詳細は後書きで。
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第百十九話 刃の虜
最後の王のソウルを求め、俺は再び病み村に訪れていた。
フラムトにイザリスの所在地を聞くと、病み村にある目覚ましの鐘の下に有る、と答えたのでそれを信用し其処へ向かっている。
フラムトの事は正直信頼出来ないが、信用だけは出来る者だと思って居るため、彼の言葉はある程度は素直に信じる事にしている。
水車で出来た昇降機を下りて目覚ましの鐘を目指していたのだが、途中で誰かに呼び止められた。
ーなぜだ、なんだそれは!ちょっと待ってくれないか!あんたの剣!そんなはずが…それは混沌の刃…?ー
いきなり俺の肩を掴みながら、興奮気味に俺の腰に差している混沌の刃を凝視している男。
彼は俺を揺さぶりながらも俺にその思いの丈をぶつける。
ー俺はそいつを長い間探していた‼︎ー
ー頼むあんた、必ずこの恩に報いると約束する‼︎ー
ーその剣を俺に譲ってくれないだろうか?ー
いきなり何を言い出したかと思えば、無理な要求を彼は俺に向けて言い放った。
ー済まない、君の熱意は痛いほど伝わって来たのだがねー
ーコレは私も愛用しているのだ、軽々に他者に譲る事は出来かねるよー
はっきりと拒絶の意を表すと、彼は見て分かるほど意気消沈してしまった。
ーそうか、よくわかったよー
ーいや、俺はあんたを責めないさ。その刃は確かにあんたのだー
ーだがせめてその刀身を、その刃を一目で良いので見させてはくれないだろうか?ー
ーまったく、君の熱意には参ったー
ー見せるだけで良いなら許可するよー
ー素晴らしい‼︎ ああ、それで構わない‼︎ 大変感謝する‼︎ー
本当に長い間探し回っていたのだろう、そうやって頭を下げた彼の姿に絆され、見せてやる事にした。
腰から鞘ごと抜いて、彼に手渡す。
もしも盗もうとしても、直ぐに動けるようにナイフを手の裏に隠しながら彼の様子を見守る。
彼は興奮気味にその刃を抜き、刀身の波紋に目を奪われているようだ。
ーあぁ、見事だ、これが混沌の刃…渦が見える…素晴らしい…質素で素敵だ…ー
ーおぉ、おぉ…しかし剣の真価は…ふむ…十分な殺しがなければ分からない……ー
譫言のようにブツブツと呟き出した彼の様子に異変を感じ、刃を取り上げようとした時だった。
ーそうだ、名誉なことだろう、そしてそのためにあんたを殺す…ー
そう言って彼は俺に斬りかかってきた。
いきなりだった為、意表を突かれたが何とか白刃取りが成功したので真っ二つにならずに済んだ。
間抜けな事だが、今更になって思い出した。
この刃が、使用者を魅了する美しさと斬れ味を兼ね備えた物だと言う事を。
普段から何気無く使用していたが、第三者の目から見れば相当危険な代物に見えるな。
刀を奪い返す為に彼の脇腹に回し蹴りを叩き込み、その衝撃で奪い取るつもりだったが、尋常ではない握力で握られていたのでそれを断念する。
ー逃げるなよ!ねずみめ!ー
ー俺の刀を味わえ、味わえよ、こいつめ!はは!は、ははは!ー
ー抗うな。見ろよ俺の剣を、これが最期にお前が見るモノだぜ!ー
完全にイかれてしまった彼に向かってナイフを投擲し、同時に背中の月明かりの大剣を引き抜く。
彼は飛来したナイフを斬り捨てながら、一気に俺との距離を詰めてきた。
今の彼には全てが斬れる物としか思えないのだろう、わざわざ避けられる攻撃まで斬り払っている。
会話に参加していなかったから途中まで気がつかなかったが、彼の部下らしき男が俺の背後に忍び寄っている。
恐らくは、初めから俺を殺して混沌の刃を奪う腹づもりだったのだろうな。
暴走している彼に人間の区別は無理だろう。
ならばやる事は一つ。
背後の男を警戒しながら、彼の接近をギリギリまで許して、一気にしゃがむ。
人間の認識が出来ていない彼は、そのまま自分の部下を斬り捨てる。
そうして、その振り下ろされた刃を彼の手首ごと掴み、一気にその胸に突き立てる。
ー赤い…血の色か…はは…は…ー
心臓を貫かれ、鮮血を滴らせながら絶命した彼は、最期の最期まで混沌の刃を手放さなかった。
彼の腕から無理やり剥ぎ取り、改めてその刃を見つめる。
確かに、魂までも魅入られそうな刀身だ。
美しい波紋が血で濡れて背徳的な色気を出している。
気持ちは分からなくも無いが、所詮武器は武器。
それに向ける特別な感情は、愛着だけで十分だ。
不死の英雄外伝 〜闇の落とし子〜
番外編 魔剣入手
棺の中から身体を引き摺り出す墓王ニト、その身体からは吐き気を催すほど濃密な死の瘴気が漂っている。
奴を見ていると昔の自分を責められているような気がしてならねぇ。
俺がまだ人間だった頃、それも餓鬼だった頃は追い剥ぎや強盗をやって何人も殺してる。
生きるか死ぬかの世界だ、後悔も何も無い。
殺した奴の顔や名前なんてのは覚えちゃいねぇ。
アストラの騎士団に居た時だって、決闘だなんだと抜かして喧嘩吹っかけてくる奴は片端からぶち殺した。
元は食い扶持を求めて入った場所だ、殺す事しか知らなかった俺には彼処は肩身が狭かった。
俺には強さしか無かった、それしか知らなかった。
だから、その果てに、殺し続けて得る強さの果てに、俺の産まれた意味が有ると信じていた。
生きる為に殺していた筈が、何時しか殺す為に生きているようになっていた。
まあ、師匠に会ってからは、産まれた意味なんて事を一度も考えた事はねぇが、それまでの俺に対する怨嗟の声が聞こえるようで、良い気はしねぇはな。
墓王が咆哮を上ながら魔力を周りに垂れ流すと、奴の足元からスケルトンがゾロゾロと湧き出し始めた。
その気配から、連中が俺への恨み辛みを持っている事は十二分に理解出来た。
罪を数えろってか?
こりゃあ、数えきれねえな。
小馬鹿にするように死人共を鼻で笑い、背中のツヴァイヘンダーを抜き連中に切っ先を向ける。
ー勝った負けたはイコール生きるか死ぬかだろうがー
ーそれが真理、それが絶対ー
ーてめえらは弱かった、だから俺に負けたんだろうがよー
ー逆恨みも甚だしい、世界は強者と弱者しか居ねぇんだよー
ー正義も悪も関係ねぇー
ー強いか、弱いか、只それだけだー
ああ、そうだとも。
それが俺が創り上げる新世界、実力主義の完全な弱肉強食の世界だ。
最早言葉は要らない、罪を背負うのでは無く踏み潰して先に進むのが俺の流儀だ。
大火球をスケルトンの群れに放り込み、爆風で焼き払う。
連中は灰になったが、次々とスケルトンが湧き始めてやがる。
二発目の大火球を用意していた時に、墓王の持った大剣が蛇腹剣のようになって俺に襲い掛かってきた。
急遽大火球の目標を奴の大剣に切り替え、強引に迎撃する。
鞭のように扱いが難しい蛇腹剣だ、少し振動を加えてやるだけで無効化出来るはず。
しかし、その予想は外れる。
投げ付けた大火球を受けながらも、奴の刃は真っ直ぐに俺の肩を抉りながら突っ切って行った。
それと同時に身体を巡る激痛、猛毒の症状が俺を襲い出す。
苔を食って解毒しようにも、スケルトンの群れとニトの蛇腹剣の脅威がある。
打開策を探ろうとした瞬間に本能的に悪寒が走り、直感で身を低くする。
俺の首があった位置を、切っ先部分が鎌状に変形した蛇腹剣が引き戻って行く。
その光景を見て、産まれて初めて、本当の意味で”死の恐怖”って奴を実感した。
やっぱり、俺の持論は間違っちゃ居なかった見てえだな。
敗北とは死、勝つことが生き残る為の唯一の道。
猛毒など気にするものか、それより早く奴を殺せば良い。
目の前の骸骨共を纏めてツヴァイヘンダーで薙ぎ倒した後、そのままそれを捨て、ゴーレムアクスでニトの手首を粉砕する。
奴が取りこぼした大剣を掴み、そのまま両足を粉砕する。
身体を治すために骸を集めだした所に炎の嵐を放つ。
猛毒の所為で、一瞬でも気を抜けば意識が持って行かれそうな為に、攻撃の手を緩めるわけには行かねぇ。
全身を火達磨にした墓王に向かって、ソウルから竜王の大剣を取り出して衝撃波を放ち、奴を粉砕する。
破片となった奴は炎によって灰となる。
直ぐさま猛毒を解毒し、来るであろう”ソレ”に備える。
三つ目の王のソウル、それによって反応した二つによって内側から全てを焼き尽くされるような感覚に襲われる。
膝をつきながらも、のたうち回りたいのを堪えながら、ニト持っていた剣を回収して篝火に触れて、病み村まで転送する。
師匠の何処に行く前に、何とか収まってくれよ……。