魔法科高校の劣等生 欠陥品の魔法師   作:ユウジン

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入学二日目

(腹へったな……)

大翔は道を歩きながら何か良い店は無いか探す。

入学式はすっぽかしてしまったため間違いなくアノ人は怒り心頭でブチているのは間違いなく下手に学校に残れば魔法で折檻されるか海に沈められるかはたまた山に埋められるかしそうなので自由参加のホームルームもフケて学校を飛び出してきた。カードは無事貰い登録し教室はE組である。

 

「この先に店はあるよ」

 

そう言って数名のグループが近くを通過していった。

男一人に女子三人の計四人のグループはなかなか目立つ。女子は三人とも並外れた美女で男子も愛想はなさそうだがハンサムだ。それにしても男の傍らに立っている黒髪の長い髪の触れようものなら氷付けにされそうな美女は男の彼氏だろうか?多分そうだろう。くっついてるし目が好き好き光線だ。

 

(たしか昔こういう言葉が流行ったらしいな)

 

大翔は既に遠くなった一団を見ると呟いた。

 

「リア充爆発しろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、そんな事があった次の日……ある程度余裕を持って来れたため良かった良かったとドアを開けた。

 

「うぉ」

「あ、わりい」

 

すると人とぶつかった。

 

「大丈夫か?」

 

ぶつかってきた男は大翔に心配そうに話しかける。

 

「いや、大丈夫だ。俺も不注意だったしな」

「いや、それでも俺も悪かったよ。俺は西城 レオンハルト。レオって呼んでくれ。父親がハーフ、母親がクォーターだか顔は日本人だけど名前はごっちゃだ。得意魔法は収束系の硬貨魔法」

「草繋 大翔だ。両親ともに日本人で兄弟は……いない。得意魔法は放出系だ」

 

大翔が握手をしようと手を差し出すとレオも応じた。

 

「辞めといた方が良いわよ~あんたまで脳みそ筋肉になっちゃうから」

「あんだと!?」

 

突然かけられた声に大翔は驚きつつ声の主を見る。

赤い短い髪の美少女とそれを止めようとするボブカットの黒髪の胸のでかい少女……あ、胸に眼が行って眼鏡があるのを見てなかった。

 

「二人とも少しは仲良くできないのか?」

『無理!』

 

いや、仲は良いだろ。

 

「どうにも仲がよすぎるみたいだ。すまないな」

「お前が謝ることじゃないし気にしてない。仲が良いのは同感だけどな」

 

机の上の機械から此方に顔を向けてきた。見てみれば昨日のリア充男ではないか。

 

「俺は司波(しば) 達也だ(たつや)だ。達也で良い。将来は魔工師を希望している」

「草繋 大翔。大翔で良いぞ。でもお前将来は魔工師なのか?俺と同じだな」

「あ、あの」

 

そこに眼鏡をかけた黒髪の少女が声をかけてきた。

 

柴田(しばた) 美月(みづき)です」

「ああ、よろしく」

 

しかし今時眼鏡とは珍しい……度は入ってないし……恐らく霊子放射光過敏症なのだろう。

 

「私は千葉 エリカ。エリカで良いよ。大翔君」

 

レオとの喧嘩もそこそこに挨拶にきた。

 

「分かった。エリカ」

 

女子の名前を呼ぶのは何とも言えない照れ臭さがあるなぁとぼんやり思った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、時間を飛ばして放課後……何故か現在とんでもない状況にある。

 

まず今日は自分の選択科目を決めて序でにこの学校の生徒会長の授業を見学できると言うのを大翔だけは丁重に断り昼食の席を確保しておき皆で昼食を食べて達也の彼女だと思っていたのは実は妹だったと言う衝撃の事実を知ったあとに他のブルーム達と少し険悪な雰囲気になった放課後……

うん、改めて 整理すると入学二日目にして色々突っ込み処満載だ。

 

「深雪さんはお兄さんと帰りたがっているんです!二人の仲を裂く権利がどこにあるんですか!?」

 

美月のこの一言が現在の状況の一端を担っている。

今の状況……ブルームとウィードのにらみ合い……なら格好が付こうと言うものだが所がどっこいそんな綺麗なものではなく実際は達也の妹(双子ではなく四月生まれと三月生まれの年子だ)であり昨日は彼女かと思っていた司波 深雪と一緒にいたいA組の面々(ブルーム)と深雪自身は達也と帰りたいためそれを応援する大翔たち(ウィード)(特に美月がちょっと違う意味で強く応援してる)と言う今世紀初頭の昼ドラと呼ばれたテレビの状態だ。

いや、ただ単にA組の奴等が深雪と一緒にいたいと駄々を捏ねてるだけなのだ。別着いてくれば良いだけなのだが「同じ一科生として~」みたいに言い訳していて段々「一科生と二科生とでケジメはつけるべき~」等と言い出し(別に一科生と二科生で仲良くしてしてならない等と言うルールはない。ましてや兄妹だ)美月がブチキレてしまった。いやはや柔かい雰囲気騙されちゃダメだね。この子言うときは結構はっきり言う。

 

「いや、引き裂くとかではない」

 

A組の連中も引き下がらない。

 

「そうだ、俺たちは司波さんに聞きたいことがある」

「だったらそんなの自活(自治活動の略)に聞けよ」

「そうそう。こんな野獣でも分かってる礼儀でしょ?」

「ああ!?」

 

喧嘩してるレオとエリカは置いといてと……

 

「ま、そう言うことだ。今日は大人しく退いとけ」

 

大翔がシッシと手を振る。何故ならこっちから見てると分かるが深雪の顔が必死に何かを我慢してる顔だからだ。これ以上は触るな危険……ここは一つ大好きな御兄様に何とかしてもらおう。ここでブチキレられて被害を被るのは御免である。

 

「調子に乗るなよウィードの分際で!」

 

だが先頭にいた……林?だか言う奴の言葉には少しムッときた。

だが大翔以上にキレたのが一人……

 

「まだ入学したばかりなのに一科生と二科生でどれだけ差があるんですか!」

「あちゃ~」

 

言っちまったかと大翔は美月の言葉には頭を抱えた。

 

「ふん……ならば見せてやる!」

 

そう言って木崎?(林だっけ?)は拳銃型のCADを抜くと魔法の起動式を起動……

 

「おらぁ!」

 

だが起動が完了するよりも早くレオが突進……そして、

 

「あぶね!」

 

エリカの一閃を避けた。序でにエリカの一閃は木田?(名前が分からん)のCADを弾き飛ばした。

 

「ばっかねぇあんた。起動中のCAD触る馬鹿が何処にいるのよ」

 

ちなみに余談だがこれは本当に危険な行為なので良い子は真似するの禁止である。

 

「くそ!」

 

すると木元?の後ろの男がまたCADを起動……さすがにエリカでも間に合わない。ならば……

 

「っ!」

 

突然男の起動式が砕け散った……

 

「わりぃけどそれは辞めとけって」

 

アルフレッド・パンサーのブラック……通称・クロヒョウと呼ばれるCADを抜いてサイオンを弾丸のように飛ばした大翔はニッと不適な笑みを浮かべる。

サイオン弾丸にして飛ばすのは別段珍しい技ではない。基本的な技術だ。だがこれは相手の起動式にぶつけるとそれを止めると言うか魔法の発動を消すことができる。無論発動仕切ったら意味はないがその前であればこれで充分。だが基礎的な技術であるからこそ大翔の技術をよく示していた。

このサイオン弾は力を込めすぎると人体にも影響を与えるからだ。物理的にではなく精神的にではあるが……

 

「違う……違う……」

「え?」

 

だが大翔たちは油断していた。もう一人完全に視界から外していたがいた、起動式を発動させた女……

 

「っ!」

 

慌てて大翔は銃口を動かす。ダメだ間に合わない……だがそれは別方向からのサイオン弾で砕けた……大翔のものより数段上の正確さと速さを誇る……

 

七草(さえぐさ)会長……」

 

誰かが呟いた。

大翔はCADを仕舞いながら遠くを見て視線をそらした。

 

「なんですかこの騒ぎは!魔法の不正使用は学校だけではなく法律で禁止されています!」

 

体から漏れ出てるサイオンにその場の全員が圧倒された。

七草会長と呼ばれた少女はその小さな体(比喩でも何でもなく本当に小さいのだ)には似つかわしくないサイオンの鼓動を感じさせながら大翔を見て……大翔は一層顔を逸らした。

すると隣に背の高い可愛いと言うよりは綺麗……または格好いいと言った雰囲気の女性が出た……

 

「風紀委員長の渡辺(わたべ) 摩利(まり)だ!お前たちはA組とE組だな?事情を聴くから全員着いてこい!」

 

渡辺 摩利と名乗った女性も準備万端と言った感じで起動式の展開を終えている……何かエリカの機嫌が悪くなったような……だが、

 

「御兄様?」

 

達也が前に出た。

 

「何だ?」

「……申し訳ありませんでした。森崎家のクイックドロウと言ったら有名ですので後学のために見せていただいてましたが余りにも真に迫っていたので咄嗟にやってしまいました」

『……………』

 

全員がポカーンとした。

 

「だがそこのA組の女が起動式を展開しようとしたが?」

「それだって咄嗟にやってしまったのでしょう。流石A組です。それにあの魔法は目眩ましです。起動式を読んだ限り対した効果はありませんし大丈夫です」

『…………』

 

またポカーンとしてしまった。普通起動式を読むのは無理……いや、絶対不可能と言っても過言じゃない。なのにやるとは……

 

(お前何もんだよ……達也)

「読めるか……?お前は」

「分析は得意です」

 

そういう問題ではないんだが……

 

「ふむ……口は上手いようだな」

 

すると深雪も出た。

 

「私からも申し上げます。すみませんでした」

 

深々と頭を下げる。

 

「……良いでしょう。今回は見逃します。でも次はないわよ」

 

生徒会長がそう言う。

 

「ふむ……真由美が言うなら良いだろう。次はないぞ。後……名前はなんだ?」

「?……司波 達也です」

「そうか、おい!そこの……ロン毛!」

 

ロン毛ってたくさんいるぞ?

 

「ああならこれならどうだ!男の癖にロン毛!」

 

それなら自分かと思い至り大翔は摩利をみた。

 

「俺ですよね?」

「ああ、名前は?」

「……草繋 大翔です」

「そうか。了解した」

 

何が了解したのだ?そう聞きたかったが聞く前に行ってしまった……

すると惜しくも林でも木崎でも木元でもなかった(惜しくない)森崎は此方に来た。

 

「借りとは思わんからな」

 

森崎を筆頭にA組の奴等は憎々しげにこちらを見てる。

 

「借りだとは俺も思っていない」

 

まあ達也も気にしてないと言うか興味がないようだ。

すると森崎は背を向ける。

 

「お前の想像通り俺はお森崎に連なる者だ。今日は退くが深雪さんは絶対俺たちと一緒にいる方が良いんだ」

 

そう森崎が言うとA組奴等はどこかに行ってしまう。

 

「騒がしいと言うか何ともはやって感じだな」

「皆様すいません……私のクラスの人が……」

「何言ってんの深雪。あんたのせいじゃないでしょ?」

「そうだな。別にあんたに非はない」

 

エリカと大翔は続けてフォローした。

 

「ありがとう。エリカ、大翔さん」

「良いって良いって」

「あ、ああ……」

 

エリカは平然としてるが深雪のような並外れた(と言うか桁外れ?)の美人に微笑まれながら例を言われるなど照れ臭い。

 

「あはは!大翔照れてる~」

「うっせ!」

 

エリカに笑われ大翔は怒鳴った。

 

「よーし!改めて皆でケーキ食べに行こうか」

「あ、あの!」

 

エリカが音頭を取って行こうとしたところに声を掛けられた。

 

「お前らは……」

 

大翔は驚く。目の前には先程のA組にいた二人女子……

 

「何?まだ文句あんの?」

 

エリカがイラっとした声を出した。

だが次に放たれた言葉にその苛立ち霧散する。

 

「ありがとうございました!」

『……え?』

 

髪を二つに縛った少女が深々と頭を下げ大翔たちは唖然とした。

 

「私からもお礼……ありがとう」

 

その隣にいた無表情の静かそうな少女も頭を下げ益々大翔たちは唖然とした。

 

「いや、実際はあそこで生徒会に事情聴取されるのがめんどくさかったんだ」

 

達也が言うが髪を二つに師ばった少女は首を横に振る。

 

「いいえ。森崎くんはああいう風に言いましたがお陰で特に厳しい罰を受けることがなく済みました」

「ほのかの言う通り……」

 

髪を二つに縛った少女はほのかと言うのか……等と大翔は考えた。

 

「あ、失礼しました。私は光井(みつい) ほのかと言います」

北山(きたやま) (しずく)……」

 

そう言われ大翔たちも自分の名前を名乗る。

 

「それで……」

 

ほのかは自分に気合いを込めるような顔をすると……

 

「私達も一緒に帰って良いですか?お兄さん」

「私も良い?お兄さん」

 

別に構わないと全員うなずく……が、

 

「同い年なんだからお兄さん呼ぶのは辞めてくれ……」

 

達也が至極真っ当な突っ込みをいれた……




そう言えばタグにヒロインは誰だが書いてなかったと思い至り急遽増やしました。
まあヒロインはあーちゃんです。一話を見て分かったかたも居たと思いますが小動物がヒロインです。
需要は無いかもですが暖かい目でお願いします。

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