魔法科高校の劣等生 欠陥品の魔法師   作:ユウジン

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懇親会

さて、いろんなハプニングがあったものの何とか全員無事で九校戦会場に到着し、現在大翔達は荷物を下ろしていた。

 

だがしかし……

 

「何故お前がここにいるんだ?エリカ」

 

そう、何故か会場に隣接しているホテルに着くと友人の一人のエリカに会ったのだ。いや、九校戦そのものは一般人でもテレビ等で見れるし席さえ確保できれば生でも見れる……だが開催すらしていないので見るものもない。

 

それは偶然隣にいた達也、深雪も同じ感想だったらしい。だがエリカはカラカラ笑うと、

 

「今日懇親会でしょ?応援ついでにコネでここに泊まらせてもらえるようになってるの」

 

成程そういうことか……そもそも会場に隣接しているここはホテルである。軍人などがこの近くの演習場を使う際にも使われ一般人はとなれないのだがそこは天下の千葉家の御令嬢さまだ。

 

「コネは使ってナンボだからね。ま、千葉家の令嬢って色眼鏡で見られるのは嫌だけどさ」

 

と、明るく笑った。確かに使わないとコネは勿体無いかもしれない。まぁ、七草のコネなど使えるはずもないが……

 

「しかしなぁ……」

 

大翔はそれとなく視線を剃らした。何せエリカの格好が問題だ。エリカの格好は露出が多い所謂夏らしい格好であり昨今は露出が少ないことが美徳とされているなかではかなり浮いた格好である。似合ってない訳じゃない。エリカは目鼻立ちがしっかりとした美人である。美人度合いでは深雪とは別方向ではあるが次ぐだろう。それゆえに眼のやり場に困る。全く動じない達也のその精神はすごいと思う。いやマジで……そんな菩薩か仏かなんかの精神は大翔は全く持ち合わせていないので必死に鼻から温かい真っ赤な液体……まぁようは鼻血であるのだがそれがでないように目を逸らして耐えるしかない。

 

「大翔くんくらいの反応があれば面白いんだけどねぇ」

「ほっとけ」

 

エリカのからかいに大翔は軽く睨む程度で終わらせる。長時間の直視は危険であるからだ……すると、

 

「あ、達也さん達も丁度来たんですね」

「……美月も……派手ね」

「え?そうですかね……やっぱり……」

 

と、やって来たのは美月……深雪が派手と称したのは仕方ないだろう。何せ美月もエリカ同様露出が多い服装だ。だがエリカと決定的に違うのはその大きな胸が殊更強調されてると言うことだ。

 

エリカどちらかというとスレンダー美人で(別に胸が小さいと言うわけでは断じてないが……)美月は全体的にふっくらとした美人と言うよりは可愛いと称されるタイプの女の子だ。

 

「んじゃ、私たちいくね」

「またあとで」

 

そう言ってエリカと美月は奥にいく……すると遠くの方で、

 

「おいこらエリカ!自分の荷物くらい自分で持ちやがれ!」

「柴田さん、荷物持ってきたよ」

 

そう言って奥に行くレオと幹比古が見えた気がしたが……まぁ気にしないでおこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうですかお兄様」

「ああ、大丈夫だ」

 

達也は深雪の問いに答えた……荷物を片付けた後、本当は移動の疲れでも休憩して取りたいところだがそんな時間はない。

 

残念ながら今日は九校戦に参加する選手やエンジニアが参加する懇親会が予定されているのだ……そのため達也と大翔はエンジニア用のブルゾンから用意された今回限りの一科生の制服に袖を通す。

 

「大翔くんはどうですか?」

「少し脇がキツいですけど問題ないですよ」

 

と、大翔もあずさから渡された一科生のブレザーを着て軽く腕を回してから答える。

 

「しかしこの制服着るとは思いませんでしたよ……なぁ?達也」

「同感だな。まぁもう着ることはないだろうがな」

「分からんぞ」

 

と、渡辺先輩と姉の真由美が入ってきた。

 

「来年には一科生かもしれんしな」

「あり得ませんよ」

 

と、達也が答える。

 

「すいませんお兄様……時間があれば手直しをしたのですが……」

「大丈夫だよ深雪……」

 

優しく達也は深雪の髪を鋤くと深雪は嬉しそうに笑う……君たち兄妹だよね?姉の真由美はそれを見て肩を竦めた。

 

「はいはい、雰囲気作らないの」

「雰囲気を作っては……って深雪、何故お前が照れる……」

 

ついでにいうとあずさも顔が真っ赤だ。大翔も照れ臭い感覚はあるがもう慣れだ。逐一気にしてたらこの兄妹に付き合ってられんことを忘れていた。

 

「会長、時間です」

「ありがとうはんぞーくん」

「あ……いや……」

 

はんぞー先輩からの声に真由美は維持悪く返事しつつ皆を見る。

 

「さ、ライバルの顔でも拝みにいきましょうか」

 

皆は少し苦笑いを交えつつ懇親会の会場に乗り込んだのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいどうぞ」

「ありがとうございます」

 

懇親会会場に乗り込んだとはいえ別に喧嘩しに来た訳じゃない。形式は飲み物でも飲みながら他校との交流が目的だ。

 

だがしかしお世辞にもあずさは社交的な性格はしていないので他の面子がそれぞれの相手と一緒に分散した結果大翔と一緒にいることになった。そのため大翔はウェイトレスから飲み物を二つもらいあずさに渡したのだ。

 

因みに達也は深雪と……真由美は渡辺先輩と……他の面子も似たようなものだ。とは言え懇親会が始まり時が経てばそれすら自然とバラけていくのだがこの二人はボーッと懇親会の光景を見ながら世間話をしていた。

 

「あ、このジュース美味しいですね」

「そうですね」

 

何て色気のイの字もない話ばかりだ……だが実際は大翔に声をかけたい女子や小動物を彷彿とさせるあずさに近づきたい男子もいたのだが(周りから見れば)独特の二人だけの空間を作っていたため誰もが二の足を踏む結果になっていた。

 

もしかしたら二人も今互いが離れると大変なことになると言うのを大翔は無意識に経験から……あずさは動物的危機回避能力から察知したのかもしれない……そのためか話し合ったわけでもないのに一緒にいた。

 

少なくとも出会ってからまだ数日と言うわけでもないのでそれなりに気心が知れ合えてる間柄だ。

 

まぁ大翔も話が合い、からかうと面白い先輩として気を使う必要もなく気苦労しない相手なのでこう言うパーティ会場じみたもの事態疲れる性分上話す相手くらい楽な方がいい。

 

あずさだって似たようなものだ。いや、あずさの場合少し気になる異性の後輩……と彼女当人すらまだ自覚してない感情が若干混じってるためお互い全く同じと言うわけではないのだが……

 

「ん?」

「どうしたんですか?」

 

大翔が目を少し見開いて視線を動かしたためあずさがその視線の先を追う。その先にいたのは深紅の魔法科高校の制服をきた同じく赤い髪の男……

 

「あれ一条 将輝ですよ」

「あ、クリムゾン・プリンの二つ名を持つ?」

「ええ……爆裂の一条の御曹司……」

 

当たり前だがでかくなった。昔会ったことがあるが随分イケメンに育ったものだねぇ。だがそいつは何か一点だけを見つめている……何見てるんだ?

 

「あぁ~……」

「?」

 

大翔が納得したような声を漏らすとあずさが首をかしげる。

 

「一条 将輝の視線の先に深雪がいたんです。大方見とれてたんでしょう」

 

本当は見とれてるどころか半ば一目惚れだったのだがそれを遠目から見る大翔が判別できるわけない。

 

「まぁ、深雪は美人ですからね。スタイル良くて少し……いやかなり重度のブラコンなのが玉に傷ですけどそれを差し引いたって超が着くほどの美人なのは疑いようもないですしね……ってあーちゃん先輩……何か機嫌悪くないですか?」

「そんなことないですよ」

 

いや……何か面白くないような表情だったのは大翔でもわかる。と言うか頬が膨らんでるのですぐにわかる。何か変なこと言ったっけ?

 

「大翔くんは司馬さんのような方が好みなんですか?」

 

と、いきなりのあずさの問いに大翔は口に含んだジュースを吹きそうになった。

 

「ち、違いますよ。あくまで客観的に見た場合ですって……俺は深雪相手じゃ気が休まりませんしそういう関係になるのは無いですね」

 

美人過ぎるがゆえに深雪相手だと大翔は気楽にはいられない。そういう意味ではあずさの方が大翔の性格的には合っているが大翔自身あずさを先輩としては見ても異性と言う感情がまだまだのためそういう感覚があまりない。

 

とは言え実際は時々あずさが無意識にやっていることにドキッとさせられたりしているのだがこちらも当人の自覚がないままであるため結果は変わらないが逆に言えばちょっとしたことで意識は変わりやすいと言うことでもある。まぁ、それは神のみぞ知ると言うやつだろう。

 

「ん?」

 

何てやってるとステージに誰かが上がった……聞いていれば所謂この九校戦の関係者の紹介と言う奴だった。そういう面倒と言うか眠くなるようなやつも当たり前だがあるらしい。

 

「そう言えば今年もいるんですかね」

「誰がですか?」

「トリック・スター……九島 烈ですよ」

 

世界最巧と称される魔法師……九島 烈。遺伝子上の父である七草 弘一の魔法の師をしていたこともある齢90になるとは思えないほどの魔法師。同時に十師族の九島家の先代当主……今では息子に当主の座を明け渡しこの九校戦の場で以外は殆ど公の場の姿を見せないと言う話だ。

 

「確か去年もいましたし……今年もいらっしゃるんじゃないでしょうか?」

「そうですね……ん?」

 

そんな話をしてたら九島 烈の名前が呼ばれた。やはり来てたらしい。何て思ってみてると何故か女性が壇上に上がった……突然の登場に会場はどよめく。だがその美貌に眼を会場の皆は奪われた……だが、

 

「成程……イタズラ好きな爺さんですね」

「へ?」

 

大翔の呟きにあずさが首をかしげると同時に壇上にいた美女は降りる……

 

『なっ!』

 

そこにいたのは何を隠そう九島 烈だった。別にたいしたトリックじゃない。目立つ美女を前に立たせ視線がそちらに誘導されるように魔法を使ったのだ。強い魔法じゃないが……それゆえに警戒しにくい。

 

「悪ふざけに付き合わせたことを謝罪する。だが今のは魔法と言うにはあまりにも粗末なものであり手品のようなものだ。見たところ……今のに気づいたのは六人だけだった。つまり私がテロリストだったらそれを防げたのは六人だったと言うことだ」

 

九島 烈の言葉にその場は静まる。それだけ重い言葉であった。

 

「覚えておいてほしい。弱い魔法も使い方ではこのような使い道がある。どんな魔法もようは使い方なのだよ。そして九校戦とは魔法の使い方を工夫し、見せる場なのだ。諸君の工夫……楽しみにさせてもらう」

 

大翔はその言葉を聞いて苦笑いする……今の魔法社会はランク主義だ。だがそれを魔法協会の頂点にたちながらも否定している……

 

変わってると言うか……警戒するに越したことはないだろうな……ま、向こうは此方を知らんだろうけど……

 

「喰えない(ジジイ)ですねぇ……」

「は、大翔くん!そんなこと言っちゃダメですよ!」

 

と、あずさが慌てて小声で注意されながら口を塞がれたのはまぁ……余談だろう……




いやぁ、また新刊出ましたね。残念ながらまだ読んでいませんが……

それにしても改めて少し読み直して思ったのですがそもそも横浜騒乱以降までやってる魔法科高校の劣等生の二次創作は私は一つしか知りません。オリ主になると私は見たことないです。

イや、あるけど?と言う方が居たらごめんなさい。まぁそれで思ったのですがそもそもオリ主で書くとすると横浜辺りまでがオリ主を入れやすいのかな?とか個人的に思ってます。私が読んでた作品も横浜いって、最後にオリジナル最終章やって終わりましたし現在読んでるオリ主物も横浜で終わると書いてありましたし……

私の個人的な価値観ですが横浜以降は達也の活躍が更に多くなりオリ主を目立たせにくくはなるのかなぁ……とか思ったり……

あ、でも一応横浜以降も書いてく予定なんでそこは安心してください。

かんばって大翔を出しますよ……16巻以降は未だに頭を悩ませてますが……マジどうすんべ……

さて話は変わりますが総合評価350越えました。お気に入りも300越えてます。登録や評価してくださりありがといございました。ではまた次回~

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