とある天然の絶対回避《イヴェレイション》   作:駄文書き

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第7話

 早朝、本堂は目を覚ました。

目を覚ますとすぐに寝衣から着替え朝食の準備を始める。

基本的には朝は同じメニューとなる。

そして足りない分の栄養素は錠剤で取っておく。

こうでもしない限り『絶対回避』が発動し好きでもないようなものを食べさせられてしまうことがあるので絶対忘れてはならぬことの一つである。

 

朝食を皿に盛り付け、サラダを小鉢にいれてドレッシングを少量かけたら出来上がりである。

いただきます、とどこかの誰かさんに教えられた言葉をつぶやきながら朝食をよく噛み胃の中へと入れていく。流石に毎日同じメニューは飽きるが一人暮らしが安定した頃から大体こうだったのでそこまで苦にもならない。

その時、タブレットがその機種に元々入っているthe電話のような音を上げた。

 

……間が悪い、まあ箸を使っていたので手こそ汚れていないが朝食中に電話が来るとはなんとも間が悪い。まぁ、そんなことを言ってもしょうがないので箸を箸置きにかけ口を少し拭き水を飲んだ後、タブレットを片手に取り通話開始のボタンを押した。

 

「こちら本堂」

 

『こんな時間から済まないな本堂君、依頼の縮小について話すためにかけた』

 

相手は今回受けている依頼の研究員の一人であった。何度かそいつとは連絡を取ったことがあったのでその話し方や声の高低で分かった。

が、相手が誰だろうと関係せず本堂はイラついていた。そのため少々話し方も乱暴になった。

 

「縮小?なんだってんだよ」

 

『まあ、そんな慌てないで。君の仕事は端末や部品、死体の運びだったよね』

 

当たり前のことを聞くこいつにますます腹を立てる。俺は馬鹿ではない。

 

「当たり前だろ」

 

『それを死体運びだけとするんだ、他は全部外部に委託することになった』

 

「あぁ?何だってそんな事」

 

「第4位がしてやられた」

 

はぁ!?と久しぶりに大声を出してしまっい相手側の鼓膜を刺激してしまったことは言うまでもない。

 

 

 その後、事態の説明を受けた。

第4位が防衛についていたところ第3位と遭遇。

第4位は自身が率いるチームと一緒に行動していたがそのうち一人が脱落。

その一人の置き土産によっていろいろ起きたのだが結局は第3位を逃してしまった事、つまりは第4位が失敗をしたのだ。

それだけではないがそれも一つの要因となり外部に委託するとのこと、

実験は学園都市でするので死体が発生しそれを運んで欲しいということ。

 

その事態に本堂はとても驚いた、実戦経験が豊富である筈の第4位があんな第3位ごときにやられてしまうとは、油断でもしたのだろうか。

まあ

 

「別にいいか」

 

あいつがやられたところでこちらにはなんの支障もない。

別にこっちの報酬金が減るとかいう話でも無かったのでどうでもいい。

そこまで親しくもなし、ならば気にする必要なし。

 

冷血、と言われればそれまでだ。だが、人間なんて親しくもない人間に対する態度なんとそんなものではないだろうか?

例えばニュースで伝統芸能有名人が死んだとする。

その芸能に少しでも近い立場や情報を知っている人間からしてみたらとても価値ある人物だ、

がそんなことも知らない人間からしてみれば「じいさんが老衰ね、いい人生だな~」

これでおしまいだろう、2時間もすれば頭の中からなくなってしまうだろう、所詮そんなものである。

 

本堂だってそうである、第4位は少し顔を合わせたことがあるだけで親しいというわけではない、だから1日もしたらとっくに頭の中から消えあせているだろう。

 

今日も本堂は歩いた、死体を運ぶため、金を稼ぐため、

 

頭の中から消えたことなどない人のため、歩いた。

 




久しぶりにトランスフォーマー見たけどなんだろうあういうタイプのキャラクターは好きである。
11月3日、大きな間違いを発見し修正。誰も死んでないってば。

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