魔法科高校の劣等生 欠陥品の魔法師   作:ユウジン

16 / 24
その後

「というのが今回の結末ね」

「ふぅん」

 

大翔はモシャモシャとこれで十個目のあんパンを食べる。

 

あの戦いから一週間が経過した……戦い後意識失った大翔は真由美から生徒会室にて二人だけで話を聞いているのだが……

 

「ふぅんて貴方ねぇ……折角気を失っていたあなたのために事情を話してるのよ?」

「あはは……」

 

シロヒョウを使った反動で意識を失った大翔は事件が終わるまでの約一時間完全に記憶がない。

因みにどうやって起きたのかと言うと終わったあと探しに来たエリカが警棒型のCADを使って文字通り叩き起こしてきた。

 

「なのに貴方はお姉ちゃんの話よりあんパンかじる方が忙しいみたいだし」

「姉さんも知ってるだろ?俺はシロヒョウ使ったあとは甘いもんが欲しくなりっぱなしになるんだよ」

 

そう……脳を激しく疲労させるシロヒョウは使った直後は意識保てなくなるしその後は妙に甘いものが食べたくなる。使った時間にも寄るが今回はその期間が長い。普段は別に甘いものは食べないと言うか特別好きなわけではないのだが……いや、寧ろあまり甘いのは好きじゃない。しょっぱい方がいい。

 

「シロヒョウ……使ったのよね……」

「……ああ」

 

真由美の目が俯く。

 

「ごめんね大翔……もしかしたらあなたがそれを使う可能性がなかった訳じゃない。なのに行かせて……結果使わせたわ」

「別に良いよ」

「良くないわ!あれは貴方の魔法師としての命を一緒に削るのよ?」

「…………」

 

真由美が声を荒上げる。生徒会長として戦力に足る大翔を行かせないと言う選択は無かった。だが姉と言う立場で考えれば真由美は冷たい選択をしたと思われる選択だ。だが大翔はそう思っていないのは本心だ。

 

「俺は良いんだよ。多少あとで辛くなるだけだしね。姉ちゃんに何もなければ良いんだよ俺は」

「大翔……」

 

やっぱ俺ってシスコンなのかなぁと内心苦笑いしつつも大翔は言う。

 

「ま、シロヒョウを使うって決めたのは俺の意思だからな……気にすんなよ」

 

すると真由美は立ち上がると座ったままの大翔の頭を抱き締めた。

 

「ありがとう……」

 

その小柄な体からは考えられないグラマーな胸が大翔は結果的に顔を埋める。

 

姉弟でなかったら意識してしまうかもしれないがどちらかと言うと覚えるのは安心感……暖かで落ち着く……

 

「どういたしまして……」

 

そう大翔が言うと真由美は離れる。

 

「でもそろそろお姉ちゃん離れした方がいいわよ?こう言うときは他の女の子にして貰えるようにね」

「そう言う人がいねぇよ」

「あーちゃんとかどう?」

「そう言う風にお互い意識してないんですけど……」

 

大翔が反論する。

 

「あら、でも壬生さんと桐原くんは付き合うことになったらしいわよ」

「ええ!?」

 

それを聞いた大翔は驚愕のあまり目を見開く。

 

「だから男女って言うのはいつ、どういうときに互いを意識し出すのか分からないんだから出会いは大切にした方がいいわよ?」

「なんでそんなに俺とあーちゃん先輩をくっつけたいんだよ」

「あーちゃんって恋愛方面で弄ったら凄く良い反応しそうでしょ?それに大翔となら一セットで弄れるわ」

「何処かで頭打って六回くらい地獄に落ちれば良いのに」

「あらだったら閻魔様にお願いして天国に行かせてもらうわ」

「閻魔様にその猫っかぶりが通じるかどうか見物だね」

 

バチバチと二人の間に火花が散る。まあこれで良いのだろう。

何だかんだで仲が良い大翔・真由美姉弟……有名すぎる姉と無名の弟……天才魔法師と落ちこぼれの魔法師……違いすぎて似すぎてて……喧嘩もして言い合いもして……馬鹿にして馬鹿にされて……もう知らん口では言う。でも離れることはない。

 

大切な姉で愛しい弟で……そんな二人である限りこれからのずっとそうなのだろう。

とりあえず当分はまた変わらぬ平穏で平凡な日常の中で誰にも知られず悟られずこの姉弟は生きていく。




やっと終わった入学編……いかがでしたでしょうか?

突っ込みたいところや文句も沢山あるかとは思われますが……まあ取り敢えず一章目が終わりです。

次回からは九校戦編……大翔はどのように関わっていくのか……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。