少し考えた結果、月光の性能は自重しない事にしました。
エンチャ出来るよ、体力、スペルも一定時間で回復するよ。
デーモン特攻、神聖属性、魔法属性付き。
代わりに、残りのボスも自重しない事にしました。
例、公王は初めから四湧き状態+初めの一体を撃破後、一定時間内に全滅させないと順番に完全復活。
アルトリは始めから深淵纏い、マヌスは常に闇術をブッパ的な?、勿論飛沫、追うもの、黒炎完備。
……………無理ゲー(確信)
後、ヒドラの場所の騎士一式は上級騎士一式に変更させて頂きます。それに伴い、紋章の盾も此処で入手します。
このままだと月光蝶や不死院に行く必要が無いので。
ps、ウーラシール編、始まるよ。
第七十話 アルトリウスの紋章
公爵の書庫での用事は終わった、篝火のあるテラスから太陽に祈りを捧げ、次の目的地に転移する。
城下不死教区の篝火、此処の先に居る灰色の大狼の持つアルトリウスの契約が必要なのだ。
俺が次に戦おうと思っている相手、小ロンドの四人の公王は深淵の中に居る。
その上を歩く為には、深淵歩きと渾名されたアルトリウスの指輪が必要不可欠。
それを持つのが、灰色の大狼。
彼が居る場所は主人であるアルトリウスの墓、聖域として崇められているその場所は、森の狩猟団に護られ、且つアルトリウスの紋章で封印されている。
そこに向かう為に、その紋章を持つアンドレイに譲って貰えるように交渉を始めたのだが、ある条件を提示された。
黒い森の庭、その下の湖にいるヒドラを倒して来い、そうすればこいつは譲ってやる。 それが彼の条件だった。
森へ向かう階段を降りて行くと、楔のデーモンが俺の前に立ちはだかっていた。成る程、この先に向かうための試金石と言うわけか。
月明かりの大剣を引き抜き、結晶魔法の武器を発動する。
この剣は謎が多い、握っているだけで傷が癒され、魔術の使用回数も僅かづつだが回復する。
魔力の塊の刀身であるにも関わらず、エンチャントも施せる。
魔力を固め、鈍器として使う事も出来る。
月明かりの大剣を握り、デーモンに向かって踏み込む。
デーモンが振り下ろした刺股を両断、そのまま腕を刎ね飛ばす。
大剣の刃は硬い鉱石のような身体をするりと通り抜ける。
デーモンは片足を使って器用に飛び退いたのだが、そんな物は読めている。 俺はその着地地点に向かって魔力の光波を飛ばす。
結晶のエンチャントは光波にも影響を及ぼし、放たれた光波は結晶に包まれていた。
着弾した瞬間、轟音と衝撃波が辺りを襲い、楔のデーモンを塵一つ残さず消し飛ばした。
それだけに止まらず、収束した魔力による爆風は周囲の床すら蒸発させた。
その圧倒的な威力に思わず戦慄してしまう。
書庫での試し斬りは、光波やエンチャントを施す事は全くなかった。
この剣、使い所を誤れば自分を斬る事になるだろうな。
月明かりの大剣を背負い直して、先に進む。
湖の周辺には驚いた事に、クリスタルゴーレムがちらほらと配置されていた。恐らく、シースの作品の試作品達だろうな。
奥に見えるのは、7本首の竜。
アレを倒す、か。
威圧感は無い。同じ竜でも、シースや最下層の竜よりも格が違うのだろう。
自惚れでも何でもなく、純粋に勝てると確信していた。
ハルバードを取り出し、邪魔をされないように一体づつゴーレム達を撃破して行く。
遠い場所のゴーレムはスナイパークロスで狙い撃ち、誘き寄せてから破壊する。
周囲の制圧が終わり、改めてヒドラと対峙する。
目の前に現れた人間に対して、7本の首からブレスが放たれる。
そのブレスを纏めて光波で吹き飛ばし、ローガンの杖を使って結晶槍を放ち、首を一本破壊する。
残る6本の首で噛みつきにきたヒドラを回避し、横一列に並んだ首に二発目の結晶槍を撃ち込み、三つの首を破壊する。
堪らず首を引っ込めた残りの首に、光波を放ってトドメを刺す。
呆気ない幕切れ。自分が強くなったのか、はたまたこの剣が強いだけなのか、少し悩んだが考えてもせんなき事。
側に落ちて居た鎧を拾い、ヒドラのウロコと宵闇の指輪を手に入れる。
拾った鎧は今俺が着ている鎧よりも上質なもの。
記憶が定かでは無くなって来たため何とも言えないが、確かこの鎧はあの不死院に居た彼の着ていた鎧と同じ物だったはずだ。
強化されているこの鎧よりも質が良いので、早速着替える。
その際に、鎧と共に落ちていた盾も交換する。
紋章の描かれた盾には特殊な力が宿っていて、魔力を通し辛くなっている。
今までの盾では魔術に対応する事は出来なかった為、早速切り替える。
装備を整え、アンドレイの元に戻ろうかと思った矢先だった。
黄金のクリスタルゴーレムが目に映る。
また誰かが捕まったのかと思い、助けに行く事にする。
別に無視しても構わなかったのだが、それをすると今進行する亡者化が加速しそうな気がしたのだ。
黄金のクリスタルゴーレムは月明かりの大剣により苦戦する事も無く、あっさり両断された。
つくづく、規格外な聖剣だな、俺には勿体無いくらいだよ。
斬ったゴーレムからはドレスを着た女性が現れた。
彼女はウーラシールの宵闇と名乗り、気がついたらあのゴーレムに囚われていたと言う。
彼女はお礼にとウーラシールの魔術書を渡して、深くお辞儀しながら消えていった。
独特な雰囲気の彼女に、最近冷え切っていた心が少しだけ癒された気がして、不思議と笑っていた。
踵を返して、アンドレイの元に向かおうとした瞬間。
背後から巨大な手に握られ、時空の歪みのような物の中に引きずりこまれた。
お ま け 不死の英雄外伝 〜闇の落とし子〜
第11戦 シフ
森の清掃員共を退けながら、漸く大狼の居る場所まで辿り着く。
誘った本人は肩で息をしながらも、何とか付いてきていた。
ーだらしねぇな、この程度でへばりやがってー
ーあな、た……が、異常な、だけー
ー10人も、闇霊相手にして、どうして、息切れ、一つー
ーんなもん、ペース配分に決まってんだろー
ーオメェみてぇにあっちこっち逃げ回ってりゃ息も切れるっつーのー
ー動きは無駄なく最小限に、リズムは乱さないー
ー戦いの基本だー
ビアトリスの息が整うまで装備品の点検をしながら休憩する事、数十分。
漸く落ち着いたこいつは扉を開き、中に足を踏み入れる。
そこかしこに刺さった墓標代わりの剣、その中の一本。
嘗て、アルトリウスの使用した大剣の側に立つ巨大な狼、そいつは俺たちに向かって出て行けと言わんばかりに、殺気の篭った咆哮を向ける。
その殺気に当てられ、へたり込んだビアトリス。手も、足も震えてやがる。
チッ、世話が焼ける女だまったく。
ーそれにしてもデケェ犬だなー
ーワンちゃんコンクールに出てみたらどうだよ?ー
ー優勝間違い無しだろうぜー
この女を庇うように前に立ち、大狼を挑発する。
どうやら人間の言葉が分かるらしく、挑発をかました俺に対して集中的に殺気を向けてくる。
ー落ち着けよワンちゃんー
ーそれとも散歩の時間?ー
ーいいコだな、ほらどうした?ー
手を叩きながら更に挑発を続ける放浪者に対して、遂に怒りが爆発した大狼はビアトリスの事など最早眼中に無かった。
ーショウタイムって奴だー
ー来いよ、遊んでやるー