だ。
この欠片から、大欠片、塊、原盤、と言った順番に武器を慣らして行く。
この工程で最後まで強化すると、それは神具に匹敵する武具になると言う。
そして、それぞれの原盤には色があり、その色に合わせて宿る力が変わるらしい。
今俺が持っているのは青い原盤、魔法の力を込めた武器を最大まで強化出来るものだ。
原盤をソウルにしまい、先に進む。
目の前に見える一体の庭師、だがその周囲は開けた場所となっており、彼奴以外にも周辺に隠れているとみた。
ハルバードを構え、襲撃に備えながら広場に足を踏み入れる。
案の定、木の陰から追加で四体の庭師が姿を表した。
守護者が何体も現れなくて良かったな。 彼奴らは多分月明かりの大剣じゃ無いとまともに対処出来ないだろうからな。
周囲の庭師達が一塊になるように誘導しながら後退し、纏まった庭師をハルバードで薙ぎ払い、彼らを焼き尽くす。
奥に一体、守護者が居るのに気付いたが向こうの索敵範囲外だったらしく、此方に向かって来る事は無かった。
だが、向こう岸に見える橋を渡って先に進もうとすると、彼の索敵範囲に引っかかってしまう。
木の陰に隠れながら、守護者に向かって光波をタイミングをズラして二つ飛ばす。
光波の第一派が彼の核を剥き出しにし、第二波によってそこを粉砕する。
橋に向かって足を進めていると、上空から単眼の黒竜が降下してきた。
風圧を受け思わずたじろいでしまうが、何とか体勢を立て直し、俺を覗き込む黒竜を睨み返す。
暫く睨み合いが続いたが、興味を無くしたのか、目の前の黒竜は天高く飛び去っていった。
これは俺の感なのだが、あの黒竜とはいずれまた対峙するような気がする。
杞憂で終わってくれよと思いながらも先に進み、鋏を持った庭師を焼き払う。
鬱蒼とした森の奥には、二体の庭師と同じく二体の守護者、そして半壊した小屋。
その小屋の中の昇降機の下、そこにウーラシール市街に向かう道があるらしいのだ。
スナイパークロスを取り出し、庭師だけを攻撃して此方に誘い込んでハルバードで焼き払う。
残る守護者には結晶槍を叩き込み、核を貫いて機能を停止させる。
小屋の昇降機を起動させ、下に降りる。
下層部に着き、外に出ると反対側にも同じ小屋があるのが分かった。
そちらの昇降機を起動させに行く、どうやら此方は篝火までのショートカットのようだな。
改めて下層部に戻り、先ほどは無視した壁にもたれている男に話しかける。
彼もどうやら俺と同じ目にあったようで、何かと工面してやろうとの事。今入り用な物は無いし、どうも此奴はロートレクと同じ臭いがする。信用ならん。
市街への道に掛かっている霧を越える。
目の前に広がったのは、闘技場。
目線の先には、腐食の鎧を着込み、原型が分からないほど朽ちた大剣を持った騎士が立っていた。
恐らく、彼が四騎士の一人、深淵歩きアルトリウスだろう。
彼は息も絶え絶えと言った具合に俺に語りかける。
ー君が何者か知らないが離れてくれー
ーもうすぐ、私は飲み込まれてしまうだろうー
ー奴らの、あの闇にー
ー人間よ、君は強いー
ー人間ならば、より純粋な闇に近いはずだー
ー頼む、お願いだ…ー
ー深淵の拡大だけは、防がなければ…!ー
ーああ、シフ!其処にいるのか…?ー
ーみんな、許してくれ…ー
ー私は、何もできなかったッ!ー
深淵に侵食されている彼は言いたい事が纏まらないのか、俺に一方的に話しかけると、完全に沈黙してしまった。
彼にまとわりつく深淵、初めてお目に掛かったが、それの正体は分からない。
だが、その力はアルトリウスが言ったように、人間の中にある闇に近い物を感じ、不思議と嫌な感じはしなかった。
反面、神族の連中には猛毒となり、その身体を蝕む物となっているようだ。
最早嘗ての深淵歩きは居ない、目の前の男は深淵の毒に犯され完全に正気を失っている。
もう彼の目には、動く全ての生物が的に見えるのだろう。
獣のような咆哮と共に深淵を纏いながら俺に飛びかかって来た。
迎撃の為の結晶槍を放ったが、彼の纏う深淵に遮られ着弾する前に四散する。
まさか結晶の力が全く及ばないとは思わなかったが、ある程度は予想していた為、動揺は無い。
ローリングで彼の足元を抜け、背中を混沌の刃で一閃。
胴を泣き別れにした手応えを感じ、刀を納刀した時だった。
両断された胴に深淵が入り込み、傷を再生させて入る事に気が付いた。
傷が塞がらぬ内に俺に叩き込まれるアルトリウスの回転斬り、片腕だと言うのに闘技場の端まで弾き飛ばされる。
無様に地面に這い蹲る羽目になり、何とか立ち上がろうとして気が付いた。
下半身が無い。
見ればアルトリウスの側には切断された下半身が立ったままとなっていた。
ソウルとなりながらも、深淵の影響力に戦慄せずには居られなかった。
強靭無限の三倍速カンストアルトリを想定して下さい、それが主人公の相手にするアルトリです。
尚、次回はDIEジェストになる可能性があります。