魔法科高校の劣等生 欠陥品の魔法師   作:ユウジン

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ようこそ風紀委員会へ

「はっはっはっは!」

 

摩利は生徒会室と風紀委員会室を結ぶ階段(何故か部屋の中でも繋がっているのだ)で突然笑いだす。

 

「いやはや服部のあのポカーンとした顔は今でも笑えるな」

 

そう、大翔の放ったオリジナル魔法・電磁石銃(レールガン)は無事度肝を抜くことに成功したようで服部は唖然としていた。

 

「しかし面白い魔法だ。不吉を届けられそうだ」

「なんすかそれ……」

 

摩利の言葉に大翔は首をかしげた。

 

「だが君達は本当に二科生か?」

『処理能力が低いんです』

 

大翔と達也の声がハモった。

基本的に学校の入学試験は【魔法を発動する速度】【魔法式の規模】【対象物の情報を書き換える速度】の3つで決まる。

大翔は速度に特化させてある特化型CADで速度を誤魔化してはいるが元来の速度は蛞蝓もかくやみたいな速度だし魔法式の規模がもっと大きければ一々金属を別途に用意せずとも魔法で産み出した磁場で金属を吸い寄せられたはずだ。唯一書き換える速度位が並みと言うのが大翔の実力……しかも魔法を成功させるにはとある制約の上でしか出来ない。そんなでは二科生とは言え良く受かったものだ。

 

「さて……」

 

摩利は階段を降りきったところにあるドアの前にたつ。

 

「ここが風紀委員会室だ」

 

そう言って大翔と達也を見る。

 

「ようこそ。風紀委員へ」

 

そう言って開けられた……

 

『………………』

 

そこは物の散乱した部屋が広がっていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…………………』

 

大翔と達也がものすごい速度で片付ける。

特に大翔はすごい。部屋に散乱していたCADをとても大切そうに片付けていくのだ。さらに軽くメンテナンスもしている。

流石に一から作るのは機材的にもお金的にも何より技術的な問題で無理だが簡単な修理とメンテナンス位ならお茶の子さいさい(死語)である。

達也も凄まじい速さでキーボードを打ち書類を分類毎に分け片付けていく……摩利はそれを見ていた。

 

「す、凄いな」

「凄いって言うかなんですかこのCADの雑な置き方!」

「う……」

 

前回とは打って変わって今度は大翔が摩利を説教だ。

 

「しかもこのシリーズはすげえレアでしかもちゃんと弄れば充電の持ちが悪い以外最新型と変わらないのに……もったいない!」

「す、すまない」

 

かなりマジギレしている大翔に摩利は圧倒される。

 

「中条先輩なら詳しそうですが?」

「あいつは怖がって降りてこないからな……」

 

達也は成程と頷く。

 

「って渡辺先輩!まだ話は終わってませんよ!」

「も、もう分かったから!」

「いいえ勘弁しません!今日はしっかりお話ししましょう!」

 

摩利はせめてCADだけでも綺麗に片付けておけばよかったと後悔すると共に散らかしの主犯格である他の風紀委員達を逆恨みした……

 

 

 

 

 

「姐さんいまかえり【スパーン】いってぇ!」

「うわぁ……機嫌悪ですねぇ……ってなんじゃこりゃあ!」

 

二人帰ってきた。腕章を見るに風紀委員だろう。一人はゴツゴツした外見のハチマキが似合いそうな男でもう一人は比較的普通の外見だが鍛えてるのが分かる。

 

「お、新入りですね?出来るんですか?」

「こっちの達也君は服部を倒したんだぞ。大翔くんも中々面白い術を持っている。まあ対人には禁止だがな」

 

そりゃ殺傷度Aに相当してるオリジナル魔法など人に向けてホイホイ放てるものじゃない。しかも金属を音速で飛ばす都合上手加減という原理が存在しない。

 

「へぇ~こいつは頼もしいや」

 

そう言って威勢の良い方が達也に手を出す。

 

「沢木 碧だ……下の名前では呼ばないでくれたまえよ」

「……ええ」

 

達也は握手に応じながらも手を外す。

 

「?」

 

少し外し方が普通のと違い捻るようにだったので大翔は首をかしげた。

 

「宜しくな」

 

今度は大翔に手を出す。別だん潔癖性でもないので応じると……

 

「っ!」

 

物凄い握力で握られる。

 

「……」

 

握り返す……

ミキ……っと沢木の手が軋む……

 

「いでで!降参降参!」

 

遂に参ったと沢木が声を出したので手を離すと後ろの男が笑った。

 

「すげえな二人とも。おっと、俺は辰巳 鋼太郎だ。こいつの握力は素でも百キロあるんだぜ?」

「魔法師の握力じゃないですね」

「大翔、お前はその人の手を握りつぶそうとしてたのか?」

 

大翔の言葉に達也はさらりと突っ込んだが大翔は聞こえない振りをした……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取り合えず片付けを終えて今日は帰るかとしたところに大翔の端末が鳴る。

 

「…………………」

「なんだ今世紀初頭に流行った不幸の手紙を受け取った時みたいな顔をして……」

 

それは相当嫌そうな顔をしたんだろうな……と大翔は達也の言葉を反芻し、端末を仕舞いながら思う。

これは呼び出し……避けて通ろうとした人物から呼ばれたのだ。

と言うかその人物にプライベートナンバーを教えた記憶はこれっぽちも無いのだが……無視するべきか……いや、無理だな。既に魔法で補足している筈だ。

 

「わるい、用事できたから……」

「そうか、ではな」

 

そう言って摩利と達也と別れると正規のルートで階段を上がり隠し階段を使わず生徒会室へ接近して入る……

中には真由美一人だ。他の皆は居ない。

チッと舌打ちしそうになるが我慢我慢。この人の機嫌損ねると何れだけけ面倒臭いかは身に染みている。

 

『……………』

 

呼び出しの本人であるあの人……と言うか七草 真由美はこちらを見ない。

 

「なにかご用でしょうか生徒会長殿」

「…………」

「何ですか七草先輩」

「…………」

「何でしょう真由美さん」

「…………」

 

完全無視……いや、どう呼べば反応するかは分かっている……分かるのだが外でそう呼んだのは遥か昔だ……

 

「なぁ……無視すんなよ……」

 

大翔は断腸の思いで声を出した。清水の舞台から飛び降りるとはこの事かと言う思いだ。

 

「その……………ああもう!こういえば良いんだろ!?姉さん!!!!!!!!」

「~~~♪」

 

ニヤァ~♪っと草繋 大翔の実姉……七草 真由美はそれはもう意地悪そうな笑みを浮かべながら……

 

「なぁに?大翔(弟君)

 

そう言ったのだ……




今回は今までと比べたら短めでしたね。次はもうちょっと長くなる予定です。

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